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知恵 VS 力

「言葉で決意を表明しても、それだけで通れる程私は甘くはないわよ? あっ、(│││焦│││)優しくはないわよ?」

ぬ? 何故だ?

 

「だよね……これじゃあ修ちゃんに……会えないよ……」

(え? 今焦りながら言い直した? 何でそんな事をしたの? ……まさか!!)

 

「あら? 修様でしょう? ちゃんとさっき正しい社会人としての在り方を教えた筈でしょ? 目上の者には敬意を払えってね。

あなた、もう忘れちゃった? 学習能力は無いのかしら? それとも何かの意地? そんな物持っていても意味はないのよ? あなたは、まだ子供で、守られているだけの存在。そんな弱い存在なんだからせめてしっかりと様を付ける習慣位は身につけなさい!!!!! で、気が向いたら、修総理大臣様先輩大統領殿下でもいいわ」

子供の様な事を言う早乙女。

 

「やだよー。あんたさ、修ちゃんがそんな風に呼ばれて本当に喜んでくれると思っているの?」

 

「ええ、当たり前でしょう? ふう……またちゃん付けしたわね? いい加減にしなさいよ?」

 

「いい加減にするのはあんたでしょ? 馬鹿にしているとしか思えないわ? 本人にそれを言った時の状況をイメージしてみてよ……絶対に嫌がられるって……苦笑いされるよ? 最悪怒られちゃうと思う。そんなの冷静に考えれば分かる事だと思うよ? ねえ? 考え直そ? そうすれば見えて来るから。あなたさ、頭がカッチカチなのよ」

(そっか、この子賢さ25だったもんね。私が302で12分の1以下。で、確かケイトちゃんが57だから、その半分以下だわ……しかも私のレベルよりかなり高くて25ともなると、ここまで酷いのか……1レベルで1しか上がってないって言う計算だもんね……これが、脳みそ筋肉って事かしら?)

 

「尊敬しているお方に様付けするのは常識よ? じゃああなた自身がそこまで尊敬してもいない人なんかに会えなくても別にいいのよね? じゃあもうここには用は無い筈よ? その大男から降りて、大人しくおうちに帰りなさい!」

 

「修ちゃんはそんな枝葉末節な事には拘らない! 彼はそんな事を教えた事は一度もない! あんたは修ちゃんの何を見てきて尊敬しているの? 外見の良さ? そんな薄っぺらい理由じゃないよね? 彼の生き方、彼の教えに感銘したから好きになったんでしょう? 違うの? 今のあんたは修ちゃんの教え、何一つ理解出来ず!! ただ盲目的に敬称を使っているだけよ! その礼儀正しい自分がかっこいいって酔っている様にしか見えない!」

 

「そんな事はないわよ!(枝葉末節? どういう意味かしら?)」

 

「じゃあ何なの? 具体的に言って?」

 

「ほら、その、あれとかそれよ」

 

「ほら! だから敬語を使う対象は別に修ちゃんでなくてもいいって事よ! 悲しすぎるよ……こんなアレなファンもいるって事がさ……」

 

「そう……私達は相いれない様ね。しかし何度言えば気が済むの? 様付け出来ないの? それにアレってどういう事? まさか……馬鹿って意味じゃないでしょうね?」

 

「当然よ。良く分かったじゃない! 自分の事を理解は出来ている様ね。でもね? この世界の常識を分かっていないのは間違いなくあんた。

私は逆にあんたみたいに様付けする奴の方が許せない!」

 

「フン! じゃあ、許さないのならどうするの? この私に本気で勝てると思っているの? 私は父を超えられなかった。でも、厳しい修行の末この反撃の力を身につけた。

この力さえあれば、もう物理しか出来ない格闘家なら、私が何もしなくても倒す事が出来る。父も含めた全ての格闘家を従える事の出来る私に勝てると?」

 

「復讐は何も生まないよ?」

 

「は? 一丁前に私にお説教? どうせあなたには私の気持ちは分からないのよ!」

(この子は大事にされて育ったのね……でも、親も所詮は人間。

間違っている事もあるの。それがこの子には分からないのね……私は、決してあいつらを、許す事は出来ない)

 

「そう、じゃあ【お説教】を、しないとね。

あんたは今の一言程度でお説教って言っていたけど、私の真のお説教はそんな甘くはないわよ? 前話の7話のお話を見返せば分かると思うよ♪じゃあ、本当のお説教って物をこれからしてあげる♪あなたは少し賢さが足りないみたいだから、分かり易ーくしてあげるから安心してね?」

 

「なんですって!? 生意気な事を言うんじゃない! そして、甘くは無いですって? 貴様!! 二度とその言葉を使うな! ぶちのめすわよ!!!!!!」

やはりそうだ……彼女は……

 

「あなたは肉弾戦で私に勝負を挑んできているみたいだけど、私は物理では戦わない! 100%負けるもん! 相手のフィールドで戦う事程馬鹿な事は無い。私の得意分野で潰す」

 

「そんなものはあなたに決定権は無い! 逆に叩き潰す!」

 

「しかし、父親に復讐ね……私もふと、オヤジとの会話を思い出したわ」

 

「ん? 何かしら?」

 

「常識を鵜呑みにするな。そして、全てを疑え」

 

「どういう事?」

 

「今まで仲良くしてた人でも突然牙を剥いてくる事もある。人間万事塞翁が馬だから、常に心構えしておけって事ね。刑事の心構えよ。

あいつチビで禿げてる癖に刑事やってて、しかも生意気にこの私よりも頭は良いのよね。

かけ算は出来ないくせに。

それでも私でも思い付けない鋭い事を言う時もある。確か名探偵が祖父らしいからさ。

ママもそれを見ていて、難事件をいくつも推理で解決してきたって私に言っていたなあ。

それにチビで禿げの癖にママのハートも掴む策士でもあったからなあ。ま、逮捕状と言う凶器に頼っていたけどね。

そいつが私にこんな事を言っていたなって……でも、咄嗟に早乙女さんがそうなるなんて思い描くことが出来なかった。私もまだまだね」

 

「私達は元々敵同士よ? たまたま知っていたから少し会話を交わしただけのね。

さあ、再会を懐かしむ時間はもう終わりよ? そろそろ仕事に戻るわ。

ここのガーディアン。そう、守護者よ。いいえ? 修様を守るから修護者ね。あなたの様な薄汚い鼠と神に選ばれし修様とは絶対に会わせる訳にはいかない」

 

「こんな神々しい鼠が居る訳ないでしょ? 私はあなたのデータを全て掌握済み。この賢者の曾孫の頭脳を持ってすれば、力の差などどうとでもなる……! 力では私どころかフンガーこのこでも通用しないわ。

でも、あったのよ。たった一つだけ抜け道が! それを、今からお前に教えてあげるわ! 早乙女ぇぇぇぇぇ!!」

(実は今の所は見いだせていないわ……彼は鉄壁の防御……反射も持っていて、殴ったら逆にこっちが傷つく……でも、メンタルはどうなの? 攻めるとすれば、恐らく……そこしかない。

と、なればさっき見たデータの中に突破口はある……のか? いや、あってくれる筈……! 必ずある!! 考えろ……この瞬間に、全神経を集中させて!!)

彼は女の子であるぞ!

 

「うそをこけ! 父さんを倒す前にまずは生意気なあなたから潰すわ。あなたはここで、終わりよ!!! 物理反射【硬】!!!!」

そう言いつつ壁へと戻って行く早乙女。

 

☆キラーン☆サアアアアアアア……

 

早乙女を中心に、青白い光が少しずつ広がり、万里の長城全体、端から端まで全てに物理反射【硬】の力が付与される。

早乙女はアリサを殺すつもりなのか? 防御無視の反射を喰らえば間違いなく即死だ。そこまでする必要はあるのか? この女は……悪魔なのか?

 

「フフフ……私が今何をしたか分かる? この不思議な力は、人を伝い、広がる。

宣言するわ! あなたは! 絶対に!! ここを通れない!!!」

たかが○×クイズでけが人が出ては話にならない。運営は何故この様な生粋の戦士をこんなお笑いの会場に呼んだのだ? 

 

「やはり来たか……直情径行もいいところね……私に感謝しなさいよ? 知っているから触れないだけで、もしも知らずに触れたらあんた人殺しになっていたんだからね?」

 

「どういう事?」

 

「まさか知らないで使っているの? その技はあんたの防御と同じ値のダメージを防御無視で与える反射技なのよ! 私の体力では即死よ」

 

「そ、そうだったの?……そこまでは知らなかった」

 

「そっか早乙女さんでも詳しく知らないんだ。

最近覚えたって書いてあったしね。

じゃあ漠然と反射するだけって言う認識なんだ。でも私は詳細まで分かっている。あれを無理によじ登ろうとすれば、私の手は、指先から吹き飛ぶ……早乙女さんでなくても一番端っこのモブ筋肉の壁を登ったとしてもだ! 直接は絶対触れられない……あの反撃の力は、フンガーの力でも破れないし……無理に壊そうとすればフンガーの命も危ない。そうよ! 私は全て分かっているんだ! だから!!!!!!」

フンガーの上で、左の人差し指を眉間に当てる。

(今奴の残りMPは25ね。そして、データ通りなら、確か移動は制限される筈)

 

「でもその力を知ってしまった以上、ここを通る気にもなれないでしょう! 大人しくそこで笛の音を待ちなさい! そうすれば命までは取らないから」

 

「やだ!!!」

 

「言うと思った……あなたは私を怒らせたわ。それがいけなかったのよ。子供なら子供らしく私の言う事に従っていればいいのに……何度も何度も修様をちゃん付けするわ、私の事をお前呼ばわりするわ、呼び捨てするわで。

だから、絶対に! 通さない!」

ゴオッ

 

「うっ」

(多分あれは針闘気か。薄いけど沢山の針が彼の頭上に……じゃあ残りMP20ね? と言う事は……もうカウンターは張り直せない!)

