magisyaのブログ

小説となぞなぞを投稿してます

ミイラ男 × 妖精の森?

「ここが妖精の間です」

「う、う……うん」
ヨロヨロ ヨロヨロ ヨロリンコ~
ここはいつもなら妖精の間? 質問するところではないか? それが出来なくなってしまう程までに弱々しくなってしまったアリリ。

「な? アリリちゃん? 何かフラ付いてるけど大丈夫かい?」

「ギギ、ギア、あ、た、り、ま、え、だ、の、キーヴォ―ドクラッ、シャー、よ……ぜい、ぜい……」
何故かフラ付いている様だ。フシギダネエ。 

「なる! そうだよね? よかったよかった。いるかい?」
コンコン
安心しつつ目的の部屋のドアをノックする。すると……

「どうしたのですニイ?」
ガチャ、ギイ……
出てきた人物は、全身を真っ白な包帯でぐるぐる巻きにした容姿。はっきりとした表情は分からないが、声から察するに男性の様だ。
これは……もしや……ミイラ男なのか? 先程の花の間ではアニメ、ゴゴゴの鬼次郎に登場する日本の妖怪の、ねずみ男を模した従業員だったな……そこから、この館は洋館と言う括りではあるが、一番目に出てきた男が日本の妖怪を模した者だった事から、

【洋館=西洋の妖怪の館】

と言う私の拙い先入観もあり、多少不安ではあったが、彼の様な西洋の妖怪も出て来る様だ。ぬ……だが、自分で語っておいて何なのだが、ミイラ男と言う妖怪は、そもそも西洋妖怪と分類しても大丈夫なのだろうか? あの姿……どう見てもエジプト出身の妖怪と言うか……その地域における、皇族等の上位の人間の死体の埋葬形式だったような記憶もあるが……まあ良い。だが、ゲームソフトの悪魔城ドラキョラでもその城内のボスとしても登場して来た記憶もある。その時、十字架の模様が中央に刻まれた縦長で五角形の棺桶から出現していた。




故に西洋妖怪として|括《くく》っても良いのだろうな。まあ少々違和感はあるがな……故にミイラ男とは、非常に難しい立ち位置ではあるが、エジプトのミイラを模した本来動く筈の無いミイラを、動かせば妖怪として成立するんじゃね? と、

【西洋妖怪開発人のヨウカイ・ツクール氏】

が企画立案し、ミイラ男と命名し、西洋妖怪として誕生させた物なのかもしれない。  
確かに本来動く筈のない包帯にグルグル巻きの死体でも、動かし人々を襲う様に設定しさえすれば、妖怪として成立するだろうが、ただミイラを動かしただけでも

【私が発明した西洋妖怪ですう!】 

と言えるツクール氏の豪胆さも生半可ではないな……ほぼ姿形はエジプトのミイラのパクリであるからなあ。
まあ、勘違いして頂きたくはないが、この辺は語り専用PCで検索した訳ではなく、私の推論のみでの考察であるので確証は無い。……まあ、妖怪のジャンル分けは、日本の妖怪と、それ以外の国の妖怪は、どんな地域にいようが西洋妖怪。この2つのみで大別される筈なのでOKである。仮にエジプト妖怪と言う言葉があったとて、それを語る必要はない訳だ。まあそれでも無理に語ろうとすれば、拒否反応と蕁麻疹と喘息とイボイボが出て、まともに語れぬであろう。故にこのお化け屋敷は、洋館でありながら日本の妖怪しか登場しないと言う訳ではなく、日本の妖怪と西洋の妖怪が混ざった和洋折衷で、様々なジャンルが登場するお化け屋敷で、それらに変装した従業員が頑張ってくれている様だ。……おっと、話がそれてしまった! またである……申し訳ない……では一瞬で戻すぞお。
そして、現在2部屋目で二名の妖怪が登場した。故に残り5種類の妖怪が待ち受けているのだ……まてよ? そういえば既にフンガーもいたな……彼は間違いなく西洋妖怪のフランケソシュタイソがモチーフだ……と言う事は……もう西洋妖怪が居たではないか……では、今までの話は何だったのだ……西洋の館で日本の妖怪がどうのこうのと言ってしまった気がするが……まあいい……私も血の通った人間。プログラム通り正確に実行する機械ではない。こういうミスもある……だが、学習出来るのだ。一度犯したミスは二度としないと気を付ければ良いのだ。そしてそれに気付いたら言い訳などせずに謝るのだ。と言う訳で申し訳ない。今後はこの様な事が起こらぬよう気を付ける……では、後4種類の何がしかの妖怪がアリリを待っているのだ! 一体どんな人物が……楽しみである!

