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オオカミと7匹のオオカミ男 後編

「いやあ激しい戦いだったよね」

 

「本当に瞬きも出来ない戦い……勝った君たちはおめでとうだよ」

あれ? 語尾はどうしたんでしょうか? ははあ……成程ね……語尾を付けてしまえばどのチームが勝利したかが中編・狼人ゲーム 初日発砲無しルール 7匹部屋を飛ばしてここにいらっしゃった読者さん達にバレてしまいます。それを回避する為に敢えて語尾を我慢しているのでしょう。もしもどのチームが勝ったかを知りたければ

 

【中編・狼人ゲーム 初日発砲無しルール 7匹部屋】

 

を読むしかないと言う事なのでしょう。何とあざといオオカミ男達でしょう……もし気になってしまった方は中編・狼人ゲーム 初日発砲無しルール 7匹部屋を是非ご覧下さい!!!!

そんなのどかな7匹の時間を遮る様に、誰かが玄関のドアをノックし、言いました。

「子供たち? ドアを開けてグル? お母さんですよ。お前たちにいいものを持ってきましたグル」

しかし子供達は、お母さんの声を間違える筈がありません。全く別人のがらがら声で、それは野生のオオカミだと分かりました。

「戸を開けないガルよ。お前はお母さんじゃないガル。お母さんはもっと柔らかい感じの声をしてるんだガル! お前の声はがらがらだ。故にお前は野生のオオカミガル!」

とおそガルは言いました。

「し、しまった! これは別の作戦で行くグル」

オオカミは一旦立ち去り、お店に行きました。

 

「こんちは」

 

「いらっしゃい何の御用で?」

 

「これ下さいグル」

 

「まいどありい」

オオカミは何を思ったか大きな石灰のかたまりを買い食べはじめました。すると? なんと声を柔らかくすることに成功しました。

 

「あーあー♪ 何と言う柔らかさ! よし、これでいけるグル!」

それからすぐガル野家に戻りドアをノックし言いました。

 

「♪子供たちや、ドアを開けてグル。お母さんグル。お前たちに本当にいいものを持ってきたグルよ♪」

確かに美しい声です。しかし、オオカミは窓にうっかりと前足を乗せてしまいました。おそガルがそれに気付きます。

 

「フッ、ドアを開けないガル。お母さんの足はお前みたいに獣の様な手をしていないガル。お前はオオカミガル」

そうです。お母さんはオオカミ女なので、指は人間の様にしっかりとじゃんけんでもパーも出せる位に分かれています。オオカミの様にくっついていません。そこにあっさり気付かれてしまいました。

 

「鋭い……これは強敵グル……」

 

すると狼は何を血迷ったかネイルサロンに走って行き、

 

「俺の手を人間っぽい感じに変えてほしいグル」

と無理難題を言いました。そこまでネイルサロンは万能ではありません。

 

「ええ? これを?」

困惑しているのを見かね……

 

「もういいグル。ちょっとお前の娘を借りるグル!」

 

「あーれー」

 

「ちょっとお客さん! 娘を返してくださーい」

 

「借りるだけグル。必ず返すグル」

 

「分かりましたー」

ああ! オオカミはネイルサロン店で助手をしていた店長の娘を連れて行ってしまいました。何故オオカミ男を食べる為に若い娘をさらったのでしょうか? もうオオカミ男なんか食べずにそっちを食べたほうが良いのでは……ハッ不謹慎ですね。申し訳ございません。  そして今度はノックしつつ言います。

 

「子供達? ドアを開けてグル? お母さんが帰ってきましたグルよ。お前たちに森からいいものを持ってきましたグル」

と言いました。

 

「お母さんかどうかわかるようにまず足を見せてガル?」

とおそガルは言いました。それでオオカミは窓から自分の手ではなくさらってきた娘の手を見せました。 成程! 人間の娘の手で誤魔化し騙そうと言うのですね? 賢いですねえ。 おそガルはそれが人間っぽい手をしているから本当だと信じてしまいました。ところが……

「確かに……でもちょっと綺麗すぎる気もするガルが……まあいいガル。じゃあ今から開けるガル……あれ? クンクン……あっ! お前はとっても獣臭いガル。本当はオオカミガル?」

 

「しまったグル」

オオカミはまた街に行きます。そして今度は香水専門店に行き、シャベルの5番を購入しました。

 

「まいどありい」

 

「全く、出費がかさんでしまうグル……」

そう言いつつがま口を開き逆さにしてみても、もう出てくるのは埃のみ。コイン一枚すら出てきません。とうとうオオカミは無一文になってしまいました。

 

「でもこれで完璧グル。あのオオカミ男達め……首を洗って待って居るグル! この俺が一匹残らず丸飲みにして超弱酸性の胃液でじっくり消化してやるグル」

シュシュ

そう言いつつ香水を振りまきます

 

「いい香りグル……ハッ自分に酔っている場合では無いグル。早く奴らを丸飲みにしなくては……」

そして何故か律儀に逃げずに待っていたネイルサロン店の娘の手を窓際に置きつつノックします。

 

「今度は本当に大丈夫だから開けて欲しいグル」

と、いいます。

 

「くんくん。うん、匂いは確かにいい匂いガル。それに手も間違いなくお母さんガル。分かったガル」

カチャ

 

おそガルはとても良い匂いに惑わされうっかりと鍵を開けてしまいます。

「あっおそガル? 本当に大丈夫なのかガオ?」

 

「落ち着いて下さいバブガル」

 

「ちょっと怪しいレジェンドウルフ」

 

「あれ? そういえばそうガル……お母さんはこんな高級な香水を使った事は無い筈ガル」

しかし途中でガル野家は母子家庭で尚且つ生活保護にも頼っていない貧しい家庭で、そんな高価な香水も使う余裕などは無いと言う事に気付きました。もしそんな高価な香水を買う金があるなら食料品に充てる筈です。なのでお母さんオオカミ女は普段は森に行き、食料を調達しているのです。

 

「しまったグル!(もっと安上がりで大丈夫だったのグル……勿体無い事をしたグル)でももう遅いグル!」

バン!

勢いよくドアが開き、お母さんとは全く違う凶悪なオオカミが舌なめずりをしながら家に押し入ります!!!

 

「うわああオオカミだあああああ助けてワオーン」

 

「怖いガオよおおおお」

 

「早く逃げなくては奴の弱酸性の胃液にじわじわと溶かされるバブガル……」

 

「隠れろ隠れろガウ」

 

「えーとえーと……ハッ( ゚д゚ )! あそこに逃げるガルン」

 

「どこか隠れるところはないかレジェンドウルフ?」

子供達は怯えて隠れようとしました。一ガルはテーブルの下に、十四ガルはベッドの中に、おそガルはストーブの中に、トドガルは台所に、チョロガルは戸棚の中に、カラガルは洗い桶に、後始ガルは時計の箱に、跳び込みました。

 

「馬鹿グルねぇ……みんなでかくれんぼグルかぁ? でもね? かくれんぼっていう遊びはね? 鬼が目を閉じている間に隠れるからかくれんぼなんだグルよ?w 鬼が見ている前で隠れるなんて……wwこれじゃあただ餌自身が自らお皿の上に移動して

 

「さあ、どうぞ召し上がれ」

 

と言っているのとおんなじだグルwお前達はとってもとっても馬鹿なんだグル! よおし! じゃあお望み通りっと……まずはお前からだグル!」

ガッ

 

「わああああ見つかったガルぅ」

パクッ 

絶対に噛まないように意識を集中させて―の……パクッ、ごっくん

 

「うん、のどごし最高グル♪」

 

「ひいいおそガルが食べられたガオ……」

 

「僕なんて食べてもおいしくないガウ……」

 

「別に美味しい美味しくないなんてどうでもいいんだグル。オオカミはね? おまえの味などは一切興味ないんだグルよ? だって一切噛まないんだからね。お前が俺の食道を通る快感を味わう。それこそがオオカミ流食事法グル。それに餌が生意気に喋らないでほしいグル! あーん」

ごっくん

オオカミは次々に子供オオカミ男達を見つけてしまいました。そして、無造作に飲み込みました。しかし、彼の言う通り、全く噛んでいません。もうこれは芸術と言えるレベルです。普通食事は歯でしっかりと噛み砕き、細かくしてから飲み込みますよね? そうする事で味も楽しめ、更には胃腸に消化の負担を全て押し付けないようにも出来るのです。ですがオオカミ流食事法ですと、餌が一切細かくなっていない為に、消化の際に膨大な時間が掛かってしまいます。そして当然それに伴い胃腸の負担は絶大ですこんな食生活で大丈夫なのでしょうか? ですが、その為の超弱酸性の胃液なのでしょうか? そうです。敢えて消化を遅くして、長い事お腹に食料を貯めていると言う事とも捉えられます。 故に超弱酸性の胃液でじっくり消化する事で、長時間満幅の時間が維持され、

 

【一日一食でも大丈夫な状態を維持】

 

しているのでしょうか? そう考えると狼流食事法に学ぶ所もありますね。私達人間は、一日大体3食食べます。その度に台所に立ち、支度をする必要があるのです。そういった無駄な時間を短縮出来れば、浮いた時間で更に豊かな人生を送れる筈ですが、3回食べなくてはいけないと言う習慣が幼い頃からの記憶で当たり前になっていて、オオカミの様に1回で済ます事は出来ないでしょう。ですがオオカミは長時間体に残る様に幼い頃から噛まない技術を磨き、胃のみの消化で生活してきた。そういう事なのではないでしょうか? もしそうだとしたらそれ事自体はもしかしたらデメリットばかりではないのかも知れませんね。食料を長時間体に貯めて置く事で、相対的に人間よりも食料の消費を抑えると言う節約術にも繋がります。 そして更には咀嚼をしないと言う事は、歯垢が一切付かないと言う事ですね。そうです! オオカミは虫歯にならないのです! そういえば総入れ歯のオオカミなんてどこにもいませんよね? と言う事は歯が健康な生き物なんですよ。人間は食材を噛んだ時に発生する食べかすが、歯の隙間に貯まる事で虫歯が発生します。それならば噛まなければ良い。丸飲みにすれば良いと言う事でしょう。味など二の次で、消化なんか弱酸性の胃液を出す胃腸だけに任せれば良い。長い進化の過程で、

 

【丸飲み=至高】

 

と、言う結論に至ったのでしょうね。そう考えるととっても賢い種族だと思ってしまいますねえ。私達人間は歯ブラシと言う文明の利器を使用する事で虫歯を回避していますが、それも数分の時間が掛かってしまう。仮に5分で終わる作業だとしても毎日行うため

 

【365×5分の時間】

 

をオオカミ達よりも多く使用する事になります。対して彼らは、丸飲みと言う技術で歯ブラシを使う時間すらも必要なく、健康的な歯で無駄な時間を使う事無く効率的に繁栄して行ったと言う事でしょうね。確かに味が楽しめないと言ったデメリット以外目立ったデメリットがないですが、味が分からないと言うのはかなりのウエイトを占める重大な事なので、私達人間は丸飲み食事法はやらない方が良いでしょうね。

ああっと……いつの間にか話が逸れてしまいましたね。すぐさま戻します!

 

「助けてバブガル……」

ブルブル

 

「うーん確か7匹居たような気もするけれど、6匹でもう満腹グル♡」

時計の中にいた後始ガルだけが狼に見つかりませんでした。一斉に隠れた事が功を奏し、彼だけ見逃してしまったのでしょう。 オオカミは食欲を満たすと出て行き、外の草地の木の下で横になり、眠り始めました。

「グーガル グーガル……グーガルアースゥ」

PCで色々な地形を見る事が出来そうな響きのイビキをしながら、鼻ちょうちんを出して眠ってしまいます。 それから間もなく、本物のお母さんオオカミ女は森から帰ってきました。

 

「え? こ、これは? どういう事ウルフ?」

家のドアは開いていました。テーブルや椅子やベンチがなぎ倒され、洗い桶は粉々になっていて、キルトのカバーや枕はベッドから剥がされていました。しかし、部屋は荒らされているのに、一匹も子供が見当たりません。 お母さんオオカミ女は子供達を隅々まで捜しましたが、結局どこにも居ませんでした。 そして耐えかねて名前を呼びます。

 

「おそガルー? からガルー? 十四ガルー? 一ガルー? チョロガルー? トドガルー? 後始ガルー?」

子供たちの名前を次々と呼んでみましたが、誰も応えませんでした。とうとう一番下の子まで呼んだ時、

 

「お母さん、時計の中にいるバブガルよ」

 

「こんな所に隠れて……怖かったウルフ?」

 

「はいバブガル……」

 

「みんなは?」

 

「みんなオオカミに丸飲みにされてしまいまったバブガル。その後、どこかに行ってしまいましたバブガル」

 

「……そう……ですか」

 

「グスッ……私……一人になってしまいましたバブガル……」

 

「ワ、ワオーン……ワオーンワオーン😢」

子供達を思い、お母さんは泣き出してしまいます。

 

「みんな……申し訳ないバブガル😢」

 

「はあ、はあ、もう涙も出てこないウルフ……後始ガル! 一緒に探しに行きましょウルフ?」

 

「はいバブガル」

二匹はひとしきり泣いた後、外に探しに行きます。一縷の望みに、そう、オオカミ特有の一切咀嚼せずに丸飲みにして胃の中でじっくりとその弱酸性の胃液で溶かす習性を信じ、まだ子供達は消化されていないんだ! と、言う事に賭けたのです。後始ガルも涙を拭きながら一緒に走ってきました。二匹はオオカミ特有の優れた嗅覚を頼りに、草地に辿り着きます。すると、オオカミが木の傍で寝ていました。そして、枝がゆれる位大きないびきをかいていました。

 

「あっ、あいつですバスガスバクハツバブガルくぁすぇdrftgyふじこlp;@:」「」

おや? 後始ガル珍しく緊張していますね。緊張し過ぎた結果、呂律が回らなくなってしまったのでしょうね。それもその筈です。憎きオオカミが、兄弟を丸飲みにした宿敵が、のんきに昼寝をしているのですから……誰だってこうもなりますよ。

 

「お、落ち着くウルフ」

 

「す、すいませんバブガル」

 

「寝ているウルフ? もしかして今こそがチャンスウルフ?」

 

「はい! ですが油断せずに近づくバブガル」

そーーーー

慎重かつ大胆に近づき様子を伺います。

 

「グーガル グーガル グーガルアースゥ」

ユラユラ ユラユラ

そのいびきの勢いの強さに、木の枝がへし折れそうです。やはり童話のオオカミは総じて肺活量が尋常じゃないのですね。 そしてよく見てみると、狼のふくらんだお腹の中で何かが動いてもがいています。

モゾモゾ モゾモゾ

 

「あああれはもしかして? 神様、奴が丸飲みした子供達はまだ生きてるかもしれないのですかウルフ?」

 

「確かに動いてるバブガル!! これはみんなまだ生きてるかもしれないバブガル!」

ダダダダダ それから、後始ガルは走って家に帰り、鋏✂と針と糸を取って戻ってきました。ハサミは分かりますが糸と針? 一体何に使うのでしょうか? 

 

「お母さん! これをバブガル!」

 

「任せなさいウルフ!!!!!!」

しかし以心伝心。それを手にするやいなや、お母さんは作業に移ります。そうです! オオカミのお腹をハサミでチョキチョキ切り始めました。

チョキチョキ

 

「グーガル グーガル グーガルアースゥ」

あれ? お腹を切られているのに一切動じていません。もしやオオカミ、深い眠りと言われているノンレム睡眠中ではないのでしょうか? 沢山の子供を食べ、深い眠りに就いている。だからこそ切られてもそんなに痛くは無いと言う事なのでしょうか? そして、一つ切り口を作るやいなや、おそガルがグィッと頭を突き出しました。

 

「ああっ助かりましたガル……はあはあ……」

そして更に切っていくと、残り5匹の子供達も次から次へと跳びだしてきました。 みんな生きていて、それどころか全然怪我もしていませんでした。と言うのも童話のオオカミの習性でもある、

 

【一切咀嚼せずに飲み込む事で、素材特有ののどごしを楽しみ、超弱酸性の胃液でゆっくりと消化する】

 

と言う

 

【童話特有狼食事法】

 

のお陰で無傷だったと言う事ですね。

 

「助かったガオ」

「ありがとうガウ」

 

「母さんありがとうワオーン」

「油断したガルン……」

「怖かったレジェンドウルフ……」

「一人だけ逃げのびてしまい申し訳ないバブガル……私の不徳の致すところバブガル」

 

 

「何言っているんだ後始ガル! 君が巧い所に隠れてくれたお陰で皆が助かったんだガルよ」

 

「そうだガオ! 胸を張るガオ!」

 

「そうですよ後始ガル! あなたが状況を知らせてくれなければ間に合わなかったかもしれないウルフ」

 

「ううっありがとうございますバブガル……」

そして子供達はお母さんに抱きついて、涙を流し喜びます。 しかし、お母さんオオカミ女の怒りはまだ治まっていません。

 

「さあ、勇敢なガル野家の男達なのです。涙はもう拭きなさいウルフ」

 

「そうですよね……涙なんかオオカミ男には似合わないレジェんドウルフよね」

 

「そうでしたガル……グスッ」

 

「もう二度と泣かないバブガル」

 

「一切泣いてなんかいないガルン……グスッ」

 

「その意気ですよ。じゃあみんな! 大きな石を探して来てウルフ。眠っている内にこいつのお腹を石でいっぱいにするウルフよ! そうしないとまた腹ペコになり、私達を探し回る事になるウルフ」

 

成程。糸と針はその為のツールだったと言う事でしたか……

 

「成程! 石を僕達の代用品にするんですね? 分かったガル」

ダダダダダ

 

それから七匹は大急ぎで石を集めます。そして、狼のお腹に詰め込めるだけ入れました。

切り裂いたお腹の中に石を詰め詰め 切り裂いたお腹の中に石を詰め詰め 

 

「これ位ウルフね」

切り裂いたお腹の中に石を詰めたのを確認してから―のお腹縫い縫い 切り裂いたお腹の中に石を詰めたのを確認してから―のお腹縫い縫い

お母さんは大急ぎでお腹を縫って閉じました。

 

「よしおしまい! 後はこいつが起きるのを見守ろウルフ」

 

「はいガル」

 

「はいガオ」

 

「はいガウ」

 

「はいワオーン」

 

「はいガルン」

 

「はいレジェンドウルフ」

 

「はいバブガル」

 

「グーガル グーガル グーガルアースゥ」

それでもオオカミは何も知らず寝ています。

 

オオカミ男達の作業中も微動だにする事もありませんでした。 フーム。流石の防御力ですね。

 

 

「中々起きないウルフねえ」

 

 

ーーーーーーーーーーー数時間後ーーーーーーーーーーーー

 

 

もう家に帰ろうバブガル?」

 

「もうちょっと待つウルフ」

 

「はいバブガル」

 

すると……十分眠ったようで、とうとうオオカミは起き上がりました。

 

「ふあぁー 寝たグルねえ。……始めはいい夢を見ていた筈グルが、途中でお腹をハサミで切られて石を詰められるような夢を見た気がするグルが多分気のせいグル。よく寝たせいか脳が活性化しているのを感じるグル♪」

睡眠は脳を活性化させる効果があります。他にも沢山の恩恵があるのです。その時間を潰してまで勉強や仕事をする事は推奨出来ません。中には4時間でも十分だよ! と言うショートスリーパーの方もいますが、最低でも7時間は寝た方が良いのです。

 

「ん? なんか喉が渇いたグル……そうか、眠っている間にコップ一杯分の汗が出るという噂を聞いた事があるグル。じゃあ川に行くグル」

とことこ ゴロゴロ とことこ ゴロゴロ

 

「あれえ? 歩く度にゴロゴロ言っているグル? しかもなんか体も重いし……まああれだけの数を丸飲みにすれば重いのも当然グルね。 じゃあ早く川に行くグル」

そして川に着き、水を飲もうとかがみこむと、

 

「さて、水をいただきまああああああああああれええええええ?」

ボチャン

重い石のため水の中に落ちて、惨めにも溺れるしかありませんでした。 一匹のお母さんオオカミ女と七匹のオオカミ男達はそれを見て

 

「オオカミは死んだガル、オオカミは死んだガル」

と大声で叫び、喜んで、お母さんと一緒に川のまわりを跳ね回りました。

 

「ふうすっきりしたウルフね! ところでどうして扉を開けてあいつを入れてしまったんだウルフ?」

 

「ああ……それは、それだけは言いたくありませんガル」

 

「いいえ。これは言わなくてはいけませんウルフ」

お母さんは全てを見透かすような瞳でおそガルを見つめます。

 

「うう……分かりました……あいつ、だみ声で、森で取ってきた良い物をあげるグル。と言ってきて、ノックして来たのです。 それを奴のガラガラ声から見事見抜き、追い払ったのです。そうしたら、次は声をお母さんそっくりに変えて戻って来ました。それでも窓から見えた奴の手が毛むくじゃらの黒い手だったので、お母さんではないと見抜いて追い払いました。それでも諦めずに次に奴が使った作戦は人間の替え玉を利用し、綺麗な手で騙そうとして来ました。ですがそれにも騙されず奴の臭いを見抜き、追い払ったのです。そうしたらとてもいい匂いに変わっていてうっとりしてしまいうっかりと開けてしまったのですガル」

 

「待って下さいウルフ? グル? あなたは根本的なミスをしてしまっているウルフ」

 

「はい?」

 

「よく思い出しなさいウルフ」

 

「分かりません」

 

「語尾です」

 

「え? 語尾?」

 

「そうです。私は言葉の最後に【ウルフ】と付けているウルフ? ですがそのオオカミは声色や姿や臭いを変えても語尾はずうっとグルだった筈ウルフ?」

 

「ああっ!! そうです。き、気付かなかった……そんなトリックが……」

いいえ。トリックではありません。

 

「うっかり者ですね」

 

「ですが母さんはオオカミが変装する事と、だみ声と、獣臭いと言う情報しかくれなかった筈ガル!」

 

「そうでしたね。それは確かに私も抜けていたウルフ。ですが、これからは相手の話を最後まで聞き、更には語尾にも注意を払う事にするウルフ。そうすれば騙される事はもう無くなる筈ウルフ」

 

「はい、勉強になりましたガル。しかし、もしも語尾を使わないキャラクターの場合はどうするんだガル?」

 

「へ? ……その時は諦めましょウルフ」

 

「ズコーガル(T_T)」

こうしてガル野家に新たな家訓が追加されました。それは……

 

他狼ひとの話は最後まで聞く。当然語尾にも気を付けて】

です

めでたしめでたし

 

「はいおしまい!」 

 

「88888888意外とよかったね」

 

「そうね。一旦寝ましょう……夢に出てきませんように……」

 

「何の話?」

 

「いいえ、何でもないわ……」

 

「話に出てきた狼人ゲームやりたい! ママ発明して!」

 

「いやいやw メンバーとルールがあれば出来るでしょw」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー翌朝ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ママおはよう……あれ? どうしたの?」

 

「おはようアリサ……はー……案の定大量の文字が追いかけて来て私、子供みたいに泣きながら逃げていた夢を見たわ……」

 

「トラウマになっちゃったんだねー。でもお話ってすごいよね……たかが文字の羅列と挿絵だけなのに、それを見ただけでも笑ったり怒ったり、時には涙したり緊張で汗が出てきたり……それにママみたいに夢にまで出てきたり」

 

「そうよね……」

 

「おはようみんな! 今日は麻薬組織本部に殴り込むぞーうおーーーー」

初登場のパパの様ですね。何か気合いが入っていますね……麻薬組織? 穏やかじゃないですね……どんな仕事なんでしょう?

 

「あら? パパもう出かけるの」

 

「そうさ! 麻薬組織の本部を昨日推理で特定してさ、そこに朝一で乗り込むんだ。じゃ行ってきまーす!」

推理? この人は探偵でしょうか?

 

「そうなの? 行ってらっしゃーい頑張ってね――」

 

「はいっ!」

ダダダダダ

 

「あのハゲオヤジ輝いてるわねえ。二つの意味で」

アリサちゃん? 今読者さんにお父さんがハゲている事がバレてしまいましたよ? そんな余計な事は言う必要はないのですよ?

