magisyaのブログ

小説となぞなぞを投稿してます

私の行く先々で事件が起こる件について4話 ep22 魔界動物園の仲間たち 第1の魔界動物 KAWATANI 襲来……!

今回から4回に渡り、魔界動物と言われる一応人間の皮を被った空前絶後の悪魔の様な生物達が登場、いいえ、襲来します。魔界動物の特徴は、日本人でありながら日本人の優しさ、謙虚さ、奥ゆかしさなどを全て破棄し、本能の赴くままに弱いと判断した人間を動かなくなるまで攻撃し続ける性質のある動物たちの事です。4回に渡ると書いていますが勿論1回に1匹ずつの登場で合計4匹とは限りません。

なんと! 1回に2匹、もしくはそれ以上? 登場するサービス回も設けてあります! 総数何匹の魔界動物を見物する事が出来るのか? それを、皆さんの卓越した推理力で的中させて下さい! そうです、全く事件が起こらない現状で唯一出来る推理とすれば魔界動物の数を当てるという事しかありません。何もない中でもミステリーを疑似体験できるのです! 是非ご参加下さいね。

そして今回の魔界動物は、そのトップを飾るに相応しい、相応しすぎる最強最悪の魔界動物です。

まるで実写で、3D眼鏡を装備し観る、飛び出すムービーを観ている様な(表現が古いよ!)立体的な魔界生物が皆さんに襲来するでしょう。その見事な屑っぷりの、到底人間とは思えない様な、それでもおこがましく人だと言い張る魔界動物共が、持ち得る頭脳を悪い事を考える事のみに特化、極振り、フルヴァーストし、絞り切って起こせた、人が出来る限界の悪行の数々と、その極悪非道の心なき迷惑行為の数々をご堪能下さい。そして、人は人を憎むとここまで醜くなれると言う悲しい事実を知る事となりましょう。間違っても読み進めていく内に触発、洗脳され、この魔界動物共と同じ行動を模写する事だけは止めて下さいね。これは人生に置ける人が人として生きて行きたいのであれば、決してやってはいけない事象を教科書としてまとめている物とお考え下さい。そしてそれら全ての悪行、恐らく人が引き起こせる範疇を凌駕した行為は、皆さんの心に深く沁み渡り、

【これだけは絶対にやってはいけない事】

と言う反面教師となりましょう! 私はこれを書き起こす事で、人は優しくなれると信じています。 何故ならその真逆をやれば優しくなれる訳です。因みに魔界動物の名前はアルファベットの大文字で表記していますが、奴らを表記する時、漢字で表記するよりもそちらの方が大迫力なんじゃないか? と言う思いが強まりそうしています。

それと、唐突に話は変わりますが、私の好きな格闘家はフィクショングレイシーです。あっ間違えた! まあ伝わるだろうし訂正しません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「まずリーダーの川谷だ。汎用課のな。ちなみに汎用ってのは単品物を加工する部署だ。自動班は量産品を扱う部署。そしてそれらを検査する検査課、ある程度の部品を組み立てる組み立て課等があり、俺は汎用課のバイトだな」

「成程ね。そいつの特徴は?」

「あいつはなあ……リーダーなのにリーダーらしくない。全部署……汎用、自動、検査、組み立てと4人のリーダーが居るがその誰よりも出来ない男。どの部署も毎朝朝礼で、情報を仲間に伝達しているのに、うちだけやらない。その切っ掛けがまあ俺なんだけどな」

「え? 鈴木さんてバイトでしょ? それなのに朝礼のやるやらないのどうたらをリーダーに指示なんて出来るのォ?」

「ああ、勿論直接指示をした訳じゃないんだ。何回か登場しているが、毎年2月に書く紙があるが、毎年書くんでマンネリ化して来たなあ。今年は何を書けばいいかなあ? って悩んだ末、朝礼の内容が薄いと書いたんだ」

「そうなんだ。例えばどんな風に?」

「ああ、みんな集まるけどちゃんと話もせず、おはようの挨拶をしたら、もう一度リーダーが一礼をして別れるという朝礼だ。こんな状況でいいんですか? ってな」

「は? 何それ……」

「話す事がねえんだ。何かしらあると思って聞いていても決して何も言わない。朝一で行うが、何も言わない癖に数分前に集まって待っているから、本来自分の時間に出来る余暇時間までも潰される」

「うわあ、やだなあ」

「だから俺は、毎朝ペコリだけして終わるリーダーと言う事で、ペコリーダーと呼んでいた。心の中でな」

「可愛い響きねえwwでもやっている事は最悪ね。一つくらい伝達する内容はあるんでしょ?」

「うちの会社のシステムがおかしくて、8時に集まった後、9時半にリーダーだけが集まるリーダー会議ってのがあるんだ。そこではその日の予定などを詳しく話す。そこで得た情報を10時の休み時間明けに伝えるのが普通なんだが、うちだけそれをやらず頑なに8時に始める。自動班はしっかり10時の休み時間明けにやっていて、長い時は30分も話している時もある。自動班で30分話している内容があるのに、汎用課は挨拶だけで0分だ。誰も余暇時間を犠牲にしてまでお前なんかと挨拶したくないんだよ馬鹿が……」

「相当嫌っている様ね」

「ああ、大嫌いだ。それにこれじゃ情報伝達に差が出てしまわないか?」

「そうなるね。で、でもそれなら前日の9時半に聞いた内容を翌日の8時に話せない?」

「まあそれでも一礼して終わりだな。恐らく昨日の事など覚えていないのだろう」

「でもそこで新情報が出たら、8時に始めて終わりじゃなくっても、それを伝達する為に再度集めない?」

「勿論集めん」

「勿論www」

「その日8時に既にやったのだから、もう集めるのはおかしいというスタンス」

「馬鹿じゃねえの」

「100人中、102人が馬鹿と言うだろう」

「外野さん2人参加www」

「悩みを書き、その下の悩みを解決する案を書く欄に、朝礼をみんながやっている10時の休み時間明けにやればいいんじゃないか? と書いて提出したんだ」

「この事よね?」

先程出したブロックを指さす。

挿絵(By みてみん)

「そう、この下の方の項目だ」

「それはいい案だわ。9時半のリーダー集まりの直後だし忘れないわよね」

「ところがだ、その用紙を見た筈の奴が言った言葉に俺は耳を疑った。何て言ったと思う?」

「うーん……」

「分からねえよな……奴は、こう言った。こほん……

『朝礼の内容が薄いって書いてあったじゃないですくぁあ』

『ああ、それが?』

『じゃあ、朝礼やるぁなくてもいいですよぬぇえ?』

と、敬語で聞いてきた。因みに今、奴のモノマネしながら言ってみたぜww」

「うん。よく似てる」

ぬう? 

「見た事ねえだろww」

「いいえ? 鈴木さんの表情とか仕草とかから似せようとしているのを感じ取れたわ」

ぬ?

「マジか? 見た事なくてもかよwすげえなあ……実際はこんな面だうおおおおおお」

ごとっ ごとっ ごとっ

挿絵(By みてみん)

「3匹いるね」

「匹ww」

「まあ面倒なのでまとめて出しといた。左から123で説明するからな」

「うん」

「話を戻すと、奴は俺の書いた中で、

【内容が無い】

と言う部分のみに照準セットしたんだ。ならやらないでいいだろうという考え方だな。解決する対策の項目を読んでいなかったのか? いや、読んでいたと思う。なぜならその紙は社長に渡るのだが、まずは川谷に渡し、奴の判断でオッケーなら社長に提出するというシステムだからだ。でな? 1の顔で話しかけてきた訳だ」

「成程、笑顔で懐柔しようとしている感じか。でも、10時にやれば解決じゃん。そいつ日本語読めないの?」

「そうだと思う。俺は色々腑に落ちない部分もあったが、10時にやればいいと言ったら2の顔で口論になりそうな雰囲気がプンプンしたので、

『別にいいんじゃない?』

と言った」

「沸点低すぎィw」

「そしたら、真に受けてやっていないって言う事だ。まあお陰で待ち時間を自分の時間として有効に使える様になって嬉しいがな。それでも他の社員もいるだろうに何でバイトの俺に最終決定権を委ねたんだ? バイトに最終決定させんなよ。リーダー自身で決めて、みんなの前で発表しろ!」

「だよね。まあ鈴木さんが内容薄いって書いたからって事? でもみんな集めてこういう話が出たけどどうしましょう? って相談しない? なんで? 恥ずかしがり屋さんって事? いや、そんなまさか……大の大人だし……」

「いや、その考えは合っているかもしれん。大人じゃなかったんだろうなあ。この事を発表する時に一回みんなを集めなくちゃいけない。だが、それすら恥ずかしくて俺に全権を委ねたという考えが一番しっくりくる。今までは一礼して終わる事が出来た楽ーな朝礼を、俺が余計な事を言ったせいで、9時半に仕入れた情報を言葉に発してみんなに届けなくちゃいけない。

と、言う事は大勢の前で声を出さなくてはいけない。それが奴にとって苦痛だったからこんな阿呆な事を言ったんだ。毎日そんな苦痛を味わうのはごめんって事なんだろう。俺はずっと死ぬまで永遠にペコリーダーで居たいんだよ! って事なんだろうなあ……ならリーダーなんか辞めちまえって思ったわ」

「酷いペコリーダーねえ」

「順応早いなww」

「でもペコリーダーって2匹いたんだね。Wペコリーダーw」

「え?」

「ほら、社長も暗闇で鈴木さんに後輩の様なペコリをしたじゃんw一応あいつも社長でリーダーでしょ?」

「あ、そういやそんな話したなwでもそれ何週間前の話だよww記憶力いいなあ」

「え? 1時間前だよ?」

「え? それって5月半ばに投稿した内容じゃねえか?」

「え? 5月半ば? 今7月末だよ?」

「え? でも」

「え? 投稿って何?」

「え? 何言ってんだよ。俺が知る訳ねえだろ?」

「だよね」

「突然そんな事言われたらびっくりするぜ?」

「ちょっと待って! それは別の時間軸だから。混乱するからそっちの話はしないで?」

「わ、分かったぜ」

「本当に気を付けてよ? ただでさえ死んで時間の感覚が狂ってるのにそんな事言ったら何が何やら……」

「すまねえ……で、もし重要な情報が出て連絡が必要だと奴が判断した場合、一人一人に口頭で連絡する。アナログすぎるだろ? そのせいか伝達漏れの危険性もあり、それぞれの機械の前で仕事している人の所まで一々歩いていくので本来仕事の筈の時間も使って連絡する。こんなの全員を集めて報告すれば一発なのになw」

「やばwってか用件を伝える事あるんだね」

「ああ」

「それでやらぬぁくてもいいですよぬぇえって……もし社長とかに朝礼やらないのはおかしいだろ! って指摘されたら、鈴木さんのせいにする準備だったんじゃ?」

「かもなあ。実際はされていない。何故ならバレていないから。だがもし指摘されれば俺のせいにされるのはほぼ間違いない。それに自身でも酷く自信家で、ある日、パートの女性にその幼さから川谷坊ちゃんと言われた時、