早乙女はそんな些細な理由で、それに釣り合わない程の強烈で莫大な闘気を放つ。

それは、一つ一つが針の様に尖っており、壁の上の1メートル程の空中に扇状に広がる。

 

「今のあんたは呼び捨てしても構わない程に愚かなのよ! しかし、あんたの戦い方、男らしくない戦い方ね。

カウンター張った上に針で妨害とか……守り守りの戦い方wやはりあんたは男じゃない! 女だわ! 父親を倒すのに、その受け身の技で勝つ事しか考えられないなんてさ! それで勝って本当に嬉しいの? 男ならよ、負けると分かっていても真っ向勝負で殴り合えよ! たしかに今は勝てないだろうけどそれでもいつか勝てる日は来るから! 本当の意味で勝ちたいなら殴り合いで勝ってみせろ! この女野郎!」

女野郎とは一体?

 

早「男よ!」

 

ア「いいえ女よ!」

 

早「男だ」

 

ア「女!」

 

早「男!」

 

ア「男!」

 

早「女! ハッ」

 

ア「引っ掛かったw」

 

早「クソ!」

 

「待ちガイノレじゃあるまいし、相手が攻撃して隙が出来るまで待つ様なセコイ戦い方じゃなくてガチの真剣勝負しなさい!」

 

「それが出来れば苦労しないわ。あいつの動き予測不可能なのよ」

 

「それでもだよ!!」

 

「うるさい! あなたに何が分かる! 小さい頃からいじめられていた相手に殴り掛かる勇気はないのよ……目を合わせる事すら苦痛なの。あの男は恐ろしいの……蛇に睨まれたカエルなのよ……だから……これしか……これしか思い付けないの……」

 

「そう? でも、それで勝って後悔しなければ良いけどね」

 

「……今は私とあなたの問題でしょ? 父の事は置いといて? もう思い出したくもないわ」

 

「確かに、じゃあ話を戻そう! 私が彼に会うのは予定調和なの。会わないなんて選択肢は確定的に有り得無いの。それを邪魔するならば可哀想だけどそれ相応のお仕置きをしなくてはいけなくなる。精神的にね?」

(思い付け思い付け思い付け……何かある筈必ず……)

先程早乙女の信じられないステータスを見たばかりで、怯んでもおかしくない筈のアリサ。それでも冷静に勝ち筋を模索する。

 

「お仕置きだと? 私の……聞き間違いか? 今、この私にお仕置きをすると言ったのか? さっきはお説教するだとか言っていたし……このチビが!! 身の程を知りなさい! お仕置きやお説教って言うのは、上の者が下の者にする行為でしょ? 使い方を完全に間違えているわ。お説教されてお仕置きされるのは……あんたよ! さあ、その減らず口もここまでよ!」

 

「フッwチビが……か……それはお互い様じゃない?」

 

「な、何?」

 

「確かに私もちょっとだけ皆に比べて小さいわ? だけど、それは物理的な小ささ。それに引き換えあんたは今まで丁寧口調だったのに、一度も言わなかったのに、本性が出たわね? さっきまでのあんたは結局偽りだった。

ものすごく小さく見えるわ? あんたの【器】」

 

「ちっ違う」

 

「いい加減に気付きなよ。あなた自身の愚かさに……あなたの弱点に……? ハッ!」

(弱点か……あんな化け物にもあるのかしら? もしかしたら……よし、思い出してみるか)

 

「そ、そんな物知らないわ! この闘気見える? ここを通ろうものならズタズタになる。

運よく壁をよじ登って向こう側に行けると思っても、その上で闘気に切り刻まれ惨めに壊れる。だから、あなたは通れない。決してね」

 

「フンガーフンガー(汗)」

フンガーもただ何も出来ずに立ち尽くしている。

 

「あの闘気厄介ね……あれを何とかしないとどうしようもない……でも、もしかしたら……確実とは言えないけどそれしかない!」(でも、確かあれは1メートルが限界の筈。そして、2分経てば消えると書いてあったけど、彼のメンタルの状態で、その時間は前後するかもしれない……それに……賭けるしかないわ)

アリサは、早乙女のデータの弱点部分を克明に思い出す。

 

「私は動く必要は無い。ここで、じっとしていればそれだけで勝てる」

 

「まずは3位から……」

 

「3位?」

 

「あなたは両親に虐待されていたみたいね?」

 

「何故それを……? ああ、見たんだっけ? 私の能力……そこまで見られちゃった訳か」

 

「それも仕方ないわねw両親は間違っていないわwあんたみたいにごついのに有り得ない位に可愛らしい声じゃ、両親だけでなく私も虐めたくなるもの!」

 

「うっ、やめろ!」

 

「それに修ちゃんに様だの大臣だの付けろ! って押し付けてくるところも駄目ね。

賢さ25じゃ仕方ないかwあんたならちょっと賢い事言う人全員を尊敬して様付けするんじゃない? カシオペア座にまで敬称使っていたあんたならさww人の言う事を鵜呑みにし、その言葉だけを聞いて凄い人なんだって思ったら最後、勘違いして、自分で考える事を放棄し、盲目的に崇拝する。

あなたは疑う事が一切出来ない」

 

「ぬう!」

 

「あなたは賢くは無かったから、体を鍛える以外に自身を守る方法が思い付け無かった。

でも、その方向にどんなに努力しても無駄なの! 賢さも兼ね備えてこそその力は武器になる。

それを理解出来ず我武者羅に鍛えてきた結果、人間離れした強さは手に入れたでしょう。

その強さで男にも恐れられ、異性としても相手にされずに恋を捨てて男になると宣言。

そして、復讐の為に反射の技を身に付け、あろう事か生んでくれた親に牙を剥く。

そんな事をしている内に確実にあんたは年老いて時間は無くなっていく……正に時間の浪費よ……悲しすぎるね……両親に虐められた上に恋人も一生作る事の出来ない哀れな女。それが、あんただ。

恐らく目を治してくれた医者にプロポーズしても断られる。

悲鳴をあげられて、許して下さい( ;∀;)二度と私に関わらないで下さい!( ;∀;) と懇願されてな!!!!」

 

「グ……挑発しても無駄よ。そんな事では決して動かない」

しかし、唇から一筋の血が流れている。悔しさの余り歯を食いしばり過ぎて唇を切ってしまったのか? それとも歯槽膿漏なのだろうか?

 

「3位じゃ駄目かー。やっぱり強いなあ。でも……少しは効いてるね? じゃあ、2位、行ってみますか」

アリサの瞳の冷徹さは更に増す。

 

「2位……ですって?」

彼女の中では相当なダメージだった様で、両親の虐待の事が一位だとばかり思っていた様だ。それなのにまだ二つも上があるのかと驚く。

そうなのだ。自分の弱点を明確に把握出来ている人間はそう多くはない。万物調査で表示された順番通り自分の弱点を把握している者は一体どれだけ居るのであろうか? そう多くは無いと思う。皆さんは自分の弱点を瞬時に3位まで挙げる事が出来るだろうか?

そんな事をしている内に、普段は長いと感じていた筈の3分のタイムリミットは刻一刻と近づき、残り10秒となってしまう。

 

「もうすぐ時間です。カウントダウン開始10、9、8」

 

「あら? このままそこに居たら負けよ? どうするのかしら?」

全身から針の様に尖った闘気が、早乙女を中心にアリサにも届かんばかりの勢いで放出されている。一切隙は無い。どうする?

 

「7,6,5」

 

「もう少し引き付けて……よし……でも、本当にこれでいいの? いいえ? これしかないの。

フンガー? あなたは本当に良くしてくれた。そう、いい乗り物だったよ? 乗り心地もスピードも申し分なかったよ……その道で食べて行ける位のね。天性の素質を感じたわ。だからね? 私がいなくてもやっていける。大丈夫! ……ごめん!」

 

「フンガー?」

突然別れの言葉を告げるアリサに、不思議そうな顔をして見上げるフンガー。

 

「フフフ何を言っているのかしら? 辞世の句?」

 

「ヨヨヨ」

ピクッ

 

「何を……貴様は……言っている? ……!!!!!!」

 

               <心>  <壊>

 

早乙女は、その言葉とは裏腹に、強烈な嫌悪感を孕んだ目でアリサを睨む。【ヨヨヨ】と言う意味不明の言葉の意味を、しっかりと理解している様だ。

そして、その時彼女は気付く。アリサも同様に? いや、それ以上の殺意をむき出しにした瞳で早乙女を睨んでいたからだ!

この冷徹な少女は、本当にヒロインなのか?

「ヨヨヨ、ヨヨヨ」

(やはりあのデータは真実しか書かれていない。オヤジは常識を疑えと言っていたが、これだけは盲信しても良いのか!)

冷徹に決められたワードを機械的に呟く。そう、それだけでいい。

 

「や、やめてええええええ……何で、何で私を裏切った!! 一緒になれると信じていたのに!!!! 愛してッいたのに!!!!!」

ブンブンブン

 

動揺し、首を振りながら何かを思い出し、叫ぶ早乙女。因みに【ヨヨヨ】とは、早乙女もプレイした事のある、とあるゲームのヒロインだ。

恐らく彼女は、男としてそのゲームをプレイして、本心からゲームの中のヨヨヨを愛したのだろう。そして……裏切られた……

詳しくは前話で語ってあるので、是非見て欲しい。

 

「早乙女さん!?」

 

「一体何があったんです?」

 

「よし2位だもんね。流石! さて、1位を……これがとどめの言葉。お前を元に戻してやれる最高の。な……!」

今アリサは一人の女性の心をえぐり傷つけている。しかし、その事に一切罪悪感は感じていない。

恐らく2位の段階でも、彼女の心に永遠に深い傷が残るのは必至だ。普通の人間ならもうここで止めなくてはいけない。ブレーキを掛けなくてはいけない。と考える所なのだ。だが、そこで、アリサは躊躇う事も無くアクセルを目一杯踏む。

「や、止めろガキがあああああああ!」

ゴオオオオオ!!