 

「こら! パパでしょ?」

 

「ハゲた父親なんだからハゲオヤジよ。だってハゲパパとは絶対に言わないでしょ? 違和感しかないし」

 

ママ「それでもパパ! これからはハゲパパと言うニューワードを私達から世界に広めていくのよ」

広めなくていいです。

 

アリ「オヤジ」

 

ママ「パパ!!」

 

アリ「オヤジ!!」

 

ママ「パパ!!!」

 

アリ「オヤジ!!!」

 

ママ「クッ……この頑固オヤジが」

 

「こんな女神をオヤジ呼ばわりするなんて酷い」

 

「ちゃんとパパと言えばいいのよ」

 

「それは嫌。あっそういえばおなか減った。朝ごはんまだ―?」

 

「あっ! アリサ! 禁止! 朝ごはんピーだー? よ! 早く言い直して! 光の速さで!」

 

「ちょw」

 

「笑って誤魔化してもあかンデ! 早く言い直す! モラルに反しますよ?」

 

「朝ごはんピーだー? ……あっ! ピーピーもだよ! モラルに反しピーすよにいい直して! お願い! この通り!」

 

「あっしピーった! モラルに反しピースよ?」

 

「合格!」

「合格!」

 

「こら! アリサまで言わない! 合格! は、初めに指摘した側のみの物なんだからね?」

 

「そんなルールないよwwwでも、ママの今の奇妙な一連の行動を引き起こした原因は分かるよ。 人間って、読んだお話の影響は気付かないにせよ少なからず受けていると思う。 その一冊一冊が【私】を、そしてママを作っているなって感じるから」

 

「分かるわ」

確かにそれは同意です。人と言う生き物は、逆に言えば教えてもらった範囲でしか行動出来ないとも言えます。 自分の頭だけで新しい事をすると言う事は本当に難しい事なのです。故に人生は良い情報をいかに早い段階で取り込めるかで変わると言う事は間違いないでしょう。そしてそれは義務教育のみでは得る事が難しいと言う事もなんとなくですが感じますね。だから学校で教えていないような内容の本を読み続ける事は、より良い人生に向かえる有効な手段の一つだと私も感じますね。

オオカミと七匹のオオカミ男 中編・狼人ゲーム 初日発砲無しルール 7匹部屋

「あっ! スタートしたは良いけど、ステージを設置し忘れちゃったガル」

「段取り悪いガウね」

「じゃあみんなでキッチンの椅子をお遊戯ルームに運んでガル!」

 

「承知したレジェンドウルフ!」

 

皆で台所にあった椅子を各々一つずつお遊戯部屋に運び込み、バトルフィールドを作り上げます。それは円状に向かい合わせるように並べられた7つの椅子です。そこにそれぞれの兄弟が座る事となるのです。そして、その円の中央には透明のケースの中であおく光り輝く物が……そうです、皆の目標であり、戦の切っ掛けともなったアイスのガルガル君ソーダ味が光り輝いています。このたった一本の【蒼】が為に、7匹のオオカミ男達はこれから言い争いを行うのです。争いの火種としてこれほどにスケールの小さい理由reasonは未だかつてあったでしょうか? ですが各々の目は燃えています。もう、後戻りは、出来ないのです! 

 

「みんなありがとうガル。よーし、今度こそ本当にスタートガル。よろしくガル。ルールは初日発砲無しルールガル」

 

「よろしくガウ♪え? 発砲無しガウ? どういう事ガウ?」

 

「よろしくバブガル! なんか不気味で穏やかではない響きバブガル」

 

 

「そうガルね。実際にこのゲームの発砲って、怖い事なんだガル。まあリアルでの発砲も当然ガルがね。 で、このゲーム内での発砲の説明をすると、このゲームは皆が集まって開始するとまず夜が明けるガル。その時に、人間は村オオカミを一匹選んで撃てると言う事ガル」

 

「へえ、怖いガオ」

 

「これによりオオカミ村のオオカミを朝の光を拝む前に一匹消す事が出来るんだガル」

 

「怖いガウ」

 

「でも初日だけは撃てない。これが初日発砲無しルールと言う事ガル」

 

「なんでガオ?」

 

「理由は人間が侵入し、村オオカミの姿に扮して紛れ込み翌朝それに気付いた狼達が集まって会合を開くと言った感じの設定ガル。 だから初日の侵入時にいきなり村オオカミを襲う事は考えにくい筈ガル」

 

「確かにそうバブガル」

 

「うん。初めて侵入する村のオオカミを、忍び込むついでに一匹減らすのは手練れの人間とはいえ難しい筈ガル。 それに忍び込む時に発砲なんかしたら音でバレてしまうガル。勿論銃のオプションのサイレンサーなんてまだ無い時代の設定ガルよ? これは昔、銃が発明されたばかりの時代の、とある村で起こった人間侵入事件を題材としたゲームだからガルね。故に、忍び込む事に全力を注ぐから初日発砲は出来ないと言う事にしておいてほしいガル。そうでないと全員の考察を聞いていない内から無条件で一匹減る事になるガル。それだと面白みも何も無いガル?」

 

「確かにワオーン」

「うんうん。全員の話を聞いてから推理したいレジェンドウルフ」

 

「なので、初日発砲は禁止で、朝の一巡が終わった後の2日目の夜から発砲可能となる訳ガル。だからこれから夜が明けるけれど、その時に役職人間の誰かさんは唐突に発砲したい衝動に駆られると思うガルが、初日だけは我慢してほしいガル」

 

「成程ね。良く分かったガルン」

 

 

「把握しましたワオーン」

 

「そして、朝一匹ずつ発言する事になるガルが、発言権を持つオオカミ男以外は           

 

【何があっても発言者以外の発言は認められない】

 

し、突っ込みも出来ないガル。これは意味も意図もない厳然たるルールガル。持ち時間の40秒の間はそのオオカミだけが発言出来るんだガル」

 

「了解レジェンドウルフ」

 

「そして最後に、初日の夜の占いはありガル。これから夜になるガルが、占い師は自分の好きなオオカミを占えるガル。それを翌朝報告するのも黙っているのも占い師さんの自由ガル。まあさっきも言った通り、占い師と名乗ったのに占い結果だけを報告をしないとかなり怪しまれるからそこのところはよく考えるガルよ?」

 

「了解ガオ……え? ちょっと待ってくれガオ?」

 

「どうしたガル?」

 

「初日発砲【は】無しなのに、初日占いは有りなのガオ? それって数では圧倒的に負けている人間側からしてみれば結構不利じゃないかガオ? なんだかとっても貴婦人……あっ、理不尽に感じてしまうガオ。 ……不公平ガオ」

ああ……からガルさーん? 怪しまれちゃいますよー。

 

「いやいや、そういうルールなんだガル。諦めてガル。ん? からガル? 君、今理不尽と貴婦人を言い間違えたんじゃないかガル? そんな言い間違いなんて相当動揺している証拠ガルねえ。何か怪しいガル?」

 

「そ、そんなことは無いガオ! 気のせいガオ。これもルールガオね……なら仕方ないガオ……」

 

「そうなんだ。諦めてくれガル。それ程に人間の発砲出来る権利と言うのは最強クラスのスキルと言う事ガルね。そして一巡したら怪しい一匹を追放する投票が行われるガル」

 

「成程ね。そうやって毎日一匹ずつ……いや夜の発砲もあるから2匹減る場合もあるのか……でも騎士が守れば一匹で済むって事でいいガルン。そんな風に少しずつ減って行き、生き残ったチームが勝ちというルールガルンね」

 

「そうガル! 厳密には人間陣営が全滅した場合に村オオカミ側の勝ちで、村オオカミ陣営と人間陣営が同数になった場合は人間側の勝ちと言う事になるガル。故に人間側陣営が合計2だからオオカミ側の村オオカミ3と占い師、騎士の内の3人が減ったらオオカミ側が負けって事ガル。

 

「分かったレジェンドウルフ」

 

「じゃあ僕が中央上部の椅子に座るガル。そこから時計回りでからガル、十四ガル、一ガル、チョロガル、トドガル、後始ガルの順で座ってほしいガル。そして、ゲームスタートしたら名前ではなく1番2番と番号で呼んでほしいんだガル」

 

「分かったワオーン」

 

番号は、おそガル1番 (村オオカミ)

 

からガル2番 (人間) 

 

十四ガル3番 (村オオカミ)

 

  一ガル4番 (狂狼きょうろう

 

チョロガル5番 (村オオカミ)

 

  トドガル6番 (占い師) 

 

後始ガル7番 (騎士)となりました。

 

「じゃあ本当の本当にスタートガル! えーと……改めてよろしくガル。僕はおそガルで、村オオカミガル。うーん……初めての発言なので特に他に言う事は無いかなあ……うん、じゃあ2番どうぞガル」

 

和環話わわわ……おいらはからガルガオ。役職は……無、村おおおかみなんだガオ。穂、本当だよ。津、次行ってみてくれガオ」

ツッコミは無しとルールでありましたが、語り部の私にはそのルールは適応されませんので融通無碍ゆうずうむげにつっこみをさせて頂きますね。2番のからガルは動揺し過ぎですね……嘘を言っている事がバレバレでしょう……このままでは投票されてしまいますよ? ここは賞品のアイスの様に心をクールに……ですよ?

 

「俺っちは十四ガルガウ。1、2番さん村オオカミ把握ガウ。んで、今までの話を聞いていてちょっと気になった事が……2番さんは肩の力を抜いてほしいガウ。そんなに動揺していると怪しまれるガウよ」

 

「どどどど動揺なんかしてないガオ」

 

「2番さん? 発言は今禁止ガル」

 

「え? だって3番さんがおいらに語り掛けてきたんだガオよ? 無視したら失礼ガオ?」

 

「うん。そうなんだ。だけどそれは次の日の朝、発砲を逃れ無事生き残る事が出来て、2週目の僕の発言が終わったら、つまり次の君の順番が来たらその時初めて3番に反論出来るんだガル! さっき言った通り、           

 

  【何があっても発言者以外の発言は認められない】

 

と言うのはこういう事なんだガル。だからみんなが言っていた事はメモするなり記憶するなりして次の自分の番までにまとめとくのがおススメガル。そう、40秒の間にしっかりまとめた物をガルね」

厳しいルールですねえ。仮に口頭で聞いてたとしても、実際ゲームを始めて突然自分に意見が来た場合、脊髄反射的に反論してしまいますよね? これはからガルのミスも仕方がないと思いますね。ですがルールはルール。しっかりと守らなくてはいけませんね……まあ、きついルールを課し過ぎると私の元仲間達みたいに誰も居なくなってしまいますけどね……

 

「分かったガオ。次から気を付けるガオ。でも時間内で言いたい事を言えないこんな世の中だった場合どうするんガオ?」

poison!

 

「うーんビスケット一枚捧げれば、もう40秒延長を許可するガル」

 

「ビ、ビビビビビスケット一枚ィ? ……そんな……ただ沢山発言するだけの事で……その代償は痛すぎるガオ」

 

「だからそれが惜しければ、40秒以内で考えをまとめる力を養うんだガル。からガルだって貴重なビスケット失うのは惜しいガル?」

成程、これは私の場合メモを取る必要がありそうですね……頭だけでは厳しいかと思われます。

 

「頭が追い付かないガオ……でも頑張るガオ!」

 

「そろそろいいガウか?」 

 

「ああごめんガル」

 

「……で俺っちも村オオカミだ。4番さんどうぞガウ」

 

「はいはい! オラは一ガルだワオーン。占い師ワオーン! 夜に1番を占った結果、人間だと出たワオーン」

 

「な、なんだってー? それは本当なのレジェンドウルフ?」

 

「6番さん! 発言禁止ガルよ?」

 

「す、すいませんうっかりしていましたレジェンドウルフ。(う、占い師は拙者の筈なのに……一ガルに先に言われちゃったレジェンドウルフ。どうするんだレジェンドウルフ? これが……これが狼人レジェンドウルフか……あ、でも……占い師は一人の筈なんだから4番は人間か狂狼のどっちかの役職で嘘を突いているんだレジェンドウルフ! その事実を拙者の番で40秒以内で皆に上手く伝えなくてはいけないと言う事レジェンドウルフ……これは大変だレジェンドウルフ)」

あのー、心の中までその長ったらしい語尾使うの止めませんかあ?

 

「そして、123番村オオカミ把握ワオーン。だけど1番さんは嘘を突いているワオーン。今日は1番さん投票でいいと思うワオーン。5番さんどうぞワオーン」

狂狼のセオリーは大抵役職人間の2に村オオカミと嘘の占い結果を出して村オオカミを惑わせるのがセオリーですが、一ガルは本当の村オオカミの1を人間と占ったようですね。

 

「うーん……まずは身の潔白を……と。俺は5番のチョロガルガルン。村オオカミガルン。ここまで見て村オオカミが一匹多い気がするガルン。村オオカミは全部で3匹の筈なのに、1235が村オオカミと主張している。これはどうもおかしいと思うガルン。4番の占いの真偽はまだ確定していないガルンが、4番の1番人間説を信じれば辻褄が合う事も否めないガルン。取り合えず今日は1番投票でいいと思うガルン。次どうぞ」

 

「せ、拙者……トドガルだレジェンドウルフ。役職はう、占い師だレジェンドウルフ……う、(皆疑いの目で見てるレジェンドウルフ……でも拙者が本物なんだ! ここで動揺していたら4番が本物の占い師になってしまうレジェンドウルフ! 負けてたまるレジェンドウルフか!)占いの結果は3番村オオカミだったレジェンドウルフ。4番さんは1番人間と言っているけれど、拙者が本物の占い師なので、狂狼か人間のどっちかだレジェンドウルフ。次、どうぞ」

 

「私は後始ガルバブガル。はあー難しい局面バブガル。占い師が二人ですか……6番さんは後発と言う事で、多少の動揺があったバブガル。その根拠は彼の心音ハートメロディがやや乱れていたバブガル。だけどそれは一時的だったバブガル。次第に自信を取り戻し始め、心音にも変化が見られたバブガル。 そう、次第に安定しつつある心音と、張りを取り戻した声に変わって行ったバブガル。これは4番の嘘に動揺し、発言当初は不安から自信が薄らいでいたけれど、本物は自分なんだと思い直し、勇気を奮い立たせたと言う証拠。と、推理するバブガル。故に1番投票を煽っていた4,5番の意見には流されずに、私は私の直感を信じ、6番を真の占い師と考え、4番に投票をする事にしたバブガル」

ああ。この最年少の後始ガル、まだ幼いと思って見ていましたが意外としっかりしていますね。

 

「成程。そして後始ガルの発言が終わった今、一巡が終わったと言う事になるガル。これより投票タイムに入るガル。この紙に今までの話し合いから追放すべき番号を書き、みんなに見せてくれ。じゃあ投票開始!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「書き終わったガル?」

 

「はいガオ」

 

「はいガウ」

 

「はいワオーン」

 

「はいガルン」

 

「はいレジェンドウルフ」

 

「はいバブガル」

 

「じゃあ一斉に開いて!」

2345→1番

167→4番

 

「こ、これは……1番……僕が4票ガル……そして4番が3票……これはどうやら……僕の退場……みたいガルね……」

 

「ごめんガオ」

 

「どうしても4番の言う事を信じてしまったガウ」

 

「ゲームだから許してほしいワオーン」

 

「元気出すガルン」

 

「みんな……いいんだ……じゃあ退場前に一言言わせてもらうガル。コホン……えーと、初日の一番目と言う事であまり印象が無かったし、考察も落とせていなかったガル。もう少ししっかり発言して白目を印象付けるべきだったガル……これで村オオカミが一人減り、明日からは大変になるかも知れないけれど、力を合わせて勝ち残ってくれガル。以上!」

 

「さようならレジェンドウルフ」

 

「またどこかでバブガル」

 

「さようなら。と言ってもここに残り最後まで見届けるガル。そして、引き続き司会進行も務めさせていただくガル。投票や発言は出来ないガルけどね。で、ここから夜のターンになるガル。人間は一匹撃つ事が出来るガル。ではおやすみなさい」

 

「お休みガオ!」

 

ーーーーーーーーーーーー夜が明けるーーーーーーーーーーーー                                              

 

       【今回は誰も撃たれませんでした】

「え? なんでガオ?(た、確かに6番を撃った筈ガオ)」

 

「2番さん? 勝手な発言は禁止だガル? これは人間が敢えて撃たなかったか、騎士が人間が狙った対象を上手い事守ったかのどちらかの可能性があるガル。本当なら誰か一匹脱落する筈ガル」

 

「そ、そんなあガオ……でも敢えて撃たないと言う選択肢もあるんガオね?」

 

「そうガル」

 

からガル全く隠す気がないですね。ここまで清々しいと逆に最後までバレない可能性すら出てきています。

 

「あっそうだ発言は禁止ガル!」

 

「すいませんガオ」

 

「では二日目朝。スタートガル! 発言は2番のからガルからガル」

ダジャレみたいになっていますねえ。

 

「い、いやあ誰も撃たれなくてよかったガオねえ……チッ。 昨日の占い師の真偽は馬鹿なおいらでは全く分からないガオ。取り合えず今日の占いの結果を見て、怪しい方の占い師に投票するつもりガオ。次どうぞガオ」

 

「俺っちは4番が真実を語りし占い師と見ているガウ。なので、今日は6番に投票するつもりガウ。以上! 4番さん! どうぞガウ」

 

「占い結果を言うワオーン! 6番白だったワオーン。だけど狂狼も白と出るらしいので、狂狼の可能性が非常に高いワオーン。3番さんの言う通り6番投票で大丈夫ワオーン。5番さんどうぞワオーン」

 

「うーん……1番が本当に人間だったのか? 2番が怪しいような……いや……怪しすぎるんだよなあ。だから一周回って怪しくない様なそうでもない様な……分からんガルン。真面目に考えると頭痛くなるガルン。俺はもう考えるのを辞めたガルン。6番の占いで盲目的に決めるガルン。6番さんどうぞガルン!」

 

「クッ……う、占いの結果は……4番白だったレジェンドウルフ……(と言っても信じてくれないかもレジェンドウルフ)恐らく4番は狂狼だレジェンドウルフ。明日は拙者に投票しても構わないけれど、今日は4番を投票して欲しいレジェンドウルフ。次どうぞ」

何故2番を占わないのですか? やはり過度にわざとらしいと二の足を踏んでしまう物なのでしょうか?

 

「成程、占い師同士がお互いに占い合ったと言う事ですか……うーん……難しいですね。双方の意見に心の乱れが一切ない……しかし、6番さんの自信が少し下がっている気がするバブガル……心音が乱れ始めていますね……対照的に4番さんは終始堂々とされています……心音のリズムが一定なのです。ウームどっちを信用するべきか……難しいバブガル……取り合えず4か6を投票するバブガル」 さっきから当たり前に世間一般で定着しているかの如くにおっしゃっている心音ハートメロディって何すか? まさか心臓の音ですか? それなら鼓動って言うんですけど……なんかかっこつけて言っていませんか? 

 

「一巡終わったようガルね。では、2回目の投票……開始ガル」

567→4番

234→6番

 

「おおバブガル!」

 

「すごいレジェンドウルフ」

 

「成程! 割れてしまったガルね」

 

「こういう場合はどうするガオ?」

 

「4,6番さん。もう一度発言してほしいガル。自分を信じてほしいと言うアピールをしてくれガル」

 

「分かったワオーン。まずはオラから! オラの占いは超一流だワオーン! 信じてくれワオーン」

 

「じゃあ6番どうぞガル」

 

「はいレジェンドウルフ。後発で自信が無くなってオドオドしていたレジェンドウルフが、4番さんは大噓突きだレジェンドウルフ。彼をここで落とさなくてはこの村は確実に終わる……それだけだレジェンドウルフ……」

 

「じゃあ4と6番以外の4名で再投票してくれガル」

 

「はい!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

357→4

2→6

 

「今度は4番が追放となったガル!」

 

「そ、そんなワオーン……😢」

 

「信じてくれてありがとうレジェンドウルフ」

 

「4番さん何か一言ありますガル?」

 

「うーん……オラと1番が追放されたのにゲームがまだ終わらないガオ? 不思議だガオ……と、言う事はまだ狂狼か人間のどちらかが残っているワオーン? おっと、そうじゃなかったワオーン。と、オラが言えるのはここまでだワオーン。後は自分で考えるワオーン。じゃあ健闘を祈るワオーン」

 

「では2日目の夜になるガル。おやすみなさいガル」

 

「おやすみレジェンドウルフ」

 

「おやすみガオ!」

 

ーーーーーーーーーーーー2日目の夜が明けるーーーーーーーーーーーーー               

 

           【6番が撃たれました】

 

「やったガオ……今度はせいこ……じゃない……6番さん……誰がこんなひどい事を……」

三文芝居ですねえ……

 

「まーた2番さん……もういい加減に学習してほしいガル……私語は慎んでほしいガル」

 

「ああっすまないガオ!」

 

「では三日目の朝スタート! 2番からどうぞガル!」

 

「うーん。……取り合えず現状では一番怪しいのが5番が濃厚ガオ。理由は全くないガオ。直感で5番ガオ。では次!」

雑ですねえ。

 

「しかし、こうなると狂狼か人間のどちらか? それともどちらとも? いや、それは無いか……4番さんが狂狼か人間のどちらかが残っているのか? と驚いた後にそれを否定していたガウ。ここから推察するに、4番さんは人間か狂狼のどっちかなんだガウ。そして昨夜6番が撃たれたと言う事から分かるけど、発砲出来る【人間】が生き残っている筈ガウ? だけど一切見当が付かないガウ。みんな上手過ぎるガウ……じゃあ次頼むガウよ」

 

「俺は6番が怪しいと思っていたガルンが昨夜撃たれたガルン。と言う事は……理由は特にないが……7番が怪しいかもしれないガルン。次どうぞ」

投げやりですねえ……もう飽きてきたのでしょうか? しっかし頑なに2番を選ばないですねえ。

 

「成程、私は今まで隠していたバブガルが、ここで騎士だと発表するバブガル。因みに2日目は6番さんを守り見事阻止したんだバブガル! 3日目は続けて同じ人を守れないと言う縛りがあった為に、隣の5番を守ったバブガル。だが5番は撃たれず、6番が撃たれた。ここから推理するに2連続で狙われたと言う事になるんだバブガル。と言う事はたまたま6番が狙われたんじゃなくって人間にとって間違いなく邪魔な存在、だから執拗に狙われたと言う事になるバブガル! 故に本当の占い師は6番だ。と、言う事になるバブガル。7番の私は騎士で、残りは5番と3番だけ! 5番は今の所村オオカミとの自己申告はあるが、確実ではないバブガル。だが、3番は初日に6番さんが占って村オオカミと言っていた。私は真の占い師が残した最後のメッセージを信じるバブガル。だから残った5番が人間としか考えられないバブガル!!」 惜しいですねえ……2番はこの流れで一度も話題に上がっていませんね……

 

「巡ったガルね? じゃあ投票するガル」

5→7番

237→5番

 

「と言う事は? ……5番追放ガル。何か一言あるかガル?」

 

「なんだろうなあ? うーん……ま、精一杯戦ったガルン。もう思い残す事は無いガルン。さようなら……俺のガルガル君……(´;ω;`)ブワッ」

 

ーーーーーーーーーーー3日目の夜が明けるーーーーーーーーーーー          

 

           【7番が撃たれました】

 

ゲーム終了。人間側の勝利です!

「狼人ゲーム凄く楽しかったガオ!」

 

「な、なんてこった……負けてしまったガウ……」

所詮オオカミ男なのでしょうね……人間のように長い事頭を使うのは苦手なようですね。全く2番に触れないのが不思議です。長時間頭を使っている弊害で全員ポンコツ化しているのかもしれませんね。

 

「オオカミ村全滅だガル。からガル! 鮮やかなフェイクだったよ。お見事ガル!」

 

「自然体で一貫した結果ですガオ。本当にありがとうガオ」

でしょうね。本能に忠実な姿は、時として一切の疑いの目を逸らす事が出来る……のかも知れませんね。

 

「じゃあ人間チームのもう一匹の狂狼は誰ガル?」

 

「オラだワオーン」 「一ガルだったのガル? 全く気付かなかったガル。じゃあ二名にガルガル君をプレゼントがル」

 

「やったガオ」

 

「嬉しいワオーン」

 

「完膚なきまでにやられたレジェンドウルフ。おめでとうレジェンドウルフ!」

 

「大切に食べるガウよ?」

 

「羨ましいガルン……」

 

「次回こそは……絶対に……おめでとうございますバブガル!」

こうして激しい戦いは終わりました。

からガルと一ガル本当におめでとうございます!!

