今回から4回に渡り、魔界動物と言われる一応人間の皮を被った空前絶後の悪魔の様な生物達が登場、いいえ、襲来します。魔界動物の特徴は、日本人でありながら日本人の優しさ、謙虚さ、奥ゆかしさなどを全て破棄し、本能の赴くままに弱いと判断した人間を動かなくなるまで攻撃し続ける性質のある動物たちの事です。4回に渡ると書いていますが勿論1回に1匹ずつの登場で合計4匹とは限りません。
なんと! 1回に2匹、もしくはそれ以上? 登場するサービス回も設けてあります! 総数何匹の魔界動物を見物する事が出来るのか? それを、皆さんの卓越した推理力で的中させて下さい! そうです、全く事件が起こらない現状で唯一出来る推理とすれば魔界動物の数を当てるという事しかありません。何もない中でもミステリーを疑似体験できるのです! 是非ご参加下さいね。
そして今回の魔界動物は、そのトップを飾るに相応しい、相応しすぎる最強最悪の魔界動物です。
まるで実写で、3D眼鏡を装備し観る、飛び出すムービーを観ている様な(表現が古いよ!)立体的な魔界生物が皆さんに襲来するでしょう。その見事な屑っぷりの、到底人間とは思えない様な、それでもおこがましく人だと言い張る魔界動物共が、持ち得る頭脳を悪い事を考える事のみに特化、極振り、フルヴァーストし、絞り切って起こせた、人が出来る限界の悪行の数々と、その極悪非道の心なき迷惑行為の数々をご堪能下さい。そして、人は人を憎むとここまで醜くなれると言う悲しい事実を知る事となりましょう。間違っても読み進めていく内に触発、洗脳され、この魔界動物共と同じ行動を模写する事だけは止めて下さいね。これは人生に置ける人が人として生きて行きたいのであれば、決してやってはいけない事象を教科書としてまとめている物とお考え下さい。そしてそれら全ての悪行、恐らく人が引き起こせる範疇を凌駕した行為は、皆さんの心に深く沁み渡り、
【これだけは絶対にやってはいけない事】
と言う反面教師となりましょう! 私はこれを書き起こす事で、人は優しくなれると信じています。 何故ならその真逆をやれば優しくなれる訳です。因みに魔界動物の名前はアルファベットの大文字で表記していますが、奴らを表記する時、漢字で表記するよりもそちらの方が大迫力なんじゃないか? と言う思いが強まりそうしています。
それと、唐突に話は変わりますが、私の好きな格闘家はフィクショングレイシーです。あっ間違えた! まあ伝わるだろうし訂正しません。
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「まずリーダーの川谷だ。汎用課のな。ちなみに汎用ってのは単品物を加工する部署だ。自動班は量産品を扱う部署。そしてそれらを検査する検査課、ある程度の部品を組み立てる組み立て課等があり、俺は汎用課のバイトだな」
「成程ね。そいつの特徴は?」
「あいつはなあ……リーダーなのにリーダーらしくない。全部署……汎用、自動、検査、組み立てと4人のリーダーが居るがその誰よりも出来ない男。どの部署も毎朝朝礼で、情報を仲間に伝達しているのに、うちだけやらない。その切っ掛けがまあ俺なんだけどな」
「え? 鈴木さんてバイトでしょ? それなのに朝礼のやるやらないのどうたらをリーダーに指示なんて出来るのォ?」
「ああ、勿論直接指示をした訳じゃないんだ。何回か登場しているが、毎年2月に書く紙があるが、毎年書くんでマンネリ化して来たなあ。今年は何を書けばいいかなあ? って悩んだ末、朝礼の内容が薄いと書いたんだ」
「そうなんだ。例えばどんな風に?」
「ああ、みんな集まるけどちゃんと話もせず、おはようの挨拶をしたら、もう一度リーダーが一礼をして別れるという朝礼だ。こんな状況でいいんですか? ってな」
「は? 何それ……」
「話す事がねえんだ。何かしらあると思って聞いていても決して何も言わない。朝一で行うが、何も言わない癖に数分前に集まって待っているから、本来自分の時間に出来る余暇時間までも潰される」
「うわあ、やだなあ」
「だから俺は、毎朝ペコリだけして終わるリーダーと言う事で、ペコリーダーと呼んでいた。心の中でな」