【坊ちゃんじゃねえよ!】

と、怒り狂って台を拳で殴って切れ散らかしていた。2の顔でな。それを見て残念な奴だと思った記憶がある。台をドンって叩いて二人いたオッサンに取り押さえられてた。オッサンが居なかったら女の人は殴られていただろうな。ここでいくつかリアクションが出来ると思う。例えば

『そんな風に見られてたか……もう少し大人にならにゃなあ』

とか、

『うっせえよ! 俺が坊ちゃんならお前は赤ちゃんじゃねえか!』

とか、

『これからは気を付けるよ。ごめんな』

とか、

『そんな事言うなよ。今、体調最悪で子供レベルでしか脳が働かねえんだ』

とか、

『しまった! 素が出ちまった。このシーンカットで!』

とか、

『えーん、おかあちゃんに言いつけてやるう』

とか、色々あるよな?」

「すごい引き出しじゃん」

「そうかい? で、その中で、

『坊ちゃんじゃねえよ(マジギレ恫喝)&殴り掛かる』

だけは、無いよな。これだけだぜ? 幾つも返しはあるけど、坊ちゃんと自分自身で認めたと確定されたリアクション」

「だよね……ただの冗談を本気で怒って空気を悪くしてるし、大人の対応とは言えないよね」

「ここを笑って流せるのが大人だよ。こんな物を奴はリーダーにしたんだ。思い返せば奴の言動で一度も笑った事がない。本当につまらない男だからな」

「うんうん。それにそれって良い前振りじゃん……私だったらそこは乗り突っ込みして場を盛り上げるけどなあ」

「え? どうやって?」

「例えば

『そうそう僕は川谷坊ちゃんでちゅ! これからもよろちくお願いちまちゅ……って違いまちゅ!』 

ってな感じかな?」

アリサはノリ突っ込みが得意である。

「わははははw」

「あら? ゲラねえw」

「あいつがそれを言った姿をイメージしたんだよw俺、初めてあいつで笑ったかもしれねえ」

「そうなのwww」

「でな? そいつ、俺がトイレに入っている間に、靴の中に切りくずを入れてくるんだ」

「へえ」

「金属の尖った切りくずだから、下手したら怪我する危険性もある。それをトイレに入っている間にこっそりと入れて平然とした顔で仕事してやがるんだ」

 

「原因は?」

「クズだからじゃねえか?」

「www」

「でもどうして気付けたの?」

「偶然足に木の棘が入っていたのでそれを取って、そのついでに靴を綺麗に中敷きまで外して掃除した直後にトイレに行ったんだ。ところが用を足した後、切りくずが入っていたという事だ。トイレの傍の機械で加工している川谷がやったというのはほぼ間違いない。まあやる事が分かっているから奴が機械から離れた時のみにトイレに行く事で回避した」

「トイレに行くことすら制限されるのかこのゴミ野郎のせいで。そういえば内藤にう〇こ攻撃されてからはその回避は出来ないよね?」 

「そうだな。川谷と内藤が同時に居ない事は余りないから、その対策で我慢して10時の休み時間にトイレを済ます事しか思い付けなかった。お陰で休み時間を有効に利用出来なくなっちまったんだ。あいつらのせいで……そう思うと悔しいぜ……」

「さすがゴミ社長の選んだカスリーダーね。これがバレた時点で人としての価値が大幅に下がるのに……アホ過ぎるわ」

「他には俺が休み時間を早めに切り上げ、仕事を早めに始めたら奴とその取り巻きの2人がまだ休み時間を満喫していやがってタバコを吸っていたんだ。それで俺はそれを気にせず材料を入れる箱を取って戻ろうとした時、

『不審者じゃねえか』

と、3の顔で俺にも聞こえる位の声で叫んでいた。具現するぜ? うおおおお」

挿絵(By みてみん)

「あれ? 網の何かがあるよ?」

「いや……素材調達のため昼休みの時間に撮影していたんだが、その時丁度積まれててよw本来あそこは何も無かったんだ。運悪くその時網が積まれてたんだなwそれが無い見通しのいい時に川谷達に見つかってそういう話が出たんだよ。まあ片付けてから撮影すればよかったんだが、休み時間が少なくなっちまうし、面倒なのであれで妥協したんだよ」

「へえ……え? 撮影? 妥協? 網の無かった瞬間を思い出せばいいじゃない?」

「おっとw 具現するタイミングを間違えただけだw今のは忘れてな?」

「はいっ!」

「いつも俺に敬語だった取り巻き2人も大笑い。お陰でそいつらの本性まで分かっちまった。正にガキじゃねえかって思ったぜ。で、その後も俺の陰口を叩いて笑ってたんだぜ? 不審者の件で、悪口を言うとみんなが笑ってくれると奴の中では人の悪口を言う事が生き甲斐にでもなってるんじゃねえか? こんな奴はリーダーに相応しくない。俺は常にそれを信じているうおおおお」

ごとっ

「また?」

ごとっ

挿絵(By みてみん)

ふむ、その通りだな。

「これは何?」

「偉い人の言葉だ。誰かは覚えていないがこれ、正にその通りだろ?」

「本当ね……休み時間を切り上げて仕事している鈴木さんの姿を見て、不審者に見えるとしたら目と頭が狂ってる。痴呆の気もある。覚えていないから名前じゃなくて不審者と言ったって事よ。それに自分の頭で考えず人の欠点を笑いにするなんて最低……」

「奴の人生で一番受けた言葉だったと思う。面白くない奴だから。でも悪口さえ言えば自分の様なつまらない奴でもみんなに笑ってもらえると考え、そういう人間になっちまったんだろうなあ。確かに周りに笑顔を与えるのは良い事だがこれはあざけ笑いを引き起こしている。だから0点だ」

「どんだけ腐ってんだよ……これからそんなのが何匹も出てくんのかよ」

「ああ、和風妖怪の群雄割拠だ。どれも強い。どれも精神的に攻撃できる超強力なスキルを所持している。で、次話す井村って奴にも鈴木はいつも〇〇ちゃんに会いたいよ~って思ってるんだぜ? と吹聴し笑いものだ」

「〇〇ちゃんって鈴木さんが好きだったあの娘の話?」

「ああ、あの子からどんどん伝言ゲームの様に伝わり、川谷にも届き、更にそれを無料で別の人間に広げてくれたんだ」

「良い噂は広がらないのにね……」

「ああ、で、俺は休み時間を筋トレをやる事にした」

「え?」

「試しにな」

「え? え?」

「俺が目立った行動をすると噂するな?」

「う、うん」

「では、一般的に良い事? をするとどうなるか?」

「え? それでもあいつ馬鹿みたいに筋トレしてるって噂するんじゃ……」

「ああ、で2日、3日と続けたらな、あいつらの話題は尽きる」

「え?」

「2日目は、まだやってるよwwで、3日目は……何も言えなくなるww」

「そうか……本当は全く笑えないから……だって本当は全く面白い事じゃないから」

「そう、そしてそいつらには出来ない事だから。がっつり同じ時間仕事もしてるのに、奴らがタバコ吸って悪口言って過ごしている休み時間まで俺だけ筋トレしたら普通はバテちまうだろwだが、俺は体力には自信があった。だから休み時間を休まず、筋トレを続け更に仕事も頑張った。そしたら次第に開いていく実力差に、笑うどころか恐怖していった」

「これって普通にすごいね……全国に居るいじめられている子達に教えてあげたい。だってこれをすれば相手もいじめにくくなるって……」

「そうそう。見ているところでやるのがポイントだぜ? でも、あまりに見つかりやすい所でやると返って駄目だ。控えめで、隅っこでやるのがいいんだぜ? 生き返ったらアリサちゃんが色んな子に教えてやってくれやw」

「まあ女の子は難しいかもしれないけど別の何かが女の子にもある筈。例えば勉強とか! それを教えていくよ。他にはあるの?」

「雨が降っていた時、手を洗う場所には屋根がなかったんだ。だからトイレの中に設置されている水道で手を洗おうとしたら、水道管が詰まるからやめろと怒り狂ってた。滅茶苦茶怒鳴ってたな。これは2程ではなかったので3の顔かな?」

「何が詰まるの?」

「内藤の張り紙の話覚えてるか?」

「ピンクの洗剤で手を洗うな! って奴でしょ?」

挿絵(By みてみん)

「そう、油汚れを落とす専用の粉の様なピンク色の粉石鹼を使うんだが、それがどうやら水道管に詰まるらしいんだ。奴も使用している機械がトイレの傍で、俺が時々トイレで手を洗うのを見ていて、捏造している分際でトイレに粉が詰まったら困ると言う正義の心が何故か発揮され、あんな乱暴な表現の汚い張り紙を張った訳。それで川谷もその張り紙を見てからはそういう事をしちゃいけないと知り、注意しようとして来たんだ。これは内藤と川谷のコンビネーションアタックだな」

「へえ」

「俺は雨に遭うのが嫌だったのでトイレでその洗剤を使おうとした時に過剰反応したんだ。だがそれを無視し、洗おうとしたら親の敵に会うかのごとく怒り狂っていた。

『そこで手洗うなっつってんだろ!』

って2の顔でトイレの中にまで入ってきて大暴れよwwえらい剣幕だ」

「え? ただ手を洗おうとしただけで仕事中断してまで?」

「そうだ。詰まったら詰まったで対処できるだろ? それに一回二回やっただけで詰まる訳ねえ」

「確かにそうよ!」

「言い訳するつもりはないが、物凄い土砂降りだったんだ。そんな中手を洗ってたらびしょ濡れで風邪ひいちまう。まあ水道の場所に雨除けを付けない会社も会社だが、それでもまだこれから仕事が残ってるってのにびしょ濡れの作業着で続けろって事だろ?」

「うん。そういう時は特例でいいよ。社長には内緒だぜ? って言うのがリーダーとしての優しさと器の大きさよね……そんな事も出来ないんだ……川谷……社長クラスのカスじゃん」

「そうだ。奴を優しい奴と思った事は一度も無い。そして当然面白いとも。そして一緒に雑談をしたいとも思えない性格の悪さ。もし休み時間に近づいてきたら逃げ出すレベル。リーダーなのに優しさも面白さもカリスマ性もないなんてもうゴミ以下だろ。それにどうせ見ていないところでやったら何も出来ねえのによ……見かけたら鬼の首取ったかの如く騒ぎ立ててよ。この辺は社長そっくりだ。いくらいい事をしても

【絶対に、何があってもどんなに貢献しようとも】

褒める事は出来ない癖によ、怒る時は一瞬で大激怒。あのパートの女性の坊ちゃんじゃないか? って言う話、もう間違いないと思っている」

「これだけ酷いのに社長は何も言わないの?」

「言わないぜ?」

「何で?」

「ゴキブリのゲロだから……おっとっとw自分がただの社員からリーダーに上げたという矜持から絶対に大丈夫と信じ込んでいるのだろう」

「鈴木さんにはちょくちょくにじり寄って説教するのに……え? え? 何? い、今、ゴキブリの……? え? え? 今なんかすごいワードを聞いた気がするんだけど……」

フルフル フルフル

アリサが震えている……そして目を輝かせてもいる。一体どういう感覚なのだ?