オオカミと7匹のオオカミ男

「それにしてもあんなタイトルになるとは思わなかったわ」

 

「そうね」

 

「あのタイトル、禁止ま太郎って事だと思うから、あの太郎、ちゃんとそのタイトルに従って行動してたわね」

 

「確かにまあちょっとミスっていたけどね」

 

「そうそうwそこが面白かったwでもそう考えるとこのデスブックシルフ、しっかりと考えてタイトル出すんだね」

 

「そう言われてみれば……モラしま太郎はモラルと漏らすと言う特徴があったキャラクターだったし、あかずきんとシンデレラの合わさったあかンデレラもあかンデが口癖の女の子だったよね」

 

「そうね。その辺をしっかりと考えているあたりは偉いと思う。うーんと今度はちょっと変化球かなあ」

 

「どうするの?」

 

「さっきは日本の話だったから、今度は海外で」

 

「そのローテーションで行くのね?」

 

「うん! しかも今回は動物で統一する! オオカミと七匹の子ヤギと、オオカミ男にしてみる!」

 

「へえ……幼い故の発想力ね。でもオオカミ男って動物?」

 

「もう大人だしwwwwオオカミ男は動物でいいじゃん? で、理由があるのよ」

 

「ん? なに?」 「あかンデレラの時の脇役のオオカミがちょっと可哀想だったからさあ。最後まで何も活躍出来ずじまいだったじゃない? だから今度はオオカミにフォーカスを当てる事にしたんだよ」

そういう事なんですねアリサちゃん。意外と優しいですね。

 

「へえ。しかしタイトル、どうなるのかしらねえ?」

 

「そこが楽しみなのよw」

 

「よし!! 入れて見ましょ」

 

「はいっ!」

パアー

 

「出てきた!! ん?」

 

「あらあら……子ヤギはどこへ……」

 

「こんなパターンってのもあるんだね。オオカミと七匹のオオカミ男かあwwでもこれじゃ意味が変わってこない? オオカミと【七匹の子ヤギ】になる筈の所が、オオカミ男に変わっちゃったわwちょっとカオスで好きwその映像を思い浮かべた瞬間笑っちゃったwアリサ、タイトル見て笑ったのは初めてかもw」

 

「うん。確かにタイトルはちょっと面白いわね。でもこれで内容がつまらなかったら発砲案件ね」

スチャッ キラーン⭐

ママは腰に提げていた拳銃を取り出し構えます。

お、お母さん? 刑事だからと言って拳銃を室内で撃たないで下さい……ラヴ&ピースですよ……

 

「デスブックシルフさん大ピーンチ! じゃあ読んで!」

 

「はいはい! ではオオカミと七匹のオオカミ男、始まり始まりい」

 

「楽しみい!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

むかしむかし、子供のオオカミ男七匹と、そのお母さんオオカミ女が居ました。

彼女は子供達を分け隔てなく愛していました。

ある日、お母さんオオカミ女は森へ行き、食べ物を取ってきたいと思い、子供を呼んで言いました。

 

「お前たち、私は森へ獲物を狩りに行かなくてはいけないウルフ。私のいない間、オオカミに気をつけるウルフ? もし奴が入ってきたら、お前たちみんなを、髪も皮もみんな食べてしまウルフ。そいつは変装もするウルフ。だけどがらがら声と黒い足と獣の臭いですぐオオカミだと分かるウルフ」

 

「お母さん、そんなにオオカミなんて畜生以下の生物が怖いのガル? 僕達はその上を行くオオカミ男ガルよ?」

 

「まあ……勇ましい……もうそこまで戦士の心が育って……ですが、まだあなた達は幼いわ。確かにあなた達は誇り高きオオカミ男ウルフ。ですが、あなた達の牙をごらんなさい」

 

「牙ですか?」

 

「そうです。お互いに見合って確認してみてウルフ」

 

「結構鋭いガル?」

 

「おごり高ぶってはいけませんウルフ! そう見えるだけで、まだ乳歯なのです。戦闘用ではないウルフ。それに引き換えオオカミは弱肉強食の世界で戦闘を重ねた戦いのプロ。まだまだ歯が立たないわ? まだ乳歯でウルフ?」

 

「そ、そういえばまだほねっこすら嚙み切れません……不甲斐ないガル……分かりました。十分気を付けるガル。心配しないで行ってほしいんだガル」

 

「任せたウルフ……おお私の可愛い子共達……おそガル、からガル、十四じゅうしガル、いちガル、チョロガル、トドガル、そしてまだ生まれたばかりの後始あとしガル……誇り高きガル野家の子供達……頼もしいウルフ……では後は頼みましたよ? 行ってくるウルフ」

 

「行ってらっしゃーいガル」

 

おかあさんは安心して出掛けて行きました。

 

おそガル「さあみんな、気を引き締めて留守番するガル!」 からガル「分かったガオ」

 

十四ガル「でもずっと待っているだけなのは退屈ガウ」

一ガル「そうだワオーン」 チョロガル「何かして遊びたいガルン」 ドガル「そうだねえ……おそガル! 絵本でも読んでほしいレジェンドウルフ」 後始ガル「わー聞きたいバブガル」 おそガル「良いガルよ? 何を読むガル?」

 

ち、ちょっと待って下さい。ここまでで私、3つ程気付いた事があるんです。それを報告してもよろしいでしょうか? ありがとうございます。では行きます。 まず、7匹の子供オオカミ男達。皆語尾が異なっているようです。これにより誰が喋っているのかが一目瞭然ですね。 そしてもう一つは、外見が同じ兄弟とは思えない程に異なっています。そして最後に6番目の子ですが、

 

【レジェンドウルフ】

 

と言うオオカミ男にしては珍しい語尾を使用していました。 皆さんはモラしま太郎に登場したボスオニの語尾は覚えていますか? 確か【ボスオニ】と言う語尾だった筈ですよね? このパターンで言えば、この、6番目のオオカミ男のトドガルは、レジェンドウルフ。つまり伝説のオオカミと何か関係があると言う事なのでしょうか? でもこの子、オオカミ男でしょ? 何故伝説のオオカミが、オオカミ男と関係があるのでしょう? もしや先祖が伝説のオオカミで、6番目の子だけその血を色濃く受け継ぎ、突然変異的にそんな語尾になったのでしょうか? 仮にそうだとしても現在はオオカミ男なのだから、レジェンドウルフではなく【レジェンドウェアウルフ】と、付けるのが妥当じゃないでしょうかねえ? 

 

「じゃあ人間少年を読んでほしいレジェンドウルフ」

人間少年? そんなタイトルのお話初めて耳にしますね。

 

「分かったガル。では、人間少年始まり始まりー」

 

「やったガオ」

あらあ? お話の中で別のお話が始まってしまいましたねえ……まあ成り行きを見守りましょう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

昔々、羊🐏の番をしていた子供オオカミがいました。

彼は時々まるで、人間が羊を捕まえに来たかのように叫び、村の大人オオカミ達に伝えます。

 

「助けて! 人間が羊をさらいに来たレジェンドウルフ!」

え? レジェ? 6番目の子?

 

「な? 何だガルゥ? 人間? ようし! お前は逃げるガルゥ! ここは大人のオイラ達に任せるガルゥ」

ダダダダダ

 

村のオオカミ達がいつ人間に出会ってもすぐさまシッポパンチで迎撃する事が出来るようにしっぽを構えながら子供オオカミの声の元に駆けつけてみると……

 

「あ、あれ? どこにもいないガルゥ?」

しかし、人間はどこにもいなくて子供オオカミが嘘をついた事が後に判明します。

 

「なんだ……嘘だったのかガルゥ……まあ子供オオカミのやる事だし、今回は許してあげようガルゥ」

 

「そうギャルね」

村の大人オオカミ達は寛大な心で接していました。それでも、少年オオカミは喜んで

 

「おーい、人間が来たレジェンドウルフ!」

と嘘を突くのです。もうそれが楽しくてやみつきになってしまったのかもしれませんね。 ですから、いつしかあの子は、嘘突き子供オオカミと言うイメージが定着つつありました。 しかし、そんな事を全く気付いていない少年オオカミ。そして、その嘘が現実に……本当に人間が現れてしまいます。

 

「あーーーーっ! 来て下さい、人間が人間が来たあああ! 本当に本当なんです! 人間が来たああああレジェンドウルフ」

と叫びます。ですが、

 

「また君か……君は嘘ばっかりだもの……どうせまた嘘なんだガルゥ?」

 

「早く大人になりなさいギャルw」

村のオオカミ達は少年オオカミを全く信じません。 結局いくら叫べど誰も助けには来ず……人間は全部のひつじを捕まえてトラックに載せて去っていってしまいました。

おしまい

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あ……れ? 短めのお話でしたがちょっと釈然としません……うーん……何かがおかしい……私、これによく似たお話を聞いた事があるんですよねえ……ですが……うーん、思い出せません……

 

「面白かったワオーン」

 

「嘘はやっぱりいけないと思うんだレジェンドウルフ」

 

「分かったバブガル。私、絶対嘘突かないバブガル」

みんなその朗読に満足な顔をしています。

 

「まだ他にも聞きたいガウ。おそガル読んでガウ」

 

「いいガルよ? じゃあ一匹のオオカミはどうだガル?」

はあ、そういうお話があるのですね? どんな物語なのでしょう?

 

「ちょうどそれ聞きたかったガウ😊」

 

「読んでバブガル」

 

「やったガルン!」

 

「嬉しいレジェンドウルフ♪」

 

「じゃあ一匹のオオカミ始まり始まり!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

昔々、一匹で暮らしているオオカミが居ました。彼はお腹が減っていたので餌を捜し歩いていました。 おなかが減っているなら、そこら辺に生えている野草を食べればいいのに、彼の体がたんぱく質を欲していた為、ほぼ食物繊維と各種ビタミン、カリウムクロロフィル、カルシウム、マグネシウムβカロテンの塊の野草なんかには目に入らないようです。

 

「うーん、とてもお腹が減ったレジェンドウルフ……ブタ🐖とかフグ🐡とか美味しい餌を一切噛まずに丸飲みしたいレジェンドウルフゥ……食材の感覚や味を舌で味わうのではなく、のどごしのみで感じ取りたいんだレジェンドウルフ……そして超弱酸性の胃液でゆっくりと溶かして消化したいんだレジェンドウルフ……おや? あれは何だレジェンドウルフ?」

とぼとぼ歩いていると、平原に三つの家が並んでいる光景を目にします。それらは材質が全く異なる家でした。 一つはわらで出来た家、そしてもう一つは木の家、そして最後にレンガの家ですね。 そして、その前で万歳をして喜んでいた3匹のブタ達がそれぞれの家に入っていきました。完成した直後のお祝いでもしていたのでしょうかね? ……あれ? このシチュエーション……どこかで見た事がありますね。

3匹のブタ🐖🐖🐖とオオカミ🐺と三種類の家🏠。これってまさか……しかしタイトルが……あれ? おかしいですよね? ……このお話のタイトルは恐らく3匹の……ああ、そんな事を言っている場合ではありませんね。話を進めましょう。 オオカミはまず、その中でも一番耐久性が低そうな藁の家を襲おうと考えます。

 

「フム。どうして建築技術はこんなにも素晴らしいのに、この材質を選んでしまったんだレジェンドウルフ? まあ馬鹿と天才は紙一重と言う事レジェンドウルフね……こんな脆い家、こうしてやるレジェンドウルフ!」

すううううううう……はああああああ

パラパラパラ

 

オオカミは軽く深呼吸を家に向かって行います。すると……藁が綺麗に吹き飛び、中に居たブタが姿を現します。

 

「え? う、うわあ! な、なんだレジェンドピッグゥ? お、お前は……オオカミ? に、にっげろおおお」

ダダダダダ

 

家を失ったブタが、物凄い速さで隣の木の家に逃げ込みます。

 

「次は木の家……か。まあこの材質はよく見られる典型的な家だレジェンドウルフ……よし、次は少しpowerを上げてっと」

オオカミは今度はろうそくの炎を消す位の感覚まで力を上げます。

ふううううううー バキバキバッキイ

 

「わああここも駄目だあああ。し、仕方ないレジェンドピッグ、末弟のレンガの家に逃げるレジェンドピッグ」

 

「折角頑張って建てた家だったレジェンドピッグ……短すぎるレジェンドピッグ……」

二匹揃ってレンガの家に駆け込みます。

 

「フム……レンガか……これは手強いレジェンドウルフ……久しぶりに最大出力が必要レジェンドウルフねえ。ふん!」

すうううううううううううううううう……ビュギョオオオオオオオオオオオオオ

こ、この力……まるで肺の中に風神様を飼っているのか? と錯覚させられる程の力が……最早一個体から出せるレベルとは思えない程の突風が……この風に名前を付けるとすればオオカミだけに大神オオカミ風とでも言うのでしょうか? その大神風は最早台風の様な物凄い勢いで厳しくレンガの家を少しずつではありますが確実に破壊しつつあります。 ガラガラガッラー

 

普通レンガ=いわタイプに大神風=ひこうタイプは半減の筈です。そんな耐性を完全無視し、粉々になってしまう……それ程までに凄まじい風だったと言いう事でしょう。 あ……れ? ちょっと待って下さい? 私の記憶と違う様な……あれれえ? まあいいでしょう。

 

「うわああここも駄目だったレジェンドピッグ? にげろおおおお」

 

「もう諦めるレジェンドウルフ……お前達は良くやったレジェンドウルフ……だが、もう逃げ場はないレジェンドウルフ」

 

「あわわレジェンドピッグ……」

さっきから何なんですかこの語尾……確かにこの内容の物語は世界中で読まれている本でしょうし……有名なブタと言えるでしょう。ですからこのブタ達も伝説のブタと言っても過言ではないとは思いますが……だからと言ってレジェンドピッグレジェンドピッグ言われても困るんですよ……しかも文字数も数えてみたら一回に付き8文字もあります。これでは物語をかなり圧迫してしまい、本当に伝えたい事が、その8文字が使われる度に削らなくてはいけなくなってしまいます。出来れば短めの語尾でお願い出来ませんでしょうか?  そしてオオカミは、3匹を一切歯型の一つも付ける事無く慎重に丸飲みして、ブタ達が喉を通る感覚を楽しんでしまいましたとさ。

めでたし めでたし

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え? ええええ? な、なんですかこれ? さっきからおかしい絶対に……

 

「わーいガウwやっぱり正義は勝つんだガウ!」

 

「いつ見ても爽快だワオーン」

うーん……彼らのリアクションは至って普通です。ですが私達が見た場合ちょっと違和感を感じますがねえ……ちょっと待って下さい? 多分ですが分かったかもしれません。この、 【一匹の狼】 と言うお話は、もしかして童話 【3匹のこぶた】 の別視点……そうです! アナザーストーリー? いいえ。ちょっと違いますね。そうなると……そうです!

 

【オオカミ側視点で尚且つオオカミが大活躍するお話】

 

……じゃないですか? そうですよね? だってオオカミは本来レンガの家の壁は吹き飛ばせずに煙突から侵入し、あっつあつのお湯の入った鍋に落ちて死んでしまう結末でした。 ですがこの話では、本来死ぬ筈のオオカミが全ての家を吹き飛ばし、最終的にブタが一度も咀嚼そしゃくされる事なく3匹全員が丸飲みにされています……しかし、この登場人物や藁の家などのセットを見れば誰がどう見てもタイトルをすり替えただけで、原作は間違いなく3匹のこぶたですよね? ですが、明らかに内容を改変しています。これはオオカミ側の作家が書いた、3匹のこぶたをベースとした二次創作物でしょう。いわゆる同人誌です。

 

同人誌とは、ある作品を心から愛してしまい、それ故にその作品に登場する人物を自分の手で自由に動かしたいと考える絵心のある人たちが生み出した、歪んだ思いから生まれた本。 そして、その結末がその人にとって気に食わない場合、自分で書き変えてしまえ! と、作者の思いを自分のエゴで踏みにじって上書きする事もいとわないのです。故に同人誌を作成すると言う事は原作を凌辱する行為と言っても過言ではないのです。ですが一部の人間にはその行為から来る背徳感をも併せて楽しむという残念な輩も多いと言われています。そういえばさっきの人間少年も同じような感じでしたね? 

 

……いいえ。これは同人誌ではなかったのかもしれません。そもそもこのお話、オオカミ男のおうちに置いてある本です。ですからここにある絵本や書籍全てがこういう内容なのでしょう。 そして絵本になっている物も原作は小説が多く、最近は有名な小説投稿サイトから発足したものが絵本や漫画になる場合がほとんどなのです。それが一般オオカミ男の家庭に届く。そして特に、

 

【小説家に飢狼がろう

 

と言う超大型小説投稿サイトが今のオオカミ男の世界には存在しており、そこで有名な

 

【餓狼小説】

 

と言うのがありまして、日々餓狼作家が新たなる餓狼小説。そう、これは、主に飢えた狼にとってどうすればいい餌にありつけるかのノウハウを、小説として投稿しているのです。 どういう事かと言うと、この小説の主役は、お腹が減ったオオカミが多いのです。そうです! 飢えた狼=餓狼なのですから! そう言った餓狼達が餌を獲得する際にどういった工夫をすれば難なく獲得出来るかを書き記した小説の事を言うのです。 考えて見れば、餌の獲得方法の学習はオオカミ男に取っては死活問題。

それを沢山の餓狼作家が切磋琢磨し、ありとあらゆるアイディアを出し合い、最適解に近づく為にランキング入りを争っているのでしょうね。 もし、そのサイトのオオカミ作家があかずきんを見た場合ならどうなるのでしょう? 恐らくあかずきんという女の子が主人公にはなれない筈で、例えば少女とおばあさんを丸飲みしたオオカミでしょうか? それともおばあさんに変装したオオカミ? そこまでは分かりませんが……そんなタイトルに変わる筈です。そんな本を読み育った彼らは、お腹がすいた時どういう手段で美味しい餌を獲得出来るか? と言う事をこの本達から知る訳です。そうです。先達の餌捕獲における成功体験を餓狼作家は面白おかしく誰にでも実践できて分かりやすく描いているのです。オオカミ男の世界では、その飢狼作家が作り出した世界が常識となっているのでしょう。故に人間主体の本が置いてある筈がないですね。

成程。オオカミ男達の住む家の本は、こんな内容の物が多いのでしょうね。あくまで主役は彼らなのだから。

 

「ああ、面白かったバブガル」

 

「もう絵本は良いガルン。他にも何かして遊ぼうガルン?」

 

「何が良いレジェンドウルフ?」

 

「そうだ! 狼人ゲームでもしようガル」

 

「なんだっけガオ?」

 

「オオカミの村に紛れ込んだ悪い人間と、オオカミ陣営に分かれ、隠れている人間を話し合いの場で見抜いて追放するゲームガル」

 

「言葉だけじゃよく分からないガオ」

 

「実際やってみるガル。役職は村オオカミ、残忍な人間、占い師、狂狼きょうろう、騎士だガル」

 

「複雑だガルン」

 

「それぞれの役職の説明をしよう! まずは村オオカミ。これは一般オオカミの事。特に能力はないガル。 次に、残忍な人間。これは、毎晩村オオカミ陣営の一匹を減らす事が出来るんだガル。 占い師は、任意の一匹の役職を見抜くことが出来、それを朝の話し合いの時に任意で報告する事が出来るガル。まあ報告しなかったら人間だと間違われて投票されてしまうかもしれないから占い師になったらほぼ確実に占い先を報告した方がいいと思うガル。 で、具体的に占うと、村オオカミだよ? と嘘を突いて正体を隠している人間が居たとしても、そいつを夜に占えば、一発で人間だと分かってしまうガル。占い師を欺く事は絶対に出来ないガル。故に占い師に疑われないようなクリーンな発言が必要ガル」

 

「成程レジェンドウルフ」

 

「狂狼は狼にして人間の味方だガル。占いでも見抜けないんだガル。もし狂狼を占ったとしても村オオカミと同じように白と出てしまうガル。そして、狂狼からは人間が誰かは分かるガルが、人間側からは狂狼が誰なのかは分からないガル。主な仕事は、仲間の人間が村オオカミに見抜かれないように村オオカミの振りをして人間側をアシストするのが仕事ガル。具体的には占い師の振りをして本当の人間を村オオカミだよって嘘を突いたりとか」

 

「へえ、狂人楽しそうだガルン」

 

「騎士は毎晩一匹を守る事が出来るガル。その守られたオオカミは、人間に攻撃されても死なずに済むガル」

 

「ほう、それは面白そうガオ」

 

「そして、朝の部では話し合いを行うガル。持ち時間は一匹40秒。その間に自分の事を紹介したり、2匹目以降は怪しいオオカミが居たなら考察を述べたりするガル」

 

「時間制限があるのワオーン?」

 

「そうガル。この砂時計を喋る前に逆さにし、砂が落ち切ったら40秒ガル」

 

「40秒に言いたい事をまとめるのは大変そうガルン」

 

「はじめの内はね。でも、慣れてくれば喋れるからね?」

 

「分かったバブガル。じゃあ人間なんかは自分が村オオカミだと嘘を言ってもいいって事バブガル?」

 

「そうガル。むしろそうしなければあっさりゲームは終わってしまうガル。人間になったオオカミは嘘を突く必要性があるガル。何せ人間側のチームは狂狼と人間の二人しかいないからね」

 

「成程ガオ。じゃあ村オオカミは人間っぽいオオカミを協力して探して、人間はそれがバレない様に嘘を突く戦いって事ガオね?」

 

「そうガル。で、全員発言が終わると夜になるガル。その間に人間は任意で村オオカミ一匹を処刑する事が出来るガル」

 

「可哀想レジェンドウルフ」

 

「だけど夜になった時に騎士が任意でかばう事が出来るガル。だから、騎士は誰が人間に狙われるかをしっかり朝の会話の時に考えておいて、本物の村オオカミ側のオオカミを守っていれば、その処刑は無効になるガル」

 

「やったーガウ!!」

 

「どうしたガル?」

 

「嬉しくなったガウ!!」

 

「そうなの? そして騎士は自分から名乗ったり、発言のほころびでバレてしまったら優先的に人間に狙われやすくなるガル。出来れば名乗らない方がいいガル」

 

「成程ガオ。騎士自身は自分を守れないって事ガオか」

 

「そうガル。しかし、そこを逆手にとる戦法があるガル」

 

「なんだガウ?」

 

「ただの村オオカミが騎士だよって名乗る方法ガル」

 

「どうしてガウ?」

 

「人間がそれに釣られてただの村オオカミを騎士だと勘違いして攻撃し、本物の騎士を守れるガル。これはアーマーと言う騎士を守る事の出来る唯一のテクニックガル。村オオカミの何にもなさを逆に生かして囮になり、能力のある役職を生かす方法ガルね」

 

「へえ……それは高等テクニックガウ。でもそんな事聞いても多分俺っちには使えなさそうガウ」

 

「そうだね。初心者に説明する内容では無かったガルね。でも、頭の片隅には入れて置いてほしいガル」

 

「大体分かったワオーン」

 

「よし、そろそろ始めるガル! で、これから役職をくじで決めるガル。クジは予め作っておいたガル。内訳は人間、占い師、狂狼、騎士はそれぞれ一枚。村オオカミ3枚ガル。さあ引いてくれガル。僕は最後に残った役職ガル。じゃあ……からガルからどうぞ!」

 

「よし人間以外人間以外ガオ……(あ……に、人間……ど、どうしようガオ……や、やるしかないガオ!)」

 

「次は俺っちガウ……(村オオカミガウか……)」

 

「じゃあ次は私が引くバブガル……(騎士か……難しそうバブガル)」

 

「次はオラワオーン……(狂狼だワオーン)」

 

「じゃあ俺ガルン……(村オオカミガルン)」

 

「じゃあ次は拙者だレジェンドウルフ……(占い師か……頑張るレジェンドウルフ!)」

 

「残ったのは……(これは……村オオカミガルね)みんな決まったガルね? 

 

「うん。ねえおそガル。勝ったら何か賞品を出そうバブガル」

 

「うーん何が良いかな? 誰か良いアイデアはあるガル?」

 

「じゃあ勝った陣営にアイスのガルガル君一本をプレゼントするレジェンドウルフ!」

 

「なんだって? それは負けられないガオ!」

 

「全力で行くワオーン」

 

「待ってガルン? これは人陣営は有利ガルン。人間と狂狼の2匹で山分けだガル? 村オオカミ陣営は5匹で1本ガルンよ?」

 

「確かに。だけど勝負は勝負ガル? おや? そんな事を気にするとはチョロガルはもしや村オオカミ陣営なのかガル?」

 

「さ、さあそれはどうガルンかねえ? と言うかまだ戦いは始まっていないガルン? 余計な詮索はしないでほしいガルン」

 

「そうだったガルね。まあそこでシッポを出す程チョロガルも馬鹿ではないガルね」

 

「そうガルン」

 

「アイスアイス楽しいアイスガウ♪」

 

「最年少ですが、負けないバブガル」

 

「アイスは一つ、拙者達は7匹……もう、後戻りは出来ないレジェンドウルフ……」

あらあら……体をクールにしてくれて甘くておいしいアイスが、皮肉な事に兄弟全員の心に炎を点してしまいましたねえ……これは……アイスも溶けて蒸発してしまう程に熱い戦いが繰り広げられるのではないでしょうか?

