なぞなぞの答えです ☆謎尾 出酢之介のリベンジ編☆
境目にあり、つなぎ目になし。
再会にあり、再逢 (さいほう)になし。
等式にあり、公式になし。
戦いにあり、戦闘になし。
こんな問題を深夜に出してきた出酢之介。魔技者は大いに悩む事となる。
魔技者は鉛筆を紙に走らせる。
すでに黒い線で埋め尽くされ、矢印やバツ印が重なり合い、もはや暗号の残骸のようになっていた。
「どう見てもサメしか出てこないんだよ……!」
ドン
魔技者は机に突っ伏した。
その瞬間、電話口から轟いたのは出酢之介の笑い声だった。
「ハーーーハッハッハ! 眠いなあ。ああ、眠い眠いww」
その高笑いが耳の奥にこびりついて離れない。
「ああ、愉快愉快みたいに言うな……」
「半分じゃ、半分なのだよ魔技者殿おおおお!」
何度も反響し、頭を締めつける。
「半分……半分ってなんだ……もう、これ以上は……」
瞼が重くなる。それもその筈、彼は丸3日間寝ずに小説を書いて今まさに眠りに就こうとしたさなかの電話だったからである。猛烈な眠気に鉛筆も滑るように机の端へ転がった。
「……これじゃわたしの負けか……」
その時。
受話器から出酢之介の声が気怠げに響いた。
「さて、魔技者君、もう切るぞ? 眠くて眠くて仕方がないw」
「ま、まて!」
魔技者はがばっと顔を上げ、転がった鉛筆を掴み直す。
(まだだ……! 半分……ということは? もう一匹いるんだ……! この中に? 本当にか?)
震える指で文字を並べ直す。
今度は一文字ずつ、位置をずらして――“1・4番目”と“2・3番目”を繋いでみる。
境目(さ・か・い・め)→ さめ(1・4)、かい(2・3)
再会(さ・い・か・い)→ さい(1・4)、いか(2・3)
等式(と・う・し・き)→ とき(1・4)、うし(2・3)
戦い(た・た・か・い)→ たい(1・4)、たか(2・3)
「……っ!」
一瞬で視界が開けた気がした。
(そうか……二匹ずつだ! “1・4”と“2・3”……これが二重の仕掛けだったのか!)
胸の奥から熱が込み上げ、魔技者は受話器を握り直した。
「出酢之介さん。答えは動物です。しかも各語に二匹隠れている」
「ぬう? ど、どこに隠れているのだ? 言ってみよ」(分かるはずがない! ハッタリだ!!)
「ええ、境目なら鮫🐟と貝🐚、これは、さかいめから1と4番目の文字をつなげたものと、2、3番目をつなげたものだ。これで2匹の動物が完成」
「くうう」
「そして、同じ要領でさいかいなら犀🦏と烏賊🦑、等式ならトキ🐓と牛🐄、戦いなら鯛🐠と鷹🐤となります。そして、この問の答えは、ある方の単語は、1番目と4番目、2番目と3番目をつなげたとき動物になる。です出酢之助さん。こんな問題を寝る前に気づくなんてとんでもないですね。わたしでもこの位置合わせのトリックに気づくのに苦労しましたよ。見事でした!」
沈黙。
そして、爆ぜるような絶叫。
「ぐ、ぐぬぬぬぬぬ……! 悔しいいいいいい! 我が二重封じの妙手、いとも容易く見破られてしまったああああ! あああ――あぁぁぁぁぁぁぁ……! くっ……しかし、見事! 見事ぞ、魔技者殿! その眼、その執念、その位置感覚――あっぱれだ!」
魔技者は安堵のため息を吐くと微笑む。
「電話一本でここまで情緒をジェットコースターにできるの、あなただけですよ。出酢之介さん」
「お褒めに預かり光栄ですと……言いたいいいいいいい涙」
名残惜しそうに、悔しさを長く引きずる。
「素直に言えばいいですよw」
「く……悔……悔悔悔……しかし快! 負けて快! うむ、完敗にして快哉!」
やっと笑いに変わった声が夜気に溶けていく。
魔技者はメモの余白に、そっと二本線で答えを囲った。
――『各語の1・4番目/2・3番目に“動物”が二重に隠れている』。
今夜もまた、謎はほどけ、悔しさは長く尾を引き、そしてどこか心地よく終わった。
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というわけで、答えは1,4番目と2,3番目を合わせると生物になるでした。この組み合わせ、見つけるのは相当大変でしたがその分見つかると大喜びしてしまうんですよね。