「可愛い響きねえwwでもやっている事は最悪ね。一つくらい伝達する内容はあるんでしょ?」
「うちの会社のシステムがおかしくて、8時に集まった後、9時半にリーダーだけが集まるリーダー会議ってのがあるんだ。そこではその日の予定などを詳しく話す。そこで得た情報を10時の休み時間明けに伝えるのが普通なんだが、うちだけそれをやらず頑なに8時に始める。自動班はしっかり10時の休み時間明けにやっていて、長い時は30分も話している時もある。自動班で30分話している内容があるのに、汎用課は挨拶だけで0分だ。誰も余暇時間を犠牲にしてまでお前なんかと挨拶したくないんだよ馬鹿が……」
「相当嫌っている様ね」
「ああ、大嫌いだ。それにこれじゃ情報伝達に差が出てしまわないか?」
「そうなるね。で、でもそれなら前日の9時半に聞いた内容を翌日の8時に話せない?」
「まあそれでも一礼して終わりだな。恐らく昨日の事など覚えていないのだろう」
「でもそこで新情報が出たら、8時に始めて終わりじゃなくっても、それを伝達する為に再度集めない?」
「勿論集めん」
「勿論www」
「その日8時に既にやったのだから、もう集めるのはおかしいというスタンス」
「馬鹿じゃねえの」
「100人中、102人が馬鹿と言うだろう」
「外野さん2人参加www」
「悩みを書き、その下の悩みを解決する案を書く欄に、朝礼をみんながやっている10時の休み時間明けにやればいいんじゃないか? と書いて提出したんだ」
「この事よね?」
先程出したブロックを指さす。
「そう、この下の方の項目だ」
「それはいい案だわ。9時半のリーダー集まりの直後だし忘れないわよね」
「ところがだ、その用紙を見た筈の奴が言った言葉に俺は耳を疑った。何て言ったと思う?」
「うーん……」
「分からねえよな……奴は、こう言った。こほん……
『朝礼の内容が薄いって書いてあったじゃないですくぁあ』
『ああ、それが?』
『じゃあ、朝礼やるぁなくてもいいですよぬぇえ?』
と、敬語で聞いてきた。因みに今、奴のモノマネしながら言ってみたぜww」
「うん。よく似てる」
ぬう?
「見た事ねえだろww」
「いいえ? 鈴木さんの表情とか仕草とかから似せようとしているのを感じ取れたわ」
ぬ?
「マジか? 見た事なくてもかよwすげえなあ……実際はこんな面だうおおおおおお」
ごとっ ごとっ ごとっ
「3匹いるね」
「匹ww」
「まあ面倒なのでまとめて出しといた。左から123で説明するからな」
「うん」
「話を戻すと、奴は俺の書いた中で、
【内容が無い】
と言う部分のみに照準セットしたんだ。ならやらないでいいだろうという考え方だな。解決する対策の項目を読んでいなかったのか? いや、読んでいたと思う。なぜならその紙は社長に渡るのだが、まずは川谷に渡し、奴の判断でオッケーなら社長に提出するというシステムだからだ。でな? 1の顔で話しかけてきた訳だ」
「成程、笑顔で懐柔しようとしている感じか。でも、10時にやれば解決じゃん。そいつ日本語読めないの?」
「そうだと思う。俺は色々腑に落ちない部分もあったが、10時にやればいいと言ったら2の顔で口論になりそうな雰囲気がプンプンしたので、
『別にいいんじゃない?』
と言った」
「沸点低すぎィw」
「そしたら、真に受けてやっていないって言う事だ。まあお陰で待ち時間を自分の時間として有効に使える様になって嬉しいがな。それでも他の社員もいるだろうに何でバイトの俺に最終決定権を委ねたんだ? バイトに最終決定させんなよ。リーダー自身で決めて、みんなの前で発表しろ!」
「だよね。まあ鈴木さんが内容薄いって書いたからって事? でもみんな集めてこういう話が出たけどどうしましょう? って相談しない? なんで? 恥ずかしがり屋さんって事? いや、そんなまさか……大の大人だし……」
「いや、その考えは合っているかもしれん。大人じゃなかったんだろうなあ。この事を発表する時に一回みんなを集めなくちゃいけない。だが、それすら恥ずかしくて俺に全権を委ねたという考えが一番しっくりくる。今までは一礼して終わる事が出来た楽ーな朝礼を、俺が余計な事を言ったせいで、9時半に仕入れた情報を言葉に発してみんなに届けなくちゃいけない。