 

「じゃあそのクジは誰にも見えない様にして暖炉に捨ててくれガル!」

 

「了解!」

 

ボウッ……🔥  あっさりと燃え尽きるクジ達。しかし、その【あか】が、燃え尽き消えゆく刹那に瞬いたその炎が、彼らの瞳に、血液に、魂に、しるされます……そして、それが引き金となったのでしょうか? 奥底に秘められていた野生が……戦士の本能が呼び覚まされます……!

 

ゴゥゴゥゴゥ🔥🔥 

 

グォオオオオオオ🔥🔥🔥 

 

ギャオオオオオオオオオン🔥🔥🔥🔥🔥🔥

 

では! 狼人ゲーム…… スタート!

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「ふう。一区切りついたガル。ちょっと塩水を飲ませて頂くガルね」

 

「そうすればいいレジェンドウルフね」

 

「プハー美味しいガル」

 

「ねえママ? 何でガルガル言ってるの?」

 

「急に冷静にならないでほしいわ。じゃあ続き行くわよ!!」

 

「はいっ!!」

一か八かの賭け 後編

一旦ここまでです。また完成次第投稿していきます。

一か八かの賭け 後編

「ぷっはあぁあ美味い! 水も良いもんね。体が中から洗われる気分! 少々の塩もいい感じ♪」

 

「うん」

 

「じゃあ続きを読むね」

 

「やったああ😊」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「女! 一体何のつもり?」

 

「織田満里奈祭! ハッ……つい怒りで感情が乱れて……コホン、もう一度……おだまりなさい!」

 

「禁止! おだピーりなさいに言い直して! 特急で! 女!」

 

「どうして? なんなんですかあなたは!! 私は何も間違えていないでしょう? 言い直す必要は無い! そして私は女なんて名前じゃない! もう許せない!」

 

「禁止! 何もピー違えていない! に言い直して! 後さっきのおだピーりなさいも言っていない。早く! 女!」

 

「うるさい! さあ、この者を追い出して下さい! 早く! 抵抗するようなら容赦はいりません!!」

 

「はい!」

乙姫様かなり怒ってます。その怒りに呼応するかの如く、魚の番兵達の覇気も最高潮に到達しています。その数は1000を超えるでしょう。もはや避けては通れない一触即発の空気。

 

「フン! 無駄!!!」

ゴゴゴゴゴゴゴ

しかしその大群に全く怯む事無く泰然自若に精神統一します。すると、膨大な氣のうねりがきんしま太郎を包みます。糸色など一切使わず、完全にむき出しで、誰でも目視確認可能な程に克明な姿の深紅の竜が現れます、その激しい熱気を帯びた闘氣が、灼熱の障壁が、きんしま太郎を守る様に包んでいます。もう戦闘態勢に入ったみたいですね……これは……沢山の死人……いいえ。沢山の焼き魚が出来そうですね……食べ切れるでしょうか? ジュルリ🤤

 

「これだけの数を前にしてよくもでかい口を叩けるな! いいだろう! 皆の者! かかれー!」

番兵はその大きな変化に全く気付いていないようです。いいえ。もしかしたら強大過ぎて竜宮城の赤い背景に溶け込み、気付けないのかもしれません。ドラゴニックオーラ全開の彼は既に一騎ではないのです。一騎当千と言う言葉通りの状況。故に1対1000ではなく1000対1000の対等な勝負と言えるでしょう。何故なら今の彼の防御力は、カメの甲羅よりも固くなります。そしてその防御力に加え、クマを10mも投げ飛ばす力がある竜の血を受け継いだ神聖な人間なのです。果たしてここの番兵程度が束になったところで彼の相手が勤まるのでしょうか?

ドドドドド

魚の番兵達はきんしま太郎に一斉に飛び掛かります。

ジュー ジューウシィー 

 

「あ、熱い アツウウイ……体が、焼けるうう😢」

お魚が焼け、DHAたっぷりの魚油が滴り落ちます。そして、それが焦げるとても美味しそうな……いいえ。

皮膚が焼けただれ、焦げ付いた様な嫌ーな匂いが漂います。ジュルリ🤤

 

「だっ駄目です! 彼の周りにドラゴニックオーラの様な物が張り巡らされていて近づけません!!」

 

「な、なんですって?!! ドラゴニックオーラ? なんですそれ?」

 

「とってもあっつうーい奴です」

 

「で、では早急に退いて! 弓兵部隊! 遠距離から攻撃です」

 

「はい!」

ピュン ピュン ジュ…… ジュ……

ああ、矢がきんしま太郎に届く前に燃え尽きていますね……

 

「そんなの効かない!」

 

「駄目です……」

 

「では槍兵達よ! 中距離から攻めて下さい!」

 

ぎょ意! やああああ」

カンキン カツンコツン 

 

「そんな棒っきれじゃ効かない」

 

「魚ええええ」

 

「ああっ……あの高熱のオーラに耐えられるものは居ないのですか?」

 

「ドラキング!!」 「あっ! あなたはみず/ドラゴン複合タイプのドラキングではないですか!」

 

「奴の闘気など4分の1に抑える事が出来ましょう! お任せ下さい!」

 

「頼もしいですわ」

 

「食らえ! ハイドくちポンプ」

成程。例え耐性があったとしても念には念を入れて遠距離攻撃ですか。確かに、4分の1に抑えられるとて熱気の籠った攻撃性の高いオーラなど触れないに越した事はありません。このドラゴンかなりの切れ者ですね。しかし、その慎重さ加減を見ていて私の姉の事も思い出してしまいました……忌々しい……

 

「こんな水鉄砲は……えいや! 食らえ!」

なんときんしま太郎。ドラキングが放った水の大玉を、両手で優しく受け止め、ドラキングに流してしまいました。

 

「うわああ」

バタッ 何と言う脆いドラゴンですか……あの慎重さはこの防御力の低さから来たのでしょうね。

 

「ああっドラキングも……他にはいないのですか?」

 

「サニゴー」

ピンク色のサンゴの様な生物が乙姫様にアピールします。

 

「あなたは? あっみず/いわタイプを持っているサニゴーさん! あなたも4分の1に出来ますね?」

 

「その通りサニ。そして僕達は防御の種族値が高い。ドラキングの様にあっさり負けないよ! そしてこの硬さを生かした体当たりなら、あんな奴のドラゴニックオーラを貫通していちころサニー」

 

「ああ、頼もしいです! では、お願いします!」

 

「はいっ! みんな一斉に行くサニー! 高速スピーング」

 

「高速スピーング」

 

「高速スピーング」

サニゴーの大群が、一斉にきんしま太郎を攻撃します。

 

「う!」

ドガンボギン ゴツンメキン 

痛々しい擬音と共に、ギャグ漫画等でよく見られる謎の煙がきんしま太郎達を包み込みます。そのせいで中の様子がよく分かりません。 そして5分後……

 

「や、やりましたか?」

とことこ

乙姫様……それは……それだけは言ってはいけないセリフです……

 

「うおおおおおおお足柄山おろしいいいいい」

ポーイポイポイ

 

「うわあああ」

 

「たすけてえええ」

 

「とばされるううう」

見事にフラグを回収しましたね。煙が薄れ、それと同時にサニゴーがあっちこっちに飛んでいきます。クマですら10m飛んでいくほどの投げ技です。サニゴーはその10分の1程の重さ。故に100メートルは飛んでいます。 そして……ああ、予想通りです。彼らは大口をたたいた割に一切傷を負わせる事も出来ていません。 そうです。彼は待っていればいい。サニゴーは浅はかだったのです。仮に熱を帯びたドラゴニックオーラを破ったとて、本体の堅固な防御力までは想定できなかった。その硬さはサニゴーよりも固く、体当たりは無効。故に、相手に疲れさせるまで攻撃させて、疲弊したら投げ飛ばす。そんなシンプルな戦い方でも良いのです。

 

「ああっそんな……番兵達……ごめんなさい……」

全滅……

 

「僕はカメを助けた恩人なの! こんな事はしないで! 2度と!!!!!!」

想像を絶する熱氣を全身から放ちつつ正論で返します。

 

「うう」

この様子では敗北を認めたのでしょう。あれだけの大群を一人で捌いてしまったこの小さき怪物。 ハイスペックすぎますね。

 

「今回だけはさっきの分は許す! 今の戦いで忘れてしピーった僕も悪いから。不服だけど! でも! これ以上例外は無い! 分かった?」

何を許すんですか? そろそろ教えて下さい……

 

「す、すいm……ピーせん……」

 

「あっ! ギリギリ! しっかりして! 女!!」

 

「クッ……」

ギリギリ 乙姫様は顔を真っ赤にして拳を握り締めます。

 

「きんしピー太郎さん落ち着いて……姫さピーも恐れています。姫さピー……彼はこういう人なんです。何卒ご理解の程よろしくお願いたしピーすカメ」

 

「ほら女! 見て! この亀4回もま……違う、ピー違えずにすらすら言えてる。それに引き換え女は何度もピー違えてる! だから女はカメ以下! ハッキリ分かんだね」

きんしま太郎? あなたも何か言い間違えていませんか? それにその発言、差別発言ですよ! 訂正して下さい!

 

「わ、分かりピーした……(何故こんな屈辱を? ゆ、許せません!!!!)」

 

「あれ? いピー、許せピーせんって思わなかった? だとしたら禁止!!」

え?

 

「ひぃ? めめめめっ、滅相もございピーせん(え? こ、心の中を読まれた? ま……まさか……そんな筈……)」

 

「ぴーた! 心の中を読ピーれた? とピー……ピーさかって思い直して! 迅速に!」

 

「あーれー😢」

おや? きんしま太郎、乙姫様の心を読んでいます……これも竜の血を引く彼の神通力の一種でしょうか? ですが思い直してってどういう事なんですか? 思い直してどうなるんですか? 謎は深まる一方です。うーむ、この太郎、今まで登場したどの太郎よりも無駄にハイスペックですねえ……筋力も高く、動物と会話出来、更には心まで読める? 

 

……ああっ!! 発作が……意図的に話を逸らしたくなる発作が……皆様すいません……誠に申し訳ございませんがこれからほんの少しだけ意図的に話を逸らします。発作なので仕方ないのです……では、行きます……

昔話には太郎が沢山出てきますね? 例えばももたろう、浦島太郎、金太郎、三年寝太郎。そして、マイナーな物であか太郎とかもあります。どの太郎も個性的ですが、金太郎だけ群を抜いている気がするんです。竜の血を引き継いでいて、クマにも相撲で勝ててしまう程の怪力の持ち主。それに引き換え三年寝太郎なんてただの寝坊助ですし、桃太郎はそこそこ強いみたいですが、あか太郎なんておじいさんとおばあさんの垢をこねて作った人形に命が宿ったと言う設定です。このように様々な太郎が活躍する小説の事を総称し、

 

【たろう小説】

 

と言います。1999年7の月に、小説家にたろうと言うサイトが誕生しましたが、そのサイトこそがたろう小説の発祥の地と言われています。今日この瞬間も新しいたろう作家が新たなたろう達の活躍をその筆で生みだしてくれるのでしょうね。皆様も要チェックです。しかしたろうって……小説家にたろうって……変なサイトです。 ハッ私は一体? 数分前の記憶がございません……ええとでは、続き行きます……

 

「とっ取り合えずさっさとおもてなしして、さっさとお帰りなさっていただきピーしょうカメ!」

露骨です。

 

「そ、そうですね……タイ―ヒラメ―」

 

「呼びましタイー?」

 

「呼ばれたヒラメ―?」

 

「さあ舞い踊って! 早く!」

 

「禁止! ピーい踊って! に言い直して! 女! お願い!」

 

「ああ…… ピーい踊って! (早く帰って……あっそうだわ! あれを……)きんしピー太郎さん少々席を外しピーす」

 

かわや? 大なの? 大なの? ねえ大なの? じゃあ早く済ピーせてきて! 早急に!! お願いだから!」

うわあ最低です……

 

「そ、そうです(な、何て痴れ者……もう許せない! 絶対に天罰を与えなくては……!)」

とことこ

乙姫様は何かを取りに自室に戻ります。

 

「天罰? 僕はそんなの受けない! 天が僕をピーもってくれているんだから!」

まーた勝手に心読んで……

 

「ルンルン」

 

「ランラン」

タイとヒラメは見事に踊ります。

 

「すごいすごい88888888」

きんしま太郎もご満悦ですね。

 

「これは海藻スープです! どうぞ召し上がれ!」

 

「ありがとう!」

ズズッ

 

「これはいいものだ! お代わり欲しい!」

 

「ただいま持ってきます」

 

「禁止! ただいピー持ってきピーす! 言い直して!」

 

「すっすいピーせん……ただいピー持ってきピーす」

 

「合格!」

 

「クックソ!!」

ダダダダダ

悔しそうに走っていくウエイター。しかしこのウエイター、あのやり取りで瞬時にきんしま太郎の言葉の謎の法則を理解してしまいました。ですが私には未だに理解出来ていません。ですがいつか解明して見せますのでご期待下さい!

 

「お代わりお持ちしピーした!」

 

「ああ! ありがとう! ズズッ うーん絶品!」

 

「戻りピーした」

乙姫様は綺麗な箱を小脇に抱え戻ってきました。一体中には何が入っているのでしょうか?

 

「お帰り! 手は洗った?」

 

「は、はい」

 

「でも手が濡れてない! そんなに早く乾くの?」

 

「うっ、しっかりとタオルで拭いたので(本当は洗っていないのよね……あっこれ筒抜けかも!!)」

 

「じゃあしっかり洗う! 汚いの駄目!」

ひー

 

「ひー」

乙姫様もウンザリです。氣は優しくて力持ちで他人の心も読む事の出来るハイスペックな太郎ですが、この性格では女の子にはモテないでしょうね……

 

1分後

 

「洗ってきピーした」

 

「うん綺麗! そして合格!」

 

「しかし感情が高ぶってしピーったとは言え、番兵をけしかけた事は反省致しておりピーす。申し訳ありピーせん……お詫びにこの箱を差し上げピーす(どうか受け取って! 私の心が込もった煙をあなたに……)」

あっ! これは怪しいですね。しかし心を読む事が出来るきんしま太郎には通用しなさそうですね。

 

「なにこれ?」

 

「たま……たピー手箱です」

 

「今ギリギリだった! 気を付ける!」

 

「す、すいピーせん。で、ではどうぞ……」

 

「ありがとう」

おや? すんなり受け取ってしまいましたね? 何故でしょう?

 

「じゃあそろそろ帰る。お土産ピーでありがとう!」

 

「お元気で」

 

「また来るよ」

 

「ひー……え? あっw 禁止! ピーた来るよでしょ? 言い直して下さい! 特急で!」

乙姫様? なぜですか? とても嬉しそうですよ?

 

「あっごめん!! ピーた来るよ」

どうして言い直すのですか?

 

「合格! いえいえ、こういうのは一回きりだからこそ美しいんですよ。だから……その……」

 

「ねえ! ふピーんそうな顔しない! ピーた来てもいいでしょ?」

 

「すいピーせん。ピーた来て下さいね……」

 

「合格!」

何すかこの会話……

 

「じゃあカメ帰ろう!」

 

「はいですカメ」 (もう戻ってこないで下さーい)

こら! 乙姫様! また読まれますよ!

 

ーーーーーーーーーーーーーー数日後ーーーーーーーーーーーーーー

 

家に帰ったきんしま太郎。帰ってきても玉手箱は開けずに相変わらず動物達と遊んでいます。 そしてお母さんにも決して開けてはいけないよ! と念を押していますね。 しかし、とても強いので、おすもうも、かけっこも、負けませんでした。 力の象徴である熊も、泳ぎの達人の鯉も、きんしま太郎には敵いません。 学校給食で誰もが一度は見た事のある筈の、あのばんのう君の様にスポーツ万能なのです。

ですが、彼は強いだけではなく、優しいのです。 お母さんの目が悪くなってしまった時はおんぶして、目の効能のある温泉まで連れて行きます。

 

「い、いつもすまないねえ……」

 

「禁……何でもない!」

おや? 禁止と言おうとしたようにも思えますが途中で止めましたよ? なぜでしょう? そしてある時は山に嵐が来て、友達の動物達が木に押し潰されていた時も

 

「大丈夫?」

 

と、得意の剛腕で木を持ち上げて助けてあげました。

 

「た、助かりm……ピーした」

 

「ギリギリ! 気を付けて!」 「はっはい!!」

口癖のように禁止を連呼するような気難しい一面はあれど、こういう優しい一面もあるから完全に嫌われることは無いのです。

 

「今日もすもうを取る! イノシシ! 勝負だ!」

 

「この突進耐えられるイノー?」

ドドドドドド そんな当たり前の日常に、とある変化が起こりました。それは、足柄山の近くに、お侍さん達がやってきたのです。その日は曇り空。山の上にも赤い雲がかかっています。それに気付き……

 

「むむ? あれはなんだ?」

山の中へと入っていきます。そこで見つけたのは、きんしま太郎と動物達でした。 丁度、イノシシ🐗の双方の牙を左右の手でしっかりと掴み、投げ飛ばす直前でした。 ぽい!

 

「痛てて相変わらず足柄山おろしは対策が見つからないイノ……」

 

「そう! これぞ最強の技!」

それを見て、侍の長、源頼光みなもとのよりみつが言いました。

 

「強いな! 私の家来と勝負してみないか?」

 

「いいよ」

 

「ちょっ? ちょっと! こんな子供と私が?」

 

「お主、見ていなかったか? イノシシを投げ飛ばしたのだぞ?」

 

「それが何ですか? 驚く事でしょうか? 私も日々の訓練を怠っていません。負ける訳がないでしょう?」

 

「禁止! 怠っていピーせん。ピーける訳ないでしょう! に言い直して! 絶対に!」

 

「な? 何を?」

 

「禁止だから! 急いで急いで!」

 

「うるさい! 黙れ!」

 

「禁止! だピーれに! 言い直して! 後、怠っていピーせん。ピーける訳ないでしょう? も一緒に! 早く!」

 

「馬鹿め! 誰が直すか!」

 

「ぬ! 分からずやは遠くへ投げ飛ばす!」

 

「こい!」

 

「うおおおおおお足柄山おろしいいいいいい」

 

「うーわー」 投げられてしまいました。

 

「なんと! だが奴は四天王の中で最弱……行け! 二人目の家来!」

 

「だ、だが、最弱とはいえ四天王だぞ? この子、油断出来ない! 本気で行きます」 ぬりぬり ぬりぬり ぬりたくりーの おや? 何かを塗っていますねえ。一体何でしょう?

 

「禁止! 行きピーす! に言い直して! この通りだから!」

 

「問答無用!」

ダダダダダ

 

「ぐっ!」

ガッ  がっぷりよつに組みます……ところが?

ツルリンコ!

「うわ!! すべる? なんで?」

 

「フフフ勝負あったな!」

 

「でも……」

ガッシ

 

「え? 砂を?」

 

「うおおおおおお足柄山おろしいいいいいい」

ピューン

 

「うわあーい」

二人目の家来は、全身に油を塗りたくって投げずらくしていましたが。一瞬の隙を利用し家来から離れ、地面の砂で天然の滑り止めをこしらえ、投げ飛ばしました。 きんしま太郎は戦いの最中でも状況を把握し解決するセンスも持ち合わせていました。結局頼光の家来は次々と投げられ、誰も勝てませんでした。

 

「あっぱれだ……」

 

「あれ? これで終わり?」

 

「私は勝てない戦いをするつもりはない。そうだお主、都に来ぬか?」

 

「駄目! お母さんを置いていけない」 きっぱりと断ります。 「むむむ……! 彼を立派な侍として教育するのでどうか!」

ですが頼光は諦めません。きんしま太郎のお母さんに直談判しました。

 

「分かりピーした。ですが無理はしないで下さいね」

 

「感謝いたす!」

それからのきんしま太郎は、頼光から「坂田金時」という新しい名前をもらい、四天王と呼ばれる立派なお侍さんの一人になりました。

 

「で、何をする?」

 

「良い質問だ! 実はこの都に悪い噂が立ってな」

 

「どんな?」

 

「ふむ……金時! 言葉遣いが目上に対するものではないぞ?」

 

「僕はこのやり方で行く!」

 

「そ、そうか。確かに無理に連れてきた手前強くは言えぬ。うむ、このままでよい!」

 

「禁止! このピーピーで良いに言い直して! お願い!」

 

「グッ……そういえばこんな奴だったな……このピーピーで良い!」

 

「合格!」

 

「面倒な奴だ……強くなければこんな奴絶対に使わないぞ……」

 

「で、噂は?」

 

「それがな? 都に妖魔……おっと……妖怪が出るようになってな」

 

「どっち? 妖ピーなの? 妖怪なの?」

 

「本来妖ピーだ。だが妖怪に言い換えた。お主とのあのやり取りが面倒なのでな」

流石頼光! 賢いですね。

 

「そう! なら今回は許す!」

誰なんすかあなた?

 

「そいつらは夜な夜な人を襲い、金品や作物を奪っていく」

 

「それは駄目!」

 

「そうだ! だから夜間の見回り……違った……パ、パトロールするのだ!」

 

「禁止! 見ピーわりに言い直して! 速攻で!」

 

「だからパトロールって言い直したじゃないか!」

 

「でも見ピーわりって発言した! その罪は絶対に消えない! 故に言い直して! 特急で!」

 

「ググギギ……見ピーわりするのだ!」

 

「合格!」

相手はあの源頼光ですよ? もう止めて下さい……吐き気がします……

 

「暗くなってきたな。そろそろ出るぞ? 気を付けろ!」

 

「御意!」

 

「♪夜な夜な夜ーなー夜ーなー人々おーそーいー♪夜な夜な夜ーなー夜ーなーお宝うーばーう♪」

おや? 何やら物騒な歌詞の歌を歌う人がいますねえ。

 

「出た! 妖魔……いけねっ妖ピー」

 

「禁止!」

 

「そんな暇はない! 来るぞ!」

 

「なんだお前らは? これから人を襲ってお宝を集めるんだあ邪魔するなあ」

 

「禁止! おピーえらは? と、じゃピーするなあに言い直して! 急いで!」

 

「なんで? と言うかお宝奪うな! とか、人襲うなっていうのが普通じゃないの? そんな事だけでいいの? じゃあおピーえらは? と、じゃピーするなあ。これでいいか? じゃあ仕事するからこれで」

 

「合格!」

 

「金時! 合格じゃないだろ! 成敗開始だ! うおお!」 頼光は刀で妖魔を切りつけます。しかし!

スカッ

 

「あっ? き、効かない?」

 

「そんなものは効かん。黙って見ていろ!」

 

「禁止! だピーって見ていろに言い直して! はよ!」 「黙れ! 妖魔様に指図するな!」

ドガ

 

「いててて……なんて攻撃力……」

カメの固さを誇っているきんしま太郎にすらダメージを与えました。流石妖魔だけの事はありますね。

 

「……あっ! いピーおピーえ三回も言った! あんな短いセリフに!! 許さない! だピーれ! 妖ピーさピーに指図するな! に言い直して!」

 

「本当に言うと思ったのか? ままままままままままままままままw どうだ? ピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーに言い直してっていうのか? ほれ! どうなんだよ? オラ!」 ど、どうしたのですか? 妖魔がおかしくなりました。いいえ。多分おかしいのは私でしょう……妖魔はきんしま太郎のあの法則を見抜いた末、彼を怒らせる為に敢えてこういう事をしているのかもしれません。私がこの法則を見抜いていさえすればこの妖魔の奇行を解説できたのですが……情報が足りなさすぎます……

 

「き、さ、ま……ゆ、る、さ、ん」

噴火寸前の活火山の火口付近のような深紅の瞳に変色し、妖魔を睨みつけています……もはや止まる事は無いでしょう。

 

「金時……おピーえもきさピーって言ってるぞ……」

 

しかし金時にその言葉は届いていません。

 

「これは使うつもりはなかった。でも妖ピー、おピーえは僕を怒らせた。死よりも辛い苦しみを味わってもらう。泣いて謝ってももう遅い」

シュルシュル……パッカ……モクモクモクモク

 

そう言うきんしま太郎の両手にはいつの間にかきれいな箱がありました。あの箱はもしかして乙姫から貰った箱でしょうか? その箱の紐を解き、蓋を開けると紫色の煙が妖魔達目掛けて漂い、包み込み始めます。 

 

「はははははwなんだその貧弱な煙は? 何も怖くないぞ! その背中のまさかりは飾りか?ww」

そんな挑発には一切耳を傾けず直立不動のきんしま太郎。煙は生き物の様に妖魔達のみを包み込みます。得意の投げ技やまさかりを使わないのは頼光の刀が通用しなかった事を見たばかりです。彼と同じ轍を踏まないと言う事でしょう。彼はタダの脳筋ではなく、引き際を知っている様ですね。 そして、その煙は2分位包み込んだ後に箱に戻っていきます。また使えるようですね。とっても便利! そして煙の中から出てきた物は?