闘気が最大まで達する。

 

「フッ、ガキが……か……いいねえ♪でもよ? それは、お互い様。だぜ?」

かっこいいアリサ。

 

「な、何? 止めろ」

そう言いながらアリサに飛びかかろうと太腿に力を入れる……しかし

「え? う、動けない? ど、どうして?」

(そういえばこの技まだ2回しか使った事ないのよね。

その時は2回共すぐ相手をカウンターて倒したから戦闘が終わって自動的に解除されたのよね……だから戦闘継続中はずっと動けないなんて思わなかったわ……どれだけ続くの? 確かに今カウンターを解除しようと思えば出来るけどもう張り直す余力は無いわ……

解除してからこの子を止める? それとも様子を見る? どっちなの? 分からない……)

「自分の事だろう? 自分で考えてみろ」

 

「それが分かれば苦労しないわ。動いて! 頼む。まさかこれまずい状況?」

 

「気付いたみたいだな。まあこの時点でもう詰みだから特別に私が教えてやろう。この反射の継続時間は1時間だ。その間移動は不可能」

 

「何で? あんたどこまで知っているのよ?」

 

「さあ?」

 

「何で……何で私よりも私の事を知っているのよ!」

 

「秘密だ」

 

「まさか? あの力? そこまで詳しく書かれているっていうの?」(あ、でも腕は動く!)

 

「さあ……どうする?」

 

「アーアーアーアー」

早乙女は最後の手段で、耳を塞ぎ、声を出す事でアリサの声を防ごうとしている。

これでアリサの言葉を聞こえない様にしているのだろう。

 

「痛い痛い腕が折れる! 早乙女さん!! 腕を組んだまま耳を塞がないで……お願い」

 

「ごめん。でも、今だけは我慢して? あなた達も誇り高き桜花ジャパンの一員の筈よ? 腕の一本位折れても平気でしょ? アーアーアーアー」

かなり厳しい組織の様だな、桜花ジャパンとは……

しかし、アリサは全く表情を変える事も無く1位の言葉を放とうとする!

 

 

 

私の書いている小説です

https://estar.jp/novels/25771966

 

https://novelup.plus/story/457243997

 

https://ncode.syosetu.com/n1522gt/

 

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アリサVS早乙女

 

「凄いのねあなた。じゃあお願いするわ。でも今回ばかりは本当に人生諦目る所だったもの……でも男さおと目真琴! 目げる訳にはいかなかったわ。

こんな姿見られたら、修様に笑われてしまうもの……」

 

「あなた女の子でしょ? でも真琴さんって言うのね? 男の子にも女の子にも使える響きねー。でも早乙女さん? 修ちゃんはそんな事で笑わないよ。励ましてくれる絶対に」

 

「そう? でも修様って言ってね? 完全に間違っているから。それで、真琴って名は自分で改名したの。本当の名前は、真由美って付けられた。でもしっくりこなくてね……響きも嫌い」

 

「え? 改名ってそんな簡単に出来るんだ」

 

「そうね2000円位で出来たわ。そして1か月位待ったら新しい名前になれた。本当の私にね……!」

 

「へえ、でも親に申し訳ないと思わないの?」

 

「そうね」

 

「そうなんだ、色々あったのね……」

 

早乙女の顔をよく見ると、瞼の中央に、縦に破られた傷があり、それを糸で縫い合わせた様な跡が残っている。

目玉が、飛び出す時に瞼を破って出てきたのだ。恐らく目をしっかり閉じていた時に飛び出したのだろうな……うう……生々しい……

全身の筋肉を鍛えているだけあり、目の飛び出す力も常人のそれではなかったという事で、その激しき勢いで、破れてしまったという事か……

 そう、前回の話になるが、とある方法でホテルの運動場の天井に引っかかっているボールを取ってくれた人がこの早乙女で、そのボールにはユッキーと言う化け物の絵が描いてあった。そいつに近づいたり、見たり触れたりする事で、人体に色々な被害が起こっていた事は多数確認されている。

それを取った後、すぐに返せば、触れた事で手の指の爪が一つか二つ剝がれる程度で済んだのだが、その前に自分の顔に乗せ、バランスを取るというありえないパフォーマンスを行ったのだ。

その後遺症で、右目と左目が入れ替わったと言うらしい。恐ろしい症状である。

その時に破れて、現在縫われている傷跡が克明に残っている瞼を、アリサは治せるという口実で、彼女の能力を見ようとしているのだ。彼女は好奇心旺盛なのだ。

 

「じゃあ頼むわ?」

早乙女は少しかがんでアリサの治療を待つ。

 

「はいっ!」

アリサは手をおでこに伸ばす。

プルプルプルプル……

 

「クッあと少し……」

タッチ!

ふくらはぎが釣る寸前、横っ腹の筋肉が伸び切る寸前で、何とか、そこに、届いたッ!!

 

「え? 何でおでこ? もう少し下よ?」

 

「大丈夫だって、これで治るの!」

平気で嘘を突く。

ブゥン

 

サオトメマユミ  LV25  ♀ 桜花ジャパンリーダー

 力    660       

 素早さ  245    

 体力   480      

 賢さ   25 

 運    85  

 HP    33 /960 

 MP   50/50 

攻撃  660   

防御  650  

 

スキル   

格闘マスター

体操マスター 

☆ ビノレドアップ 消費MP10

☆☆斬鉄拳     消費MP3

☆☆針闘気       消費MP5  

☆☆☆物理反射【硬】  消費MP25

☆☆☆力限界突破

☆☆☆体力限界突破

☆☆☆霊視

満腹値   60/100  

状態異常 瀕死 

 E,Tシャツ

 短パン

 鋼の肉体 

好きなもの プロテイン 松谷修造 スポーツ全般 

嫌いなもの 糖質 ヨヨヨ 両親

 

桜花ジャパンのリーダーで、いかつい体格だが女性。声が異様に可愛らしく、見た目とのギャップのせいで両親から虐待を受けた過去がある。家を飛び出し力を求め彷徨い、いつしか桜花ジャパンのリーダーと言う立場になっていた。

言葉使いは丁寧で、頼れるリーダーではある。上下関係に厳格で、自分の尊敬する者には人だけでなくあらゆる物に様付けする程である。それを他人にも押し付ける習性もある。

父親は未だ現役の格闘家で、酔拳の達人。未だ勝つ事は出来ていない。

 

ビノレドアップは、攻撃と防御を1,5倍にする技だ。重ね掛けは6回まで可能だがMPが足りないので実現はまだ先になりそうだ。

 

斬鉄拳は、MPを消費するパンチだ。通常の2倍の威力が出る。

 

針闘気は、自分の周囲1メートルまでに針状の闘気を放出、定着させ、触れた時に刺し傷を与える見えにくい罠。皮膚は傷つける事は出来るが、横からの攻撃に弱く、金属などの硬い物による強い衝撃で消滅する。

目を凝らせば、うっすらと見る事も可能。継続時間は2分程で、時間が来れば消滅する。

 

物理反射【硬】は、父を倒す為につい最近編み出した技で、攻撃してきた相手に、彼女の防御力に相当するダメージを反射する防御無視の反撃技。覚えたてなので消費MPはやや高め。

殴ってきた相手の体力が650以下なら即死の反撃技。そう、650ダメージをそのまま殴りかかって来た相手に反射するという事だ。

防御無視なので如何に固めていても無駄である。更に触れた仲間に同等の能力を共有する事も可能。

ビノレドアップで防御を高めれば、反撃の威力を更に増大出来る。

継続時間は1時間程で、早乙女を無双系のゲームにこの技を使用した状態で放置しておけば、勝手に相手が反撃でやられてくれて自動レベルアップが可能である。

 

 この技を習得したお陰で、針闘気に、新たなバリエーションが追加された。

それは、目を凝らせば何とか見る事の出来る針を見抜いた敵は、自分に攻撃して欲しくないからこの見えにくいバリアを張ったんだ! と勘違いする。

そして、それさえ破れば自分のお得意の物理攻撃で早乙女を倒せると思い込んでしまうのだ。

だが、それこそがフェイクで、針を叩き落とし、悠々と攻撃したが最後、その凄まじい反撃で逆にやられてしまうのだ。

この針の上手い所は、うっすら見えて取り払う事も簡単と言う所。

針を攻略出来た相手は、優越感に浸りながら、いい気分で反撃を喰らい倒れていく。

 

「え? なんで?」

 

と言いながらな……だが、当然欠点もある。この技を使用中は、移動が出来ない上に魔法や精神攻撃等の遠距離攻撃に対するの抵抗力が10分の1になる。更に消費MPも高く、多用出来ないのも救い。魔法で畳みかけるのが攻略法だ。

 

彼女はTシャツと短パンしか装備していないが、鋼の肉体を持っている事から防御力は異様に高い。

彼女の名は現在真琴ではあるが、真由美の期間が長かった為、今の所真由美と表記されている。

枠は赤く光っている。

 

「うわあ……凄い情報量……いっぺんに覚えられないよ……な、何よこれ……この人、只者じゃない……こんな強くてずるい! え? このカウンター技、うっかり殴り掛かったらこっちが一撃でやられるじゃん……正に初見殺しじゃない ……え? 残り体力33? もうすぐ死ぬじゃん……何でこれで立っていられるのよ……しかし、これだけで絵本一冊分位の情報量あるんじゃない? でも、おもろい! 相手の情報見るのってめっちゃおもろいやん!! うち、わくわくが止まらへん!!!!」

(嫌いな物の所のヨヨヨって何だろう? でも……聞いたら怒られそう……やめとこっと)

 

「え? あなた、何を見て言っているの? そっちは客席よ?」

 

「あっ斬鉄拳って技かっこいいね!」

 

「え?(///照///)な、何でそれを……」

早乙女の心の中で命名して、技を放つ時もその名は叫ばずに無言で使用している斬鉄拳という中二病全開の技の名を、アリサにぴたりと言い当てられ照れる早乙女。

 

「鉄を拳で切るってイメージは湧かないけど、凄く良い字面! 私はかっこいいと思う!」

 

「何で? あなたに話したっけ?」

 

「見えてるんだもん」

 

「え? どこよ?」

 

「ここ」

空中を指差し言う。

 

「あなた……そんな事が出来るの? じゃあ瞼を治すって言うのは?」

 

「ごめん……嘘なの。どうしても気になっちゃって……この技はおでこを触ると見る事が出来るの。でも、ステータス見せてって言っておでこは触らせてくれないかな? って思って……完全にプライバシーの侵害だし……だから治療する振りをしたの」

 

「ふーん。まあいいわ。顔の傷は戦士の誇りよ。治す必要なんかないわ」

敵から受けた傷ではなく、自らが付けた傷ではあるが……

 

「それにしてもよく死ななかったわね」

 