と、言う事は大勢の前で声を出さなくてはいけない。それが奴にとって苦痛だったからこんな阿呆な事を言ったんだ。毎日そんな苦痛を味わうのはごめんって事なんだろう。俺はずっと死ぬまで永遠にペコリーダーで居たいんだよ! って事なんだろうなあ……ならリーダーなんか辞めちまえって思ったわ」
「酷いペコリーダーねえ」
「順応早いなww」
「でもペコリーダーって2匹いたんだね。Wペコリーダーw」
「え?」
「ほら、社長も暗闇で鈴木さんに後輩の様なペコリをしたじゃんw一応あいつも社長でリーダーでしょ?」
「あ、そういやそんな話したなwでもそれ何週間前の話だよww記憶力いいなあ」
「え? 1時間前だよ?」
「え? それって5月半ばに投稿した内容じゃねえか?」
「え? 5月半ば? 今7月末だよ?」
「え? でも」
「え? 投稿って何?」
「え? 何言ってんだよ。俺が知る訳ねえだろ?」
「だよね」
「突然そんな事言われたらびっくりするぜ?」
「ちょっと待って! それは別の時間軸だから。混乱するからそっちの話はしないで?」
「わ、分かったぜ」
「本当に気を付けてよ? ただでさえ死んで時間の感覚が狂ってるのにそんな事言ったら何が何やら……」
「すまねえ……で、もし重要な情報が出て連絡が必要だと奴が判断した場合、一人一人に口頭で連絡する。アナログすぎるだろ? そのせいか伝達漏れの危険性もあり、それぞれの機械の前で仕事している人の所まで一々歩いていくので本来仕事の筈の時間も使って連絡する。こんなの全員を集めて報告すれば一発なのになw」
「やばwってか用件を伝える事あるんだね」
「ああ」
「それでやらぬぁくてもいいですよぬぇえって……もし社長とかに朝礼やらないのはおかしいだろ! って指摘されたら、鈴木さんのせいにする準備だったんじゃ?」
「かもなあ。実際はされていない。何故ならバレていないから。だがもし指摘されれば俺のせいにされるのはほぼ間違いない。それに自身でも酷く自信家で、ある日、パートの女性にその幼さから川谷坊ちゃんと言われた時、
【坊ちゃんじゃねえよ!】
と、怒り狂って台を拳で殴って切れ散らかしていた。2の顔でな。それを見て残念な奴だと思った記憶がある。台をドンって叩いて二人いたオッサンに取り押さえられてた。オッサンが居なかったら女の人は殴られていただろうな。ここでいくつかリアクションが出来ると思う。例えば
『そんな風に見られてたか……もう少し大人にならにゃなあ』
とか、
『うっせえよ! 俺が坊ちゃんならお前は赤ちゃんじゃねえか!』
とか、
『これからは気を付けるよ。ごめんな』
とか、
『そんな事言うなよ。今、体調最悪で子供レベルでしか脳が働かねえんだ』
とか、
『しまった! 素が出ちまった。このシーンカットで!』
とか、
『えーん、おかあちゃんに言いつけてやるう』
とか、色々あるよな?」
「すごい引き出しじゃん」
「そうかい? で、その中で、
『坊ちゃんじゃねえよ(マジギレ恫喝)&殴り掛かる』
だけは、無いよな。これだけだぜ? 幾つも返しはあるけど、坊ちゃんと自分自身で認めたと確定されたリアクション」
「だよね……ただの冗談を本気で怒って空気を悪くしてるし、大人の対応とは言えないよね」
「ここを笑って流せるのが大人だよ。こんな物を奴はリーダーにしたんだ。思い返せば奴の言動で一度も笑った事がない。本当につまらない男だからな」
「うんうん。それにそれって良い前振りじゃん……私だったらそこは乗り突っ込みして場を盛り上げるけどなあ」
「え? どうやって?」
「例えば
『そうそう僕は川谷坊ちゃんでちゅ! これからもよろちくお願いちまちゅ……って違いまちゅ!』
ってな感じかな?」
アリサはノリ突っ込みが得意である。
「わははははw」
「あら? ゲラねえw」
「あいつがそれを言った姿をイメージしたんだよw俺、初めてあいつで笑ったかもしれねえ」
「そうなのwww」
「でな? そいつ、俺がトイレに入っている間に、靴の中に切りくずを入れてくるんだ」
「へえ」
「金属の尖った切りくずだから、下手したら怪我する危険性もある。それをトイレに入っている間にこっそりと入れて平然とした顔で仕事してやがるんだ」