「彼はニイラ男君だ」

「アリリですぅ♡よろし♡グッ……はぁ……はぁ……いっその事ここでトドメを刺して……くれ……」
ガクッ
ぬ? おい! アリリ! 貴公一体何をしておる? 挨拶を言おうとした最中で、突然片膝を地面に落とし、左目を左手で押さえ、おかしな事を言い始めてしまった?!? 一体どうした? まるで切腹をして、苦しまぬようバッサリと頼む……と初対面の男に頼んでいる様ではないか? 初対面のニイラ男君さんを介錯人に抜擢し、無料でとどめを刺して貰おうというのか? 急にどうした? 人生に疲れたの? 駄目であるぞ! そんな事は……まずは挨拶。そして、打ち解け、何時間も語り合い、数か月間の時を共に過ごした後に、

「折り入って話がある」

と、真剣な表情で切り出してから相談する内容ではないのか? あまりに唐突過ぎる。初対面の幼女が自分を殺してくれと言われた場合、頭が混乱しない人間は一人もいない。そんな事突然言われても対応出来ないのだ。こんな事お勧め出来ない。この辺の段取りは、ショートカットしすぎてはダメであるぞ? じっくりと共に歩み寄る。それが正解なのだ。一方的に近寄ってもいけないのだ。短いのは足と腕と身長だけにしておくのだぞ! まずは当たり障りのない元気の良い挨拶から始めてみよう! 頑張るんだよ!! それにな? 初対面の相手は、出会って10秒程度の印象で、大体のアリリのイメージを固めてしまうと言う事を知らぬのか? だのにその貴重な時間をこんな状態で印象付けてしまってはニイラ男君さんに悪い印象を植え付ける結果となるんだよ? ぬ? ニイラ? 何故だ? 先ほどのネズニと言い……何故おかしな名前なのだ……まあこの違和感も話が進むにつれ分かる事だ。まったりと待つ事にしよう。それにしてもこのお話のヒロインは、ろくすっぽ挨拶も出来ぬとは……見下げ果てたぞ……お主はニイラ男君さんに初対面でそんな悪印象与えれば、こういう事も起こりえる。それはふとニイラ男君さんがプライベートタイムにその恐怖体験を

『今日会った女の子は、挨拶もしてくれなかったんだよ。そして急に過呼吸になったと思ったらトドメを刺してくれって……びっくりしたよ……正直怖かった……この写真の子なんだけど……みんなはこの子の事知っているかい?』

と、こんな感じでアリリの写真付きでSNSで投稿させてしまう危険性もある。頭の良いそなたなら少し考えれば容易に思い付く筈であろう!  そんな事になれば、ニイラ男君さんの優しい人柄なら当然フォロワーも多い。故に一瞬で広まってしまうぞ? そうなっても良いのか? 良い印象は後には引かないが、悪い印象はずっと心に残る物。これだけは決して忘れてはいけない。何故そんな簡単な事が出来ぬのだ!! そんな炎上商法的なバズりでは一時的には伸びるであろうが、受け手は一切アリリに良い印象を感じない内容での増加。短期的に大量のフォロワーが出来るかもしれないが、それは悪口を言う為にフォローするだけ。思う存分叩いた後、飽きられたらポイであろう。更なる集客は見込めないのだ。長期的に見ればマイナスなのだ。故に絶対に駄目であるぞ? 

【地道にコツコツと】

がそなたの座右の銘であっただろう! それに上記のポーズ、一般的にはかっこいいポーズとされているが、それは足の長くシュッとした男性がやるからこそ様になる訳で、足の短いお主がやったところで誰もかっこいいとは思わぬ。|短《みじ》めな……おっとミスった……惨めな姿を晒すでない! 貴公は今まで市田等にしていた挨拶は♡よろし♡グッではなく、よろしくお願いしますぅ♡であったであろう! なぜ突然こんな汚らしい挨拶に変化してしまったのだ? それでは初対面の相手に失礼であるぞ!

「よろしくニイ!」 
だが、そんな中途半端で自分に殺人と言う犯罪に手を染めさせようとしたおかしな幼女の挨拶にも気さくに返してくれるニイラ男君さん。優しいな……これはあの包帯の中には細マッチョで二重まぶたの本田圭イ右似の|清々《きよきよ》しい好青年が入っているに違いない……顔を隠しているキャラクターは総じて美男美女が多いからなあ……ぬ? ニイだと? まさかこれも語尾か? どうしてもニイじゃないとダメなんですか? どうしてですか? フム、色々な語尾があるのだな。この屋敷の市田以外の住人は、語尾を付けて話す訓練を受けていると考えても良いだろう。理由はまだ分からぬが……

「ゼイ……ゼイ……」
ふらふら とことこ ふらふら ふららら~ とことこ ピタ。ヨロヨロ 向きをクルッ とことこ ふらふら~ 
そして挨拶が終わるとフラフラと焦点の定まらぬうつろな瞳で当てもなくうろつき、停止する。だが、そこが目的地だと思ったら唐突に向き変えまた宛てもなく進みだす。何がしたいのかさっぱりだ……まるで電池が切れそうなロボットの様にカクカクしちゃっているアリリ。
なんかこう……背中からちょいと一押ししたら死んでしまいそうな程に儚いんだよね。それに、顔に赤黒くって趣味の悪いペイントがされている。一体何なのだこれは……さっきまで何ともなかった筈じゃん。どしたん?