「ああ……凄く痛かったよ。でも、死ぬ程の痛みでは無かった。私も、ありとあらゆる所を鍛えていたからね。

目の周りにも筋肉ってあるのよ。そこも例外なく鍛えていた。だから余裕だったのね。あなたもしっかり鍛えなさいね?」

 

「はいっ!」

(それにしても早乙女さん1ページに一枚ずつ顔を書くと言う贅沢な使い方したから、大分スケッチブックが消費しちゃったなあ。

なんか勿体ない……ま、しょうがないか……でも、ユッキーってそこまでの事も出来るのか……ホテルのプールで一匹殺し損ねたのが気になるわね……)

 

「で、夜だけど、赤い涙を流しながら病院まで走っていって、体力ゲージ0すれすれで丁度辿り着いて、目、やっちゃいましたwって言って、その直後に倒れたんだ。

そして、手術でギリギリ間に合ったんだ」

 

「そこは救急車呼んで!!」

 

「都会だし道路も混んでいる可能性もあったから、待ってる時間は無いと判断したのね。

故に自分で行く方が早いと判断したの。目が見えなかったけど、都会だから、どこかしらに必ず病院はあると思ったの。

そして、鼻の感覚を研ぎ澄ませてみたの。そしたら薬品の匂いが漂っていて……あれは多分傷薬の匂いね。

それを頼りに迷わず行けたわ。その時感じたわ。自分のセンスは間違っていなかった。ってね!」

彼女にもあったのだろう。視覚を失った事による嗅覚の進化。人の可能性は無限であるな。

 

「先生も私を見て驚いていたけど、冷静に手術してくれたわ。もう……感謝しかないわ……」

 

「もしかして好きになっちゃった?」

 

「そ……そんな事は……でも、私は女を捨てた……男の人を好きになる資格は無いわ。

小さい頃からトクホのケソ様ばかり読んでたし、そんな女嫌いでしょ?」

 

「へえーでも男と話が合いそうじゃない?  アタックしちゃいなヨ」

 

「で、でも……お医者様と言う繊細な仕事をされている方とは話が合いそうにないと思う。

そんな女駄目でしょ?」

 

「私の知り合いもそういう女ばかりよ?」

 

「へっくしょんくやしいー」 

「ぶえっくしょんガル畜生ガル夏風邪ガルね……」

同時期に全く違う場所で、照代と虎音が同時にくしゃみをした。

 

「でも女と言うのは止めなさい。何かイラッ☆と来るわ。

でね、ケソシロウ様の胸のカシオペア座様の傷が格好良くて、自分で自分の胸に傷を付けた事があるの。

でもねー痛すぎて……2つで止めちゃって……」

 

「1個で止めればいいのに……」

 

「うん、でもそれは理由があったのよ。

1個目は読んだ直後にすぐに傷つけようと思ってて興奮状態? で自傷行為中でも痛みが全然無かったのよ。

2個目を作っている途中で、やばい! 死ぬ!!! と思って……でも、一応中途半端はいけないと思ったから、1個目と同じ位の大きさの傷を作ってから止めたわ」

私もその気持ちは分かる。例えば、何気なく右手を4回振ったとする。

その後どうしてか分からぬが、左手も同じ回数だけ振らないと気持ち悪いのだ。

恐らく人間には

 

【偶数同数保存の法則】

 

というのがあるのかもしれない。

これは私がたった今作った法則だが、その名の通り、奇数で何かを終わらせると気持ちが悪くなる現象で、私を始めとし、生きとし生ける全ての人間がその法則に当てはまっているのではないかと思わざるを得ない時がある。

皆さんにも思い当たる節は無いであろうか?

 

「律儀ねえ……でもケソシロウ様までは分かるけど、カシオペア座様っておかしくない?」

 

「だって私よりも遥かに大きな存在でしょ? 様を付けないと!」

 

「へー」

 

「で、その傷が瘡蓋かさぶたになった時に丁度大きさも色も乳首の様になって、それを見られて、男子達に乳首倍返し女ってあだ名が付いたっけw」

 

「え? 何でそんな事分かったの? よもや覗かれた?」

 

「違うよ。私ね、ずっと小さい頃から体育の授業前とか更衣室に行かずに、その教室で着替えてたのよ。

男だと思い込んでいたからね。男子の目とかも気にならないし。

それでその時に見られてそう呼ばれたのね」

 

「へえ。でも、お目目が喋るのは本当に驚いた。あれって本当は嘘なんでしょ? 皆を驚かせたくて作った嘘でしょ? 本当の事言って?」

 

「本当よ! 桜花ジャパンのみんなが証人よ……でね、入れ替わる瞬間に右目と左目の視線が合ったの。

そこで互いの姿を初目て見たわ……その時、2人とも照れていたの。

まるで運目いの人に出会ったみたいに♡顔を真っ赤にして初目て感じる胸のとき目きに戸惑っていたわ。

それを感じて初々しいって思ったわね♡そう、いつもは隣同士で近くに居る筈だけど前を見ているだけで、お互いの姿を見る事など絶対に出来ないと思ってた相方の姿を、しっかりと確認し合う事が出来たんだ! そう考えるとちょっと……よかったかな。

瀕死にはなったけど……そうね、この現象は、クロスアイ現象と呼ぶ事にする!」

早乙女博士の自身の体を実験台にした研究により、新たな現象がここに誕生したのだ。

 

「へえ、目ルヘンチックな話ね……あっ伝染っちゃった。まあいいわ。♪目と目が合うー瞬間すーきだとーきづーいた♪って感じね?」

 

「伝染ったって? まあいいわ。しかし、あなた歌上手いわね!」

 

「うん毎日鼻歌歌ってるし! でもクロスアイ現象なんて世紀の発見よ! 早乙女博士と言える程ね。だから行けると思うわ」

 

「何が?」

 

「先生に想いを伝えないまま死んでいく気? 後で絶対後悔するよ? 多分まだ間に合う」

 

「そ、それは……」

 

「今この瞬間だけ女に戻ってアタックしてきなさいよ! 早乙女真琴では無くて早乙女真由美としてね……! そして、クロスアイ現象を発見した早乙女真由美博士として近づくのよ! 先生と博士なら気が合うよ! クロスアイの話をして、彼の興味を引く! 完璧だと思います! 早乙女はベースは結構イケてるし、女装すればいけると思うわ。博士っぽく白衣とかがいいかもね」

だが、西洋の甲冑の様な肉体の彼に合う白衣があるかは不明であるが……

 

「女装って……まあそうか……てか呼び捨て?」

 

「細けえ事は気にするな! 人生一度っきりだよ?」

 

「う……」

 

「愛してるんでしょ? 言っちゃいなよ」

 

「彼の事何も知らないし、それにこんな腕の太い女……

握力だって右は192キロあるし……ベンチプレスも280キロいけるような女よ?

先生にも奥さんだっているかもしれないし」

 

「諦めんなよ!」

 

「え?」

 

「熱い血燃やしていけよ! 人間熱くなれば、何だって出来るんだ! もし奥さんがいたら奥さんの横っ面に本気パンチだ! そうすりゃ別かれてくれるさ!!」

怖い怖い。

 

「あなた松谷修造様みたいな事を言うのね……

そうよね……いくら握力が192あろうが、攻撃防御が600以上あろうが、物理カウンターを持っていようが、私……やっぱりあの人の事……!」

 

「そうだよ! 絶対出来る!! お米食べなさーい」

 

「……って今は仕事中! その炎ワードで私を惑わそうと言う作戦だろうけど後一歩及ばずね! その手には乗らないわよ! まあ私一人欠けたところで残り499人をどう捌くの?」

 

「頭さえ潰れればどうにかなるかなーなんて」

 

「生憎そんな事は無いわ? 桜花ジャパンは頭が潰れても動き続ける。そう……蜘蛛の様に……永遠にね……! でも、危うく感極まって病院へ駆け出す所だった……危ないわ」

 

「強いのね……体も心も……」

 

「そうよ! だからあんな程度の事で寝てる訳にはいかない。先生には1週間安静だと言われたけど、その言葉は無視して、今ここに立っているんだ」

恐ろしいまでの仕事に対する執念。

 

「そこまで早乙女さんを掻き立てる物は何なの?」

 

「それは、誓いかな」

 

「と、言うと?」

 

「私は、幼稚園の頃から無遅刻無欠勤無早退なんだ」

 

「あー私もだよ!」

 

「何だあなたも? なら分かると思うけど、高々目が飛び出して入れ替わったのがすぐに戻った程度の事で、この仕事を休む訳にはいかなかった。

ただそれだけ……!」

かっこいい早乙女。私なら10日は休むレベルだが……

 

「結構ヤバい事だと思うけどなあ」

 

「お陰でまた伝説を更新出来たわ。もう20年目よ……!」

 

「ねえ……早乙女さん。駄目で元々で相談があるんだけど」

 

「ここを通せって相談以外ならいいわよ」

 

「そっかあ、だよね……じゃあ、無理にでも通る!!」

--------------------------------Battle start--------------------------------

 

Alisa VS Macoto Saotome

 

 

 

 

私の書いている小説です

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アリサを知る者

「え? 何で知ってるの?」

 

「昨日、運動場の天井のバレーボールを取ってあげた筈よ?」

 

「もしかして……早乙女さん?」

 

「覚えていてくれたんだね? 嬉しいね」

会った時は練習着の為、パッと見ただけでは気付けなかったが、この女性は、前日ホテルで会った事があるのだ。

名前は早乙女と言い、500人の中でも最も筋肉の発達が進行しており、攻撃力は650以上ありそうだ。

西洋の重騎士が装備している様な甲冑が動いて喋っている。そんな風貌の女性。

挿絵(By みてみん)

こんな感じであり、この甲冑の色が肌色であれば、彼女の容姿とほぼ合致する。因みに防御力も650あり

パッシブ能力で、物理攻撃に対しては常時100%のカウンター効果がある。即ち攻撃したら逆に痛い目に遭う。魔法全般が弱点。

「みんな女の子だったんだね……てっきり全員男の人かと……ごめん」

 

「いいのよ、私は女を捨てこの道を選んだ。そしてそう見える様に鍛えている。

あなたが気にする事ではないよ。しかし、大変だったわ」

 