 

「よ、ヨボヨボ妖魔ー」

 

「ふ、フラフラする妖魔ー」

 

「腰が、足の関節が痛い妖魔ー」

なんと! 妖魔達はおじいさんに変わってしまいました!!

 

「金時? 一体これは?」

 

「乙姫のくれたたピー手箱!」

 

「乙姫? たピー手箱? ピー、ピーさか金時、あの伝説のお方に会ったのか?」

 

「合格! 伝説? そんな大した女じゃなかった。奴は心を読ピーれているのを知った筈なのに、たピーて箱の秘密を心の中でばらしていたw 間……ピー抜けで馬鹿な女だった。でもそのお陰で僕を陥れる筈の箱が、僕の最大の武器になったの!」

 

「成程、金時は心も読めるのか……」

 

「そう! だけどけっこう頭使うからずっとは出来ない!」

 

「そうか! よしこの調子て妖怪どもを一網打尽にするぞー」

 

「おう! 妖ピーは一匹残らず駆逐する! この箱の力で!! あっあそこにも3匹いたぞー掛かれー」

ドドドドドド

 

こうして玉手箱の力を借り、きんしま太郎こと坂田金時は都で大活躍しましたとさ。 めでたしめでた……ちょっと待って下さい! 成程。たった今……フフフ……いいえ。 【たったいピー】 ですよ……ね? 分かりました。どうやらピーに合ったようですね……ギリギリでした……この流れでようやくきんしま太郎が今までやっていた奇妙な行動の全てが分かったのです。 はあ、語りの女神カタリナとしてこれを気付けないままで完結させてしまっては語りの女神の名が泣きます……私はずっとこの疑問を抱えつつ語っていましたが、この真実に辿り着き溜飲が下がる思いです♡え? あんた本当に女神なの? ですか? 正直にカタリナさいですって? フフフwお上手ですね……分かりました。本当は秘密にしていたかったのですが、とても面白い冗談が聞けたので今回特別にお教えしましょう。コホン……では語らせていただきます……

 

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私は2000年に生まれた比較的新規の女神です。何せ語りと言う狭い分野の女神ですので……で、元は人間だったんですよ? しかも日本人でした。 神になる前の名前は土方ひじかた、土方理奈と言う名前でした。そう、ヒジ【カタリナ】なんです。 女神になる前はコギャルでした。当時ピチピチの17才でした! 知っていますか? コギャルって? 足はダルダルのルーズソックスと言う靴下をはいて、顔を黒くしてポケベルやデコレーションした携帯をいじる人のことです。ですが私はただのコギャルではありませんでした。当時毎日、美菜と有紀と言う友人と私の三人で、ギャル語を考えていたのです。 ギャル語とは、白けるならホワイトキックとか、超ベリーバッドならチョベリバとか、とてもムカつくならがっぺんムカつくとか……そういうギャルが好んで使う言葉ですね。それを部室で1日中考えては出来た作品をまずはクラスメートに実験的に使っていました。結構好評でそれがいつしか口コミで広がり、全国に広まりまして、何とテレビでも紹介されました。その活躍を見ていた神様が、私をヘッドハンティングに来ました。初めは戸惑っていましたが、神になれば寿命が延び、沢山の言葉を作れるかもしれないよ? と言う誘惑に負けて同意したと言う経緯がありました。 ……美菜と有紀には反対されました……ですが、一度きりの人生。何か大きい事をやりたいと考えそれを振り払いました。 そして、神殿に招かれ本名を言ったところ、それじゃあ迫力がないな! 外国人の女性っぽくカタリナにしようとなったんです。 こうしてギャル語発明王土方理奈から語りの女神カタリナに転職した訳です。意外でしょう? 日本人の女子高校生が一夜にして神になってしまったのです。そう、もしかしたら北欧神話に登場する雷神トールも実は日本人の○○とおる君が神になった時にノリでカタカナ表記に変えられただけなのかもしれませんね。 で、元々27だった握力が2700まで上がっていたんです。あー神になるってこういう事なんだーって感じましたね。そして脳内に直接神様がこれからやるplanを送り込んでいただき、早速仕事に取り掛かりました。まずは語りに関する様々なルールを考えました。大変でしたがとても楽しかったです。そして伝えていきました。これから職を探し始める方々に。こういう仕事もあるんだよってね。彼らは意外と早く集まってくれました。共に語り道を切磋琢磨し昇華していく日々でした。 そして、共に作ったカリキュラムを終え、いよいよ語り部として色々な部署へと派遣されていきました。 しかし、派遣先での仕事ぶりを天界から見ていましたら、皆で定めた筈の掟を平気で破り、オリジナリティを主張する【裏切り語り部】が後を絶たず、そう言う者に直々に【おしおき】をしていました。そのおしおきとは、掟破りの裏切り語り部には二度と語って欲しくないと言う気持ちを込め、喉を握り潰すと言う厳しめのおしおきをしていたのです。 そして、ニギリンコした後は、神病院に連れて行き、治療を施すと言う流れで終了致します。 それを受けた方は、のどにある程度の後遺症が残り、二度と語り部に戻る事はありませんでした。そんな事を繰り返している内に、仲間は次々と去り、結局私自身しか語りのスキルを有している者が居なくなり、やむを得ずこのお話の担当語り部として頑張っているところです。 その当時は若く、急ごしらえで作ったルールで荒も多く、更には徹底的に取り締まりを行っていました。ですが、それではいけないと考えるようになりましたので、これからはルールを見直し、緩和していきます。ですので、皆さんの中で語り部を目指してみたい! と言う方は挑戦されてはいかがでしょうか? 心より歓迎いたします。一緒に新しい語りを、一度きりの青春をかけて、開発、実行していきませんか? え? 別にいいですか? 残念です……私、時々思うんです。語りの女神としてちゃんと仕事が出来ているのかなあって? もしかしたら私以外の別の誰かが務めた方がより良い語り部が生まれていて、もっともっと盛り上がっていたんじゃないかなあって……もしもあの時私が断ってて、【神なんか】にならずにコギャルとして生きていたら、その先の私はどうなってたのかなあ……なんて……もしも、もしも昔に……コギャルの頃に戻れるとしたら……ちょっと戻りたい……かなあ? ……スン……ミナポン……ユキユキ……あの頃の様にまた一緒にティラミスの美味しい店巡ったり、オシャレしたり、プリクラ撮ったりシール交換したり……ギャル語たーくさん作って作って作りまくって……で、大好きなダイスケ先輩にアタックしてお付き合いして、結婚して、2人の子供に恵まれて……ずっとずっと幸せに、おばあちゃんになった時に、ホワイトキックって言葉、私が作ったんだよって孫に教えて……幸せに……くすん……あーあ……このお話をする前に絶対に泣かないって誓っていたのに……グスッ……何か……目から水が……出ちゃいます……とまれー! とまれったら!! バカバカ!!! ご、ごめんなさい……ちょっとセンチメンタルになってしまいました。 あ……今の話、ホワイトキックでしたか? だとしたらチョベリバでがっぺんムカつきます。 いいえ。私はもう土方理奈ではなく語りの女神カタリナでした。もう涙は見せません!! 涙なんて人だった時に既に捨てて来たんです! 皆さま! 最後感情的になってしまった事を訂正してお詫び申し上げます。さあ、私の話はこの辺で……ですがこんな昔話を最後までお聞きいただき感謝しています……

 

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そして、彼のお母さんが言っていた事も同時に分かりましたよ? 彼女は、【ま】と言う文字だけを言う事も出来ないし、第三者がそれを言った場合、【ピー】に言い換えて再び発言し直させようと考える女性なんです。そうです! それを言った人を徹底的に取り締まる【ま】警察なのでしょう。面倒くさいですね。 そんな教えを受けてきたきんしま太郎自身ですが、【ま】が入ったセリフをお母さんの前で何度も言ってしまって怒られていました。 故に、まだ取り締まっている本人ですら時々言ってしまう場合があると言う事なのでしょう。要するに半人前の【ま】取り締まり男なのです。何故かは分かりません。ですが、彼は母が言う事を盲目的に信じ続け、【ま】を禁止している太郎だったのです。これがこのお話のタイトル回収ポイントだったと言う事でしょう。皆さんは私よりも先にこの仕組みに気付く事は出来たでしょうか? そしてクマに言い負かされた時の涙の理由も分かりました。彼は熊よりも力は強いけれど頭の良さは熊よりも劣っていた。と、言う事実を突きつけられてしまったから泣いてしまったのでしょうね。 きんしま太郎の歌を歌っていた時もそれを何度か発言しているみたいですね。しかし、お母さんが目を悪くして温泉に行った時にうっかりミスをしてすまないねえと言った時の事を覚えていますか? あの時、禁止と言う言葉を飲み込み許していました。彼はルールを守る為なら何でもすると言う程血も涙も無い訳ではないようですね。 そしてこれは、ここからは私だけが気付いてしまった事実です。それは、彼の名前についてです。 彼は竜の父親にきんしま太郎と言う名前を考えてもらったと推測します。あくまで推測ですが。 私個人的にはこのネーミングセンスに吐き気がしますが、実は意味が込められているのです。 この子には竜の血を引き継ぎ、聖なる力を秘めている。そう、退魔の力を。あらゆる魔を退ける力。それを発揮するには名前に、【魔を封じる】と言った意味を込めた言葉を入れなくてはいけない。名前にはそう言った不思議な力がありますから。だから恐らく漢字でこの名前を表記すると 【禁止魔太郎】 と書く筈です。前掛けの文字が禁だった事実からも間違いないでしょう。彼の名前に、魔を禁止する男の子に育ってほしいと言う意味が込められたのです。きんしま太郎。彼は、太郎の中では群を抜いたスペックを誇っていました。ですがそれは元から魔物と対峙するため。その役目を果たすに相応しい力を持っていなければならなかったと言う事なのでしょう。彼は太郎の中でも最も崇高な目的のあった太郎なのです。だから乙姫様の率いる魚の兵隊ごときに負ける筈がない訳ですね。 そして、竜は単身赴任前にお母さんにこう教えた。彼が【ま】と言う字が入った言葉を使用する度に、 【禁止】 と言って、ピーと言い直させるんだ。そして母親の君も大変だろうが【ま】をピーに言い換えて暮らしてくれ。と、言う事を。 理由は幼い内から躾けられ習慣化する事で、【ま】=【魔】はいけない物なのだと言う事を、禁止しなくてはいけない物なのだと言う事を教えていたのでしょう! お陰で少々ルールに固執する嫌な子供に育ってしまいましたが、その教育のお陰で結果都は平和になりました。そしてその平和が続いていく内に、彼も自然と【ま】の入った言葉も口に出来る日が来るのかもしれません。その時が、本当の意味で平和になった。と言う事なのでしょうね……ああっそういえば私、途中で遮ってしまいましたね……申し訳ございません……では本当に……めでたし、めでたし。

 

「はいおしまい! 長かったわあ」

 

「8888888今回は特別褒める所は無かったけど、考えさせられる内容だったなあ」

 

「何が?」

 

「もし現実にこんなやばい奴がいたら、従わざるを得ないじゃない? そんなの屈辱で、皆も必死に断ろうとしていたけど、結局力づくで言わされていたじゃない? あんな世界、まっぴらごめんよ。現実でなくてよかったなあって思ったわ」

 

「そうね」

 

「でも本当にそういう世界が来た時どうしたらいいか? っていう事を考えさせられる話だった。今の内に危機管理能力を養いたいよね」

 

「うんうん。因みにどうやって回避するの? もう思い付いちゃったりしてる?」

 

「うーんまだ何も……力ではまず勝てないよね。でも逃げ回っていても追いかけてくる。見つからないように隠れるしかない? でも見つかったらどうする? ああ分かんなーい」

 

「でもそんな世界が来ないように私も刑事として頑張るから心配しないでね!」

 

「はいっ!」

一か八かの賭け

一か八かの賭け

「ママ?」

 

「なあに?」

 

「次は金太郎と浦島太郎を入れてみたいんだけど……」

 

「さっき言っていたやつね? でもあの組み合わせ……危険かもしれないわよ? もしもアリサが言った通りになったら運営様に☆BAN☆される危険性もあるからね? その覚悟はおあり?」

 

「大袈裟wそうなったらその時よwwwwwそれでもアリサ、どういうタイトルになるかだけはアリサ自身の目でどうしても確認しておきたいの!!」

アリサちゃんはとても知的好奇心が旺盛ですね。

 

「いいわ! じゃあやってみなさい。あんたの事だからどうせスロット1に金太郎を入れるんでしょ?」

 

「はいっ! 私の予想が正しければ☆あのタイトル☆が出てきて、その瞬間に☆BAN☆されて、永遠にこの業界から追放。で、ママの予想が当たれば、きらしま太郎になる筈よね?」

 

  「そうなるわね。いいの? この段階であればまだ引き返せるけど? スロット1に浦島太郎でもいいのよ? そこまで命を張るような事でもないんだからさあ」

 

「逃げない! 退かぬ! 媚びぬ!! 省みぬ!!! それどころかこういう生死の掛かった勝負って、普段のぬるま湯生活では絶対に味わう事の出来ない 【死の恐怖を感じる事が出来る稀有なチャンス】 なのよwそんなチャンスこの私がむざむざ逃す訳ないでしょ!? ええ、実は怖いよ? 怖くないと言ったら嘘になる。最悪地獄の業火に焼かれ、その愚行を未来永劫子々孫々語り継がれ、数千億人の人間にあざ笑われる危険性もある。 でも、だから、だからこそ! 勝った時の喜びは一入ひとしおなのさぁ。ああ~今私さぁ、めちゃくちゃ楽しぃよおおおおお幸せええええええww」

アリサちゃん満面の笑みです。しかし、死の恐怖とか稀有とかどこでそんな言葉を覚えて来るんですかね?

 

「全く、命知らずのギャンブラーねwさあて、どうなるかしら?」

差し込み差し込み

パアー

 

「出てきた! なになに? あ……」

 

「ああ……これは予想外……丁度間を取って来たわねえ。まあとりあえずはBAN対象からは外れたわね。よかったわw」

間ですか? どういう事でしょうか?

 

「だねー。もし予想通りだったらここで人生終了だもんねwでもなんかあっさりしすぎてちょっと悲しい……何でかなあ? もしかしたら深層心理ではあれを望んで……そう、死ぬ事を渇望していた? フッまさか……ね……で……? きんしま太郎かあ……どんな話なんだろう?」

アリサちゃん? いいえ。アリサ様? あなた様は一体何周目の人生を歩んでいる最中なのでしょうか? あなた様を見ていると、まるで過去世の記憶を引き継ぎ、

 

*強くてニューゲーム*

 

を継続している。 そう、魂に記憶を定着させつつ、朽ちた肉体を捨て、別の新たな肉体へと転生を幾度となく繰り返している特別な存在。そんな風に感じ取れるのです。いわゆるリインカーネーション型の転生ですね。転生には3種類あり、輪廻型と転生型は記憶を引き継ぐ事はありません。アリサ様はリインカーネーション型で継続されている危険性があります。それも1回や2回ではないでしょう。 私の肌感で申し訳ありませんが、2桁台は軽く超えている感じがするのです。数多の人生が、経験が、記憶があなた様を形成されている物の正体なのですね? 何人もの人生を生き、積み重ね、鍛錬に鍛錬を重ね、堆積された膨大な知性が、高潔な魂が、あなた様の内側からひしひしと感じ取れる。そうではありませんか? いいえ。答えなくても分かっています。私のこの直感、九分九厘合っていると思います。そうでなければあなた様のその実年齢と乖離し過ぎた考え方や、驚異的な語彙力の説明が付きません。そして、これからもそれが継続可能ならば、それを繰り返す事で神? いいえ。それ以上の存在になれる可能性も秘められているのです。ただの人間であってもそれを幾度となく繰り返す事が出来れば当然神を凌駕出来る筈でしょう。 時々居ませんか? 同学年なのにとんでもなく頭の良い子がクラスに一人か二人は? そういう子はもしかしたらリインカーネーション型を繰り返し、複数回人生を経験しているのかもしれないのです。まあ勉強の出来ない子が優秀な人を妬み、悔しくてそういううわさを流している可能性もあるとは思いますが。アリサ様がもし本当にリインカーネーション型転生者であれば、新米女神の私なんかよりも遥か上位の存在と言う事に……え? 何で女神がこんな仕事をしているの!? ですって? いいえ。何でもありません……私程度の下っ端が女神の訳がないじゃないですか……いいえ。嘘はいけませんね……一応私、女神をやっています。ですが、その事に関しては今は言いたくないのです。もしも気が向いた時、機会があれば改めて話す事に致しましょう。では、続き行きます。

 

「じゃあ読んでみましょう」

 

「お願いします!」

 

「コホン、では、きんしま太郎はじまりはじまりぃ」

 

「わーい😄」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

むかしむかし相模さがみの国の足柄山⛰に、きんしま太郎という男の子👦がいました。 彼は禁と言う文字が大きく書いてある赤い菱形🔶の腹かけを着ていて、まさかりを担いでいるとても元気な子です。 そのまさかりで、良さそうな木を伐採しては山を走りまわっています。更に意外な事に、川釣りをする程の釣り好きで、腰には魚籠びく🧺を下げ、釣り竿🎣も左手に常に携帯しています。その腕前も一流で、山間渓流で、クマ🧸よりも多くの魚🐟を捕れる程なのです。 そんなきんしま太郎は、お母さん👩と二人で暮らしています。

 

「お母さん! ただいまぁ!!!」

 

「禁止! ただいピーよ!」

おや? お母さんに怒られてしまいましたよ? 声が小さかったと言う事でしょうか? ですが、皆さんも聞いたとは思いますが、きんしま太郎もエクスクラメーションマークを3つも使用しています。 1つでも十分なのに、それを3つも使っている事からも分かりますが、彼は元気一杯にただいまと言った筈です。ですが……お母さんは怒りました。まさか耳が悪いのでしょうか? え? ぴい? ぴいとは? モケポンのピピッの進化前のぴーぃの事を言っているのでしょうか? 

で、ですが何故このタイミングでモケポンが出てくるのでしょう? 確かに可愛らしいからいいのですけれど関係性は皆無……うーん……分かりません。

 

「しまった!」

 

「禁止! しピーったです!」

 

「すいません」

 

「禁止! すいピーせん!!」

あらあら……

 

「すいピーせん……」

 

「合格!」

な、何でしょう? 矢継ぎ早に起こる会話の応酬に、私の頭が混乱してしまいましたよ? 禁止? 合格? 何を禁止で何を合格させたのですか? 何故彼は謝ったのに怒られているのですか? 厳格な家庭なのでしょうか? これ以上この事を考えるのは脳に疲労を与える危険性があり、後の語りにも影響を与えます……こんな複雑怪奇な状況を無理やり突き止めようとする愚行は諦めましょう。皆様も無理は禁物ですよ?

 

「はい! ま……いけねっ! ピーきだよ!」

ムムム……何ですかねえ? ぴいきと言いつつ、お母さんに薪を渡します。 彼は何故正しい【薪】と言う言葉を、【ぴいき】と言うおかしい言い方に言い直す必要性があるのですか? 私には一切法則が見えてきません……私が馬鹿なだけでしょうか?

 

「ピーあいいでしょう。でもいピー、言い掛けていピーしたよ? しっかりと意識を集中させなさい?」

ピーア? 筋肉質で海パン一丁で、そんなの関係ないじょのいこや、ハイッオッピッパーとかのギャグで大活躍中の人でしょうか? 名前がうろ覚えで思い出せませんが………

 

「はい!」

変な親子です。でも、それ以外は普通ですね。そして、きんしま太郎のお母さんは薪を受け取ると、それを利用し、とってもおいしいごはんを作ってくれました。 お母さんのごはんを残さず食べて、ふたりともにっこり。

 

「ごちそうさピーでした!」

やはり何かがおかしいです……ここはどう考えてもごちそうさまでしょ……

 

「はい合格!」

 

「やったー😊」

……またです……何が合格なのでしょう? きんしま太郎のお母さんは彼のセリフから何かを判定しているようですが、今の所分かりません。 この先も同じような事があるのならその内に合否の法則を見出し、その秘密を皆様にも報告できる可能性は出てくるでしょうが、何せ情報が足りなさすぎます……しかし、この流れから通常の家庭ではないと言う事は分かります。そして、彼は母親に何かを制限された状態で生活をしているようですね。なんか窮屈ですねえ。私なら2日で飽きてしまうでしょう。 そして彼の父親ですが、実は天にいる赤い龍🐉だそうです。名前は分かりませんが今は出張中で、3か月位アフリカに単身赴任中とのことです。どうも水不足の問題を解決するために派遣されたそうですが……赤いドラゴンと言ったら恐らく炎属性です。故にそんな属性の竜を水不足の地域に派遣したら逆に残り少ない水までもが蒸発し、更に失われてしまう危険性があるのではないでしょうか? まあ派遣した部長も何か考えがあっての事なのでしょう。私の様な素人が口出しするべきではなかったですね。しかし、レッドドラゴンと人間の子供が人間なんですね。不思議です。

 

翌日、きんしま太郎の友達、山の動物🐀🐈🐕🐋🐇🐏達と毎日色んな事をして一緒に遊びます。 どんな遊びをしているのでしょうか? ある日は、おすもう。

 

「うおおおおおお 足柄山おろしいいいいいい」

ドスーン

 

「負けたクマ―😢いててて顎関節がちょっと外れちゃったw」

ああ! 物凄い投げ技です。600kgはあるであろうクマを10m投げ飛ばしましたよ? 小さな体に百人力の力を宿しているみたいですね。この力こそが竜の血を引き継いでいる証でしょう。しかし、相手のクマさんは頭から落ちて顎関節が外れてしまったようですよ? 投げ方を考えるべきだと思います。まだ幼い故に力が制御出来ていないって事なのでしょうかね……クマも可哀想に……

 

「禁止! 負け……しまった!! ピーけたクピー! って言い直して!」

何故か勝ったのに怒っていますね。不思議ですね。

 

「きんしま太郎さんも言ってるクマ―ww 負け……しまった!! ってw2回もw」

おや? クマはきんしま太郎のその謎の性癖を知っているみたいですね。そして彼を馬鹿にしたような口をきいています。しかしこの謎はまだまだ情報不足です。解明には時間がかかるでしょう。 

 

「きっ、禁止! 禁止ィ!! 早く言い直して!」

 

「はいはいww ピーけたクピーw これでいいんでしょ?ww」

 

「合格!」

 

「でもまだ!」

 

「え?」

 

「ほら! さっきの! きんしピー太郎さんもピー違えてるクピーも!」

 

「でも【まだ】って言ってるじゃんww自分の決めたルールすらも守れてないクマw」

 

「あっ!!」

 

「もう帰るクマwじゃあねw」

 

「く、くそう……チッ チッ グスン😢」

ドゴン✊ミ☆ 舌打ちをして地面を殴ります。

不思議です。本来クマに相撲で勝った男が、試合後の数言のやり取りの末、敗者に言いさとされ、悔し涙を流しているのです。これほど異様な光景を見た事はありません。 本来体が大きいクマに人間が力で勝つなんて奇跡、ごく一部の本当に武術のみに人生を掛け、血の滲むような修行を積み重ね続けた【大谷倍達】クラスの男以外は達成出来ないでしょう。 それを既にこの幼い段階で達成した男が、肩を震わせ泣いているのです。クマが言った少ない言葉で。あの言葉に人を悲しませる要素があったのでしょうか? 確か、彼の中で決定したルールを彼自身が守れていないと言った内容でしたが、私はあの言葉をいくら言われても何も感じないでしょう。まだ私自身情報不足故かも知れませんが……そういえばお母さんにも似たような事で怒られていました。これと関係がありそうな気もします。ですが、まだまだまだまだ情報不足です。

 

そして、ある日はつなひき。

 

「オーエスオーエス

 

「おりゃ! 勝ったあ」

 

「ぴーけたあ」

 

「合格!」

 

そして、ある日は、かけっこ。

 

「うおーー」

だだだだだ

 

「なんて速さだウサ……亀にもピーけて人間にもピーける……僕って実はそれほど速くない生物だったんだウサ……」

ウサギ🐇ががっくりと肩を落とします。

 

「合格! でも勝負は時の運! 次は僕がピーけるかもしれない! 練習あるのみだよ!」

 

「わかったウサ。次こそはカツカレー🍛」

 

「わはははは😊」

そして、ある日は、泳ぎっこ。

 

「川は飽きたし今日は海に行く! クピー!」

そしてクマを大声で呼びます。クマ―と呼べばいいのに何故?