「(。´・ω・)ん? アリリちゃんだっけ? 初めましてニイ……あれ? よく見たら目を怪我をしているのかニイ?」
ニイラ男と呼ばれた男は、アリリの頬に流れ乾燥しパッサパサになっている血を見て、心配そうな声で聞く。

「ギ……へ、平気、へっちゃらよ! あんたこそ……大怪我してるじゃ……ない?」

「え? 違うよ? これはこういう衣装だニイw本来は無傷だニイw。夏はちょっと蒸し暑いけど、ファン内蔵なので、絶望的に蒸し暑いと言う事は無いニイw」

「へえ……紛らわしい……じゃない……ううっ」
フンガーの足に倒れる様に寄りかかる。

「フガッ? フガフフ」
アリリの頭をなでるフンガー

「ああ、やっぱりこのままじゃ危ないニイ! よし、これから僕が治療してやるニイ。ちょっとこっちに顔を近づけて欲しいニイ」
何だと? 治療? この男、眼球を縫合する技術でも持っているのか? だが、麻酔も糸も針も見当たらない。だのに……治せるのか? 一体どうするつもりなのだ?

「え? あんたそんな事出来るの? でも、なんか怖いわ」(何してくるの? もしかして眼球を麻酔無しで直で縫われる? やだ、怖い……)

「怖いの? うん、そうだよ。ある意味怖い響きだよお?」
ぬ? 市田が恐怖を一層煽るような感じで口を挟む。しかしある意味とは? 意味不明だ。一体何を言っているのだ?

「お、脅かさないでよ……このハゲ……」
おいおい、アリリよ、確かに市田はハゲていそうな顔ではあるが、今回は本当に奇跡的にハゲていないのだ。前回のボケ人間コンテストの司会は瞬時にカツラと見抜いていたが、あれはまぐれだったのか? 今回はハズレである。残念であったな。と言うかお主? この年代の男にはすべからくハゲと言っていないか? ここまで歳を重ねていればもうハゲていて、髪の毛付き帽子で隠しているんだ! と言うあっさーい思惑が見え隠れしているぞ? そんな下手な鉄砲数うちゃ当たる戦術では駄目である。しっかり相手の頭を凝視し、今回はズラ。今回は地毛! と見極められるようにならなくてはいかんぞ? 

「大丈夫安心安心♪ フムフム……眼球に深刻な傷が刻まれているニイ……一体誰にこんな傷を……傷跡から推察すると……猛禽類の仕業かもしれないニイ? もしかして花の間で? そういえばさっきバトルの音楽が鳴り響いていたし、つばさで打つようなSEも聞こえた気がするニイ。うん……大体分かったニイ。
このままでは可能する化膿性があるニイ。あっ間違えたニイww 化膿する可能性だったニイwwwwでも安心して? 僕に任せてニイ」

「え? 今可能性を言い直したのはなあに? ……ふう、ふう」

「気にしない気にしないニイwwwww」
ほほう……皆さんは当然お気付きだろう。今の出来事を一切理解出来ず、あんぐりと口を開けている背が異様に低いアリリだが、今の流れは、彼が【化膿】と【可能】という同音異義語を本来使用する筈の部分とテレコ (互い違い)にし、言語力、判断力、読解力旺盛な読者様を刺激し、それに気付いた彼らに優越感を与え、喜ばせようとしたと言う事をな。
ここから推測するに、このニイラ男と呼ばれる男は相当の切れ者である。私は表面は一見3枚目を演じ、その奥底に微かに垣間見える知性を光らせる様な、ウム、例えるならば……PSソフトのゼノギャースに登場する、主人公の師匠のジダンダ先生の様な、な。そんな男は嫌いではない。
そして、笑顔から急に真剣な表情に変わり、彼の周りに何やら怪しい力が漲る。そして、両手を合わせ始めた?

「じゃあ顔を近づけて欲しいニイ」

「本当に大丈夫? でも、仕方ないか……」
とことこ
怪訝な顔つきだが他に頼る物も無い。仕方なく従う。

『大いなる森よ! そして、そこに住まいし、心清らかなる聖霊よ! この、小さき命の眼球に刻まれし傷の穢れを、聖なる輝きで浄化したまえ!! ぬううううううう……ハッ!

【♡ホ イ ミ イ ラ♡!】』
☆キラーン☆