「うっかり心の声がな……忘れてくれ」

「ほええ? そおなのお? 心にどんな闇を抱えているのよ……でも、その言葉に凄い力強さを感じたのよねえ。そして深淵よりも深い闇を……重さを……もう一度聞きたいような聞きたくない様な……」

「忘れてくれってww」

「わ、分かった。じゃあ早く戻ってぶち〇さないと……どうやって〇そうかしら?」

おいおい……どうした? 混乱しているのか? ゴキブリのゲロと言う鈴木の言葉に動揺して話が飛躍しすぎている気がするぞ?

「えっ?」

「独り言」

「そうか? なんかやべえ響きが聞こえたのだが……」

「それはお互い様よ。忘れて」

「そ、そうだな。ま、まあいい。後は細かい事かもしれないがコミュニケーション講習の時に、

【あなたにとっての仕事とは何?】 

と問われた時

『暇つぶし』

と1の顔で格好つけて言っていた事かな?」

「え……」

「大した事じゃないけど、おっ? てなった。仕事を暇つぶしって言えるのか、すげえなってな」

「これの答えって何なの?」

「確か、仕事をする事で沢山のありがとうを言われる為の行為だったっけか? 沢山のありがとうを貰う為のどうたらこうたらって……良く思いだせねえ」

「素敵ねえ……だとすると川谷の考えは違うと思うわ。鈴木さんも考えが足りないね」

「え?」

「だって結局仕事って他人 (社長)の手伝いでしょ? どんなに頑張ったって給料はそこまで変わらない。それを暇つぶしと言うならさっさと辞めて自分の為に時間を使う方がいいと思うの。暇つぶしではない奴の中での仕事を探し、それにその8時間を使えばもっと大きい金額を稼げるかもしれない。なのにそれをやらないで暇つぶし? これは皆にただ者でないと思わせたいが為に放った見栄が見え隠れしたセリフとしか思えない。更には一応チームのリーダーでしょ? なのにその責任重大な仕事を暇つぶしって……よっぽど趣味の無い無趣味人間なのね……あ、悪口が趣味か……」

「確かにそうだな。みんな、え? って言って川谷の方を見てたもんな」

「みんなに注目を浴びたかっただけの子供って事なのよ」

「すげえなアリサちゃん可愛い上に頭もいいのかよ……」

確かにアリサは可愛いは可愛い。だが話している内に生意気すぎて外見の可愛さなどどうでも良くなるほど憎ったらしくなる。私も可愛いと思っていた時間が数秒だけあった。だが今は土偶程度しか思っていない。

「まあね」

「うーん……そういえばおかしな事言ってたな」

「何?」

「ええとな、仕事の量が少ないと不安だって提案書に書いてた気がする」

「ああ、2月に書く?」

「そうだ」

「やっぱり」

「え?」

「それが本当だとすれば暇つぶしってのは嘘って事。だって少なければ暇が出来てしまう。それが足りなくなると不安という事は、暇が潰せないと不安って事になる……暇つぶしってそんな真剣に潰したいと思う?」

「確かにだ……」

「そう、奴は皆の気を引きたいが為に咄嗟にそういう嘘を言ったんだ。薄っぺらいわ……」

「あいつ、残念な奴だったんだなあ……後は社長が珍しく靴をくれたんだ。それを奴が社長の代わりに俺に持ってきた時にちょっとひったくる感じて取ったんだ。そしたら、

『乱暴に取るんじゃねえよ! 折角渡したのに……あり得ないだろ』

だと。2の顔で言っていた。それはお前の事が嫌いだからそういう態度になるって言う至って単純な事に気付いていない様だ。しかも社長がくれた物を中継ぎで運んで来ただけの奴に。お前が自腹切った訳じゃねえだろって思うぜ。奴は残念な事に、俺に尊敬されていると勘違いしている」

「ゴミ」

「次は、坊ちゃんって言った女の人が、寿退社する事になって送別会を開催する事になり、俺も参加すると言っちまったんだ」

「うん」

「忘年会に参加した後で少し人の集まる所に行くのも慣れて来たと思ったんだが、土壇場になって行きたくなくなっちまってさ……あの社長に、

『喋ってるよ!』 

って笑われたのを思い出してな……その時の会費が5千。なのに、喋ってるよって嘲笑われた記憶しか残っていない。金と引き換えに一生残るトラウマを買う事が出来た。最低の思い出を……」

「うん」

「で、参加するって言った後その……休んじまったんだ……で、会費は前払いだったんだけど、返却してくれなかった」

「ああ……それは鈴木さんが悪いわよ。始めからきっぱりと断らなきゃ……」

「だよな……これは行くって言うべきではなかった……高けえ勉強代だわ……夕飯一食分の金額が5千円だもんな。目玉飛び出るわ……それも2時間以上を嫌な奴に囲まれて1食分の夕食代がだぜ? そう考えたら行きたくなくなってよ。何にも食ってねえのに何故か5千円は返ってこない」

「それは嫌だよね。せめてメンバーが優しければ行けたけど、そんな人いないもんね」

「ああ」

「他には無いよね」

「まだあるぜ。後はこれも怒鳴り系だが、急ぎの仕事の途中で別の急ぎの仕事が来たんだ」

「ややこしいね」

「で、中断して取り掛かったんだが、それが来たのは木曜日。で、そいつを金曜に終わらせてくれとの事だ。だが全部やってる時間は無い」

「一日じゃ厳しいんだ」

「なので177個全部じゃなくって70個は欲しいとの事で、それなら楽勝だと完成させた。で、終了した事を伝えたら

『結構早く終わったんだったら全部出来ないか?』

と3の顔で言って来た。だが急ぎの仕事を中断したからそっちをやりたいと言ったら2の顔でキレ始めた」

「は?」

「奴は自分が思い付いたアイディアを否定される事を極端に嫌う」

「でもその週に欲しい分は完成させたんだよね? ならもう一つの急ぎの仕事をやらなきゃダメよね?」

「そうなんだがものすごい剣幕で怒ってよ。専務も近くで見ていたんだが、あまりの剣幕に止めに入らず自分の任務に専念していたw怒鳴り放題脅し放題。ああ、専務は助けてくれないんだなと思いながら、嵐が過ぎるのを只管待ったわ。奴は怒りで現実を忘れちまっている。本来、力も弱く、頭も悪いだけの男が、最高の馬鹿にリーダーに任命されたという事実に誇りを持ち、俺より上の存在だと勘違いしてしまっている事にな。そんな子供相手に本気になっても大人気ないしな」

「優しいんだね」

「腕力も遥かに下の男の恫喝だったんだ。迫力は無くただ五月蝿いだけのな。ちょっと本気になって喉をキュウってやればすぐに止まる程度だ。それでも何度も怒鳴られて少し委縮しちまったわ」

「専務も任【務】に【専】念しちゃったかあwそれじゃ仕方ないわ。どんなに暴れん坊が工場内で怒鳴り散らしていても、

『じ、自分には仕事があるので』

キリッって事だよね?」 

「そうだ。専念する任務と書いて専務だもんな。故に、彼は、一切、間違って、いない。最高の、専務、だ」

「wwww役職の名に恥じぬ働きぶりねえw」

「超の付くほど臆病な人だからしゃあねえ」

「社長と同じ親から生まれたとは思えないよねえ」

「で、専務に何も言われない事を知ったか軽くだが猫パンチで攻撃までしてきた。やっぱり子供だと思ったわ」

「それ暴行罪よ」

「んな大袈裟なww」

「私はそれで裁判で勝てる。多額の慰謝料をふんだくれるわ」

「はあ?」

法曹界観点からだと先に手を出した方が負けなのよ」

「ほう、そうかい」

「上手いww」

「おやじギャグだぜ? しかし知識さえ持っていれば、そんな事でも武器として使えるんだな……もっと勉強すべきだったぜ」

「かわいそう……」

「ん?」

「最低の上司に当たった鈴木さんがね」

「その後も結構引きずってなあ」

「え?」

「今までは残業予定表があったんだが」

「それが?」

「まあ残業予定表の下の空白が重要なんだ」

「え?」

「その下の空白に本来休む時に名前と日付さえ書けば一々口頭で報告しなくても休む事が出来たんだ」

「そうなんだ」

「だけど残業自体を少なくしようという流れからその予定表が撤去された」

「ああ、best!! の時のあれね? それはすぐに反映されたんだ」

「ああ、捏造じじいの事は永遠に放って置くって言うのにな」

「ほんとそれ。じゃあ休む時は?」

「直接口頭で言う以外になくなったという事。なのにだ」

「〇月〇日予定があるので休むよ。と、川谷に報告するとする」

「うん」

「だがそれを完全に無視する」

「なんでよ!」

「さっきの怒りが残っていて意地を張っちゃってるんだ。子供だから」

「ああ……子供だもんね」

「完全に奴の方が馬鹿な事を言っているのにリーダーなんだから正しいという思い込みで生きている。何でこんな馬鹿をリーダーにすんだよ……滅茶苦茶迷惑だよ」

「こいつって一応リーダーだから給料は高いんでしょ?」 

「だろうな。明細を見た事ねえが」

「でも、リーダーの中で最低。リーダーの特権だけ貰い、どのリーダーよりも楽して……マジ失格よ。みんなの前で発言は恥ずかちいでちゅがこのポジチョンはおいちいでちゅのでずっとリーダーとちて居座りまちゅって感じね。こんな奴にリーダーにしていて社長は何も言わないのかよ!」

「その事に関して社長は言及していないな。まあ朝少し遅れてくるから朝礼している時間帯は社長は居ない。だから来た頃には既に朝礼は終わっているんだろうなくらいにしか考えてないだろうなあ。実際に見に来る事はねえからな。それに誰も言いつけない」