 

「呼んだクま……呼んだクピー?」

 

「禁止!」

 

「先に言い直したじゃんwwww突っ込み遅いよwwww」

 

「ごめん! でも言った! その罪は消えない! 言い直した位では許されない! 気を付ける! じゃあ海に行くから乗せて!」

 

「はいはいww」

クマも呆れている様子です。 いつもは川で泳いでいますが、今日は海に向かいます。釣りも得意な子なので、海の幸も捕るのでしょうね。熊に乗って勇ましく歌を歌いながら下山します。

♪ま……ピーさかりかついできんしピー太郎♪ く……まじゃない……♪くーピーにま……ピーたがりおうピーのけいこ♪

♪ハイ シィ ドウ ドウ ハイ ドウ ドウ♪  ♪ハイ シィ ドウ ドウ ハイ ドウ ドウ♪

あれ? やはり歌も変ですね。とても歌いづらそうです。ですが後半はスムーズに意気揚々と歌えています。なんでこんな歌い方なのか? もやもやしますね……真実さえ分かればこんな事にはならない筈なのに……悔しいです……

 

「滅茶苦茶間違えてるクマwそれもう疲れない?ww」

クマが心配していますね。

 

「全然平気! あっ! 禁止! ピー違えてるクピーに! 早急に! 一瀉千里に!」

なんですう―?

 

「めんどくさw ピー違えてるクピーwwこれでいいんでしょww?(どうせきんしま太郎さん次の言葉【合格!】って言うんだクマwww絶対に言うクマww)」

 

「合格!」

 

「www」

 

「なんで笑う? 不適切!」

 

「いやいや適切だよw」

 

「そうなの? ピーあいいや。今日は思いっきり泳ぐ!」

ダダダダダ

浜辺に到着し、海に向かって走りだします。すると途中で子供たちが何かを囲んでいるようです。

 

「あれは何? ちょっと行く!」

 

「ほっとけばいいと思うクマ」

 

「駄目! 後禁止! 思うクピーに言い直して!」

 

「思うクピー」

 

「合格!」

クピーって……ドクターストレートパーマアフロちゃんに出てくるカッちゃんですか?

 

とことこ

子供1「この盗賊カメめ! 早く返すんだ! このままでは許さないよ」 ポカポコ

 

子供2「この泥棒カメめ! 検非違使けびいしに連れて行ってやるべ」 ドカバキ

 

子供3「さっさと返せ! こののろまカメ!」 ゴンゴン

 

「信じて下さい! 本当なんだカメ」

おや? 子供達が三人がかりで一匹のカメ🐢をいじめていますね。

 

「禁止!」

 

「な、なんだお前!」

 

「禁止! なんだおピーえ! と言い直して!」

 

子供1「なんでです? 関係ないでしょう!」

 

「なんだおピーえ! って言うの!」

 

「なんで? いやだよ!」

 

「他にも……沢山あった! 思い出す! 落ち着く落ち着く……ええとあれでしょ? それにあれもだ! ねえ! 子供!」

 

「な、なに?」

 

「子供1! 君はこのピーピーでは許さないよ。に言い直して! 後、子供3はこののろピーなカメに言い直して!」

なぜですか?

 

子供1「な? なんでなの? 意味が分からないよ?」

 

子供3「そうだそうだ!」

 

「禁止だから!! 早く言い直して! お願いだから!」

物凄い顔で睨んでいます。

ゴゴゴゴゴゴゴ

 

子供1「え、(な、なんだぁ? あの赤いの?)えーと このピーピーでは許さないよ!?」

 

子供3「こ、こののろピーなカメめ! こ、これでよろしいでしょうか?」

 

「合格!」

 

よく見るときんしま太郎の背中から深紅のドラゴニックオーラが浮かび上がっていました。しかも普段は見えない様に糸色と言う気配を絶つ技術で隠しているのですが、今回は一般人にも見えるように糸色を緩め、あえて子供にも見える位までに顕在化させ気付かせました。そうすればスムーズに事が運ぶと確信したのでしょうね。中々賢い子です。 案の定初めて見るそのオーラに委縮した子供達は、最早催眠術にかかった人の様に従う他ありません。きんしま太郎? あなたはお願いだからって子供達に言っていましたけど、こんなのはお願いでもなんでもないんですよ。その言葉で従ったのではなく、あなたにしか出来ないドラゴニックオーラを意図的に展開させ、従わせただけの【脅迫】にすぎません。

 

「で、何があったの? 亀!」

 

「そ、それがこの亀、うちの子猫を背中に乗せて連れ去ろうとしたんですよ」 「どうして?」

 

「そ、それが……こいつ言い訳したんだ」

 

「どんな!?」

 

「カメ曰く子猫が

 

「この国から左上にある東ニャンアジアと言う地方にある、ニャンボジアと言う国の世界遺産のニャンコールキャットに行きたい。その為には、水陸両用のカメタクシーでないと辿り着けない。だからここでお別れにゃ。今までお世話ににゃりましたって言っていたカメ」

 

って言ってたって言うんです。うちの猫に限ってそんな筈ないんです! めっちゃ家猫ですし。そんなでたらめを言って、私の愛猫を海の外に連れて行くなんて……許せなくって……信じられなくって……だってこの国以外に国があるなんてそこら辺に転がっているカメが知っている訳がないんです。そんな爬虫類の口から人間である私ですら知らない新事実を聞く事になるなんて思いもしなくて……そんな突拍子もない事を信じろって……どうしても受け入れられなくて……国は、大陸は……ここ、日本しかない筈なんです! 周囲は全て海なんですよ! 東西南北、津々浦々、縦横無尽に駆け巡ったところで何もない筈なんです! それを知っている私がそんな事を許したら、シートベルトもない様な安全性に欠けるカメタクシーで広大な海上を旅する事を許可したと言う事になるんです。運よく一度も嵐に逢わなければいいですが、海の天気なんてものはプロでも読めない」

 

「ちょっとま、ちょっとピーって! 長いよ」

 

「説明している途中でしょうが! 勝手に口を挟むな! ……ですから突然の高波に遭遇するリスクを背負わせ、本当に存在するかどうかも分からないその世界遺産とやらに行く許可を下した。と、言う非人道的な飼い主として永遠に後ろ指差されるのです……そんな無責任な事は出来ないのです! 大切な物とずっと一緒に居たい。そんなかけがえのない唯一無二の気持ち、あなたにだってあるでしょう。いけないんですか? ずっと愛猫と暮らしたい。そんなささやかな幸せすら私から奪うのでしょうか? いいえ? 私は戦う! もしもそれが違うと言われようと戦い続ける。それが私の今の考えなのです。若さ故についヒートアップした事は反省……ですけれど、ね……私からは以上です」

よくしゃべる子供です。しかし、この時代の子供は外国が存在する事を知らないみたいですね。

 

「そうなの……ええとええとうーんうーん長すぎる……でも……あっ 見つけた! 禁止! いピーピーでお世話ににゃりピーした! と、それが私のいピーの考えなのです。に、言い直して! 早く!」

彼は今子供1からとても悲しい話を聞いた筈です。ですが一切涙は流さずずっと何かを思い出す事に専念していました。そしてそれを見つけたら子供を叱ります。あれだけのセリフを思い出せるとはかなり記憶力は高そうですね。

 

「え……? あっいけね! いピーピーでお世話ににゃりピーした! と……それが私のいピーの考えなのです」

 

「合格!」

なんだかよく分かりませんが、私、このやり取りもそろそろ飽きてきました。そして吐き気がします。

 

「それで猫は?」

 

「そういえばいませんね。いじめていた時は確かに亀の上に居たのですが」

あらあら……猫ちゃんに当たったらどうするんですか? せめて亀の上から避難させてからいじめ……いいえ。いじめ自体いけませんね。しかしこの子供、そんな状態でいじめるなんて本当に猫が好きなのでしょうか?

 

「禁止! そういえばいピーせんね!」

 

「すいま……すいピーせん」

 

「今ギリギリだった! もう一度!」

 

「すいピーせん」

 

「謝るだけじゃ駄目! ほら! 後、そういえばいピーせんねも言ってない! 早く! 言い直す!」

 

「ああっ! 忘れていピーした……そういえばいピーせんね」

 

「合格!」

……吐き気がします。

 

「もうこんな事をしてはいけない! 亀を逃がしてやる!」

 

「はい、すいピーせんでした」

 

「合格!」

スタコラサッサー 合格の言葉に胸をなでおろし、3人は去っていきました。

 

「た、助かりましたカメ」

 

「禁止!」

 

「え?」

 

「ほら! さっきの子供達と僕のやり取りを思い出す!」

 

「あっ! えーとえーと……あっ! た、助かりピーしたカメ」

 

「合格!」

あれ……カメはもうきんしま太郎の仕組みを理解したみたいですよ? 何でカメですら分かる事を私では理解出来ないのでしょう……この法則さえ分かれば……悔しい……悔しい……

 

「では、お礼に共に竜宮城へ参りましょう」

 

「禁止!」

 

「あっ! 竜宮城へピーいりピーしょう」

 

「合格!」

 

「では私の背にお乗り下さいカメ」

 

「じゃあクピー、ここでピーっていてくれ。今日中には戻るから。暇なら潮干狩りしていてもいい!」

 

「御意」

クマを海岸付近で待機させ、海へと向かいます。

 

「♪むかしーむかしーきんしま……きんしピーはー♪ ♪助けたカメに連れられて―♪ ♪竜宮城へ行ってみれば―♪ ♪絵にも描けない美しさ―♪」

のんきに鼻歌を歌っています。そして歌い終わる頃には大きなお城の前で止まります。

 

「大きい城! 流石にこれは投げ飛ばせない!」

何故投げ飛ばそうとするのでしょう?

 

「止めて下さいカメ」

 

「冗談冗談!」

 

「あっカメさん遅かったですね。その方は?」

 

「そういえば名前……なピーえを聞いていなかったカメ」

 

「それだとギリギリ! 気を付けて!」

 

「存じていピーすカメ」

 

「ええと……あなたの名ピーえを教えてほしいカメ」

 

「きんしピー太郎だよ!」

 

「だそうです。彼は【あれ】を言うと過剰反応するから君も注意してね」

 

「【あれ】……ですね? かしこ……ピーりピーした」

 

「うん! 出来ているね!」

 

「伊達に長年番兵をやっていピーせんよw」

 

「すごいカメ! 初めてなのにかピーずに言えてるカメ!」

 

「フフフwwwじゃあお通り下さい」

 

「ありがとうカメ」

【あれ】……とは……? ハッ! 今恐ろしい事を気付いてしまいました……恐らく私以外のこの物語の登場人物は、きんしま太郎の逆鱗に触れる【あれ】の秘密を知っているようですね……ですが私も……私だって……いつか必ずや解明して見せます! ご期待下さい!

 

てくてくてくてくてく 城の中を歩きます。廊下は幻想的な光景が広がっています。沢山の魚やイカやタコが泳いでいます。そして一番奥の部屋を開けます。

ギイイイ

 

「乙姫さピー! ただいピー戻りピーしたカメ」

髪の毛がアルファベットのmの様な結い方で飛び出していますね。そんな髪型をしていてとてもカラフルな着物を着たとても美しい女性が座っています。

 

「おかえりなさい亀吉……? ただいピー? 今のおかしな言葉は?」

 

「シーッ」

 

「え?」

 

「禁止! いピーのおかしな言葉は!」

 

「は?」

乙姫様の美しい顔が恐怖に歪みます。

 

「言い直して! 女! 早く!」

相手がどんな身分であれ、自分のポリシーに反する場合一切の遠慮はありませんね。彼の暴走は誰も止められません。しかしだからと言って乙姫様相手に女呼ばわりは無いのでは?

 

「まあまあ……お、女? あなた!! 初対面の相手に言葉を慎まなくてはいけませんよ」

恐怖に引きつりつつもありったけの勇気を振り絞り反論する乙姫様。

 

「あっ! 禁止! ピーあピーあ……と、言葉を慎ピーなくてはいけピーせんよ? って言い直して! 早く!」

ピーアピーアって……筋肉質で海パン一丁で、そんなの関係ないじょのいこや、ハイッオッピッパーとかのギャグで大活躍中の人でしょうか? あっ今名前を思い出しました! その人物の名前はよじまこしおです! 引っかかっていて後ちょっとっていう物を思い出すとホントに嬉しいですー♡私の記憶力も捨てた物ではありませんね。ちょっと自信が付いちゃいました!! ……ですがこれだけの記憶力があろうともきんしま太郎の言葉の法則は未だに解決出来ていないと言う現実。これを解決するにはこれだけ記憶力があったとしても関係ない? もしくは必要ないと言う事なのかもしれません。それよりも柔軟な発想力が必要になってくるのかも? 私にはそう言う力が欠如しているのかもしれません……ああ……折角自分の良い所を見つける事が出来たと思ったのに結局ネガティヴになってしまう……皆様にも不快な気分を味わわせてしまいました。誠に申し訳ございません……

 

「嫌です! な、なんなんですかこの子は!」

 

「駄目! みんな聞いてくれてる! 女だけ例外は認めない!」

当然きんしま太郎の正義心から来る発言だとは思うのです。ですがそれ、間違った正義ですよ? 今までも脅迫じみた方法でそれをやっていただけなのですから……恐らく誰一人快諾している人はいなかった筈です。ほら、思い出して下さい。あなたの筋肉で、そして内在する闘気を顕在化させて脅し、強制していただけで、あなたが一般人の様に強くなければ誰一人従わなかった筈ですよ? あなたのやっている事は、心対心で訴えるのではなく、力で従えているだけなのです。そんなの独裁者と何ら変わりありませんよ?

 

「その前に女という呼び方は止めなさい! 私には乙姫と言う名前があるのです!」

そうです!

 

「禁止! そのピーえにと、乙姫と言う名ピーえがあるのですと言い換えて!」

 

「誰か! この者を追い出して!」

 

「姫! どういたしましたか?」

ダダダダダ

その叫び声と言ってもよい程に悲痛な声に、番兵達が光の速さで王の間に駆け込み、きんしま太郎を囲みます。

 

「禁止! どういたしピーしたか! って言い直して! 早く!」

 

「うるさい! 黙れ!」

 

「禁止! だピーれ! これも言い直して! 後、さっきのどういたしピーしたか? も一緒に!!」

 

「ああ、うるさいうるさい!! お願いです! 早くこの者の口を封じて下さい。もう声を聞くのも忌々しいのです! 早く! 捕えて下さい!」

 

「禁止! いピーいピーしいに言い直して! この通りだから!」

 

「もおおおお」

発狂する乙姫様。

 

「皆の者! 掛かれえええええ」

 

その【もおおおお】が戦闘開始の号令の如く響き、兵達の緊張感もピークに!

 

「魚おおおおお」

 

「だああああああ」

かつてない緊迫感が竜宮城内を包み込みます。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はあー疲れたぁ……何なのよこの文字量! ちょっと待って? なんかこの先の展開……もしかしたらバトルの匂いが……激しいバトルが引き起こされそう。この体力じゃ厳しいわ……ちょっと休憩」

 

「まあ確かにここから話し合いになる事は無さそうよね」

 

「でしょ? バトルパートはアクションを挟みつつ読まないといけないじゃない? パンチしたりキックしたりさ」

え? そんな決まりはありませんけど?

 

「そりゃそうだけどさー。それが無ければ最早朗読ですらないし」

そんな決まりはありません。

 

「ちょっと待っててね。飲み物取ってくる」

 

「あっ! ママ……あっピーピー! 禁止! ちょっとピーっててね? に言い直して! 迅速に!!」

 

「リアルで言われると更にうざいwこんな奴本当にいたら腹立つわねえ」

ああ……アリサちゃんもきんしま太郎の法則に気付いているみたいですね。流石です……まあこれは気付いて当然でしょう。彼女の頭の良さはこれまでずっと見てきましたからね。ですが私、ちょっと淡い期待を抱いていたんですよね……もしかしたらアリサちゃんは気付かないでくれるかなあなんて……と、いう事は、これで法則を知らないのは読者さんと私だけになってしまったみたいです……ですが、うっすらとではありますが手掛かりは見えつつあります。必ずやその手掛かりを有効活用し、共に力を合わせ、真相に辿り着きましょう! 

 

「うん」

 

「ねえアリサ? これ絵本よね?」

 

「そうだね一応絵本だと思うよ?」

 

「絵本よね? 間違いないわよね? でもそうとは思えなくなってきた! このうっすい本の中にどんだけ文字を詰め込むつもりなのよ! 見開きに2000文字位詰め込んであるじゃない!! 小説じゃあるまいし……いいえ? 小説どころじゃない! これは新聞よ! このビッシリっぷりは!! どうなってるのよ! どのページもどのページも文字がビッイイイイッシリィイイイで、絵が文字で覆われてほぼ見えないじゃない! 頑張って描いてくれた絵師さんにも謝罪して欲しいわ!! これじゃさ絵本じゃなくて絵新聞紙!! 絵新聞紙? 何この響き!? 気持ち悪っ!! こんなのばっかり読んでいたら夢に出てきそう……うわああ文字の大群が押し寄せて来るよーって悪夢が……」

 

「www」

 

「ねえアリサ? これでまだ半分なのよ? これで半分!!! 故に後この半分以上も残っちゃってるてぇ訳なの! さっき読んだ量と同じ位!! ひえええ……本当デスブックシルフは成長がないわねえw詰め込みゃ良いってもんじゃないのよ! こんなのばっかり読んでいたら活字恐怖症になりそう……あーあ、また喉が渇いたわ。これはコーヒー☕だけでは無理ね……体力回復の為にエイリアンエナジーも飲もうっと……ちょっと取って来るね……」

フラフラ

 

「禁止! ピーちがいないわよね? と、これでピーだ半分なのよ? と、ぴーた喉が渇いたわ! に言い直して! 早く! お願いだから!」

 

「うるさい!! 口と鼻を縫い付けて塞ぐわよ!」

ひー

 

「ひー😢」

 

「冗談よw」

 

「でも怖いよー」

 

「分かってる。そういう力のあるワードを使ったから。さっき言ったでしょ? 言葉の強さは自身を守る武器になるって。私が使ったから迫力があるって訳じゃなく、アリサでも勿論相手を委縮させる事が可能よ?」

 

「そうかなあ? でも目が本気だったし……ママお裁縫得意でしょうしきっちり縫われて玉止めまでされるかと思ってた」

 

「え? そんな事ないよ? 家庭科の実技はサボってたしww 玉止め? 何それwwwwお初にお目にかかりますわw」

 

「え? それ位修めてると思い込んでた。だって女でしょ?」

 

「こら! 女呼ばわりしないで!」

 

「ごめん」

 

「まあ確かに私に比べれば弱いでしょうけど、知っているかそうでないかで大きな差が出るからね?」

 

「ふーん」

 

「あんたもあんた特有の力強い言葉を編み出しておきなさい。まあ私の真似でもいいけど、どうせデスブックシルフみたいなオリジナリティ溢れる奴を考えるんでしょ?」

 

「確かに。考えて見ようかしら?(力強い言葉ねえ……何かしら? まだ思いつかないなあ)」

 

「でもさあ、私は今みたいにアリサに言葉で反撃出来たけど、この本の中の登場人物はきんしま太郎には絶対に逆らえない感じよねえ……なんか竜の力を引き継いでいて喧嘩ではまず勝てそうにない。それであんな訳も分からない事を押し付けてくる……完全な言論統制よね」

 

「そうね」

 

「じゃあエイエナエイエナっと」

フラフラ― 足元がおぼつきませんね……大丈夫でしょうか?

 

「エイエナかあ。あれ美味しいよね? でもあれ缶一本に、角砂糖約13個位入ってるらしいよ? あれだけコーヒー飲んだ後には飲ま……飲ピーない方が……ほら糖質が……」

糖質は麻薬と一緒です。一度摂取すると止まらなくなりますよね。可能な限り摂らないに越したことはありません。

 

「それもそうね……じゃあ水にしましょうね」

 

「はいっ! 後そこに天然塩を少々入れると更にいいよ!」

あかンデレラ 後編

 

あかンデレラ 後編

「はあコーヒーが旨いわぁ」

グビグビ グビグビ

 

「カフェインの摂り過ぎは危険よ?」

 

「もう二本目だもんね。糖質🎂もちょっと気になるわ……」

 

「あかンデ!」

 

「せやな、分かったで。じゃあ続き、行ったるでぇ」

 

「わーい😊」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あかンデ!」

パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ

追いつけ追い越せ! 追いつけ追い越せ! 馬車は物凄いスピードで走ります。 5分位経ったでしょうか? おばあさんの小屋が見えてきました。 あれ? そういえば肝心のお花を摘むのを忘れていますね? まあ大きいお花達が二輪も居るから大丈夫でしょう。

 

「あかンデ?」

コンコン

 

「開いてるガルよぉ」

 

「あかンデ?」

開いてるガルそうですね。入りましょう……? え? ガル? しかしあかンデレラはその違和感に気付いておらず、開けてしまいます。 

ガチャ ギイイイイ

恐る恐る入ってみると、ベッドで顔を出したおばあさんが寝ていました。え? おばあさ……ん? とても人間のおばあさんには見えません。 しかも顔中毛むくじゃらです……まるで……獣です。確かこの女性? ですよね? もふもふすぎて性別も何も分かりませんが、おばあさんの家の筈です。しっかりと立札に書いてありましたから! で、そのおばあさんは、継母の母親の筈です。 確かに継母の心は【獣以下】でしたが、まさか母親が獣そのものだったとは思いませんでした……すいません……冗談です。 これは何か怪しいですよ! しかし、外見もおかしいですが、声も女性とは思えないほどのだみ声です。途中ガルとも言っていましたねぇ……そしてその声は、ほんの少し前にあかンデレラ自身も聞いた事がある声かもしれないのです。こんな偶然ってあるのでしょうか?

 

「あかンデ? 👂」

あかンデレラはおばあさんにどうして耳が大きいの? と、言うような表情で聞きます。

「え? (待てよ? あの子のセリフの後に何かあるガル! あっ! あれは多分【耳の絵文字】ガル……分かったガル! オイラの耳が大きいのはどうして? って事を聞いているんだガル!! よーし)それはね、おまえの声が遠くからでもよく聞こえるようにさ」

 

「あかンデ? 👁?」

どうして目が大きいの? という表情です。

 

「それはね、おまえの顔がよく見えるようにさ」

 

「あかンデ? 👄?」

どうして口が? 以下同文。

 

「それは……おまえを……ヒ ト ク チ デ タ ベ ル タ メ ガルゥ!!」

グワッ!

