なぞなぞです
魔技者(まぎしゃ)が黒毛和牛を食べに訪れたのは、秋田の山間にある評判の牧場だった。
炭火が赤々と燃える囲炉裏の横で、店主は誇らしげに肉を切り分けている。
「ここが有名な牧場内で牛を振舞ってくれるお店か」
「どうだね、お客さん。うちの和牛は天下一品だろう?」
「ええ、でも解体して料理まで出来る施設も完備しているとは恐れ入る……そのこだわりとは?」
「ひとえに『牛が好き』ではダメか?」
「ふむ、そういう考えか……」(本当に好きなら自分で育てた牛を解体するなんてできるとは思えんが。わたしの考えは間違っているのか?)
「だが、ひとつだけ言っておく。わしは鳥が嫌いでな。鶏肉の料理は一切出さん」
すると魔技者は盃を置く。
「なるほど。牛一筋の心意気、嫌いじゃありませんよ」
店主は切り分けた肉を皿に盛ると、目を細めてこう言った。
「そういえばお前さん、予約の時なぞなぞの名人だとかどうとか言っていたな?」
「ええ」
「わしにもなぞなぞを出そうと考えているのか?」
「そのつもりです。で、解けなかったら半額ということで」
「そんな必要はない。今日は逆だ。こちらから出題させてもらおうじゃないか。それを解けたら無料で好きなだけ食わせてやろう」
それを聞くと飲んでいた牛乳を置き、店主に目を向ける。
「ほう? このわたしになぞなぞとは? 面白い! 挑戦を受けるのは望むところ。どうぞ」
「問題はそうだな……あれだ」
店主はわざと声を潜め、囲炉裏の火を指差す。
「囲炉裏? 炎? 何でしょう?」
「問題だ。真夜中に室内で火事がおこってしまった。目が覚めた時にはすでに火は迫っている。もうすぐ死んでしまう寸前。枕元にあった携帯で助けを呼ぶのかと思いきや、なぜか自分を撮影しはじめた。そんなおかしな特徴を持つ『鳥』とはなんだ?」
囲炉裏の炎がはぜる音だけが響いた。魔技者は一瞬だけ目を閉じ、やがて笑った。
「フッwなるほど、火の中で逃げるでもなく撮影を優先したのか。さぞ大変だろうな」
「何がだ?」
「羽で携帯を操作するのはそうそう簡単なことじゃないなと思ってな」
「ああ、そう言うことか。まあその辺は目をつむってくれ。で、ヒントは必要か?」
「必要ない」
「だが、ヒント無しでは読者さんが困らないか?」
「読者? なんだそれは? 必要ない」
「た、確かに……俺も何で読者なんて言葉が出てきたのか全く分からない」
「しっかりしてくれ」
「悪かった……しかしヒント無しでいいとは……流石なぞなぞを得意と豪語しているだけあるな」
「逆に言えばそれしかない」
「そ、それもなにか悲しいな……ま、まさかもう答えが?」
「ふふふ」
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さてこの問題、鳥が嫌いな店主からの問題です。答えは分かったでしょうか? 今回ヒント無しです。多分それでも大丈夫と考えました。
答えは明日投稿です。