「待って? 提案書は社長に渡ったんでしょ? じゃあ朝礼の内容が薄いって事を会議で話し合ったんじゃないの?」

「さあ? 何故かその後も朝礼をやっていないという事から社長も許したと思っている」

「いい加減な野郎ね。まとめると鉄くずを靴に入れて、ちょっとの事で怒鳴り散らし、陰口大好きで朝礼はやらず高い金をもらっているカスって事ね」

「ああ、まあ過ぎた事だ……川谷はこれ位かな? しかし川谷についてここまで考えた事なかったけど、まとめるとものすげえ男だったんだな。小物オブ小物だわ」

「社長の才能の無さが如実に表れてるね。この調子で思い出しちゃお!」

「次は井村だ」

「どんなゴミ?」

「でもいいのかなあ?」

「何が?」

「ずっと俺が話しているぜ? 文字数。こんなに俺みたいなモブが使っちゃってもいいのかなあってふと思ってな」

「いいからいいから」

いいからいいから

「そうか? でももし長かったら言ってな?」

「ええ、一応ソフトークで鈴木さんとの会話部分だけをコピペして読ませているけど、3時間しか掛かってないしまだまだ平気よ」

「え? そふとーく? こぴぺ? 3時間? 何だそりゃ? 一つも分からねえんだけど……」

「全体の流れをそのソフトで流し聞きしてたの。具体的には5~22話のこの部分までね。まあ通常だと長すぎるんで倍速で聞いているんだけどねw」

「え? え?」

「じゃあ6時間じゃんって突っ込みは無しよ?」

「突っ込めねえって……でもよ、俺達そんなに話してたのか? やべえなあ。なんか申し訳ねえ……」

「いいのいいのwで、ソフトークって自動で読んでくれて誤字脱字も発見出来るんで、結構重宝してるのよ。小説を書く時間は無くてもせめてチェックくらいはしなきゃって思ったら頻繁に使ってる。これで無料なんて……圧倒的感謝だわ。製作者様、心から愛してるw」

「そうなのか……え? アリサちゃん日記だけでなく小説も書くのか?」

「しまったっ!」

「お? まさかまずい事言っちまったか?」

「小説は書いてない」

「本当か?」

「小説は、書いてない」

「すげえ威圧感wな、なら何で小説の話が突然出て来たんだよ……不思議だぜ」

「気にしないで」

「しかし、すげえ時代になったもんだな……じゃあ次の井村も言っていいんだな?」

「勿論よ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どうでしたか? 最強最悪でしたか? 皆さんの想像の範疇を超えてくれましたか? それとも想定の範囲内でしたか? え? 後者でした? それは残念です。ですがまだ始まったばかりですよ。ここからが本番と言っても過言ではありません。まだこんな最低生物を何匹か見る事になると思うと胸がわくわくしてきませんか? 是非、後三回で何匹の魔界動物を見る事が出来るのかを予想して下さい。そしてムービーの様に立体的でしたでしょうか? そうですか、ご満足いただけたようで嬉しいです。ですがこれもフィクションであるからここまで書けた訳です。そう! ここまで酷い人間が実際いる訳ありませんからね♪いやあ、フィクションってほんっっっっとうにいいもんですよねえ。さよなら、さよなら、さよなら。

 

私の行く先々で事件が起こる件について4 エピソード21 目覚めし者達

そろそろ忘れてしまったと思うので書いておきますがこれは地獄内での話です。 

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「まずは……原市さんかな? 大型の自動旋盤を使っていたんだ。そこでリーダーしてた。確か2010年の年明けに一人ずつ目標を皆の前で発表したんだ」

「内藤が捏造していてもそれを発表しなかったあの?」

「おう! よく覚えてるなあ。で、原市さんが掲げたそれは、自動課の新しい大型の機械に挑戦していきたいとの話だった。なのにその年の3月には突然汎用に飛ばされて、その後、1ヶ月位頑張っていたが辞めて行った」

「本当にそれが原因なの?」

「うーんこれは俺の予想だが……でも当たらずとも遠からずだと思うぜ? 彼は汎用は全くの初心者で、こんな事も聞くのか? ってくらい簡単な事すらも聞いて来た」

「汎用では一番下っ端だもんねえ」

「そうだ。もう40代半ばで突然の異動だ。何を考えてそんなベテランをこっちに飛ばしたのか未だに分からん。今まで自動旋盤課を専門でやっていてそこのリーダーまで上り詰めたのに、突然バイトの俺の指導の下で仕事する羽目になっちまったんだ。それも仕方のねえ話……あの人、俺に敬語だったぜ? 今まで自動旋盤の方では係長やってたのに一瞬で一番の下っ端。内心それに耐えられねえのも分かる。それ以外思い付かん。俺も同じ様な目にあったんで良く分かるよ」

「どんな事?」

「不良品を作っちまって……それに腹が立ったと言わんばかりに自動班の手伝いをさせられてよ。俺より格下の奴に指示出されて屈辱だった話だ。例え他の奴が不良を作っても別部署に飛ばす事はしていないのに俺だけそういう事を平気でやるんだ。それ以外にも酷いのは早く仕事が終わってその週の納期の品物は全て終わったのに、終わった事を報告したら、同じように別の部署を手伝ってくれと言ってくるんだ」

「え……」

「仕事さえ終わればもう

『お疲れ様。今日は早上がりでもいいよ』

というのが普通だと思うんだ。なのに終わったら感謝もされず当然の様に不良を出した時と同じように罰ゲームの様に別部署に飛ばす。頑張って早く終わらせてもお礼はなく無条件で別部署の一番下っ端で働かされてしまう訳だ。さっきも言ったけど屈辱なんよ。あまり別部署の後輩とは話してもいないのに、そいつの元で働くなんてさ。頭悪すぎるだろ。最悪ミスって飛ばされるのはまだ納得いく。だが早く終わらせた時にも同じ目に遭わせるのだけは違うと思わねえか?」

「うん」

「でも一度そういう目に遭えば学習する。そう、早くやり過ぎるとそうなる事が分かっているので、仕事が少なくなってきたら意図的にゆっくりやる。そうすると、社長はにこにこ笑いながら仕事が遅いと文句を言ってくる。馬鹿で、センスもなく性格も悪く安月給しか払えねえ癖に、そういうアンテナだけは張り巡らしてる。最低だよ……二度と近くに来ないでほしいぜ」

「理不尽ねえ」

「それが従業員と会社の両方の為になる事ならまあ文句はない。例えばその分給料が高くなるとかな? だが当然それはない。早くやると大損なんだよ。従業員側にとっては。これは、

【会社側しか得をしない】

故に全く必要性が無い。それにわざわざ別部署に飛ばしてしまえば、新しく来た奴に1から作業内容を教えると言う手間も増える訳だ。

その分それに時間を取られる。これは一切金額が発生しない。金属を加工してお金に変えるんだからな。だから、気まぐれであちこち飛ばして覚える事が増えればミスも怪我も多くなる。オールラウンダーである必要はない。同じ部署で一つのジャンルを極めてなるべくそれだけを続けて行けばいいと思う」

「そうよね」

「その考えがよく表している会議の結果がある。うおおおおお」

ごとっ

挿絵(By みてみん)

「へえどれどれ? ……何これ……」

見るなり不愉快そうな顔になるアリサ。

「どうだ? 因みにこれ、時間が見切れてて分からんが、2時間相談した結果を書いている」

「しっかりと懲りずに新しい技術を募集してるじゃん……残業減らして稼働率上げるのがBest!! だとお? 何がBest!! だ。このworst野郎が……」

「worst野郎w」

「間違いないよ! それに、自分しか得をしない内容をどや顔で話してやがらあ……で、林って人がまともな事言ってるのに、その人の言っている事完全に無視してるじゃん……専務は独り言言ってるしww」

「そう、林って奴は木林よりも現状を把握していて、あまり色々詰め込み過ぎると嫌になって辞めちまうって事が分かっていて、真剣に伝えた筈だ。だが一切受け入れてくれない。多技能と言う器用貧乏を量産しようとする」

「文面から滲み出てるよ……」

「会議と言っているが良く見りゃ自分の意見しか通そうとしていないし、専務は独り言を言っているだけ。誰もそれに反応していないところから分かるな?」

「うん」

「そんな会議は会議として成立しない。ただの

【ぼくのかんがえたすごいアイディア発表会】

だ。こんな下らねえ会議が有意義な時間になるとは思えない。こんな薄っぺらな内容に2時間もかけてるんだぜ? 俺たちが働いてる間によ」

「こんな内容で2時間? ゆっくり喋ってたって事なの?」

「参加してねえから分からねえがよw」

「正に蛙鳴蝉噪あめいせんそうね。その時間を仕事なさいって言いたくなるわ。もしくは人生をログアウトしなさい!」

「そうだな。ああっと、話がそれちまったな。もう終わった筈なのに社長の話を蒸し返しちまったわ。ごめんよ」

「時間など無限にある。問題ない」

アリサの目付きが未だ嘗てない程に鋭くなる。

「えええ? どうしたんだよ……あ、ログアウトで思い出したわ」

「え?」

「今日のログインボーナス受け取って無かったわ」

「え?」

「ショボいけど毎日貰えるんだよ」

「私も貰えるの?」

「ああ、目をつぶると頭の中に変な画面が出て来るだろ? そこにログインと言うバナーが見える筈。それを強く念じて見な」

言われるがまま目を閉じる。

「あっ見えるね。ソシャゲのホーム画面みたいね。これがログイン? えい!」

すると

挿絵(By みてみん)

「あら? 露愚陰 某奈須って書いてあるわ! これってログインボーナスって事ね?」

「そうだ。アリサちゃんは1000ヘルじゃないか?」

「うん。まあ、要らないわ」

「ショボいけどそれでもこれを忘れると損した気分になるわ」

「復活薬なんてあるのね?」

「ああ、責め苦途中で死んでもそれを使えば復活する。自動的に。まあ使うかどうかの選択肢は出るがな」

「責め苦で死んじゃう場合もあるのね? でも復活出来るよね? さっき見たわよ」

「ああ、でもその場合半減しちまうんだ。復活薬があれば戻される前に復活するので半減せずに済む。で、隣の免除パスがあれば、一回だけ責め苦に行かなくても戦力とヘルが貰える」

「それを忘れたらへこむねえ。で、番土永度は?」

「死ぬ前に使えば体力が回復できる道具だ。因みにこれも復活薬も非売品だ。ログインボーナスのみで手に入る」

「そう言えばそんなのは売って無かったわね。でも、ヘールとかで回復すればいいんじゃない?」

「ああ、あのコトダマ高いからなあ。使えればすげえ楽なんだがなあ」

「大体分かったわ。続けて」

「そうかい? 原市さんに関してはどう考えても社長の采配ミスが原因だなあ。人としての優しさと2ヶ月前の事を覚えていられる少しの記憶力さえありゃこんな事をする筈が無いんだがなあ」

「うん。馬鹿が頑張ると優秀な人が減っていくって言うのが良く分かる話ね」

「次は田島だ。あいつは日本大学を卒業していたのにここに入ってきて、あまりにも単調な仕事に飽きて辞めちまったんだろうな。しかし、おかしい事があったんだ」

「え? 何で知ったの?」

「入って来た時に日本大学から来ましたと言ってたからなあ」

「社長の差し金ね?」

「え?」

「有名大学を出たんだからみんなに報告してやれと」

「そうかもな。今までそんな事を紹介する奴はいなかったからなあ。言われて見りゃそうだわ。うちにも日本大学卒業が入って来た。誇らしい事だ! うちも大きくなったなあ……とでも思ったのか?」