「原因は?」
「クズだからじゃねえか?」
「www」
「でもどうして気付けたの?」
「偶然足に木の棘が入っていたのでそれを取って、そのついでに靴を綺麗に中敷きまで外して掃除した直後にトイレに行ったんだ。ところが用を足した後、切りくずが入っていたという事だ。トイレの傍の機械で加工している川谷がやったというのはほぼ間違いない。まあやる事が分かっているから奴が機械から離れた時のみにトイレに行く事で回避した」
「トイレに行くことすら制限されるのかこのゴミ野郎のせいで。そういえば内藤にう〇こ攻撃されてからはその回避は出来ないよね?」
「そうだな。川谷と内藤が同時に居ない事は余りないから、その対策で我慢して10時の休み時間にトイレを済ます事しか思い付けなかった。お陰で休み時間を有効に利用出来なくなっちまったんだ。あいつらのせいで……そう思うと悔しいぜ……」
「さすがゴミ社長の選んだカスリーダーね。これがバレた時点で人としての価値が大幅に下がるのに……アホ過ぎるわ」
「他には俺が休み時間を早めに切り上げ、仕事を早めに始めたら奴とその取り巻きの2人がまだ休み時間を満喫していやがってタバコを吸っていたんだ。それで俺はそれを気にせず材料を入れる箱を取って戻ろうとした時、
『不審者じゃねえか』
と、3の顔で俺にも聞こえる位の声で叫んでいた。具現するぜ? うおおおお」
「あれ? 網の何かがあるよ?」
「いや……素材調達のため昼休みの時間に撮影していたんだが、その時丁度積まれててよw本来あそこは何も無かったんだ。運悪くその時網が積まれてたんだなwそれが無い見通しのいい時に川谷達に見つかってそういう話が出たんだよ。まあ片付けてから撮影すればよかったんだが、休み時間が少なくなっちまうし、面倒なのであれで妥協したんだよ」
「へえ……え? 撮影? 妥協? 網の無かった瞬間を思い出せばいいじゃない?」
「おっとw 具現するタイミングを間違えただけだw今のは忘れてな?」
「はいっ!」
「いつも俺に敬語だった取り巻き2人も大笑い。お陰でそいつらの本性まで分かっちまった。正にガキじゃねえかって思ったぜ。で、その後も俺の陰口を叩いて笑ってたんだぜ? 不審者の件で、悪口を言うとみんなが笑ってくれると奴の中では人の悪口を言う事が生き甲斐にでもなってるんじゃねえか? こんな奴はリーダーに相応しくない。俺は常にそれを信じているうおおおお」
ごとっ
「また?」
ごとっ
ふむ、その通りだな。
「これは何?」
「偉い人の言葉だ。誰かは覚えていないがこれ、正にその通りだろ?」
「本当ね……休み時間を切り上げて仕事している鈴木さんの姿を見て、不審者に見えるとしたら目と頭が狂ってる。痴呆の気もある。覚えていないから名前じゃなくて不審者と言ったって事よ。それに自分の頭で考えず人の欠点を笑いにするなんて最低……」
「奴の人生で一番受けた言葉だったと思う。面白くない奴だから。でも悪口さえ言えば自分の様なつまらない奴でもみんなに笑ってもらえると考え、そういう人間になっちまったんだろうなあ。確かに周りに笑顔を与えるのは良い事だがこれはあざけ笑いを引き起こしている。だから0点だ」
「どんだけ腐ってんだよ……これからそんなのが何匹も出てくんのかよ」
「ああ、和風妖怪の群雄割拠だ。どれも強い。どれも精神的に攻撃できる超強力なスキルを所持している。で、次話す井村って奴にも鈴木はいつも〇〇ちゃんに会いたいよ~って思ってるんだぜ? と吹聴し笑いものだ」
「〇〇ちゃんって鈴木さんが好きだったあの娘の話?」
「ああ、あの子からどんどん伝言ゲームの様に伝わり、川谷にも届き、更にそれを無料で別の人間に広げてくれたんだ」
「良い噂は広がらないのにね……」
「ああ、で、俺は休み時間を筋トレをやる事にした」
「え?」
「試しにな」
「え? え?」
「俺が目立った行動をすると噂するな?」
「う、うん」
「では、一般的に良い事? をするとどうなるか?」
「え? それでもあいつ馬鹿みたいに筋トレしてるって噂するんじゃ……」
「ああ、で2日、3日と続けたらな、あいつらの話題は尽きる」
「え?」