「え?」

 

「あのバレーボールを頭に乗せたのを覚えてる?」

 

「うん、私、警告したよね? その後に何かあったの?」

アリサはその行為で、後遺症が起きる事を既に知っていたので、何を聞いても驚く事は無いと思っていた。だが……

 

「そうね、素直にあなたの言う事を聞いていれば良かったわ……死ぬ程後悔してる……

あの後ね、急に両目が顔から飛び出してね……空中浮遊して、右目の眼球の入ってた場所に左目が、左目の所に右目が入ってしまって……大騒ぎだったのよ。

すぐ元の位置に戻ったけど、目玉にも帰巣本能ってあるのねー。死ぬかと思ったわ」

 

「え? どういう事?」

 

「今話した通りよ……信じられないけど事実よ……眼球は、日常生活を過ごす中で顔からは絶対に飛び出す訳がないって先入観があっただけに目玉が飛び出す程驚いたわ」

 

「早乙女さん……今上手い事言ったつもりだろうけど笑えないよ……」

 

「あら? あなたのカバンの中にスケッチブックがあるわね? ちょっと貸して貰えないかしら? 後マジックもある?」

 

「あるけどどうする気?」

 

「ちょっと抜けるね?」

 

「あっ、はい」

そう言うと早乙女は、万里の長城の壁から抜け出し、一時的に人間に戻る。

そして、アリサの買って貰ったバッグは、完全にスケッチブックが入る程大きくはなく、少しスケッチブックの頭がはみ出ていたのだ。

それに気づいた早乙女は、半ば強引に鞄ごと借りる。

「あっ、ちゃんと返してよね?」

 

「分かってる分かってる! ……あら? マジックセットじゃない! これはいい絵が描けそう♪じゃあ、せつ目いするわね」

せつ目いだと? 間違っている様な気もするが……まあ良い。

そういいつつ早乙女は、カバンの中のマジックセットを取り出し、数色をケースから取り出すと、何かを書き始める。

 

「うん」

キュキュキュキュキュ

(私、まだキャップも取る前だったのになあ。おニューのマジック早乙女さんに一番初めに使われちゃった……何でだろう? ちょっと悲しいなあ)           

      挿絵(By みてみん) 

 

        

〇注意〇 実際はカラーマジックでリアルな人間の顔が書かれていますが、※AA処理しています。理由は後程分かります。

※AAとはアスキーアートの事で、記号や文字で絵を描く事を言う。

 

「これが私の顔ね」

 

「うん。まあ上手ねー実写みたい♪それにしても鋭角だねー」

 

「えっ何が? まあいいわ。で……」

挿絵(By みてみん)

 

  

 

「え? お目目取れちゃったの?」

 

「そうそう。でね」

キュキュキュ

挿絵(By みてみん)

 

「あっ!! お目目空中浮いてるよ!!」

 

「そう。これは周りのみんなが見ていて、後で教えて貰った事だから間違いないわ。でね」

キュキュキュのキュ

挿絵(By みてみん)       

「わぁ! お目目が喋ったあああぁぁぁあああ!」

 

「ふふふw」

 

「え? 何で笑ってるのよ?」

 

「このお話をしたら、お医者様とか看護師、それに待合室にいた方とかも皆同じリアクションだったから、思わずねww」

 

「確かに誰もがこうなるわね! で、どんな声だったの?」

 

「多分私の声だと思うわ。でも、気が動転していて、私含めて周りの人全部が冷静じゃなかったから、真実は分からないけどね」

 

「そうか! 早乙女さんのお目目だから、早乙女ボイスなんだ!!」

 

「そうね、でも今どさくさに紛れて呼び捨てしなかった?」

 

「あっ早乙女さんボイスだったわ。ごめんね」

普段はこんな事では謝らないアリサだが、それ程に早乙女は威圧感が半端ない。

 

「あ……語呂が悪いわね……やっぱり早乙女ボイスでいいわ」  

 

 

挿絵(By みてみん)

                  ↓

 

     左目complete!右目

挿絵(By みてみん)

 

 

挿絵(By みてみん)

 

〇注意〇 実際はカラーマジックでリアルな人間の顔が書かれていますが、AA処理しています。

挿絵(By みてみん)

            

「でも……お目目達悩んでるよ?」

 

「そうみたいね。これは、他人の家に入って始目の内はテンション高くてはしゃいでいても、ずっとともなると落ち着かなくなるあの現象によく似ているわね」

 

「あー分かるー!」

挿絵(By みてみん)      

「しかし、ずっときゃあああああって言っているわね……ちょっとしつこい気がするし、五月蠅いかも……悲鳴なんて一回書けばわかる事だと思うのよねー。これじゃ読者さんに文字数稼ぎだと疑われちゃうよ?」

子供は冷徹。

 

「ああごめんね……でも、読者ってなあに? 後私が無知なだけかもしれないけど、文字数稼ぎって言う言葉の意味も教えて欲しいわ」

 

「知らないわ」

 

「へえ……でも仕方ないわよ。コピペする度に消そうかどうか迷ったけども、まあ別に残してもいいやって思っちゃてw」

 

「まあお目目が飛び出ちゃったらどうしても叫んじゃうよね……仕方ないか……じゃあ私、我慢する!……で、コピペってなあに?」

 

「忘れたわ」

 

「ふーん」

挿絵(By みてみん)

              

「あっ! すぐに戻った!!」

 

「そうよ……すぐに戻ってくれたの……本当に良かったわ。

それに、もしもこれが戻る時も一旦顔から飛び出して入れ替わるだけのあの退屈で地味なシーンを逆回転しただけの物をコピペなんかして、文字数の水増し工作がバレちゃったら、誰も読んでくれなくなるもの……私みたいなモブキャラの目が飛び出したシーンを長々と見せられたせいでこのお話を読んでくれる人が少なくなるなんて私、絶対に耐えられないわ」

 

「よくぞ言った! で、コピペって何?」

 

「さっきも言ったけれど知らないわ」

 

「え? そうなんだ。なら仕方ないね。じゃ、文字数ってなあに?」

 

「知らない」

 

「じゃあその次に言っていた、水増し工作っていうのはなあに?」

 

「知らない」

 

「じゃあこれは? 早乙女さんはっきりと誰も読んでくれないって言ってたわ? どういう事? 私達の事を読む? そんな事って現実ではありえないよね? その読むって言う意味が今一ピンと来ないんだ……もしかして心を読むなの? でも一体誰が?」

 

「知らない」

 

「じゃあモブキャラって?」

 

「知らない」

 

「ふーん……私さ、こんなにも自分の言った言葉の意味を知らない人って初めて見たかも。

早乙女さんってかなり無責任な気がするわ……大人なのにさ! ちょっとがっかりだわ」

 

「そういう人だって探せば居るのよ。誰もがあなたみたいに頭が良くは出来ていないの。色々な人がいる。だからこそ人生って楽しいのよ?」

 

「そっか。でも全く知らない単語を初めて話す割には、スラスラと話していたような気もするわね。どうして?」

 

「乙女の秘密よ、早乙女だけにね……!!」

 

「上手い!! 天才! 今からでも遅くはないわ! 選手としてエントリーしてきて!!」

 

「残念だけど無理よ」

 

「ちぇっ。ところで目はちゃんと見えるの? 視力とか落ちていない?」

 

「そうね、凄腕の先生で、神経もしっかり繋げて貰って、前より良く見える様になったかもね。

それにね、以前は見えなかった浮遊霊とかも見えるのよ? あっ、今目が合って両手でお顔を隠しているわw意外と可愛い幽霊さんねふふふw」

 

「すごーいテレサやん……あっ……間違えた! 照屋さんね!」

折れた骨は治った時にそこだけ強度を増すと言う話を聞いた事があるが、目の周囲の筋肉も、一度外れた事でその周りが強化されるのかもしれないな。そして新たな力、【霊視】を会得した早乙女。

 

「私、今回ばかりは本当に諦目る所だったもの……でも男さおと目真琴! 目げる訳にはいかなかったわ。

こんな姿見られたら、修様に笑われてしまうもの……」

 

「あなた女の子でしょ? でも真琴さんって言うのね? 男の子にも女の子にも使える響きねー」

 

「これは自分で改名したのよ。本当の名前は、真由美って付けられた。でもしっくりこなくてね」

 

「え? 改名ってそんな簡単に出来るんだ」

 

「そうね2000円位で出来たわ。そして1か月位待ったら新しい名前になれた。本当の私にね……!」

 

「へえ、でも親に申し訳ないと思わないの?」

 

「そうね」

 

「そうなんだ、色々あったのね……」

 

「そして、私の心はもう男なのよ! 修様みたいな男! いいえ漢!!」

ここにも松谷修造のファンがいた様だ。

 

「修ちゃんのファンなんだね?」

 

「そうね。でもアリサちゃん? 修ちゃんは失礼ね。ちょっとばかり馴れ馴れしすぎるわ。二度と言わないで? 貴女ってまだ親に養って貰っている身分でしょう?」

 

「そりゃ一応ね」

 

「だったら身の程をわきまえて? 最低でも修様よ? で、気が向いた時は、尊敬の意味も込めて修大統領様って言う様にして? これは命令よ?」

厳格な女、早乙女。

 

「えー、やだ。じゃあマジック返してね」

 

「そう言えばそうね。はい」

そう言いつつ、マジックとスケッチブックを受け取る。

 

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予選1回戦

 

「第一問です! お笑い用語の天丼とは、同じギャグを何度も繰り返す事である○か×か?