「社長って巨大な権威にひれ伏す犬じゃん。でも、お前の力じゃないだろ!!」

「その通りだ……そういや大学を出てたからなあ、あいつも」

「え?」

「内藤だよ」

「あのゴミが? 幼卒だとばかり思ってたけど大卒だったんだ」

「そう。だから、社員として採用されたんだ……結果とんでもない事になっちまったけどな」

「捏造」

「そう、今気付いたわ……ずっと分からなかったんだけど、そういや忘年会で奴が大卒だと言う話を聞いてもいないのに語っていた」

「手紙でもそう書いてたよね。どうしてこの会社に入れたのかって……」

「ああ、社長って単純な奴だったんだな。大学さえ出れば間違いないという考え……」

「浅い考えね」

「ああ。で、おかしな事とは、そいつは1月に昼礼で聞いた話では2か月後の3月に辞めるって話だったんだ。だが、2月の始めから一切来なくなった。あれ? もう辞めちまったのかと思った矢先、3月の辞めるという予定日になったら1日だけ出社して、一人一人に、

『今日で辞めるのでお世話になりました』

といやらしい笑顔と共に言って去って行った」

「一言多いw」

「そこまで好きな奴でもなかったからなあ」

「でも一ヶ月の空白は何してたの?」

「それは有給休暇をまとめて取っていた訳だ」

「賢いじゃん」

「確かに……だけどな、今まで辞めて行った人達はそういう事はしないで、部下に自分の仕事の引継ぎ等で、今まで培った技術を叩き込むのに忙しくて例え有給が残っていたとしても、消化しない人がほとんどだったんだ。後、最後の一ヶ月だし、なるべく一緒に居たいという

【思い入れ】

みたいな物もあったりで、ギリギリまで出社する。まあ、それがかっこいいって訳じゃあないけれど、そういう風潮だったし、様式美って言うのか? 使わない美しさ? 良く分からんがそういうのがあって、あって無いような物だったんだよな。もちろん使ってもいいんだぜ? でも、示し合わせる様に誰も使っていないで最後の最後まで出社し続けた。俺もそれが当たり前と思っていたんだ。だからそんな事をする奴は20年務めた中でも田島が初めてで、

【こんな最低の事する奴いたんだ】

と思った程だ」

「www」

「理屈では分かってるんだよ。でもよお……なんか嫌な気分が田島の事を考える度よぎった。田島にはそういう人情とかが一切無く、ルールはルールと機械的に有休を消化していたと気付いた時、何となく悲しくなったな。まあ間違った行動じゃないんだが……流石有名な大学を出ただけの事はあるよな。使える物は全て使い、引継ぎとか自分に取ってそこまで意味の無い物は排斥すると言ったきらいもあった。後、笑顔か嫌いだった」

「確かに……私も好きにはなれないわ」

「笑顔もか?」

「うん」

「見た事ないだろww」

「イメージで嫌いになれたわww」

「すげえwwでも一応こんな顔だ。うおおおお」

挿絵(By みてみん)

「うわ。嫌らしい顔ね。納得だわ。日本大学を出ればこんな面にもなるわよ……でも日本大学はそういう事も教えてくれるのね。4年も時間をかけただけあっていい事を教えてもらったじゃない……でも、何か法の抜け道を巧い事すり抜けている感じがして嫌い。まるで犯罪者ね」

「それ、言い過ぎwwルールに乗っといているから」

「それ内藤!」

「ありゃ……あんなのと同じ間違えしちまったww次は桑名君だな。良く俺に休み時間話して来て、今はまっている動画を見せてくれたり、自分のやっているソシャゲのガチャを引かせてくれたりお菓子とかもくれたりした。普通にいい奴だった。普通に話していて楽しかった。俺はバイトで彼は社員だからいずれ抜かれるけどそれでもいいと心底思える後輩だった。内藤にジロジロ見られて辞めちまったけどな」

「あ、手紙で言っていた子ね? これは社長のせいじゃない珍しい例か。年老いた老人が、若者の若さを恨めしそうに見ていた事を察知して逃げたって事ね? イノチホシイ。ワカイイノチウラヤマシイって見てたんだよね」

「間違いない。後は古屋だな。あいつは仕事も出来る奴だったんだがいかんせんトイレの回数が多すぎて」

「ああこれも手紙でも言ってた人ね? その後内藤が入ってきて……」

「そうだ。本来あいつが汎用で頑張っていく筈だったのに、社長がよく指導もせずクビにした。結果、あんな失敗作が入ってきてしまったという話」

「他は?」

「荒川だな。あいつは1日で辞めちまった」

「あら可愛いww」

「唐突のダジャレw履歴書書いて面接して社員として受かったってのにたったの1日だ。こんなの準備の方が長かったろ……何があったんだ? それは今でも謎だな」

「相当社長が嫌いだったんだね。ファーストインプレッション?」

「かもな。次は塩沢だ。あいつは一度辞めて2年ぐらい経ったらまた戻ってきた。そして一年勤め上げてからまた辞めたと言う珍しい男だ」

二度寝wwww」

「ああ、確かにwアリサちゃんすごいなあ。的確な表現だよ! 折角一度やばい所だと覚めたのになw後五分だけ……と再び眠りに就き、寝てはみた物の、やっぱここ寝心地悪いわ……って目覚め、ベッドを変えたって感じか?」

「そうそうw」

「次は沼上君かなあ。イケメンで腹筋も割れている」

「忘年会でその話題が切っ掛けで内藤がすべったあの腹筋の持ち主ね?」

「そうそう。彼は内藤の息子と同時に入って来たんだ。同じ日に」

「へえ」

「で、滅茶苦茶仲良くしていた。家族ぐるみの付き合いだったのかも。内藤じじいの事も初対面と言う感じの話し方じゃなかった。多分同じ高校で、でも」

「ん?」

「内藤が風にあおられて衝立と共に倒れ、台の角にぶつけた話あったろ?」

「うん」

「倒れた時に駆け寄って行ったのは意外にも石井と言う男で、沼上は大笑い……ちょっと腹黒いのかなって思っちまった」

「内藤だからいいじゃん」

「そうなんだけど爽やかイケメンが人の不幸で声は出さなかったけど、満面の笑みだったのはショックだったんだよなあ。まあ俺もありがとうとは思ったけど、関係者だったら心配して駆け寄るのが人情ってもんだよ。石井は嫌な奴だけどこういう所はいい奴だったかもしれん」

「沼上君も気付いていたのかもね」

「捏造か?」

「そう」

「確かに沼上がいた時にこの話をしたから気付いたのかもしれんが」

そう言って先程出したブロックを拾う。

挿絵(By みてみん)

「この文面だけでは犯人を内藤と推測するのは難しいかもしれないけど、彼は気付いたんだよ」

「そうかもな。これくらいかな。もういいかな? まだいるけど、後の人達はそこまで大きい印象はないからさ、例えば記念撮影の時に社長が1+1は? って言った時に、

【う〇こー】

って叫んで本来1+1の答えで社長の呼びかけの答えである

【にー】

と言う作られた笑いよりも、本当の笑顔を引き起こしたり、『うーん……チンカー』と言う響きが面白いギャグを頻繁に使用したり、『大便に行こうかなあ?』『やっぱやめよ』と何回か繰り返し言いながらトイレに出入りしていて、俺が飽きた頃に急にトイレから出てこなくなってどうしたのかな? と思ったら、本当に大便をしていた事が判明した横谷君、(ニックネームう〇こ君)や、トイレでう〇こをする時に同時におしっこもして、おしっこの勢いで便座と便器の隙間からおしっこが流れ出て、床をおしっこまみれにして居なくなったおしっこ君とか、毎月5000円貸して下さいと言ってきて、そのために一々5000円をおろして貸していたら手数料だけで5000円に到達した事に気付き、大損させられた佐々木君 (ニックネームお金君)や、写真撮影時にうっかり目を閉じてその顔がキス顔に似てると気付かれた山崎君ことキッス君や、会社のBBQで肉を食って酒を飲みすぎて気持ち悪くなって、その全てを川にプレゼントしたゲロ美ちゃんとか癌になって半年で完治させて戻ってきて、真冬でも半袖で仕事するまでに成長したカムバック君とかさ、癌になって髪の毛がぼろぼろと抜け落ちてもう死んでしまうのかと思いきや完全回復して今やプロゴルファーに転職したガンゴルフおじさんや数え上げたらキリがねえし……手紙にも書いてたけど120人分のストーリーを全部言う訳には流石にいかんだろ……」 

「ちょwすごいバラエティ豊かww一人一人ニックネーム付けるんだねw」

「まあ言いやすいしな」

「その話も聞きたいじゃないwww」

「そういやこんなミスしちまったなニックネームのせいで」

「え?」

「おしっこ君の正体は山中君っていうんだが、用事があって呼びかけるときにおしっ……山中君……って言っちまってさ。何で山中とおしっていう言葉を言い間違えるんですか? ってw」

「鈴木さんの中だけでつけてた奴よねw」

「ああ、ニックネームで呼びそうになっちまったんだよな」

「先生をお母さんと言い間違える奴ね」

「そこまで酷い話じゃねえけどな。後輩だし。でも全員分言っちまったらそれこそ20万文字行くぜ?」

「わかったわよ。諦めてあげる。それにしてもこの会社癌になって戻ってきた人が2人もいるんだw」

「まあ俺の居た会社は

【普通じゃない】

んだ」

「わかったわ。でも、ニックネームが単純ね」

「そう、その人達は特筆大書すべき点は

【一つしかない】

だが、これから紹介する人間は一つじゃすまない。恐ろしい人間達だ。覚悟はいいんだな?」

「ええ。聞いてやるわ!」 

「何度も言うが泣くなよ?」

「もう泣かない。じゃあそろそろ今でも残っている精鋭のナンセンス社員の話聞かせて!」

「あまりの恐怖で失神するなよ?」

「泣かないし失神もしない!!」

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もうすぐ鈴木の過去編は終わるので気を付けて下さい。

私の行く先々で事件が起こる件について4 エピソード20 手紙を読んだ根拠

 
 

挿絵(By みてみん)

「これは?」

「除草剤をまく当番表だ。俺はバイトでも20年働いている古株。だからそれ位の順番なら名簿順で上から2番目の位置に置くのが普通。何故ならこれだ! うおおおおお」

再び何かを出す。

ごとっ

挿絵(By みてみん)

「また似た様な? 何?」

「これは床掃除の当番表だ」

「床掃除もさせられるのね……」

「ああ、面倒癖えんだよなあ……まあ今はその話はしないけど。で、並び順を見てくれ。俺は川谷の下だろ? これは、この当番表を作る前に作られた物。そして、社長が作った物だ。掃除の順番ぐらいは差別せず上から二番目に俺を置いている。何故なら手紙を見せる前だったから」