 

「なんやあ? あかンデー?」

パクリ ごっくん オオカミは丸ごとあかンデレラを飲み込んでしまいました! 彼女は身長150cmはあり、丸呑みするのはかなり難しい事ですが……このオオカミは規格外でした。しかも一度も噛まずに丸呑みしたのです。ここから推察するにオオカミの食道はゴムの様に伸縮自在だと言う事が分かります。

 

……ほんの少しだけよいでしょうか? ちょっと気になった事がありまして……少しだけ話を意図的に逸らします……誠に申し訳ございません…… 海外の童話に登場するオオカミは、牙を生やしているにも関らず、それを使う描写が非常に少ないと言うイメージがあります。 例えば3匹のこぶた🐖ブヒッ🐖ブー🐖ブゴッ という童話に登場するオオカミは、藁や木🌲で作られた家🏠を一息で吹き飛ばすほどのスッゲエ肺活量があり、その代わり牙は使いません。 そして、三匹目のこぶたの建てたレンガのおうちに逃げ込んだ2匹のこぶた諸共まとめて食べようとレンガも吹きますが無理だと言う事が分かったら当意即妙に作戦変更し、煙突から忍び込む事でその難題を解決する程の賢さも持ち合わせている! ですが運悪く煙突の真下で鍋に火をかけていて、ホカホカの湯気がおしりに当たっていた筈なのです。それでも一切動じない程の完璧なるおしりの防御力をも備えています。まあそれが仇となり、最終的には茹でられてしまいましたが……あの時、ある程度は熱さを感じる力があれば途中で気付く事が出来た筈なのですが……余りある強力過ぎる防御力の前には通用しなかったと言う事ですね。そしてオオカミ。無敵だと思っていましたが、お湯には耐性は無いようです。

 

他にもオオカミと七匹のこやぎ 🐐メー🐏メー🐐メー🐄モー🐐メー🐈ミ―🐐メー では、お母さんヤギからの言いつけで誰も入れてはいけない! と教えられていた事に気付くと、チョークを食べ、お母さんヤギの声真似をすればいいんだ! と言うアイディアを閃く柔軟な発想力と、会った事もない筈のお母さんヤギの声真似を子供達の声から推理し、大体こんな感じだろうと当て推量でイメージし、見事子ヤギ達を信じ込ませる事に成功させる程の行動力と妄想力と声帯模写能力と、子ヤギ達6匹をも丸呑みにする程の大きな胃袋も持っています。 そして、見事時計に隠れた子ヤギ達を丸飲みにした後に無防備に眠りますが、その間に一匹たりとも消化する事も出来ない程に最弱の胃液を持ち合わせつつも、帰宅したお母さんヤギに腹をハサミ✂で切り裂かれた時も一切動じない程の究極の防御力🛡と耐久性も兼ね備えるなどかなり特殊な力を与えられています。 私はオオカミはクールで賢く強くてかっこいいと言うイメージがありますが、海外の童話に登場するオオカミはほぼずる賢い悪役で、危険な存在と言うイメージがありますね。あっ、そろそろ話を戻しましょう。 意図的に話を逸らしてしまい誠に申し訳ございませんでした。

 

「ふう、2人も食べると流石にお腹一杯だガル♡よし、このベッドで一眠りするガル」

グーグー ああ……ヒロインが丸呑みにされてしまいました……一体どうなってしまうのでしょう? そして図々しくもおばあさんのベッドで眠り始めます。

ザッザッ ザッザッ おや? 誰かの足音が聞こえます。

グーガル グーガル グーガルアースゥ 

 

「ん? まんず大きなイビキだんべなあ……確かここはばあさんの家の筈だべ? だが、ばあさんのイビキにしてはデカすぎるべ」

どうやら通りかかったのは猟師の様です。そして通りかかった時偶然響いたそのイビキの大きさを疑っていますね。 コンコン コンコン  ノックをしますが当然返事はありません。

 

「おばあさんと女の子はとても美味しかったガル♡グーガル グーガル グーガルアースゥ」

オオカミがうっかり誰でも現状を瞬時に把握出来るような非常に具体性の高い寝言を言ってしまいます。

 

「何!? おばあさんと女の子が美味しかっただ? おばあさんがおばあさんを食べるなんてありえないべ。んだば今寝ている奴はおばあさんじゃないべ?」

ダン! 猟師はドアを開けると、案の定おばあさんではなく眠っているオオカミを発見します。

 

「あっ? これは何だべ? これはお届け物だ! と言う事はやっぱり女の子もこいつの腹の中って事だべ!!!」 そして猟師はあかンデレラの落とした籠を見て、誰かが訪問したと言う事も確信します。

 

「こいつ……先におばあさんを丸吞みした後におばあさんに変装し、女の子を丸呑みしてしまったんだべな? ようし!」

名探偵ユメソのような鮮やかな推理です。 チョキチョキ チョッキーン 猟師はカバンに入っていたハサミでオオカミの腹を切りました。すると飲み込まれた2人はギリギリ消化されずに生きていました! 例によって童話のオオカミの胃液は最弱ですね……そして、腹を切られてもグーグー寝ています。物凄い防御力ですね。普通の防御力であれば痛さで目を覚まします。 しかし猟師は良くハサミを持っていましたね。ファインプレーです! そして、2人はベトベトになりながらオオカミの腹から出てきました。しかし2人とも、しっかりと意識があります!

 

「あ、アカンデ……」

フラフラ

 

「あらあらどうやら外に出られたようだよ?」

フラフラ どちらも足元がおぼつきません。

 

「おお生きていたべ! じゃあオラは仕事中だからな? 後は大丈夫だべ? オラはイノシシ🐗でも狩ってくるベ。じゃあな!」

 

「助かりました」

 

「あかンデ!」

 

おばあさんとあかンデレラが頭を下げます。

 

「まだオオカミが寝ているから気を付けるんだべえ?」

 

「はい! 大きいイノシシが捕れますように!」

 

おばあさんは手を振ります。

 

「おう!」

猟師もその言葉に笑顔で答え去っていきました。

 

「それにしてもおまえは誰だい」

 

「あかンデレラ!」

そこはレラじゃないんですね? まあ一度継母に決定されてしまった掟です。嫌だとしても従ってしまうのでしょう。

 

「変な名前だねえ。まあいいわ。それにしてもベトベトで気持ち悪いねえ」

弱酸性とは言え、刺激臭漂う粘液が彼女達を包み込んでいます。

 

「せやな。このままではあかンデ! よっしゃきれいはな! 出番やで」

何とあかンデレラはモケポントレーナーの様にきれいはなに指示を出します!

 

ロッテリア!」

キラキラキラキラ ああ……何という事でしょう……この瞬間、皆さんに良い知らせと悪い知らせを一つずつしなくてはならなくなってしまいました……どちらから聞きたいでしょうか? 良い知らせですか? 分かりました。ではまずは良い知らせを言います…… きれいはなの力で優しい香りが二人を包み込み、忌々しい狼の超弱酸性の胃液を吹き飛ばしました。  

 

「ああ、綺麗になったわ! ありがとうよ」

 

ロッテリア♪」

そして、悪い知らせですが……何と! オオカミの睡眠状態。そして更に最悪な事に、

猟師にやられた割腹状態までもが完治してしまったのです! そうなんです……きれいはなのアロマセラピーは広範囲に効果が及びます。ですから本来オオカミから少し離れたところで使わなくてはいけませんでした。ですがもう治ってしまったものは仕方ありません。次回にその教訓を生かしましょう。

 

「ふぁぁー良く寝たガル……? あれえ? なんか腹ペコがル……!」

そして、気付いてしまいました。

 

「キョロキョロ……あっ! お前達! 寝ている間に逃げてしまったガルか? この卑怯者めガル! ならば、もう一度丸呑みにするだけガル!」

 

「あかンデ!」

あかンデレラが落とした籠を拾い、おばあさんの手を引き馬車を目指します。

 

「こらこら! 帰って来いガル! 口を開けておくから」

あーん 勝手な事を言うオオカミです。

 

「あっかンデ―😝」

あっかんベーをしながら逃げるあかンデレラ。

 

「くそお、馬鹿にされてしまったガル……流石に言う事を聞いてくれないガルか……仕方ないガル」

ぬうーっ 手を伸ばして捕まえようとしてきます。

 

「あかンデ!」

だだだだだ のりこみのりこみ 全員素早く馬車に乗り込み鞭を振るいます。

パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ

腹ペコで尚且つ二足歩行のオオカミでは馬車にはどうやっても追い付けません。馬車は只管進みます。

 

「なんて事ガル……これでは餓死してしまうガル……」

 

オオカミは空腹で本来の力を発揮出来ず、とぼとぼ落ち込みながらどこかに去って行ってしまいました。そこら辺の野草でも食べればいいと思いますが……何故そうしないのでしょうかね?

 

「あかーンデ!」

後方を確認し、追手がないと分かると馬達を休めるために馬車を停めます。

 

「ここまでくれば安心だねえ。おや? この籠は?」

お使いの籠をまだ持っていたようですね。逃げる時にしっかりと持って行ったのでしょう。そのまま置いて行けばよかったのですが……おばあさんの家に置いておいたら気付かずにうっかりおばあさんが食べてしまう事を恐れ、持っていたのかもしれません。

 

「あかンデ!」

 

「そうなのかい? そういえば少し嫌な臭いが……これ、あの子が作ったのかい?」

 

「せやデ」

 

「成程ね。私を殺る気満々だねえ……仕方ない……ちょっとお灸を据えてやらねばならないわ!!!!」

おばあさんもその危険性に気付き、継母を叱ってくれるみたいですね。

 

「ヒヒーン……もうダメヒヒン」

しかし、腹ペコの馬もその籠のパイの存在に気付き口を近づけています。とてもお腹が減っているようで、嗅覚が機能していないのでしょう。それに気付き……ああっ!

 

「♪食べたらあかああーンデ♪ デデデッ ♪食べたらあかああーンデ♪ デデデッ ♪そんなの食べずにいい♪ ♪これたーべてえええええー♪ デデデデ ♪おいCピンクのおだああーんごおおー♪ ♪ノーヴェノレ♪」

え? あかンデレラ歌いました! これは演歌ですね? 小節が効いています! 私はこの歌を聞いて、一瞬少しふくよかな演歌歌手が脳裏に浮かびました。しかし、あかンデレラはこんなにお歌が上手だったんですね! しかも歌いながらきれいはながくれたおだんごを馬に食べさせてあげています。器用な上に優しい娘ですね。しかしこのお団子、実はノーヴェノレ製菓のお菓子だったようですね。道理であかンデレラも美味しそうに食べる訳です。

 

「う、馬い……馬すぎる! 圧倒的感謝ッッ!!! ヒヒーン」

嬉しそうに食べてくれています。  

 

「にしてもあかンデレラや? どうしてこんな格好なんじゃ? まるでお城に行くみたいな豪華なドレスを着て……」

おばあさんが休憩中、お団子を食べながらあかンデレラの格好に疑問を抱きます。

 

「あかンデ!」

動き動き 動き動き あかンデレラは思い出したように、お城で舞踏会が開かれていて、自分だけパシられた事を、そして道を間違えた先の魔女から魔法でこの服装に変えてもらったと言う事を、そして今の格好は12時になると全て無くなってしまうと言う事をジェスチャーで見事に伝えます。

 

「なんじゃって? まだ時間はあるよ? お城で王子様をゲットするのじゃ」

 

「あ、あかンデ……」

顔を赤らめ首を振ります。 「

 

じゃが今のお前は世界で一番美しい。自信を持つのじゃ!」

中々熱いおばあさんです。

 

「あかンデ」

 

「もういい、乗れ!」 あ! おばあさんはあかンデレラをお姫様抱っこし馬車に乗せます。

 

「あ、あかンデ」

 

「行くぞー馬!」

 

「ヒヒーン」

パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ お団子ブーストで元気一杯の馬は、おばあさんの運転であっという間にお城を目指します。

 

「お城に着いたわ。もう覚悟を決めなさい!」

かなり熱血なおばあさんです。

 

「あかンデ……あかンデ!」

強引に連れて来られてしまいましたが、そのお城の高さに胸躍らせるあかンデレラ。 しかし、舞踏会が始まってからかなりの時間が経っています。大丈夫なのでしょうか? 取り合えず城に入ってみましょう。

てくてく てくてく

 

城の中ではみな楽しそうに踊っています。そして王子様が一曲踊り終え、他に踊る相手を探していたタイミングでした。物語はこうでなくてはいけません。

 

「ああもっと踊りたいなあ。私はダンスが大好きなんだ」

 

「あかンデ!!」

王子様に聞こえるように大きい声で叫びます。意外と積極的ですね。

 

「え? うわあ……なんて綺麗な方なんだ! 私と一緒に踊りましょう」

 

「あかンデ」

 

「そんな! 是非お願いします」

 

「ここまで来てなんで断るんだい!」

ドン おばあさんが背中を強く押します。

 

「あかンデ」

フラフラ 王子様の元によろめきながら倒れ掛かりますが、王子様がしっかりと受け止めます。

 

「ありがとう! 断られて悲しかったけど、すぐに心変わりしてくれて嬉しいよ。これが世に言うツンデレって事なのか? 君の名前は?」

 

「あかンデレラだよ」

おばあさんが教えます。

 

「そうか! じゃああかンデレラさん一曲お願いします!」

こくり あかンデレラは頷き、王子様の手を取ります。

踊り踊り 踊り踊り 10分ほど慣れない足取りで踊っていましたが、ワンパターンの動きに慣れてきました。それに、きれいはなと一緒に踊った時の記憶があるのでしょう。ものすごい勢いで上達し、最終的には逆に王子様をリードするまでに至っています。

すると…… ジリリリリリン⏰ ジリリリリリン⏰

 

あ……鐘がなりました。その鐘は日付が変わる事を知らせる鐘です。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいます。そうです。12時になってしまいました……魔法が、解ける、時間です……

 

「あかンデ」

王子様の手を放し、馬車へと戻ろうとします。 階段おりおり 階段おりおり

 

「え? 何故? 待って下さい! あかンデレラさん!」

 

「あかンデ」

首を振りつつ城を出て長い階段を駆け下ります。

 

「あっ! あかンデ!!」

あっ! 下りている途中で、片方の靴が脱げてしまいました! しかし構わず降り続けます。

 

「ちょっと待って下さい!」

 

「ちょっと待つガル」

え?

 

「え?」

 

「あかンデ?」

その声の主は先程餌に逃げられて、落ち込みながらどこかに消えていったオオカミでした。 恐らく腹ペコで城の御馳走を食べに来たのでしょうか? そこら辺の野草でも食べていればいいのに何故危険を冒してまで城の中に侵入したのでしょうか? 

 

「オオカミめ! この私が成敗してくれる!」

シャキーン  王子様は腰に差していたサーベルを抜き、構えます。

 

「五月蠅い! この娘は既にオイラのガル!」

 

「なに? どういう事だ?」

 

「この娘は一度オイラが食べたガル? 故に既にオイラの物ガルよ? だから持ち主の元に帰ってくるのは当然ガル!」

 

「そ、そんな……」

王子様! そんな屁理屈を納得してはいけません!

 

「あかンデ」

ブンブン 首を振って嫌がっています。

 

「ハッ」

王子様は気付きました。あかンデレラ本人は嫌がっている。だから既にオオカミの所有物になってしまったとは言え、そんな事を許してはいけないと言う事を! あかンデレラを僕が守らなくてはいけないんだ! と言う事を!

 

「あかンデレラさん! 今は逃げてくれ! 私がオオカミを食い止める」

 

「あかンデ!」

 

「あかンデレラさん今は逃げないでくれ! 私がオオカミを食い止めない!」

 

「あかンデ!」

階段おりおり 階段おりおり 王子様は上手い事あかンデレラを操作する事に成功しました!

 

「うまく行った! 絶対に生き延びてくれ……もしも生き延びる事が出来たら再び会えると信じている! あっ! い、居ない? オオカミよ卑怯だぞ! 私と戦え!」

しかしオオカミは、あかンデレラを追いかけています。まあ凶器を持っている男と無防備な少女なら選択するまでもないですね。

 

「あいつは今裸足ガル 故に思いっきり走れないはずガル! 逃がさんガル!!」

あかンデレラ大ピンチです。

 

バナバナー」

しかし、オオカミの前にふしぎばなが立ちはだかります! 登場して以来、仲間になったけどあかンデレラに毒を盛っただけで有益な事を何一つしていなかったふしぎばな。ここでついにその汚名をすすぐ時が来たようです!

 

「邪魔するなガル! このカエルお化けめが!」 

 

何故カエルお化けなのですか? どう見てもふしぎなおはななのに……

 

バナバナー!」

 

「五月蠅い! 必殺オオカミキーック」

何故キックなのでしょう? 童話のオオカミは決して牙を使わないですね。しかし、俊敏な身のこなしから繰り出される蹴りです。まともに食らえば相当のダメージになるかもしれません。

 

「バナー」

ヒューン クルクル グオッ ガンガン ツルを伸ばし見事オオカミの足を絡めて階段の角に二回頭をぶつけます。

 

「ぎゃあガル」

 

「な、なんだ? このカエルは? み、味方なのか?」

王子様は、サーベルを構えながらもカエルとオオカミの戦いを見守ります。

 

「まだまだガル オオカミしっぽパーンチィ」

ブンブン ブンブン

 

「バナー」

ヒューン クルクル グオッ ガンガン しかしオオカミのしっぽを絡めて以下同文。

 

「ぐわあガル……くそお! 今回ばかりは逃がしてやるガル」

オオカミはしっぽを巻いて逃げていきました。

 

バナバナーww」

 

「ようやったデ」

あかンデレラはふしぎばなをなでてあげます。しかしもうドレスもボロボロの衣装に戻ってしまいました。そんな姿を長い事見られるのは苦痛です。

 

「あかンデ!」

だだだだだ…… 赤面しつつ城から逃げて行ってしまいました。

 

「あかンデレラ……ん? あれは?」

そうです! 階段でうっかりあかンデレラが落としたガラスの靴の片方だけは残っていました。あれ? どうしてでしょう? 12時を過ぎているのに。魔法は解けた筈なのに……もしや靴が脱げる瞬間とタイムリミットが重なったその瞬間のみ魔法で生まれ、時限で消える定めを覆し、現世に残ると言う事なのでしょうか? これを利用すればいくらでもお金儲けが出来そうですが……ギュギゲゲゲw ハッ……アリサちゃんが伝染ってしまいました……

 

ーーーーーーーーーーーーーー翌日ーーーーーーーーーーーーーー

王子様は国中におふれを出し、ガラスの靴に合う若い娘を探しました。 前日に完全に解けた筈の魔法の力で作られたガラスの靴もしっかりと残っています。いつまで残っているのでしょうね? まあいいでしょう。 それを広場の中央に設置して、王子様は見守ります。 そのおふれを聞き、国中の娘が集まりました。

 

「私がその靴の持ち主です! 完璧に合います」

ギュウギュウ

 

「あら? 駄目だわ……」

 

「いいえ? そのガラスの靴はこの私の美しい二人の娘達にぴったり合う筈よ!」

継母もめちゃくちゃな事を言って娘達に試させていますが……

 

「いたいいいたいw」

 

「きついきついw」

一見足のサイズが合いそうな継母の娘達が履こうとすると、靴の形が変わり、入りません。

 

「よお我が娘よ! 元気かい?」

 

「あかンデ!」

そこに現れたのはあかンデレラとおばあさんです。おふれを聞きやって来たようです。恐らく継母はあかンデレラにだけ教えなかったのでしょうが、おばあさんがその話を知って連れて来たのでしょうね。

 

「あ、あらお母さまにあかンデレラまで……ご機嫌麗しゅう(あ、あら? 元気だわ。まさかあかンデレラ失敗したの?)」

そうです! おばあさんが病気がちだったのはきれいはなのアロマセラピーで完全に治っていたのです。そして、継母の手料理を定期的に食べさせていたのがその原因だった。と、言う事でしょう。おばあさんは当然その事に気付いています。その眼光は炯々けいけいと輝き、復讐の光に満ち溢れていますね。

 

「ああ、お前の作った毒を食べなかったお陰でそれはもう元気よお? ……おりゃ!」

見えない速さのアッパーカットを継母にお見舞いします。

 

「あーれー」

☆キラーン☆ ああ、星になってしまいましたね。せめてお空では美しく輝いていて下さいね。

 

「いないいないw」 キョロキョロw

 

「どこいったどこいったw」 キョロキョロw

娘たちも戸惑っています。しかし、邪魔者は去りました。そして、他の娘たちも次々に靴が入るか試します。 しかし誰も入りません。そしてついにあかンデレラの番になりました。 スッ ピッタリ―ン まあそれはそうでしょうね。

 

「ああ服は全然違うけどこの方だ! もしよろしければ私と結婚して下さい!」

 

「あかンデ!」

 

「じゃあ絶対に結婚しないで下さい」

 

「あかンデ!」

 

「やったあ」

こうして、二人は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はいおしまい!」

 

「面白かった888888。今回はクモだけにスッパイダーの所が良かったわ」

 

「そうね」

 

ありがとうございます。確かに私の冗談を取り扱って下さった事は嬉しいですが、他にも良い所はあったと思いますよ? 例えば……食べたらあかンデの歌とか……

 

「私の朗読もほめてよね!」

 

「やだ。一つ思ったんだけどいい?」

 

「いいわよ」

 

「このあかンデレラって本は、あかずきんとシンデレラが合わさった話の筈なのに、今回もモケポンが混ざってたのよ」

 

「うんそうね」

 

「それだけじゃないよ? 今回はトラクエまで入ってた」

 

「え? どこ?」

 

「馬車よ! かぼちゃの!! しかもさ、モンスター長老ってwwまんまじゃんw」

 

「そういえばそうよね? なんでそんな事したのかしら? 入れた本は間違いなくあかずきんとシンデレラの筈よね?」

 

「これは私個人の仮説だけどもいい?」

 

「言ってみて?」

 

「これは、本棚の中の人の自信の無さから来る【保険】なのかもしれないわ」

 

「保険? どういう事?」

 

「この本棚さ、物凄い沢山ルールがあるよね。嫌な本は吐き出したりさ、真ん中にセットしないといけないとかさ」

 

「そうね」

 

「で、自分の都合のいい本しか選ばないところがある。だからこの本棚ってデスえんぴつみたいな物なのよね」

 

「え? どう言うこと?」

 

「ほらデスえんぴつって漫画」

 

「なんだっけ?」

 

「狙っている人の死因とフルネームをそのえんぴつで書けば、その通りに死んでくれるって言う漫画があるじゃん」

 

「ああ、あれね」

 

「あれってさ色々ルールがあるのよ。死因を書かなければ5分後に肝臓麻痺で死んじゃうとか、それを取り消す場合、セット販売されてるデスけしごむで消せば取り消す事が出来るとかさ、そのえんぴつを触っている間は梨好きの死神リョークの存在が確認できたりとか声が聞けるとかさ」

 

「そうだったわ。そのルールを一々覚えるのが面倒だったww」

 

「だからこの本棚、不思議な本棚からデス本棚……いいえ? なんかかっこ悪いから……デスブックシルフに改名しよ?」

酷いネーミングセンスですね。吐き気がします。

 

「でもその本棚で人を死なせる効果はないわよ?」

 

「ママのせいなんだよ?」

 

「え? 私ィ??」

 

「そうだよ! 私が不思議な本棚って命名した後、ママはありきたりって言っていた。あれがどうしても納得いかなくって……で、今思い付いたの! 究極のアイディアが! これさ、すごくいいネーミングセンスだと思うよ!」

私はその邪悪なネーミングセンスに吐き気がしますが……

 

「好きになさい。で、保険ってのは?」

 

「うん。このデスブックシルフは、あかずきんとシンデレラの2つの要素だけではどう頑張っても面白い話は作れない。で、どうしようどうしようって悩んだのよ」

 

「そうか!」

 

「要するにその与えられたお題だけでは作れなかった=実力不足だったって訳」

 

「確かに……文章の稚拙さと言い、構成と言い素人丸出しだし」

 

「だから誰でも知っているようなゲーム作品のシステムを取り入れたのよ! 自分を守るために!! 酷い話!」

 

「成程……あざといわね……軽蔑するわ……能力の低い作家にありがちの傾向よね……私達も気を付けなくちゃいけないわね」

 

「ママも私も作家じゃないでしょ?」

 

「あっそうだったわw」

 

「気を付けてよね? うっかり屋さんなんだからwデスブックシルフもさ、悔しかったら入れた本二つだけで勝負してみいやwてかその二つしか求めていないって言うのにw余計な味付けいらねえんだよ!! 需要もない要素を勝手に供給してくんなww」

うえー……この子毒舌ですねえ……デスブックシルフさんも気の毒です……仮に私がこの娘と口喧嘩をしようものなら10秒で負けて日本酒をかっくらう生活に逃げるでしょうね……アリサちゃん? 多分ですけど彼だってこれでも一生懸命生きてるんですよ……分かりませんけど……

「でも次も見るんでしょ?」

 

「もちろんw私がこの素人本棚を成長させて面白い話を書かせるように教育するわ! で、ある程度読んで飽きて来たらヤスオクで売り払って大金をゲットして見せる!」

本棚って上手いとか下手とかあるんですかねえ? アリサちゃんは当たり前の様に言っていますけどこの本棚、本棚の中では恐らく唯一無二の能力を持っている筈なのに……どうしてこんなに酷い言われ方をされなくてはいけないのでしょう? ……この本棚もこの子達に喜んでもらおうと思って生まれてきたと思うのに、こんな結果になるなんて想定すらしていなかったでしょうね……後、それを売るなんてとんでもない! 絶対に売ってはいけません!!

 

「でも本棚って成長出来るのかしら? 私達では介入出来そうにないわ。今回のあかンデレラも相変わらず説明が長ったらしくて喉カラカラになっちゃったしね」

 

「思い出して? 六法全書入れた時に吐き出したでしょ?」

 

「そういえば」

 

「だからデスブックシルフ自体に識別能力があるって事よ。だから沢山書かせていく内に成長していく可能性はある!」

デスブックシルフさん逃げて―

 

「そうだといいわね」

 

==続く==

☆少し遅めの登場人物紹介☆

鏑木(かぶらぎ)アリサ 3才の女の子 ちょっと辛口なコメンテーター 

鏑木メイメイ アリサのママ 朗読担当

デスブックシルフさん 本の製作者 コメンテーターに言われ放題だが頑なに沈黙を貫く。しかし、その怒りが爆発する時は……来るのか?