「2日目は、まだやってるよwwで、3日目は……何も言えなくなるww」
「そうか……本当は全く笑えないから……だって本当は全く面白い事じゃないから」
「そう、そしてそいつらには出来ない事だから。がっつり同じ時間仕事もしてるのに、奴らがタバコ吸って悪口言って過ごしている休み時間まで俺だけ筋トレしたら普通はバテちまうだろwだが、俺は体力には自信があった。だから休み時間を休まず、筋トレを続け更に仕事も頑張った。そしたら次第に開いていく実力差に、笑うどころか恐怖していった」
「これって普通にすごいね……全国に居るいじめられている子達に教えてあげたい。だってこれをすれば相手もいじめにくくなるって……」
「そうそう。見ているところでやるのがポイントだぜ? でも、あまりに見つかりやすい所でやると返って駄目だ。控えめで、隅っこでやるのがいいんだぜ? 生き返ったらアリサちゃんが色んな子に教えてやってくれやw」
「まあ女の子は難しいかもしれないけど別の何かが女の子にもある筈。例えば勉強とか! それを教えていくよ。他にはあるの?」
「雨が降っていた時、手を洗う場所には屋根がなかったんだ。だからトイレの中に設置されている水道で手を洗おうとしたら、水道管が詰まるからやめろと怒り狂ってた。滅茶苦茶怒鳴ってたな。これは2程ではなかったので3の顔かな?」
「何が詰まるの?」
「内藤の張り紙の話覚えてるか?」
「ピンクの洗剤で手を洗うな! って奴でしょ?」
「そう、油汚れを落とす専用の粉の様なピンク色の粉石鹼を使うんだが、それがどうやら水道管に詰まるらしいんだ。奴も使用している機械がトイレの傍で、俺が時々トイレで手を洗うのを見ていて、捏造している分際でトイレに粉が詰まったら困ると言う正義の心が何故か発揮され、あんな乱暴な表現の汚い張り紙を張った訳。それで川谷もその張り紙を見てからはそういう事をしちゃいけないと知り、注意しようとして来たんだ。これは内藤と川谷のコンビネーションアタックだな」
「へえ」
「俺は雨に遭うのが嫌だったのでトイレでその洗剤を使おうとした時に過剰反応したんだ。だがそれを無視し、洗おうとしたら親の敵に会うかのごとく怒り狂っていた。
『そこで手洗うなっつってんだろ!』
って2の顔でトイレの中にまで入ってきて大暴れよwwえらい剣幕だ」
「え? ただ手を洗おうとしただけで仕事中断してまで?」
「そうだ。詰まったら詰まったで対処できるだろ? それに一回二回やっただけで詰まる訳ねえ」
「確かにそうよ!」
「言い訳するつもりはないが、物凄い土砂降りだったんだ。そんな中手を洗ってたらびしょ濡れで風邪ひいちまう。まあ水道の場所に雨除けを付けない会社も会社だが、それでもまだこれから仕事が残ってるってのにびしょ濡れの作業着で続けろって事だろ?」
「うん。そういう時は特例でいいよ。社長には内緒だぜ? って言うのがリーダーとしての優しさと器の大きさよね……そんな事も出来ないんだ……川谷……社長クラスのカスじゃん」
「そうだ。奴を優しい奴と思った事は一度も無い。そして当然面白いとも。そして一緒に雑談をしたいとも思えない性格の悪さ。もし休み時間に近づいてきたら逃げ出すレベル。リーダーなのに優しさも面白さもカリスマ性もないなんてもうゴミ以下だろ。それにどうせ見ていないところでやったら何も出来ねえのによ……見かけたら鬼の首取ったかの如く騒ぎ立ててよ。この辺は社長そっくりだ。いくらいい事をしても
【絶対に、何があってもどんなに貢献しようとも】
褒める事は出来ない癖によ、怒る時は一瞬で大激怒。あのパートの女性の坊ちゃんじゃないか? って言う話、もう間違いないと思っている」
「これだけ酷いのに社長は何も言わないの?」
「言わないぜ?」
「何で?」
「ゴキブリのゲロだから……おっとっとw自分がただの社員からリーダーに上げたという矜持から絶対に大丈夫と信じ込んでいるのだろう」
「鈴木さんにはちょくちょくにじり寄って説教するのに……え? え? 何? い、今、ゴキブリの……? え? え? 今なんかすごいワードを聞いた気がするんだけど……」
フルフル フルフル
アリサが震えている……そして目を輝かせてもいる。一体どういう感覚なのだ?