「本当だ……」

「なのにこの新しく作った当番表では俺の名前は下から2番目になっている」

「そういえば」

「これは自白しろという内容の手紙を渡した直後に作られた当番表だ」

「素直に謝るのは幼稚園児でも出来るって煽ってたよね?」

「ああ、それを読んで頭に来ちまったのかなあ……器が小せえから」

「小せえは余計よ!!」

「ああ! ごめんよ! ってアリサちゃんじゃないんだけどよ……」

「その言葉に反応しちゃったのよ!」

「わかった! 気を付けるぜ! これな、今までは会長が一人でやっていたんだが、年も年だし引退する事になってな。じゃあ従業員にやって貰おうと確か2012年位に作った当番表だ。ここから時系列的にも手紙を受け取った直後で、俺の名前のシールを上から順番に貼ろうとしたんだが、どうしても上の方には貼れなかったんだと思う。俺は手紙で内藤を悪く言った奴。もっと言えば自分が選んだ優秀な社員を悪く言う悪魔のバイトだ。で、悩んだ末一番下と言うのもおかしいと奴の中でも思っていた様で、下から二番目にしたんだよ。この辺も器が小せ……やべっ!」

「www」

「そんな安月給のバイトが、高い給料をもらっている社員の内藤様を攻撃するなと言わんばかり……」

「それはあのカスの匙加減でしょ? 真実を見て見ぬふりをし、無能の内藤を評価し続け、能力の無いという事実も見て見ぬふり……何故なら自分が選んだ人物だから……身勝手にも程があるわ……何であいつ社員なのよ……老人だし、学力もないし、仕事も出来ないし性格も悪い……」

「どう考えても分からん。だがその優秀な内藤にある事ない事言って陥れようとするような悪人は下から2番にしてしまえ!! と、感情的に並び替えた訳だな。バイトとは言え、20年働いてる人間をこんな下に出来る神経は、手紙を読んで効いちまったから怒りに任せてやった事と容易に推測出来る。平常心では起こりえない現象だ。相当俺に憎しみを抱いていたんだろうなあ。正に逆恨み」

「ビックリする程心が狭いわね……コミュニケーション講座で論理的思考を学んだんでしょ? それなのにこんな事でキレて……大人げなさすぎるわ……」

「実際は何も学んでなかったんだろうな」

「そうね。こんなバカなのに鈴木さんより優れてると思って、いざ同じ舞台に立って見たら惨敗して宇宙一汚い悲鳴を上げる始末……ねえ、そいつって本当に自分が社長でもいいと思っているのかしら? 謙虚さが足りないわ。あれ程無能なのに社長でいいと甘んじている。親ガチャに成功しただけじゃん。恥の上塗りよ。これじゃチンパンジーに社長の座を譲った方が良い運営が出来ると思う」

うむ。

「猿以下かww」

「凄い奴よ……聞けば聞く程に嫌いになっていく……今更だけど奴の良い所って何かないの?」

「うーんそうだなあ……さっき言ったけど自分が認めた人間には優しいくらいか?」

「優しくする相手間違えてるよ!」 

「ああ」

「じゃあもう奴に関しては終わりなの?」

「残念だがまだまだあるんだ」

「へえ……私、そいつをまだまだ嫌いになれるのね……はぁ……もうお腹一杯よ……確かに奇行だったわ」

「俺の解釈は間違っていないよな? 奇行で合ってるよな? 俺も初めての事でよくわからない。だが奇行という位置づけで問題ないよな?」

「確かにそうだけど、考えて見れば奇行と言うよりは犯罪じゃない? おかしくなっちゃうだろじゃなくって、これが広まっちゃうとISO剝奪されちゃうだろ! そんなの絶対にやだもんねーの間違いだね」

「そうだ。全てを聞いた筈なのに、手紙を見た事もこの当番表の並び順ですぐに分かったしな。奴は間違いなく専務から受け取って読んだという事だ。それによ、700時間と言う突拍子もない嘘を俺が付けるかどうかなんて20年も見てりゃ分かるだろ?」 

「うん、多分あいつは700時間も痛いけど、それ以上にISOまでも失うのは嫌だと思ったんだろうね」

「だな。700時間の捏造はもう取り返せない。だがまだISOは残ってくれている。だがそれを報告したらISOまで剥奪されちまったら踏んだり蹴ったり。だからその事は許し、仕方なく守ろうとしたんじゃねえかな?」

「そうとしか思えない。間違った継続よね」

「そうだ。だから手紙を読んだのは間違いない。で、俺を親の仇の様に睨んで来たからな。これじゃよ、内藤を守ろうという気持ちではなく、アルバイトが会社の運営方針に口出しすんじゃねえよって言っている様なもんだ」

「犯罪者め……」

「で、言い終えて満足げに自分の機械の所に戻っていくところをずっと見ていた。そしたらそれに気付いて睨み返してきた」

「うん、その気持ちわかるよ。悔しくて悔しくて仕方なかったんだろうね」

「だが俺は一切目を逸らさず少し憐れみを含んだ目で見続けた。俺に負い目は一つもないから」

「奴は、目を逸らした。バイトの鈴木さんに対して……社長なのに……」

「お? 正解だぜ! アリサちゃん良く分かったな。その通りだ。負ける気がしなかった。どんなに金を持っていても社長と言う権力があっても、残念ながらこの件に関しては何も効果は無い、どちらに正義があるかは火を見るより明らか。結果、俺にひれ伏した」

「当然よ!」

「もう一つ気付いた。俺のこの正義の行動は、奴の中ではあまり表沙汰にされたくない事を大声で喚いていたって事。正しいと分かっていても俺に対してどうしても攻撃せざるを得なかった。それを阻止する事が悪い事だと分かっていても、抑えられず俺と内藤の間に入ってきちまったんだ」

「でも怒りを爆発させた後、冷静になって事の重大さに気付き、目を合わせる事が出来なかった……と」

「間違いない。じいっと見てた事に気付いた奴は、確実に表情を鬼の様に変化させていたんだ。そして一度首をこっちに伸ばし威圧もしてきた。噛みつこうとするすっぽんみたいにwだがそれでもずっと目を逸らさず見ていたら、あっちから目を逸らした。理由は簡単。自分でも理不尽な説教だと知っていて、怒りを継続する事が出来なかったからな。あいつでも冷静になれば善悪の区別が付く事に少々驚いた。にしてもあそこで出しゃばらなければ

【自分の罪を隠したいと言う明確な逆恨み】

だけはバレなかったのにな。馬鹿すぎる。で、保身しか考えていない」

「初めから来なけりゃ良かっただけよね」

「でもそれでもバイト風情が、社長が精査し選びぬかれたエリート社員に因縁付けてるからどうしても我慢出来なかった。と、言う事だ。ふう……子供以下だわ……」

「そういえばさっき話したかもしれんが初めて忘年会に行った時」

「しゃべってるよwの時の事ね?」

「うう……よく覚えてるなあ。しかしいつ思い出してもむかつくわ……でな、奴は俺の右隣に居たんだが、更にもう一つ向こうに専務がいて、

『酒入ってたら運転できないよね』

と、恐らく帰りの足の事を社長に相談してたら、

『短けえ距離なんだから関係ない』

と、飲酒運転する気満々だった。まあ会社から500mくらい先にある焼き鳥屋でやったんだ。それでも本来、運転代行を頼み帰るのが常識。それが勿体ないから、近いんだし酒気帯び運転でもいいんだよ! と小声でアドバイスしていた」

「とことん醜い……元々こんな考え方しか出来ない野郎じゃ鈴木さんの話なんか聞く筈ないわよね……国が定めた事ですら守ろうとしないんだから……」

「ああ、そうとしか思えん。俺はおかしい老人を正しい道へ戻す為に頑張っていたってのに、それすら許してくれない。手紙を無視するだけでは飽き足らず、社長と言う権力を用いてありとあらゆるいじめを俺に行い、余計な事をさせないように計らった。誰にもばれない様に隠れてな。俺が孤軍奮闘し会社を良くしようと努力する事すらも禁じたんだ。ここまでする理由だが想像だが奴は俺がこんな手紙を突然出したのは奴にいじめられた報復で、

『敢えてこんな心を抉る様な手紙書いてよこしたんだ。許せない』

という理不尽な感情が爆発したのか?」 

「少しはそんな気持ちがあったの?」

「いや? 純粋に内藤に対しての怒りが高すぎてその間は社長への憎しみは薄れていたわ。こんな奴がこの会社に居ていいのかって気持ちで訴えかけたんだよ。そもそも奴の捏造に気付いたのも偶然指示書を見て気付いたんだからな。それが、7時間を2時間の時だから驚いた。20年務めて以来初めてのピンチが来たと考えた」

「信じるよ」

「それとも? 俺がバイトで、バイト如きが最高権力者に指図するなって所だろうさ。確かに今まで馬鹿にしていた何も反撃してこないゴミみたいに思っていた女狂いのスケベバイトと思っていた奴がここまでしっかりと正論を叩きつけてきた瞬間混乱もあっただろう。だがそれが理由になるか? 俺は頑張って勉強してあの文章を書き上げた。あんな奴の為に成長したんだ。ところが奴は、

『バイトは頑張るな。黙って社長である俺の言う事を聞いて置け!』 

の気持ちが強すぎて、俺の正論は無視してもいいって思っている。そんなの法律にはないよな?」

「無い。確実に社長がおかしい」

「俺もそうとしか思えない。だがともあれどうあっても真実をISOの監査官に言うつもりはないだろうな。ある程度頭が良ければ、この手紙の内容が、いじめた報復か、正しい会社に戻ってほしいという強い気持ちかどうかなんてすぐ分かりそうなもんだがなあ」

「って事は専務に貰って読んで、すぐにイラついて破り捨てろ! って命令したっぽいよね」

「うーん、そうだろうなあ」

「と、なると……完全に内藤の悪事を隠す気満々じゃん」

「そうだよな……何度も書いたんだぜ?」

「え?」

「何回か出ているが、2月に書く提案書に、その年はどういう目標で過ごすかみたいな事を書く欄もあり、そこに、

『捏造や誤魔化しのないクリーンな会社を目指す』

って毎年書いているんだけどなあ。毎年同じ事を書くという事は、この会社はクリーンではないと暗に示しているんだよ」

「うん」

「でもそんな事すら気付かねえんだろうなあ。絶対に不正を正す気はなさそうだぜ……」

「この会社の行く末はビッグリシテモーターじゃん」

「ビッグリシテモーターってのは良く分からんな」

「中古車会社よ。だけどお客さんの車を点検や修理する仕事もしてるんだけど、その際に自分で傷をつけたりパンクさせたりして大目にお金を請求してた事がばれて……」

「そうか、まさにだな……だが、奴の下らん見栄の為に、この会社の為にじじいを叱っている俺を非難した訳だ。理由はISOを剥奪されるのが嫌だから。結果、悪い事をしている奴を守り、正しい事をしている俺を攻撃したという訳だ。新年に自分の会社名が新聞に載る。それを誇りに思っているんだろうな……どんなに悪い事をしている奴が居たとしても、それさえ隠せばもう大丈夫って話だ。俺から言わせりゃ恥さらし以外の何物でもないのにな……恩恵だけ受け、悪いと分かっていても言い出さない。だが、内藤も自分が捏造をしている事さえ言わなければ社員として定年まで安定して仕事が出来た。そして社長と言えば内藤の悪事さえ隠し通せさえすればISOを継続出来る訳だ。同属性の二人だ」