制限時間は3分です。ではお考え下さい!」

 

「簡単ね○よ。3分もいらないわねwここで止まっていれば良いわ」

 

「フンガー」

男はアリサに従順である。フンガーとしか喋れない様だが、しっかりとアリサの言う事を理解は出来ている。

そして、アリサ以外の参加者も○のフロアで止まっている。

しかし、運営は当然それを許さなかった。突然司会者が手を上げる。

 

「あーはっはっはー♪あははっ♪うふふっ♪」

 

 と、それが合図だったのか? 500人の屈強な男達が、その筋肉に包まれた鋼鉄の体とは裏腹に、まるで変声期を迎える前の少年の様な美しい声で高笑いしながら、○のフィールド内にいる参加者達に向かって行く。

その恐怖は尋常ではない。

 

「うわーこっち来るー」

 

「おかあさん……先立つ不幸をお許し下さい……」

 

「ひえー」

 

「去年もこんなだったな! それに備えて走り込みをして来たから平気だぜ!」

 

「こいつ……うごくぞ……!」

 

「なんてスピードだ! あの体で……!」

 

「逃げなきゃめだ逃げなきゃだめだ逃げなきゃだめだ逃げなきゃだめだ逃げなきゃだめだ」

 

「化け物共めが! だが、目的の為に捕まる訳にはいかねえ!!」

 

会場内にはえらく甲高い男達の声と、選手の悲鳴が混ざった空間と化す。

ドドドドドドドドドド

しかし、男達は簡単に選手に追い付き、怪我をしない様に優しく捕まえてはどんどん×の方へお姫様抱っこをして運び、ソフティーに床に置いてあげている!

 

「うわっおい放せ、放せよ! クッ……何て力だ」 

 

「ああ、答えから遠のいていく……」

 

「だっ駄目だ振りほどけない……しかし、持ち方はすごく優しいし、なんだかいい匂い……あれ? お母さんなの?……眠く……なる……ZZZ」

 

 男達は選手に危害は加えない。そして何故か母性の様な物を持ち合わせていて、紳士的にかつ機械的に運ぶ。

そして、優しい抱っこで、選手の中にはその腕の中で眠ってしまう者も出て来る。

3000人以上いた参加者が、次々と答えと反対の方へ輸送されていく。

何故こんなにも理不尽で厳しいルールなのだろうか? 普通に○×クイズではいけないのか?

このやり方では、選手が暴れて途中で床に落としたりして怪我してもおかしくない。慈悲という物が感じられない。

 

 厄介な事に、広い会場なのだが、全速力で走っても戻れない様に、男達は不正解のフロアの一番端までまるで赤子の様にあやしつつゆっくり歩きながら選手を持っていくので、自力で振りほどいて逃げなくては、置き去りにされた場所から○の場所に戻る事は時間的に出来ないであろう。更にその優しい抱擁から、眠ってしまう選手までいる。

そう、運営が制限時間を3分と設定したのは、優しさでも何でもないのだ。

3分間会場内を逃げ回らなくてはいけないという事なのだ。その様を、お客さんに見せる為だけに設けられた時間だ。

体力が無い者は、お笑いをやる資格すらないと言う事なのか……

 

 しかし、一度奴らに捕まったらその豪腕から逃げるのはお笑いを志し、筋トレ等とは余り縁のない者達では容易ではないだろう。

それに、参加者の殆んどは男性。女性ならともかく男にお姫様抱っこされるのは苦痛であろう。

中には軽いフットワークで逃げ切る者もいたが、男達は筋肉量の割りに敏捷性も兼ね備えており、逃げ切るのは相当大変である。

 

 更に競技場の隅は観客席で、大勢の目にその惨めな姿を晒してしまう。そんな苦痛は耐えられないであろう。

確かに芸人であればお姫様抱っこされて隅っこに置き去りにされるシーン。

笑いにもなりおいしいシチュエーションじゃないか? と思われるかもしれない。

 

 だが、それは笑わせるというよりは、笑われると言う事になる。

【笑わせる】と【笑われる】たった1文字しか変わらないが、大きく意味が違う。

中には自ら【笑われる】芸風を選択している芸人もいるにはいる。

例えばピン芸人の明亭方正などは、その部類に入るであろう。

私はその芸風はあまり好きではないので、テレビで見かければ即座にチャンネルを変更する。

好きな方がいれば申し訳ないが、私はそれは本当の笑いではないと判断している。

芸人の多くが目指している事は【笑わせる】事なのだから、自分の知恵を振り絞ってネタを考え、それをお客さんに提供し

 

「ここでドカーンや!」 

 

と思った所で、お客さんにそれが伝わり、舞台上で受ける笑い声を自らの耳で確認した時に、至福の快感を味わう事が出来る不思議な人種。

そう、だが、それこそが私が感じる真の芸人という者だ。自分の狙いどころで自分のネタで笑わせる。難しい事だ。だが、だからこそ達成感がある。

それは、私の語りも同じで、この語りが伝わるかどうかは不安で不安で仕方がない。

だが、それが皆に伝わった時、自分へのご褒美として、試していなかった高価で新しいのど飴や、ハーブティーを購入するきっかけになる。

 

 しかし、この置き去りにされた惨めな状況は、自分の敏捷性が劣っている事や、運動神経が優れていない事、そして、男の豪腕を振りほどくまでの力が無い事を、ただ笑われているだけ。芸人でなくても誰でも出来る。万人が引き起こせる笑い。

そう、そしてこれは想定外の笑いであり、自分の意図と全く反する単なる【事故】なのだ。

それでおいしいと喜ぶ芸人は少ない。先程の【笑われる】芸風の芸人ならおいしいと思ってしまうかもしれぬが……

この運営は、恐ろしい事を考えるものだと思わざるを得ない。

この場で屈辱を味わい、人前に出る事が恥ずかしくなってしまい、最悪の場合、お笑いの道を諦め、姿を消す危険性までもある。

まあこのコンテストでの優勝は、100万円と、プロだろうが素人だろうが松谷修造と番組に出演出来る権利も同時に獲得するのだ。

賞金はおまけ。メインはテレビ出演と考える芸人や一般人も多い筈。そこで自分を知ってもらい

それが切っ掛けでどんどん売れていく可能性も大で、その為にはある程度の危険も覚悟しなくてはいけないのかもしれない。

 

 そこまで売れたいとは思っていないアリサ。否、一切そんな気持ちは無いだろう。

ただ純粋に松谷修造と会いたいと言う気持ちで参加しただけの少女は、こんな芸人達の欲望渦巻く大会に出てしまったのだ。

果たして彼女は、その重圧に耐えられるのだろうか?

 

「やばい! 一問目から動くのかよあいつら。

そんな事よりも問題を難しくして振り分ければ良いだろうに! 仕方ないフンガー逃げて!!」

 

 そして、アリサも白い歯を見せた筋肉から狙われてしまった! 物凄いスピードで迫り来る!!

 

「あら可愛いお嬢ちゃん♪さあ、お姉さんと一緒に行きましょう?」

 

「え? お、ねえ、さん?」

アリサは、その声と話し方に違和感を覚える。

 

……私は、どうやら勘違いをしていた様だ……申し訳ない。

低身長ながらも均整の取れた文句のつけようのない鋼の肉体は、男以外の何物でもなかった。

そのイメージの強すぎて、皆さんにこの筋肉達を前回のホテルで登場した時からずっと男性であると紹介していた。

だが! 実はそれは間違いだった。

そう、彼……いや彼女達は、筋肉質ではあるが全員女性だったらしい。

そういえばTシャツの胸の辺りに、うっすら2枚のスカーフが並んでいる様に見える。

これは女性用の下着だったのであろう。

選手がその腕の中で微睡まどろんだのも、女性特有の母性に触れ、起こった事だとすれば納得だ。

間違えて報告した事を謝罪し訂正しなくてはいけない。

申し訳ない事をした……許してほしい。そして、そこでアリサはホテルで会った500人の筋肉達の事を思い出す。

 

「あ、この人達、桜花ジャパンの人だわ! この会場に来る為にあのホテルに泊まってたのね! みんな女の子だったんだ。

いいなああ、私も筋肉ほしいいいい」

 

 桜花ジャパンについては前回のお話で登場している。

彼女達は、アリサの力を借り、ホテルの一つのフロアのとある物体をその逞しい肉体で全て壊滅させる程の大活躍だった。

そう、破壊しつくしたのだ。初見では悪い事と思ってしまう内容だが超絶大活躍だったのだ。それは見て頂ければ分かる。

是非見て欲しい!

 

「フンガーフンガーフンガー!」

ダダダッ サッ ダダダッ ヒラリッ

 

 屈強な女達の追走をさらりとかわしつつ逃げるフンガー。フンガー程の体格なら追跡する女達をその剛腕で撃退する事も可能であろう。

だが、それをせずに逃げに徹する。中々フェミニストの様だ。そして、かなりの長身ながら、良いフットワークを持っている。

 

「わ、わー! サラマソダーよりはやーい」

その激しい動きに、操縦用の頭のボルトをしっかり握っているアリサも悲鳴を上げる。

 

「フガガガ? フガガンガー? フガガンガーッガフンフフフガフガーフガ? フガガガフガフガガガガガ!?」

走りながらおかしな反応をし始めるフンガー。

 

「あら? もしかしてフンガーも怒ってるの? でも、サラマソダー遅いよ?」

フンガーの頭上から覗き込む様に言う。

 

「フンガフンガ! フンガガガガ!」

 

「でもパルパレオスのレンダーバッヘの方が……」

 

「フガ!!!」

クルーリ

 

 フンガーは、首を360度回転させ、怒りを露にする。かなりの大人がこのゲームに触れ、傷ついてきたのだろう。

そして、このフンガーも……

 

「ひいいっ」

 

「フガガガガ!!」

 

「わ、分かったわ……でも首を1回転させて怒る程の事じゃないと思うんだけど……ビックリしたあ……

じゃあ、フンガーもサラマソダーは早いと思うのね?」

 

「フン」

 大きく頷くフンガー。恐らく許してくれた様だ。姿に見合わず優しい男である。しかし、機敏で力強い男だ。頼もしい限り。

アリサは良い相棒をゲットしたのではないだろうか?

 

そして、女達もフンガーの余りの速さに追走を諦め、息を切らして座り込む。そして、遂に時間が来る。

9,8,7,6,5,4,3,2,1,0 ピピー

 

「正解は○です! ×にいる方達は退場となります」

 

「やったぜ! フンガー」

アリサはフンガーの頭を撫でてあげる。

 

「フーフー、フンガー♪」

喜んでいる様だ。しかし、少し疲れが見える。

 

「やっと終わってくれた……3分ってこん7に7がかったっけ?」

 

「汗だくだわもう! お化粧落ちちゃうじゃない!」

 

「いいダイエットになったぜ……ふうふう」

 

「結構持っていかれちゃったね。あの女の人達かなり素早いからねー」

 1問目終了。3002人だった参加者が、一気に1000人程に絞られる。○×問題としては30秒もあればいい方なのに、敢えて3分に設定している。

こんな長い時間設定にするとは……ここの運営はかなり悪趣味であるな。僅か3分で、2000人の参加者が削られた。優秀な筋肉達だ。

屈強な女達は変わらず500人なので、1問目に比べだいぶ逃げにくくなるであろう。

まあ最終的には16人まで絞らなくてはならないのだから、これでいいのかもしれない。

 

「では第二問! 巧みな芸人なら、まるで劇を見ている様な見事な演技、ですがそんな中にお笑いが見事ミックスされている物をコントと言いますね?