「うっかり心の声がな……忘れてくれ」
「ほええ? そおなのお? 心にどんな闇を抱えているのよ……でも、その言葉に凄い力強さを感じたのよねえ。そして深淵よりも深い闇を……重さを……もう一度聞きたいような聞きたくない様な……」
「忘れてくれってww」
「わ、分かった。じゃあ早く戻ってぶち〇さないと……どうやって〇そうかしら?」
おいおい……どうした? 混乱しているのか? ゴキブリのゲロと言う鈴木の言葉に動揺して話が飛躍しすぎている気がするぞ?
「えっ?」
「独り言」
「そうか? なんかやべえ響きが聞こえたのだが……」
「それはお互い様よ。忘れて」
「そ、そうだな。ま、まあいい。後は細かい事かもしれないがコミュニケーション講習の時に、
【あなたにとっての仕事とは何?】
と問われた時
『暇つぶし』
と1の顔で格好つけて言っていた事かな?」
「え……」
「大した事じゃないけど、おっ? てなった。仕事を暇つぶしって言えるのか、すげえなってな」
「これの答えって何なの?」
「確か、仕事をする事で沢山のありがとうを言われる為の行為だったっけか? 沢山のありがとうを貰う為のどうたらこうたらって……良く思いだせねえ」
「素敵ねえ……だとすると川谷の考えは違うと思うわ。鈴木さんも考えが足りないね」
「え?」
「だって結局仕事って他人 (社長)の手伝いでしょ? どんなに頑張ったって給料はそこまで変わらない。それを暇つぶしと言うならさっさと辞めて自分の為に時間を使う方がいいと思うの。暇つぶしではない奴の中での仕事を探し、それにその8時間を使えばもっと大きい金額を稼げるかもしれない。なのにそれをやらないで暇つぶし? これは皆にただ者でないと思わせたいが為に放った見栄が見え隠れしたセリフとしか思えない。更には一応チームのリーダーでしょ? なのにその責任重大な仕事を暇つぶしって……よっぽど趣味の無い無趣味人間なのね……あ、悪口が趣味か……」
「確かにそうだな。みんな、え? って言って川谷の方を見てたもんな」
「みんなに注目を浴びたかっただけの子供って事なのよ」
「すげえなアリサちゃん可愛い上に頭もいいのかよ……」
確かにアリサは可愛いは可愛い。だが話している内に生意気すぎて外見の可愛さなどどうでも良くなるほど憎ったらしくなる。私も可愛いと思っていた時間が数秒だけあった。だが今は土偶程度しか思っていない。
「まあね」
「うーん……そういえばおかしな事言ってたな」
「何?」
「ええとな、仕事の量が少ないと不安だって提案書に書いてた気がする」
「ああ、2月に書く?」
「そうだ」
「やっぱり」
「え?」
「それが本当だとすれば暇つぶしってのは嘘って事。だって少なければ暇が出来てしまう。それが足りなくなると不安という事は、暇が潰せないと不安って事になる……暇つぶしってそんな真剣に潰したいと思う?」
「確かにだ……」
「そう、奴は皆の気を引きたいが為に咄嗟にそういう嘘を言ったんだ。薄っぺらいわ……」
「あいつ、残念な奴だったんだなあ……後は社長が珍しく靴をくれたんだ。それを奴が社長の代わりに俺に持ってきた時にちょっとひったくる感じて取ったんだ。そしたら、
『乱暴に取るんじゃねえよ! 折角渡したのに……あり得ないだろ』
だと。2の顔で言っていた。それはお前の事が嫌いだからそういう態度になるって言う至って単純な事に気付いていない様だ。しかも社長がくれた物を中継ぎで運んで来ただけの奴に。お前が自腹切った訳じゃねえだろって思うぜ。奴は残念な事に、俺に尊敬されていると勘違いしている」
「ゴミ」
「次は、坊ちゃんって言った女の人が、寿退社する事になって送別会を開催する事になり、俺も参加すると言っちまったんだ」
「うん」
「忘年会に参加した後で少し人の集まる所に行くのも慣れて来たと思ったんだが、土壇場になって行きたくなくなっちまってさ……あの社長に、
『喋ってるよ!』
って笑われたのを思い出してな……その時の会費が5千。なのに、喋ってるよって嘲笑われた記憶しか残っていない。金と引き換えに一生残るトラウマを買う事が出来た。最低の思い出を……」
「うん」