語りの女神カタリナ このお話の語り部  訳あってこの話の語り部を務める 握力は女神にしては控えめの2700kg

あかンデレラ 前編

あかンデレラ 前編

むかしむかしのお話です。森の外れに小さなおうちがありました。

「こらー(#^ω^)」

その中から周りにも響く位の大声で女の人👩の怒鳴り声が聞こえます。

 

「レラ! いい加減にいう事をお聞き! このバケツで水を汲んできて、そこの雑巾で床を拭くんだよォ!」

女の子👧が怒られています。レラちゃんと呼ばれていますね。 服はボロボロですが、金色の長い髪の毛は黄金の稲穂🌾を連想させるほどに美しく、色白の肌、そして青い瞳はまるで宝石💎の様に輝いています。 怒っているのは継母ままははでしょうね。なぜなら骨格やその他体のあらゆる部分がレラと異なっています。ですのでこの女性から遺伝しているとは到底思えないのです。

 

「あかンデ」

きりっとした表情で関西弁を操りながら首を振ります。

 

「じゃあこのバケツで水を汲まないで、床を雑巾で拭くのだけは絶対にやってはいけないよ」

え? 何を言っているのでしょう?

 

「あかンデ」

ああ……そういう事でしたか……レラは不満そうな顔でバケツを受け取り、川に行ってしまいました。

 

「あはははははw馬鹿だねえ。反抗的だと思ったら、ちょっと工夫しただけで素直に言う事を聞いてくれるわwあははははw」

そうなんです。美しい子で、はっきりと意思を伝える胆力はありますが、頭はそれほど良くありません。まんまと継母の策略にはまり、結果言いなりになってしまっています。 この継母、相当狡猾です。

 

「あんな馬鹿は、工夫しただけで、聞いてくれるwはははははw」

 

「反抗的だけど、ちょっと、素直wははははww」

今笑ったのは継母の本当の娘達ですね。継母によく似ています。 しかし、セリフが変ですね。まるで母親の言った言葉を適当につなげて笑っています。どちらもレラ同様にそれほど頭は良くないようですね。 二人の娘とレラとは年はそれほど離れてはいないようですが、レラ一人だけ奴隷のように扱われているようです。父親は居ないのでしょうか? 何処にも見当たりません。恐らく継母の性格に愛想を尽かし、レラを置いて脱兎🐇の如く逃げたのでしょうか? それとももう病で帰らぬ人に……? そこまでは分かりません。

 

「あかンデ。あかンデ」

レラは不服そうな顔ながらも言ってしまった事の責任を果たす為、川からバケツで水を汲み、お家に戻ります。そして、休む暇もなく床拭きを開始します。

 

「あかンデ。あかンデ」

ふきふき ふきふき

 

「レラ! あんたは口を開けばそればかりねえ。他に何か喋れないの?」

 

「あかンデ」

 

「喋れないようね。じゃああんたはこれからあかンデレラに改名するわw中々のネーミングセンスでしょ?」

何と言う……これは酷いネーミングセンスです。吐き気がします。

 

「あかンデ」

 

「じゃああんたの名前はあかンデレラだけにはしないわ。わかったw?w」

継母さん? いくら何でもそれはレラを馬鹿にしすぎですよ……流石に何度も引っかかるほど……

 

「あかンデ」

ズコー(X_X)

 

「プッwやっぱり引っかかるwwじゃあけってーいw」

 

「あかンデ……」

虚しくその言葉は響き渡ります……

 

「あかンデレラあかンデレラw」

 

「あかンデレラあかンデレラw」

二人の娘も大喜びです。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー数日後ーーーーーーーーーーーーーーーー

「あかンデレラ? 私たちはお城の舞踏会に呼ばれたのよ。私と娘二人で行ってくるわね?」

 

「あかンデ」

 

「あなた如きに私達の行動を制限する資格はないのよ? で、お留守番してもらおうと思ったんだけどそれじゃあ退屈でしょうしお使いを頼むわ」

 

「あかンデ」

 

「生意気言うとここから追い出すわよ?」

 

「あかンデ」

 

「いい返事よ! じゃあ説明するわね? 森の奥に居るちょっと病気がちなおばあさん👵の家に行って、栄養満点のオニ👹ブドウ🍇酒🍷と、パワー漲るブルークモ🕷チーズ🧀と、ほっぺた落ち―るリンゴ🍎イチゴ🍓クモ🕷ニシン🐡ピーチ🍑玉子🍳どんぐりレモン🍋スパイダー🕷バナナ🍌クルミヨモギ味噌汁パイ🥧を届けていらっしゃい!」

ドヨ~ン

 

「あかンデ!」

あっ! いつもと違い、あかンデの後にエクスクラメーションマークが付きました! これは、あかンデレラに怒りの感情が芽生えたのかもしれませんね。 確かに継母の用意したお届け物は食べ物とは思えない程に禍々しい空気を漂わせています。 特にチーズとパイにはクモとスパイダーが入っているみたいですよ? こんな物は失敗作と言えるのではないでしょうか? え? どうして失敗なの? 教えて! ですか? いいですよ? 実は意外と簡単な事なのです。 クモ=スパイダーが入っていると言う事で、スッパイ (しっぱい)ダー……なんちって…… あ、すいません……少し黙ります。

 

 

 

 

 

 

あ、の……そろそろ大丈夫ですか? 落ち着きましたか? え? 何を待っていたのかですって? こんなギャグを言ってしまったら皆さんの腹筋をよじらせてしまい、下手したら呼吸困難が原因で窒息死させてしまう可能性もありました。ですから腹筋がよじれたのがよじれる前の状態に戻るまでしばらく待機していました。大変申し訳ございません。 あっ! そういえば忘れていました。お気付きと思いますが、これは酸味の効いた食材で作られているパイと言う事で、酸っぱいパイダーと言う意味も含まれております。 故に、このギャグは失敗ダーであり、酸っパイダーと言うダブルミーニング仕様となっていると言う事をここに付け加えさせていただきます。

しかし、そんな物を病気がちのおばあさんに食べさせてはいけないのでは? 表面はパイですが、中身は様々なフルーツの果肉、果汁と味噌汁で満たされていて、あまつさえクモとスパイダーがその中で泳いでいる状態です! 完食するにはハイレベルな技術と忍耐力が要求される食べ物です。それを病気がちのおばあさんに持っていこうと言うのです。もしかしたらそれが最後の晩餐になってしまうやん……流石にこれはあかンデ! と言う気持ちの表れで付いてしまった 【怒りのエクスクラメーションマーク】 なのでしょう! 

 

「じゃあおばあさんの家に【だけ】は絶対に行かなくてもいいわよ」  

 

「あかンデ」

そう言いつつ異臭を放つ籠を受け取ります。

 

「あはははははw 毎回同じと分かっていても何回でも面白いわあなたはww」

 

「毎回、何回、面白いはははははwwww」

 

「同じ、分かって、あなたは、ははははwwww」

家族そろって大爆笑です。

 

「あかンデ……」

 

「あかンデレラ? 寄り道はするんじゃないよーw」

 

「あかンデ」

家を背に足取りも重く、嫌々おばあさんの家に向かいます。

 

「あかンデ」

しかし、とてつもない臭いです。味噌とフルーツが混ざった匂いですから……その臭いに鼻を摘みます。

 

「あかンデ」

臭いを我慢しつつ森の奥に進みます。

 

「あかンデ。あかンデ」

森の奥に入っていくと分かれ道があり、その分岐の前には立札があります。

 

「あかンデ?」

今度はクエスチョンマークを付けましたね。この調子でいつかはあかンデ以外の言葉も喋る事が出来るようになるのでしょうか? 

 

「あかンデ」

立札を見ると絵が描いてあります。1つはおばあさんの顔の描いた絵と、北向きの矢印が。 そしてもう一つはタッチは違いますが、これもおばあさんの絵です。 ごく普通のおばあさんの絵で、矢印は東に向いています。しかし、北向きのおばあさんの絵の方が若干目が鋭いように見えますが……一体これはどっちに行けばいいのでしょうかね? これがもしアドベンチャーゲームなら、まずは確実にハズレとなりそうな目の鋭いおばあさんの方向に進み、バッドエンドを回収してから本当の優しいおばあさんの方に進むでしょうが、この出来事は実際に起こっているリアルです。故に一度選択し、誤った選択をしあかンデレラに何かが起こってしまえばジ、エンドかも知れません。ですから慎重に選んで下さいね?

 

「あかンデ!」

あかンデレラは北へ向かう事に決めたようです。そうです! 一度バッドを回収してから正規ルートに進むようです。果たして本当にこれでいいのでしょうか? 分かりません……

 

「あかンデ。あかンデ」

一生懸命歩きます。すると…… 館🏠が見えてきます。近づくと誰かがいますね。 大きな甕🏺から紫色の煙を出した液体を棒でかき混ぜているおばあさんがいます。 紫蘇しそドリンクでも作っているんでしょうね。

 

「あかンデ」

 

「お? なんじゃガキ? ここは魔女の館じゃぞ? 呪い殺してほしい奴でもおるんかぁ?」 

え? ここはおばあさんとは言えどやはりおばあさん違いでした。目は鋭くワシ鼻で、黒のローブ👚を装備している腰の曲がったおばあさんです。これは典型的な魔女でしょう。継母の母であるおばあさんの家ではなく、魔女の館だったようです。紛らわしいですね。ここには用はありませんね。では、正解のルートへ進みましょう。

 

「あかンデ!」

 

「待て待て折角来たのじゃ……そうれ!」

ボウン 魔女は先程まで液体をかき混ぜていた棒を杖代わりに振りかざし、あかンデレラに魔法を掛けます。すると大きなカボチャ🍊の馬車が出てきました。それだけではありません! あかンデレラの衣装も変わっています!

 

「あかンデ」

 

「これでワシの役目も終わった。この魔法は今晩12時には切れてしまうから気を付けるのじゃぞ? ん? ……ほう、お前はいい目をしておる……もしや特別な生物ですら仲間に出来てしまう力があるかもな。ヒッヒッヒッじゃあ達者でな」

と言いつつ館に戻ってしまいました。魔女は勘違いしてしまったようです。本来別の不幸そうな 【シで始まりラで終わるカタカナ5文字くらいの女の子】 に掛ける筈の魔法を、同じ不幸ではあるけれど、全くその魔法が必要ないあかンデレラに掛けてしまったのです。うっかり屋の魔女ですね。 そして、あかンデレラにも魔法で色々変化があったようですよ? それは、ボロボロの服から白いドレス👗、素手から白い手袋🧤に、何も無かった髪には黄金のティアラ👑が、そして、使い古されたスニーカーからガラスの靴👟に変化しています。

 

「あかンデ!!」

ウイーン そして、現れたかぼちゃの馬車には20本ほどの縦しわが刻まれていますが、その8本目から12本目までの部分が突然扉の様に開き、階段が自動的にあかンデレラの足元に降りてきます。そのハイテクなシステムに驚きながら、慣れないハイヒールのガラスの靴でふらつきながら登っていきます。 カツンコツン。

 

「あかンデw」

あれ? 心なしかあかンデレラは笑顔になっています。初めて見た笑顔ですが、それはとても眩しい美しさです。慣れないけれどもとてもすべすべで綺麗な刺繍が施してあるドレス。とても良い香りがします。そんなドレスを着ていると言う嬉しさに、思わず笑顔が出てしまったのでしょう。まだ幼い娘ですが、可愛いではないのです。と言うよりは美しいと表現出来る程に完成された美しさなのです。ボロボロの衣装の時もその片鱗はありましたが、美しいドレスにより真の姿になったと言えるでしょう。 あかンデレラはいつもいじめられていて、ずうっとうつむいて悲しそうな顔が多かっただけに、その反動で美しさが一際引き立っている気がします。 そして、マニュアルなど一切ないのに、長い間使い込んだような手つきで二頭の馬🏇🐎に鞭を振るい馬車を走らせます。まるでアニメ昨日戦死ガンバレで、ガンバレに初めて乗った筈なのに、あっさり操縦出来てしまったアムくち・レイの様な順応性です。 そして今度目指すは正規ルートの、看板で東の矢印方向に居るおばあさんのおうちです。

ぴしぃ

 

「ヒヒーン」

パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ

しかし、道中で思います。このパイ本当に安心出来る物なのだろうか? と言う事を……そんな時……何者かが声を掛けてきました。

 

「お嬢ちゃん? 一体こんな大きな乗り物でどこに行くんだガル?」

とっても大きなオオカミ🐺があかンデレラに声を掛けます。それにしてもこのオオカミ、短パンを履いて二足歩行で歩いています。

 

「あかンデ!」

そう言いつつおばあさんの住んでいる小屋の方向を指差します。

「そうかそうかおばあさんの家にその……うっ? 何だこれは? え?」 

モゾモゾ🕷モゾゾンゾン🕷

あれ? 籠が動いていますよ? シートをかぶせてあり、中身はよく見えませんが確実に動きました! まだ食材が生きていて動いているのでしょうかね? それほどに新鮮なパイなのでしょうか? 生きの良いパイは食べるだけで幸せになります! しかし、よく考えたらその動きの正体……クモかスパイダーが怪しいですね。恐らくそいつらがまだパイの中で生きているのかもしれません!! そしてそのパイの中のフルーツなどを食べて成長しているのかも……うう、恐ろしい……全く……料理があまり得意ではないようですね。あの継母は。

 

「ひいいガル……」

 

「あかンデ」

迷っているような表情です。しかし、オオカミはそれどころではありません。籠が動いている事に気付いてしまったようですね。

 

「うっ? なんだこの臭い……」

そして、オオカミにとって恐怖が更に続きます。オオカミはかなりの嗅覚の持ち主です。視覚に続き、嗅覚でもダメージを受けてしまったようですね。あかンデレラの持つ籠から放たれし異臭に生命の危機を感じながら後ずさりします。 ズササ……


「こ、これは毒だ……この臭いは完全に毒だ……き、君はこんな、こんなゴミをおばあさんに食べさせるつもりなのガル?」

 

「あかンデ」

自分でも悩んでいるんだよ! と、言う表情を見せます。

 

「そうガルか(これはこの子が作った物ではなく、別の誰かが作って渡したのかもしれないガル。それを届けようと言う事かガル。腹が減ったのでおばあさんを食ってやろうと思ったけど、もしあんなものを食った後のおばあさんを食べたら間違いなくオイラが毒で死ぬガル……そうだ!)」

 

「あかンデ?」

どうしたの? と言う感じの表情でオオカミに語り掛けるあかンデレラ。

 

「お嬢ちゃん? おばあさんはこの先にあるお花畑のお花🌼がすごく好きなんだガル」

おばあさんの家と反対方向を指差しながら言います。

 

「あかンデ?」

それは初めて知ったわ! と言う顔で興味津々でオオカミを見つめます。

 

「おばあさんにそのお花を届けると絶対必ず喜んでくれるガル。じゃあこれからオイラはネットフォックス🦊で映画【オオカミ🐺男👨】でも鑑賞するのでこれで失礼ガル」

そう言いつつおばあさんの家の方に歩いていきます。うーん……これは恐らく偶然ではないでしょう。オオカミは毒☠の入ったパイをおばあさんに食べられる前に先に自分が食べてしまおうと考え、あかンデレラを足止めしたのでしょう。賢い哺乳類です。

 

「あっかンデー♡」

フリフリ フリフリ そう言いつつ手を振りオオカミを見送るあかンデレラ。当然オオカミを一切疑っている様子はありません。それどころか無料でこんなにも良い情報を提供してくれ、圧倒的感謝ッッ!! と言った顔をしています。 そして馬車の方向を180度切り替えます。そうです。あかンデレラはお花畑に行くようです。 大丈夫なんでしょうか? 継母は寄り道は駄目と言っていませんでしたか?

 

「ひひーん🐴」

お花畑にはすぐに着きました。二頭の馬は少し獣臭いけれど、とても速いです。 あかンデレラは、花をガラスの靴で踏まないように慎重かつ大胆に馬車から降ります。

 

「あかンデ」

おりおり  オオカミが教えてくれたその花畑🌹🌼🌸👃🌻🌷には沢山の花が咲いています。綺麗な光景です。もしもこのお話がアニメ化する事さえ出来ればこの美しい光景も皆様に簡単にお届けるする事が出来たでしょうに……ああ、悔しいです……

 

「あかンデ!」

くんくん くんくん 花畑に入り、思わず匂いを嗅ぎ始めるあかンデレラ。そして、満足いくまで香りを堪能すると、おばあさんの気に入りそうな花を摘もうとします。

 

「あかンデ?」

あっ、沢山の花に目移りしてどれを摘んでいいのか迷っていますね。それもその筈です。ここにはヒナギク、クロッカス、スベリヒユユズリハ、ハーブ、ブーゲンビリア、アカシア、朝顔女郎花おみなえしシロツメクサ、笹、桜、蘭などなど数えきれない種類の花が咲いているのです。  それに、あらあら? 動いているおはなもいますよ? これは大きなカエルの様な見た目ですが、背中から大きなハイビスカスが咲いているおはなです。不思議なおはなですねえ。さしずめ【ふしぎばな】とでも言うおはなでしょうか? とても人懐っこいおはなのようで、あかンデレラを見るなり顔を擦り寄せてきます。 

スリスリ スリスリ

「あかンデ……ヴォエ゛ッギョヴォッ」

あらあら? あかンデレラが苦しみ始めました! そして彼女の顔の右上に紫色の泡のようなアイコンが! ポコポコポコ

分かりました! これは毒状態でしょうね。どうやらこのおはなは草だけでなく毒タイプを持っていたようです。擦り寄られただけでも人体には悪影響を及ぼすのでしょう。 どうしましょう? これからあかンデレラは死に至るまで4歩歩く度に画面が点滅してHPが1ずつ減っていってしまいますよ? あかンデレラ史上最大のピンチです! そして、その点滅はそれを見ているプレイヤーの視力低下までもを招く最悪な悪魔の光です。

ロッテリア!」

おや? ロッテリア? 鳴き声でしょうか? 鳴き声にしては何か飲食店の名前に似ていますね。そして、南国の女性が付ける様なこしみのを纏い、赤いお花を頭に2つ付けた全体的に緑色が多めのそれはまあきれいなおはなが歩いてきましたよ? さしずめこのおはなは【きれいはな】と言う名前でしょう。

 

え? まあ百歩譲ってふしぎばなは花として扱ってもいい。 でも、きれいはなはどう見ても二足歩行だし、花と言うよりは妖精とかそう言う類の生き物じゃないかですって? いいえ。あなたの話も一理あります。ですがこの子はお花畑に住んでいるのですよ? ですからどこからどう見ても絶対確実にまごうことなくおはなです! 完全に間違いなく花です。そう、きれいな、はななんです! 信じて下さい! で、そのきれいはなは、特技アくちマセラピーを繰り出しました! 

 

ロッテリア!!」

キラキラキラキラ するとあら不思議! あかンデレラの毒がきれいさっぱりなくなりました! どうやらこの特技は、香りの力で周囲の状態異常を正常に戻す効果があるようです。

 

「ハァハァ……ホンマにあかンとこやったデ……おおきに……」

キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!! え? あ、あかンデしか喋れないあかンデレラが? どういう事でしょう? もしやこれは命の危機に瀕した事で語彙力の最大値が上がったようですね。少しずつですが彼女は言葉をモノにしつつあります!

 

ロッテリア!」

きれいはなはその言葉に嬉しくなってクルクル回ってダンスを始めます。それに合わせてあかンデレラも踊ります。

クネクネ クネクネ

 

「あかンデw」

クネクネ クネクネ 笑っています。踊りながら笑っています。

 

ロッテリアロッテリアw」

クルクル クルクル

 

「疲れたデ。ゼエ……ゼエ」

フラフラ すわりすわり

花畑の中ガラスの靴で踊ったせいでへとへとで座り込んでしまうあかンデレラ。

 

ロッテリア!」

するとあかンデレラにお団子🍡を渡します。鮮やかな桃色の団子です。

 

「あかンデ!」

パクパク

 

「これは、あかンデ!」

あかンデレラのHPが回復した! 恐らく今のあかンデは、やばいとか旨いとかまいうーとかそういう意味のあかンデなのでしょう。何故ならあかンデレラはとても嬉しそうにしているからです。余程美味しかったのでしょうね! 

 

バナバナー……」

それと対照的に申し訳なさそうに頭を下げるふしぎばな。ですが、どこかに行くでもなく、猫の香箱座りの様な座り方で

留まっています。そして、何かを待っているようにあかンデレラを見ています。これは一体?

「どないしたンデ?」

あ! またです! あかンデレラがどんどん言葉を覚えていきます!! 主人公が次々と成長する姿を見るのは嬉しいですね。無限の可能性。

 

「バナー」

あっ分かりましたよ? これはあかンデレラの 【仲間になりたそうにこっちを見ている】 状態なんでしょう。

 

「あかンデ?」

ですが彼女自身は良く分からないよ? と言う表情です。あかンデレラも初めての事なので戸惑っているのでしょう。

 

「バナー」

ですがそんなことを意に介さずにずっとふしぎばなは見ています。そうすれば彼の思いは通じると思っているに違いありません。そう言えば思い出して下さい! 魔女の言葉を! そうです! あかンデレラには不思議な力があると言っていました。恐らくそれなのでしょう。純粋なあかンデレラのその姿が、おはなの心に届いたのでしょう。

 

「あかンデ!」

仲間にしないのですか?

 

「バ、バナー😢……」

とても悲しそうにしています。本当に追い返すのですか?

 

「あ、あかンデ」

そうですか、やはり可哀想に思ったのですね? ふしぎばなが仲間になったみたいです。ふしぎばなは嬉しそうに馬車に乗り込んだ!!  

どすどすどす

 

ロッテリア? ロッテリアロッテリア!」

あれ? それを見ていたきれいはなも仲間になりたそうですよ?

 

「流石に多いデ。あかンデ」

もう普通に喋れそうですけど、まだそのあかンデキャラを貫くのですか? 既に一度正体を明かしたのですからもう本性を現しても大丈夫ですよ? それともまだカマトトぶるんですか?

 

ロッテリア……orzチッ チッ😢」

ああ……きれいはなはふしぎばなよりも悲しそうに落ち込んでしまっています。しかも舌打ちも連発して……うう……私の双眸からも涙が……これは連れて行かないと舌打ちのしすぎできれいはなの舌の筋肉がつってしまいますよ? 本当に仲間にしないんですか?

 

「あかンデ」

きれいはなが仲間になりました! きれいはなは嬉しそうに馬車に乗り込んだ!! しかし馬車はいっぱいだ! モンスター長老に送りますか?

 

「あかンデ」

そうなるとせっかく仲間になったのに逃がしてしまう事になりますよ? 良いのですか?

 

「あかンデ」

しかし馬車がいっぱいだ! どうするのでしょうか? ……あれ? 

 

ロッテリア💡」

きれいはなが何か閃いたみたいです。

ドタドタドタ 

 

ロッテリアロッテリア

 

「バナー? バナー!」

ドスドスドス 

 

ロッテリア!」

パクパク パクパク

 

はあー何という賢さ! きれいはなは一旦ふしぎばなに馬車から出てもらい、かぼちゃの馬車の内壁を食べ始めましたよ!? そうです! かぼちゃの馬車なので食べられるのです! しっかりと貫通しない程度でとどめ、均等に馬車内部を広げていきます! 生のかぼちゃは固いのでとっても大変そうです。ですがきれいはなは決して止まりません! あかンデレラの仲間になる為に命を懸けているのです!! そして、努力の結果、最大積載量が増加しました! これにはびっくりしました! きれいはなのお陰で、後一人位仲間に入ったとて、余裕で入り切れるでしょう!

 

「ロッテ……リア……ボリボリ……スゥスゥ」

執念ですね。お腹が破裂する位に膨らむまで貪ると、力尽きて眠ってしまいました。 寝顔がかわいいですね。とてもただのきれいなはなとは思えません。 そういえばかぼちゃにはベータカロテンが多く含まれていると言います。それを短期間で大量摂取できてよかったですね! ここまでして仲間になってくれたのです! 大事にしてあげて下さいね? かなり大所帯になりましたが、戦力は増強しました! 思わぬ収穫ですね! ですがこの間にもオオカミはおばあさんの家に着いているかもしれないのです。彼女の元に慎重かつ大胆に向かいましょう!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ふうー。だいぶ読んだら疲れちゃったわ。休憩していい?」

 

「あかンデ」

 

「こら! じゃあ休憩しないでいい?」

 

「エエデ」

あかンデレラの様に丸め込む事は出来ません。流石アリサちゃんは賢いですね。

 

「流石にあかンデレラほど馬鹿じゃないか」

 

「フッ……この私を誰だと思っている? でも続き気になるよお」

 

「私も少し休んだら読むから許してねw」

 

「はいっ!」