そのコントとは、フランス語の短い物語とか童話とか寸劇と言う意味があるそうです。

では、そのコントを英語で言うと、デッサンコメディである。○か×か? 制限時間は3分です。ではお考え下さい!」

 

 選手達は相当逃げ回った事でかなり疲れている。しかし、そんな事はお構いなしで矢継ぎ早に次の問題が出されてしまう。

しかも、かなりの難易度だ。

 

「おいおい滅茶苦茶難しいじゃないのよ……そりゃさっき難しくしろとは言ったけどさ。

それにわざわざ英語にする意味ないじゃん。コントで通じてるんだし……」

 

「フンガー?」

心配そうにアリサに語りかけるフンガー。

 

「だ、大丈夫よ。うーん、でもデッサンではない様な気がするのよねー。

それに、○が2連続で来るとも思えないしー……よし、フンガー×に走って!」

 

「フンガーーーー!!!」

 

 耳から煙を出し走るフンガー。

今回は問題が難しかった為、半分半分に分かれた様だ。

屈強な女達は出撃せず、腕組みをし、白い歯を見せつつ傍観していた。

難しい問題の場合は、邪魔をせずに純粋に解かせてくれる様だ。そうしないと正解が分かってしまうからな。

 

「正解は×です! 因みにコントは、英語でスケッチコメディと言います」

今回の問題に生き残ったのは500人程。

 

「よかったあ……偉そうな事言って2問目でつまづいちゃった……申し訳ない。

フンガーは体を張って私を守ってくれていると言うのに……」

 

「フン、ガー」

フンガーはゆっくりと首を振り、背中に乗ったアリサの頭を優しく撫でる。

 

「励ましてくれるのね? ありがとう」

二人の間に、絆が芽生えようとしていた。

 

「おお500人位残っていますね。今なら勇者達が一人一人に張り付いてもぴったりという事ですね」

 

「ちょっとは屈強な女子? 減らして欲しいなぁ。

暑苦しくて仕方ないわ! 家庭教師じゃあるまいしマンツーマンなんてごめんよ。

はぁ……『私の行く先々で事件が起こる件について』全く嫌になっちゃうわね……」

 

「フガガ?」

首を290度位回し、アリサを見る。

 

「な、何でもないのよ」

隙あらばタイトル回収。抜け目のない子である。

 

「では第三問! 相方がおかしな事を言っている事に対して指摘したり、怒鳴り散らしたり、時にはハリセンや平手打ちで叩いたりする行為を、突っ込みという。

○か×か? 制限時間は3分です。では、お考え下さい!」

1問目と同じく比較的簡単な問題が出された。

 

「うーん、これは勇者達が動くわね。

よし! いい事考えたわ! 今は敢えて×に残って! ギリギリで○に飛び込むわよ! 良いわね?」

 

「フンガガ!」

 

「ちょっとずつ〇の傍に近寄りましょう。気付かれない様にね……」

 

「フガガガ!」

 筋肉達は、正解内のフィールドに居る者のみを対象として追い回す事は1問目で分かっていた。

その上ゆっくりと不正解側の最果てまでに輸送される事も分かったアリサは、制限時間一杯まで不正解側のフィールドで粘って、残り1秒で正解側に移動するという作戦を思いつく。

そうする事でフンガーの疲労を少しでも回復させようとの考えだ。

 

「フンガー」

 

 フンガーもアリサの指示通り、×側の、〇と×の境界線付近に移動する。

それを見た他の選手も、アリサの真似をする。ところが、女達は一切動かない。

まるでアリサ達がその行動をする事を予め分かっていたかの様に落ち着き払って。

当然司会も拱手傍観きょうしゅぼうかんを決め込んでいる。

そして、殆んど全員が×エリアの○付近の境界線付近に移動すると、突然! 司会が右手を挙げ、叫ぶ。

 

「はいっ 万里の長城!」

 

「え?」 

 

 聞き覚えのある声でそう叫ばれる。良く見るとその司会は、桜花ジャパンのリーダーの男だった。

すると……一斉に女達が、○と×のフロアの境界線をなぞる様に並び、隣と腕を組み始める。

 

ザザザザザッ

 

何と女達の屈強な肉体で壁を作り、○×間の移動を出来ない様にしたのだ。正に人間万里の長城。この精巧さ。中国人も

 

「こんな所に万里の長城があるアル! 引越ししたアルか?」

 

と見間違えてしまうのではないか? この分厚い壁を乗り越える事は容易ではない。

 

「う……あ……」

ズザザザッ

 

「駄目だ……怖いよー」

 

「こんなもんどうしようもない……人類は……終わりだ(´・ω・`)」

 

「こりゃトラクエの【最後の最後のカギ】でも通れねえぜwあー〇に居て良かったぜえ」

 

「素直が一番ですね、変に策を練るからああなるんです」

 

始めから〇の中にいた人達は安堵の表情。そして、境界線付近の×側にいた人達は、その威圧感ある壁を目にし、後ずさる。

彼女達の身長は160位なのだ。だが、身長以外の何かが選手達の戦意を削ぎ落とす。

 

「しまった! これは罠だったのか! この私を欺くとはやるわね! 賢いじゃない!! でもこれじゃ今○にいる人が正解になっちゃう! 何とかしなくっちゃ。

どうしようか? 考えるんだ! アリサ!」

アリサは一切動揺せずに、次にすべき事を考え始める。しかし、その思考を遮る様に……

 

「あら? 貴女は……? 昨日ホテルで会ったわねぇ」

 

 突然アリサを知っている様な口ぶりで声を掛けてくる一人の際立って筋肉質な女。

彼女は一体何者なのだ?

 

私の書いている小説です

 

https://estar.jp/novels/25771966

 

https://novelup.plus/story/457243997

 

https://ncode.syosetu.com/n1522gt/

 

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ボケ人間コンテスト エントリー開始

アリサは、会場内に入り、そこから5メートル位進んだ所にある受付に足を運ぶ。

本来は外での受付の筈だが、異例の暑さの為、冷房の効いた会場内での受付に急遽変更した様だ。

既に受付を終えた選手達は、会場内で涼んで待っていたり、外で、発声練習をしている者も居る。

 

「わあ涼しい……ん? やっぱりちょっと寒いかなあ? うわー 眩しいわ。天井のライトもの凄い光ね。それにしても周り大人ばっかりじゃない。

子供らしいのは……私だけ? なんか恥ずかしいじゃない! 他に仲間居ないのかなあ?」」

会場の気温はキンキンに冷えている様だ。体温が低いアリサにとっては寒いらしい。

 

「あっ多分あの人だ! すいませーん!!」

 

「はい。エントリーですか? あなたかなり小さいですけど大丈夫?」

 

「小さいは余計。あのね、3つ質問があるの」

 

「何ですか?」

 

「これって予選だけで、本戦は後日でしょ? それと、参加するのに年齢制限ってあるの? 費用は掛かる?」

 

「はい予選の次に本戦がございます。予選、本戦共々その様子はテレビで放映されます」

 

「へえ、録画されてるのね。緊張するなあ」

 

「それともう一つの質問の答えをお答えする前に、あなたはお幾つでしょうか?」

 

「11歳よ! 見ればわかるじゃない! 何で分からないのかしらねー」

 

「え???? 嘘でしょ? 4歳だとばかり……なら平気、へっちゃらです」

 

「そう? じゃあ行ってみるかなあ……生の修ちゃんに会いたいし」

 

「それと最後の質問ですが、エントリー代は、税込みで1240円ですね。持っていますか?」

 

「……えっ? あるけど……」

 

「いかがいたしましょうか?」

奇跡的にちょうど持っていた。前回色々あって受け取ったお金である。しかし、これを支払えば全財産失う事になるが……

 

「竜牙さんとの思い出が……でも行くわ。でも大丈夫竜牙さん! 私絶対に勝つから! 約800倍の100万にして返ってくる!!」

アリサの決意は固い様だ。かなりの分の悪い賭けだと思うが、元手は貰い物であるしな。

 

「はい、ではお名前と住所、電話番号を書いて下さい」

 

「住所とかも書くんだ」

 

「ええと賞品のお米1年分は、郵送で送る事になっていまして」

 

「ああそういう事か、納得。えっと今日は何日だっけ?」

 

「本日は7月24日ですね」

 

「ありがと……終わったよ」

 

「確かに、では頑張って下さい!」

 

「はいっ!!」

結局アリサは3002番のナンバープレートを受け取り戻ってくる。

 

「あら? アリサ参加するの? じゃあママは客席で応援しているわね。頑張って!!」

 

「うん……3002番だって! 結構沢山参加するみたいね。不安になって来たかも……」

 

「大丈夫大丈夫! 気楽にいこう」

 

「……うん」

 

「エントリーは、10時までですので、参加希望の方は、お急ぎ下さーい。

現在3002名となっておりまーす! 参加者上限は4000名までなのでお急ぎ下さい!!」

受付の傍で拡声器を持った男が周りに呼びかけている。

 

その時

 

バツ

 

 

強烈な破裂音が響き、会場内が停電になる。

 

「わー! 予備電源まだですか?」

受付から5メートル先には入り口があり、そこから明りが差し込んでいる筈なのに、大げさに慌てふためく男。

そして、30秒位待ったであろうか? 予備電源に切り替わり、明りが点く。

 

「あっ戻ったみたい。怖いねー」

 

「うん」 

場内で電気を使い過ぎたのだろうか? アリサもケイトも不安そうな表情になる。

ドーム中には大きなスピーカーやスクリーンそして会場内を冷やす為のエアコンもあり、かなりの電力を使いそうだ。

 

「ビックリしたー」

癖なのか? 拡声器で私語まで話してしまう男。かなり動揺している様だ。

アリサは、再び会場内の様子を見に行き受付に話しかける。

 

「何で急に停電が起こるのよ! まあ今日は特別に暑いし冷房でも使い過ぎたのかしら?」 

 

「そうかもしれませんね。昨日も2回位起きたんですよ。怖かったですう」

 

「昨日も? しかも2回も? 壊れてるのかもね。修理業者を呼んだの?」

 

「確か今朝のミーティングで、昨日呼んだとの事ですが、一週間は掛かるそうです」

 

「長いわよ! 別の業者にしたら?」

 

「そんな事言ったってしょうがないじょのいこ」

ぬ? これは?