「うん」

「奴はそれに気付き、内藤を擁護しなくては! と、感じてしまったのだろう」

「同類相哀れむね」

「奴は内藤という犯罪者を社員として入れたというミスを絶対に認めず、俺が不正を気付き、正当な理由で攻撃している事も気に入らない。だからムキになって守っていたんだ。本来あんな人間を擁護する要素はない。一つもな」

「うん。普通なら内藤が責められるべき事よ」

「俺が世間一般で

【悪い奴】

と考えられている人間でも、それを正当な理由で攻撃したとしても、攻撃された人間は無条件で社長の中では良い人間になっちまうんだ。それが例え殺人犯だとしても変わらないんだろうな……流石にそれは無いかな?」

「恐ろしい話ね……」

「恐らく墓まで持っていくつもりだろうな。奴はどうやらおねしょしても布団を提出せずそのまま放置し腐らせて、カビだらけになった頃、お母さんに発見され、おねしょをした当時に提出していれば見る事の無い程説教される道を選んだって事だな。自分から……」

「分かりやすい例えね。今もその秘密を隠し通して営業している訳ね。もしバレた時の事を考えてるのかしら? バレたら色々な人に、

『あ、あいつ木林製作所の社員だぜw』

って指を差されて笑われるよね。まあ考えていないだろうね……」

「恐らくな。考え付く筈もない。だが布団は徐々にカビが繁殖し始めている。もう取り返しがつかない。でもな? 新規の客や面接した後に新入社員になるかもしれない人間を工場内に連れて紹介する時の顔を見ても

【自分は一切悪い事をしていない】

という自信に満ち溢れた顔で紹介していたぜ?」

「奴の中ではもう終わった事って事ね」

「ああ、あれだけの悪事を、バイトの戯言で終わらせたんだ。タイムカードとパソコンの中のデータを照らし合わせれば絶対に捏造している事は明白なのによ。で、務めている間、その事を社外に密告する事は無かったぜ」

「どうして?」

「中には本当に頑張っている奴もいる。そいつらまで迷惑を掛けたくなかった。まあ本当なら言わなくちゃいけないんだけど、それだったら俺の口からではなく内藤か社長のどちらかが自主的に言い出すまでは言わなかった。まあ、恥ずかしいしそこまで積極的じゃなかったってのもあるがな……今はもう死んじまってるし思う存分言える訳だ」

だが、その話を聞いてしまったアリサはもしかしたらその会社に乗り込んでいくかもしれぬぞ。彼女はそういう幼女なのだ。

「あ、あのさ……もしかして内藤以外にも狂った従業員はいるの?」

「沢山いるぜ」

だろうな。

「えww」

「そりゃそうさ。内藤を含め全部あいつが人事を担当してるんだからな。センスの欠片もねえ男が選定したんだ。奴の波長に合う選りすぐりの狂ったナマモノ。センスの無いナンセンスが作業着を着て、ナンセンスな会話をし、ナンセンスに仕事し呼吸する。そんな見ていて呆れる様な尊敬を一切出来ねえようなキチガイ社員しかいねえ。発達障害者と知的にボーダーな未熟児と、人格破綻者と事故物件と犯罪者と身体障害者が支えあって運営されている狂った空間。一言で言うなら地獄レベル99だ。バイトの俺が一番ましだと言える位狂っている。大分減っちまったが、例えるなら

【現世に存在する魔界の動物園】

って感じだぜw」

「語彙力限界突破www」

「おっと飛ばし過ぎたか……まあ訂正はしねえw」

「でも、この世界をカンストまで育てた感じなの? 上界って怖いところねえ……こっちの方がまだましじゃん」

「やっぱり戻りたく無くなってきちまったじゃねえか」

「大丈夫、それでも戻る。でもそいつらもめっちゃ興味ある!」 

「そうか?」

「でも辞めた人もいるのね? 大分減ったって言ってたわ」

「ああ、あんな奴の下で居られるかって辞めて行った人間は大勢いる。その分残っている奴は粒ぞろいのクズばかりだ。木林製作所の悪魔養成プログラムを無事全て終了し、それを納得し続けているエリートのクズ。親衛隊だ! 社長教の信者……そう、社長が死ねと言えば喜んで死ぬ操り人形。いや……もはや人の心を失った機械なのかもしれん」

「ww辞めた人、目覚めた人達の事も知りたい!」

「おう、てか、

【目覚めた人達】

か……言い得て妙だな。そして良い響きだ! よし、これより、第一の目覚めし者を紹介する」

「わくわくw」

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知的にボーダーと言う言葉は読者様のコメントで教えていただきました。どこかで使いたいかっこいい響きだなあと思っていましたが、ようやく夢が叶いました。

私の行く先々で事件が起こる件について4 エピソード19 内藤さんラストフィニッシュファイナルアタック

人は落ちるところまで落ちるとこういう行動に出るみたいですね。あっフィクションです。

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「あいつな、俺がトイレに入る時間は把握してるってさっき話したよな?」

「うん」

「だから、俺の入る直前にう〇こをして、その残り香で攻撃してきたんだw」

「ひええwでも偶然とかじゃないの?」

「いや……散々フィクションフィクション言ってたけど、ここだけは、ここだけは……ノンフィクションなんだ。信じてくれ!! 頼む!!」

突然椅子から降り土下座をする鈴木。

「え? どうしたの突然……凄い熱量じゃない……修ちゃんを思い出しちゃったよ……うん、分かった信じるよ……面を上げい……って、え? え? いつそんな事言ったの? そんな話あったっけ? フィクションってワードさ、私達の会話の中では一度も出てきていないよ?」

「読者さんだけは分かるんだぜ!」

「そうなのかあ……って読者様って何?」

「おいおい……んな事俺に聞いても分かる訳ないだろw」

「ああ、そうだったねwまあその話一応信じるんだけどさあ……子供以下じゃない?」

「残念だがこれも実際に見たから間違いない」

「何を?」

「内藤がトイレから出て来るところをだ。12時の3分前と16時の3分前に決まって出て来る様になった」

「嘘……そこまでする奴なんだ……確かに動物園のゴリラも檻の中からもう〇こを投げつけてくる場合もあるらしいけど」

「ああ……う〇こは武器になる。強力な武器にな。本能的に知っていた奴はそれを最後の武器として使用した。どうしても俺を許せなかったんだろう。自分が捏造した事などすっかり忘れて復讐の鬼と化してしまった……3分前なら最高の残り香を俺にお届けする事が出来る。おまけに異様に臭くてよ、恐らく前日に肉を沢山食って強化してくれてるかもしれん。言っていて恐ろしい内容だがな」

「芸術家気質w」

「なんだそりゃ?」

「鈴木さんに最高の状態の大便を届けようとドーピングして来たんだからそう思っちゃうでしょ?」 

「そういう事か……」

「でも11時57分に排便して、15時57分にも出せるかなあ?」

「そうなんだよ。同じクオリティなんだよなあ」

「もしかして」

「え?」

「12時に排便した時は50%だけ排出し、15時57分に取っておいたんじゃない?」

「リサイクソw」

「リサイクソwwwwまあ実際は分便だけどねwwwwそこまでするのかよ、恐ろしい……」

ゴゴゴゴゴ

二人はふと既に出してある内藤のブロックに目をやる。

挿絵(By みてみん)

ブロックから異様なオーラが出ている気がする。負のオーラ。死のオーラ。負け犬のオーラ。

「勿論別の人に見られたら困るのもあり、しっかりと流してはあったが、明らかに直後の感じで滅茶苦茶臭かった」

「もう便座も温める事も出来なくなって、睨む事も無理。最後の手段で自分のう〇こで攻撃して来たって事なの?」

「ああ、奴は自分の最高の武器がうんこだと分かったんだ」

おいおい……伏せてくれないか?

「最低の最高の武器w」

「確かに最強で、この攻撃は地味に苦しかった。こっちも催しているのにこの臭い。逃げたくても逃げられん。しかも冬は窓を開ける筈なのに、この攻撃手段に変更した途端、臭いを逃がしたくないから窓を閉め切ってくれていた」

「徹底してるねえwでも初めからこうすれば絶対に気付かれずに鈴木さんを攻撃で来たんだよね?」

「確かにな。まあ頻繁にトイレから出る姿さえ見られなければだがな」

「そうだよね」

「その毒の蓄積で俺は気付かずに死んでいたかもしれん。実際その後気分が悪くなり病欠が多くなってな。それに目を付けた社長に呼び出され、クビになったんだ。奴に見事リベンジされたって事だな」

「ひええ……うんこパワー恐るべし」

伏せなくっちゃ駄目だよ!

「ああ、しかも老人のうんこ。そんな物にクビにされたと思うのはらわた煮え繰り返るわ」

伏せなくっちゃ駄目でし!