「で、参加するって言った後その……休んじまったんだ……で、会費は前払いだったんだけど、返却してくれなかった」
「ああ……それは鈴木さんが悪いわよ。始めからきっぱりと断らなきゃ……」
「だよな……これは行くって言うべきではなかった……高けえ勉強代だわ……夕飯一食分の金額が5千円だもんな。目玉飛び出るわ……それも2時間以上を嫌な奴に囲まれて1食分の夕食代がだぜ? そう考えたら行きたくなくなってよ。何にも食ってねえのに何故か5千円は返ってこない」
「それは嫌だよね。せめてメンバーが優しければ行けたけど、そんな人いないもんね」
「ああ」
「他には無いよね」
「まだあるぜ。後はこれも怒鳴り系だが、急ぎの仕事の途中で別の急ぎの仕事が来たんだ」
「ややこしいね」
「で、中断して取り掛かったんだが、それが来たのは木曜日。で、そいつを金曜に終わらせてくれとの事だ。だが全部やってる時間は無い」
「一日じゃ厳しいんだ」
「なので177個全部じゃなくって70個は欲しいとの事で、それなら楽勝だと完成させた。で、終了した事を伝えたら
『結構早く終わったんだったら全部出来ないか?』
と3の顔で言って来た。だが急ぎの仕事を中断したからそっちをやりたいと言ったら2の顔でキレ始めた」
「は?」
「奴は自分が思い付いたアイディアを否定される事を極端に嫌う」
「でもその週に欲しい分は完成させたんだよね? ならもう一つの急ぎの仕事をやらなきゃダメよね?」
「そうなんだがものすごい剣幕で怒ってよ。専務も近くで見ていたんだが、あまりの剣幕に止めに入らず自分の任務に専念していたw怒鳴り放題脅し放題。ああ、専務は助けてくれないんだなと思いながら、嵐が過ぎるのを只管待ったわ。奴は怒りで現実を忘れちまっている。本来、力も弱く、頭も悪いだけの男が、最高の馬鹿にリーダーに任命されたという事実に誇りを持ち、俺より上の存在だと勘違いしてしまっている事にな。そんな子供相手に本気になっても大人気ないしな」
「優しいんだね」
「腕力も遥かに下の男の恫喝だったんだ。迫力は無くただ五月蝿いだけのな。ちょっと本気になって喉をキュウってやればすぐに止まる程度だ。それでも何度も怒鳴られて少し委縮しちまったわ」
「専務も任【務】に【専】念しちゃったかあwそれじゃ仕方ないわ。どんなに暴れん坊が工場内で怒鳴り散らしていても、
『じ、自分には仕事があるので』
キリッって事だよね?」
「そうだ。専念する任務と書いて専務だもんな。故に、彼は、一切、間違って、いない。最高の、専務、だ」
「wwww役職の名に恥じぬ働きぶりねえw」
「超の付くほど臆病な人だからしゃあねえ」
「社長と同じ親から生まれたとは思えないよねえ」
「で、専務に何も言われない事を知ったか軽くだが猫パンチで攻撃までしてきた。やっぱり子供だと思ったわ」
「それ暴行罪よ」
「んな大袈裟なww」
「私はそれで裁判で勝てる。多額の慰謝料をふんだくれるわ」
「はあ?」
「法曹界観点からだと先に手を出した方が負けなのよ」
「ほう、そうかい」
「上手いww」
「おやじギャグだぜ? しかし知識さえ持っていれば、そんな事でも武器として使えるんだな……もっと勉強すべきだったぜ」
「かわいそう……」
「ん?」
「最低の上司に当たった鈴木さんがね」
「その後も結構引きずってなあ」
「え?」
「今までは残業予定表があったんだが」
「それが?」
「まあ残業予定表の下の空白が重要なんだ」
「え?」
「その下の空白に本来休む時に名前と日付さえ書けば一々口頭で報告しなくても休む事が出来たんだ」
「そうなんだ」
「だけど残業自体を少なくしようという流れからその予定表が撤去された」
「ああ、best!! の時のあれね? それはすぐに反映されたんだ」
「ああ、捏造じじいの事は永遠に放って置くって言うのにな」
「ほんとそれ。じゃあ休む時は?」
「直接口頭で言う以外になくなったという事。なのにだ」
「〇月〇日予定があるので休むよ。と、川谷に報告するとする」
「うん」
「だがそれを完全に無視する」
「なんでよ!」
「さっきの怒りが残っていて意地を張っちゃってるんだ。子供だから」