 

「あら?」

 

「どうしました?」

 

「そのフレーズ……そうだわ! もしかして渡鬼のやつじゃない?」

 

「流石に気付かれちゃいますか?」

 

「人気ドラマだもん。始めの方はあまり面白くなかったけど、鬼嫁が嫁いできてから急に面白くなったわ」

 

「僕毎回応募してましたもん。ずっと見続けたせいもあり台詞が体に染みついちゃいましてw自然に出てしまいましたw」

 

「え? 何だっけ?」

 

「あーそれは、ドラマのどこかにーワードが出て来るんですよ。

いつ出るかは不定期だから、オープニングからエンディングまで全部見ないといけないですけど、それを見つけたらはがきに書いて送れば、抽選で鬼嫁Tシャツが貰えるんですよ。隠しどころが絶妙で、酷い時なんか、一瞬映る店ののれんの一番右の模様に鬼ーワードが書いてあったりして、探すのが絵本のオードリーを探せ! 以上に大変なんです。

その上先着順で当選するから、なるべく早くハガキを書いて送るんですよ! ドラマを見ながら探して、運よく見つけたらはがきに書く。

もの凄く忙しかったですねwで、全6種類のTシャツ全てコンプリートしたんですよ!」

 

「そうだった。そんなのあったわね忘れてたwで、今の和喜かずき 絵梨奈えりなちゃんの台詞でしょ?」

 

「すごいすごい正解ですw」

今までの会話を説明しよう。【渡る世間は鬼嫁ばかりじょのいこ】略して渡鬼というドラマがあり、その主人公の鬼嫁役が、かずきえりなという女優なのだ。後楽と言うラーメン屋での色々な出来事を描いたドラマだ。

彼女の口癖が【そんな事言ったってしょうがないじょのいこ】であり、旦那をいつも困らせている。

 

「僕、かずきえりなちゃんの大ファンでして」

 

「あの人そんなに可愛いかしら?」

 

「何言ってるんですか! あの可愛らしいたれ目にキュートな坊主頭。はぁ……好き」

 

「女の子でお嫁さんなのに、坊主頭ってのは斬新よねー」

 

「そうそう、それがいいんですよ」

 

「でも旦那の狩江絆かりえ きずな君もかずきえりなそっくりよね。

たれ目で坊主頭。その上目のたれ具合も髪の毛の長さも身長までも一致してるもの。

似た者夫婦ってレベルじゃないわよ? まるで双子よ。いいえ! コピーペーストよ! 全く同じ!

衣装もペアルックで毎回同じでさ、双子タレントの三倉魔奈禍奈よりも似ているわ。あなたはそれでも見分け付くの?」

 

「当然ですよ。旦那の方は余り好きじゃありません。顔がタイプでない!」

 

「え? どゆこと? 全く同じ顔なのに、かずきえりなは可愛くて、旦那のかりえきずなはタイプではないと」

 

「全くではないんです。0・2ミリ程目のたれ具合が短いです。別物です」

 

「不思議な人ね……それにしても夫婦なのに、名字が違うわよね? あの夫婦」

 

「そうですね。脚本家の橋田蘇我子さんが手がけた、日本で初めて、夫婦別姓を取り入れたドラマですからね。

互いに自分の名字は譲れない。でも愛し合っている。そんなジレンマが見どころの一つですね」

 

「名字って自分の体の一部みたいな物だもんね。それが結婚で片方消えてしまうって、何か悲しいよね……」

 

「そうなんですよね」

 

「私は鏑木って珍しい名字で、11年付き合ってるけど、まだしっくりこないんだ。ねえ! 私の見た目をよく見てみて?」

 

「え? そうですねえ日本人離れした見た目の少女ですね」

 

「そうそういい線行ってるわ。ほら私って見た目がジョセフィチーナとかアルスセリアとかの名字が似合いそうな女の子でしょ? 

ジョセフィチーナ・シルギスト・ドルフェン・デ・アリサとかね♪ ミドルネームも2つおまけしときましたーって感じの名前がピッタリでしょ? だから私は、今の名字に拘っていないから、結婚した時に旦那さんの名字に変わってもいいかもね」

 

「へえ、そんな未来の事まで考えてるんですか……小さいけど凄いです。

そう言えば蘇我子さんこの大会の常連なんですよ。毎回VIP席で芸人達のバトルを鑑賞していますね。

あ、見て下さいよ! これサイン付きの写真集です。受付の特権ですね♪」

橋田蘇我子は齢90を超えている。そんな老婆のなまめかしい肢体がふんだんに撮影されたヌード写真集だ。

 

「へえーふくよかな老人の魅力が溢れんばかりにって……あら? 渋柿が2つ並んで……って気持ち悪いわ! 傷害罪で訴えるわよ! おっとかなり長話しちゃった。

私ママの所に行くね。後小さいは余計よー? あんた2回も言ったわよね? 目玉をへし折るわよ?」

そう言いつつ外にいるママの元へ戻る。

 

「あ、ノリ突っ込み上手ですね! 何となくですがいけそうな気がしますよ! 頑張って下さいね。

あ、後私は、目玉は体の中で一番鍛えている個所ですので、絶対に折る事は出来ませんよw」

 

 アリサは、松谷修造とのテレビ出演という甘い響きに釣られ、とんでもない事をしたのでは? と思ったが、もう深く考えない事にした。

あれこれ考えすぎても本番では真っ白になってしまうだろうし、舞台までは上がる事は無いだろうとの考えだろう。

そしてママの所へ戻る。

 

「会場内は少し寒すぎるかなあ」

 

「そうなの?」

 

「うん鳥肌立っちゃった」

 

「まあこの暑さだし仕方ないよね」

そんな話をしていると10時になり、受付が締め切られる。

 

「受付終了です。選手の方で外にいらっしゃる方は会場にお願いします!」

 

「選手は会場内に入って下さいだって。じゃあ、行ってくるね」

 

「頑張ってね」

 

「はいっ!!」

観戦客は、入り口に入ってすぐの所に左右に分かれる形でドームの外周に沿って応援席があり、そこに着席する。

そして選手も入口から会場に入り、観客の見守る中、会場の観客席に囲まれた競技場内に入る。

係員が忙しなく整列をしている。

 

 ドーム内は、真ん中が競技場になっていて、その周りに客席がある。天井までの高さは60メートル程で、天井には幾つものLEDが設置されている。そして、客席はかなり高めで、その下には選手達が休める様な控室が片側に6部屋あり、計12部屋存在する。当然全部屋冷暖房完備である。

競技場の中央上部には、3m程の高さの舞台と、その脇には何かの大型の機械が2基設置されており、舞台の奥には超巨大スクリーンがある。

2基の機械は、スクリーンに接続されている様だ。

挿絵(By みてみん)

上面図はこんな感じであり、競技場内に大きく○と×が書かれている。一体なんだろう?

アリサ達は予選会場となる競技場内に通される。彼女は一番左の列の一番後ろに並んでいる。

恐らく、アリサが最後の参加者という事らしい。

 

「ヘックションあー風邪ひいたかな? もう2℃位上げて欲しいなーしょうがない少し体うごかそっと」

ドーム会場内は、外の気温が高かったせいもあり、元々体温が高くないアリサにとって寒いと感じる温度。

トトトトトト 

アリサは行列の動けない中、足踏みを高速で行い体温を維持する。そしてその効果もあり次第に気温にも慣れてくる。

 

「ではこれより予選を行います。現在3000人位ですが、お笑いについての○×クイズを出します。1回戦で16人。2回戦で8名までに絞ります」

舞台の上に立つ司会進行の男が、説明を始める。

 

「えー? お笑いの知識はあまりないのよね。せいぜい仲良し本興行の2020年までの芸人のコンビ名とネタ位しか暗記してないよー……これじゃ修ちゃんに会えないじゃーん」

 

 それだけ知識があれば十分凄い事だと思うが……まあ、色々な事務所があるからな。仲良し本工業以外の芸人が出たらアウトという事か?

他事務所にレインミュージック、深井企画や竹梅芸能に細田プロダクションなど数えたら切りがない。

 

(がんばれ!)ブゥン……何かが現れた。

 

「え?」

 

(頑張れ頑張れ出来る出来る絶対に出来る頑張れもっとやれるって! やれる、気持ちの問題だ頑張れ頑張れそこだそこだ諦めるな積極的にポジティブに頑張る頑張る。パキンだって頑張ってるんだから!)

すうーーーーっ。何かは消えていった……

 

「やってやろう」

何故かアリサにかつてない自信がみなぎる。

 

「問題が表示された瞬間からスタートです。会場の床に大きく○と書いてある所が○のゾーンで、その反対側が×のゾーンになっています。

正しいと思った方に走って行って下さい。

そして、時間まで正解の場所に留まる事が出来れば正解です! 制限時間は3分です。

もしも、制限時間ギリギリで転んでしまって反対側に居たら当然不正解です。

そして、16名以下になってしまったら敗者復活戦を行います。

後、ギリギリで押して、別の方に移動させてしまえば、相手を陥れる事も可能です。

しかーし

その際、あまり強く押しすぎて大怪我をさせてしまったら、正解の方に居ても押した側の選手は失格です。

お笑いに流血はNGですからね。そして余りにも答えが偏ってしまった場合は、ここに居る屈強な500人の勇者が均等に分かれる様に不正解の所まで運搬して来たりもしますので、狙われてしまった場合は、回答締め切り時間まで逃げ回って下さい!」

そう言って、司会者が舞台上を指差す。

 

ウイーン

 

「何だ?」