「トイレも気の毒よね」

「ああ、だがそこに辿り着くまでにいくつかのステップを踏んでくれたお陰で少し生きながらえたって事か」

「少しって……ああ、結局自殺しちゃったんだもんね……」

「そうだ……」

「悔しいよね……でもせめて便座温め&冷やし、睨むからのう〇こ残り香の順番のお陰で気付く事は出来たって事だよね?」 

「ああ、決まった時間に攻撃してきたのはすぐに分かったので、トイレの時間をずらす事で無事回避する事に成功した」

「馬鹿で助かったよね」

「だけどよ……これがだぜ? このきったねえじじいがだぜ? この肛門から出た塊で攻撃してきたんだよw」

挿絵(By みてみん)

「分身の術wwwwwwww」

「え?」

「こいつはさあ、もうう〇こみたいなもんじゃん」

「え?」

「自分がう〇こと自覚していて、う〇こがう〇こを出して攻撃したんだから、分身の術でしょw奴の分身が流れていく間際に残した香りで鈴木さんを攻撃したんだよw」

「肛門から出すタイプの分身かよ……ひでえwしかしアリサちゃんは発想力豊かだなあ」

「でしょ? 左利きだもん」

「ああ、そういえば内藤もなんだよなあ」

「え?」

「あいつも……左利きなんだ」

「ええええええええ」

「信じられないが本当だ。左利き特有の発想力を生かし、誰にもばれない様に工夫してありとあらゆる嫌がらせを俺に届けてくれた訳だ。捏造した癖によ」

「成程ねえ。捏造したのも工夫だったんだね」

「言われて見りゃそうだな。自分の仕事が遅い。どうしよう? よし! 捏造で補えばいい。という事か」

「そうね。でも本来はどうすれば早く出来るかを考える工夫をするべきよね」

「その通り」

「そして嫌がらせに関しては試行錯誤の末、行きつく先は原点回帰だった」

「ん?」

「便座を温めたり冷やしたりの攻撃よりも、睨むよりも、気付かない様に時間的に鈴木さんが入る直前に出した自分のう〇こが、そう、う〇ここそが、最後の、そして、最高の、攻撃だった……と……灯台下暗しねえ。その発想力を仕事を早く終わらせるアイディアを思い付くのに使いなさいよ……左利き業界の恥さらしね……左手を切り落としてほしい」

「ひえええ……そこまで言うか? だがなあ年が年だから無理だったんだろうな」

「う〇こみたいな奴ねえ」

「そうだよw自分の排泄物すら武器にしてしまう恐ろしい男。奴は、

『どうしょうも無い……よし、最終手段だあ』

って思い付いたのがあの最低の作戦……そんな作戦なあ、う〇こじゃなきゃ思い付けないんだよ!」

「wwwww」

「社長も嫌いだったがここまでされて、その瞬間は内藤の方が嫌いになれたぜ。兎に角悪足掻きが醜すぎてなあ。あいつに足りないのは

【潔さ】

だ」

「大体わかったわ。最低の話だった。でも手紙の内容……内藤も堪えたでしょうw」

「さあ? 直接読んでいる所は見ていないからな。渡したらすぐに立ち去ったからな。その後、普通に破り捨てた可能性もある。で、その後も余り変化がなかったので、次なる作戦は直接話してみた。

『内藤! お前は裏で誤魔化しているのに……その事を黙って社員として高い給料を受け取り続けている事実を家族のみんなに言えるのか? お父さんは不正をして汚い金でお前らを養っているんだぞ! ってさ! そんな事を続けてお前恥ずかしくな……』

「ちょっといい?」

「ん?」

「今お父さんってって言う恐ろしい空耳が聞こえたんだけど……」

「え? ああ、あいつは妻子持ちだ」

「えええええ? あの顔で?」

挿絵(By みてみん)

「おっとアリサちゃん? 顔じゃなくて肛門だよ?」

「そうだったわ。ごめんね。あの肛門で妻子持ちとか信じられん」

私は顔を肛門と言い直すアリサの方が信じられん。

「俺も信じられん。どう考えても妻子持っちゃいけない系男子なのになあ」

「wwww」

「そうそう、奴の子供も木林製作所で働いていたからな」

「へえ」

「奴が入る前に入って来た」

「子供の方が先に入ってきて、後からじじいが釣られて入って来たって流れなのね」

「そうだ。鼻と唇が奴に瓜二つで、言われなくても親子と分かった。奥さんの遺伝子が入ってないくらいそっくりで、最早ドラゴンキューブのピッコロン大魔王の様な出産方法で生まれたとしか思えん」

「口から卵を出す感じ? そいつも捏造してたの?」

「俺とは違う部署で生き生き仕事してたな。だから分からん。まあ奴よりも先に辞めちまったけど」

「理由は?」

「そこまでは分からん。突然消えた」

「でもじじいの方は辞めてくれなかったと……」

「そう。本当にしぶとい奴だと思ったぜ……で、俺は更にこう続けた。

『俺は能力が控えめでパートさんよりも仕事が出来ないからこういうテクニックを使って上手に銭を稼いでるんだ! どうだ? 偉いだろう? 頭いいだろ?』 

って家族に自慢でもしてるんか? それにお前年のせいか不良率高いよな? お前しか不良箱使ってないぞ? いっそ内藤専用箱に改名したらどうだ? と」

「不良箱?」

「失敗した物を一旦そこに入れて、毎週火曜日の昼礼でみんなの前で報告するんだ。みんなの前で話すのが苦手な俺は、不良を作ったら最悪の気分だぜ。例えば水曜日に不良作っちまったら、六日間それをどう言って報告しようって悩み続ける位だったからなあ」

「へえ……メンタル弱いのね……」

「ああ、それで不良品を出さない様に一度ミスった物は日記を付けてしっかりと記録した」

「いいじゃん!」

「内藤はそんな事は一切せず、不良を作ってもへらへら笑いながら提出し、また同じミスを繰り返す。ここまでの奴の偉業を自覚してるならさ、普通は潔く白状して辞めるか、何も言わずに辞めるかの2つしか選択肢はないだろ?」

「一般の良識があればそうよね」

「だが奴は言わないで続けるを選んじまった」

「奴しか得をしないパターンね」

「そうだ。最後にも書いたが定年まで居座るつもりだろう。あれだけ叱っても、手紙を受け取った直後も涼しい顔で仕事してやがったからな。すげえメンタルだよ……」

「でも、ほんの少しくらい影響はあったんだよね?」

「そういやあったな」

「何?」

「ISO外部監査の当日欠席する技術を得た」

「逃げたw」

「俺が手紙内でISO剥奪の危機の立役者と書いたから、外部監査の予定を社長が昼礼で発表するんだがその日だけはあの頭の悪い男でもしっかりと記憶していて出勤しなかった。あいつさすげえ健康なんだよ」

「え?」

「皮膚もボロボロ体もブクブク。老人オブ老人なのに一切病気をしない」

「嫌いな奴が健康なのって嫌だもんねえ。そういや手紙でも足が悪くなった事を喜んでたもんね」

「すぐ復活したがな……それの方が堪えるぜ……だから休んでくれた時は工場の邪気が消えて嬉しい気分がした訳だが……その行動の意味は、保身……それ以外の何物でもない」

「そうよね……PC内に全て証拠が残ってるのに今更体だけ逃げたところでねえ」

「そう、外部監査の人にPC内を見られたらもうアウトなのに意味なく休む」

「じゃあ、お説教に対するじじいのリアクションは? 直接言った訳だし、少しは効果あったんでしょ?」

「ノーリアクションだ」

「は?」

「返す言葉もないという事か? 薄ら笑いを浮かべ、ヘこへこと頭を下げて俺から逃げる様に消えていくだけ。一度もその事に関して声を発しないんだ。表情も一つも変えずに……プロのゴミだなって思ったわ」

「プロ? ああ、それで稼いでるからプロでいいのかwww」

「仕事の時だから喋らないのか? と思って、休み時間に押しかけてさっきの事を言っても薄ら笑いを浮かべて一礼したり、時々俺の正論にグサッときたのか嫌そうな表情になったり、そうかと思えば突然狸寝入りをしたりと……その3つのパターンを繰り返していて、結局

【一切喋らなかった】

休み時間の5分が無駄になったぜ。で、一応言いたい事を言いきって一時的に俺の怒りが収まり、お説教が終わったと分かったら、まるで悲劇のヒロインみたいに悲しそうな顔もしていた。俺が休み時間を使って一生懸命説教してやってるって言うのに突然眠りだすんだぜ? ありえねえだろ?」

「で、こいつはどうせ鈴木さん程度ならそれを報告する度胸がないって高を括ったって事? 腐ってるわね。しかし、元やくざとは思えない根性の無さね」

「いやいやw俺が直感的に感じただけで、本当にやくざかどうかは分からないよ。でな? お説教は無駄だと判断し、この職場を出て行きたくなるような代替案を出す事にした」

「そんなの無いよ」

「一応あるんだ。こんな提案だ……

『お前はこの仕事向いていないからその顔を生かしてお化け屋敷でお化け役のアルバイトをやればいいんじゃないか?』 

と提案したんだ」

「あっ! それって最高のアイディアじゃない!」

「そう、メイク要らずで朝起きた瞬間顔面肛門酷似型のゾンビだから、ボロボロの服に着替えるだけで脅かす係として間違いなく成立する。まあ最悪普段着で成立可能」

「顔面肛門酷似型wwww初めて聞いたわwwどんな型のゾンビよwwww」

「で、道の真ん中に突っ立っていて、

『おはようございます』

って言うだけで巨大な力士ですら恐れをなして何度も転びながら逃げて行くから適材適所だぜ! ってアドバイスしたんだぜ?」

「そうなんだ。でも力士さん転んで死んじゃうかもしれないのはかわいそう」

「しなないしなないw それに例えばの話だってwまあ力士だぜ? 投げられて土俵から落ちたくらいで死んだ力士を見た事ないだろ?ww」

「まあそうよね……それなのに何故か製造業でちまちま作業する方を選んで、尚且つちょっぴり頑固だけど仕事は速く真面目なおじいさんと言う人物像を、指示書の捏造をする事で演じ続けようとしていたのね? 誰にも需要が無いのに……何でだろう……」

「奴の中ではそれがいい年の取り方だと思っているんだろうな……俺もそんな年の取り方をしたいと思っていた。ここだけは内藤と同意見だ。だが、実力が足りなすぎる。なのに仕事中の態度、喋り方は正にアリサちゃんの言ったそれ。中身は伴っていないのに。だから奴の話を聞く度に吹き出しそうになる。捏造してんの隠してその役になり切ったところで知っている俺からすりゃ単なるコント……それを分かった上で演じているんだよ。どういう神経してんだよ……」

「手紙でも書いてあったけど本当に見栄っ張りなのね……あいつの顔はお化け屋敷のお化けとしてなるべくして生まれた男なのに、自分の才能を生かしきれず捏造がばれている鈴木さんに嫌がらせをしつつ、おっそい仕事を続けていたって事ね……要らなすぎる……」

「で、事件が起こってしまった……いや、そう、ついに社長の奇行の瞬間を話す時が来た」

ぬ? 奴の奇行について話すかと言ってからようやくその答えか……一体何文字だよ……ちょっと数えてみるか……ええと、11話の

『内藤さん!?』

の7777文字中の序盤を抜いて

『奴の奇行について話すか』

から数えて……1、2、3、4、……5226文字か……そして次の

『鈴木の手紙』

は7777文字。

『鈴木の手紙 後編』

は6602。で、

『内藤の手紙1』

が9114、2が8303、3が12113、4が9548で、

                   

『内藤さんの嫌がらせ!』

で6547、6608で今話の

『奇行の瞬間を話す時が来た』

までが、5772字。ぬはぁあ……これを足し算して……72311字か……おったまげたあ……でもよおここまで来たらよお70000ピッタリに出来なかったのかよお? こんな中途半端な数字で……情けない……でも、稼げたんだよね? たくさん。じゃ、いっか……でもよく考えたらもう10万は越えてると思うんだ。でも敢えてそれは数えない。だってまだ途中だもん。終わるまでが遠足だって言うから終わるまでは数えない。それにもしかしたら下がるっていう可能性もあるじゃん。奇跡が起こ