「ああ……子供だもんね」
「完全に奴の方が馬鹿な事を言っているのにリーダーなんだから正しいという思い込みで生きている。何でこんな馬鹿をリーダーにすんだよ……滅茶苦茶迷惑だよ」
「こいつって一応リーダーだから給料は高いんでしょ?」
「だろうな。明細を見た事ねえが」
「でも、リーダーの中で最低。リーダーの特権だけ貰い、どのリーダーよりも楽して……マジ失格よ。みんなの前で発言は恥ずかちいでちゅがこのポジチョンはおいちいでちゅのでずっとリーダーとちて居座りまちゅって感じね。こんな奴にリーダーにしていて社長は何も言わないのかよ!」
「その事に関して社長は言及していないな。まあ朝少し遅れてくるから朝礼している時間帯は社長は居ない。だから来た頃には既に朝礼は終わっているんだろうなくらいにしか考えてないだろうなあ。実際に見に来る事はねえからな。それに誰も言いつけない」
「待って? 提案書は社長に渡ったんでしょ? じゃあ朝礼の内容が薄いって事を会議で話し合ったんじゃないの?」
「さあ? 何故かその後も朝礼をやっていないという事から社長も許したと思っている」
「いい加減な野郎ね。まとめると鉄くずを靴に入れて、ちょっとの事で怒鳴り散らし、陰口大好きで朝礼はやらず高い金をもらっているカスって事ね」
「ああ、まあ過ぎた事だ……川谷はこれ位かな? しかし川谷についてここまで考えた事なかったけど、まとめるとものすげえ男だったんだな。小物オブ小物だわ」
「社長の才能の無さが如実に表れてるね。この調子で思い出しちゃお!」
「次は井村だ」
「どんなゴミ?」
「でもいいのかなあ?」
「何が?」
「ずっと俺が話しているぜ? 文字数。こんなに俺みたいなモブが使っちゃってもいいのかなあってふと思ってな」
「いいからいいから」
いいからいいから
「そうか? でももし長かったら言ってな?」
「ええ、一応ソフトークで鈴木さんとの会話部分だけをコピペして読ませているけど、3時間しか掛かってないしまだまだ平気よ」
「え? そふとーく? こぴぺ? 3時間? 何だそりゃ? 一つも分からねえんだけど……」
「全体の流れをそのソフトで流し聞きしてたの。具体的には5~22話のこの部分までね。まあ通常だと長すぎるんで倍速で聞いているんだけどねw」
「え? え?」
「じゃあ6時間じゃんって突っ込みは無しよ?」
「突っ込めねえって……でもよ、俺達そんなに話してたのか? やべえなあ。なんか申し訳ねえ……」
「いいのいいのwで、ソフトークって自動で読んでくれて誤字脱字も発見出来るんで、結構重宝してるのよ。小説を書く時間は無くてもせめてチェックくらいはしなきゃって思ったら頻繁に使ってる。これで無料なんて……圧倒的感謝だわ。製作者様、心から愛してるw」
「そうなのか……え? アリサちゃん日記だけでなく小説も書くのか?」
「しまったっ!」
「お? まさかまずい事言っちまったか?」
「小説は書いてない」
「本当か?」
「小説は、書いてない」
「すげえ威圧感wな、なら何で小説の話が突然出て来たんだよ……不思議だぜ」
「気にしないで」
「しかし、すげえ時代になったもんだな……じゃあ次の井村も言っていいんだな?」
「勿論よ」
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どうでしたか? 最強最悪でしたか? 皆さんの想像の範疇を超えてくれましたか? それとも想定の範囲内でしたか? え? 後者でした? それは残念です。ですがまだ始まったばかりですよ。ここからが本番と言っても過言ではありません。まだこんな最低生物を何匹か見る事になると思うと胸がわくわくしてきませんか? 是非、後三回で何匹の魔界動物を見る事が出来るのかを予想して下さい。そしてムービーの様に立体的でしたでしょうか? そうですか、ご満足いただけたようで嬉しいです。ですがこれもフィクションであるからここまで書けた訳です。そう! ここまで酷い人間が実際いる訳ありませんからね♪いやあ、フィクションってほんっっっっとうにいいもんですよねえ。さよなら、さよなら、さよなら。