magisyaのブログ

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私の行く先々で事件が起こる件について4 エピソード2 第一村? 人? 発見?

現在アリサは荒れ地で彷徨っている。何時間経ったのかも分からない。だが肉体的にはないだろうが、精神的には疲れが見える。
フラフラ~ ガッ コロン 

「痛い……転ぶと痛いんだね……不思議。ふうふう……私は一体何をしているの? 訳が分からない……ずっと歩いてる……でも何にも疲れないしおかしな気分……でも、心が……心が……目的がないと……壊れそうよ……何か目的……何もない……死にたくなるよお……何よこの気持ち……」
目は虚ろで何も考えず惰性で歩いている。その姿は正にホラー系のゲームやアニメ、映画などでは確実に存在はしている筈ではあるが、決して表には出てこない、

【幼女のゾンビ】

である。まるでゾンビから歩行指導を受けたかの様に忠実に再現されておる。私の知る限り、ゾンビは成人した人間のヴァージョンしか出てこない。これは、子供をゾンビにしてしまってもメリットが無いという事なのだ。具体的に語るれば、倫理的に可愛らしい子供をゾンビにしてしまうのはどうかと思う。それにこれが一番の理由だと考えられる事であるが、例えばもしアリサの様に120㎝の幼女型のゾンビが存在したとて、それが

『ア゛ー』

と唸りながらにじり寄り大人に嚙みつこうにも、身長が足りず首元に届かない。そう、ゾンビの攻撃方法は非常に単調でバリエーションが少ない。掴んで、もしくは抱き付き首筋を噛みつく事位しか出来ないのだ。それも、ゆっくりでなくてはならず、主人公とゾンビの身長差が余りに開き過ぎて、

【主人公や恋人、仲間達の首筋を噛む】

と言う行為が出来なくなってしまうのだ。ゾンビにはそういった暗黙のルールがある。そして当然格闘技を仕掛けてきたらそれはもう腐っているだけでゾンビではないのだ。考える事が出来ないというのが共通認識だ。それを裏切っては駄目だ。
仮に、相手の動きを見切り、隙をついてカウンター等をするゾンビを皆さんは見たいであろうか? そんなのはブノレース・リーやジョッキー・チャンの映画を見れば事足りる。そして小さくて届かないからと言って当然魔法攻撃も禁止。
ゾンビが高度な詠唱を始め、炎や氷の魔法を使って攻撃してきたらどうだろう? それだと腐った肉体でなくても良い。腐っている奴が魔法を使うという意味の無い付加価値を与えても見る側も困ってしまう。そう、腐った肉体の化け物に噛みつかれるという恐怖が、ホラー映画の醍醐味なのに、安全に遠距離で魔法攻撃してくるゾンビは、ゾンビと主人公の体のふれあいが皆無なため。腐っている意味が無い。という事は? 最早ゾンビ映画であってゾンビ映画ではない。完全に世界観が崩壊。唸り声も大して迫力もなく、幼女の特権として唯一存在する

【可愛らしさ】

も、腐っているからどう転んでも表現出来ない。そう、弱いし汚いだけの存在をスクリーンに映すだけ時間の無駄なのだ。ホラー映画はお客さんを恐怖の舞台にいざなうのが主な目的。幼女ゾンビはそれを成すには力不足過ぎる。故に、存在していたとしても、決して表には出てこない。というか、出て来る事が許されない。それが、幼女ゾンビなのだ。仮にもし驚異のジャンプ力で首元に飛びつき、噛みついたとしても、大の大人がそれを受け、

『止めろお! 放せえ』

と、必死に抵抗するシーンも、小さいが故にやらせ感丸出し。

『放せえ』

の後にwwが付く感じに見られてしまう。それは、どんなに演技力のある役者でもリアリティは出せぬであろう。もしそれでもそのシーンを押し通してしまったら、最早ただのコントに成り下がる。そう、ゾンビが出ているのにホラーではなく、コメディ映画に転じてしまう程なのだ。故にゾンビのサイズは大きくなくてはいけない。小さいだけで、滑稽に映ってしまうのだ。簡単に振りほどかれるのが目に見えている。仮に

【小柄なゾンビが大人を噛みつきまくる怖い映画だぞお】

などと宣伝しても全く説得力がないし、見たいとも思わないのだ。大人を襲い掛かるにはフィジカルが圧倒的に足りない。もしそんなゾンビばかりが大量発生してしまえば、主人公は逃げ回る必要はなく、大人のリーチを生かし、前蹴りだけ連発してれば、一方的な無双が出来、結果、主人公が小さい子供を殺戮するのみのシーンを見る羽目になり、演じる側も視聴側も罪悪感が半端ない。故に小さい子供のゾンビは出てこないという事だ。お、話がほんの少しだけそれてしまったな……申し訳ない。
まあ宛てもなくだだっ広い茶色い地面がずっと続いているだけの所を歩いているだけだから、そんな風に見えてしまうのも仕方ないだろう。
辺りは夜の様に暗い。そして何かの気配はするものの、その気配はアリサが近づくと遠のいていく。ただ、完全に逃げ切るという訳ではなく、一定の距離を保ち行動しているのだ。これは? まさか? アリサが眠りに就くのを待ち、その隙を見て襲う算段なのか? そこまでは分からぬが、アリサの死角に常に移動している。油断は出来ない状況。だがアリサはその事に気付いていない様子である。

「これ、あの時と同じだわ……確か……8年前、そう、まだ陽性にしか見えなかった……いいえ? 妖精にしか見えなかった3歳の頃、私が作ったお話の、

【うさしま太郎】

を読んだ時だ。読み終えて彼が死んでしまったという事実を受け入れられなくて急に心を襲ったあの何とも言えない嫌な感じ。生きる事に虚しさを感じて、全身から力が抜けて、起き上がる事すら出来なくなったあの嫌な気持ち……このままじゃまた同じ事が起こっちゃう! やだ!! 戻りたくないいいい」
ほう? アリサは幼い頃そういう絵本を読んだらしいな。だがうさしま太郎だと? 浦島太郎ではないのか? これは一体? 私が作ったと言っていたが……どういう事なの……? まあその話の中で、うさしまという登場人物が死んだという事ならば、死因は恐らく浦島太郎と同じであろう。理由は名前が浦島太郎と似ているからだ! それ以外考えられぬ! で、その犯人は乙姫。あの女から貰った玉手箱の煙で老化し、死んでしまったのだろう。そんなのなあ、長い事語り部をやっていればなあ、お見通しなんだよお! しかしいつ考えても不思議な話だ。浦島……いいやうさしまか? そやつは亀を助けるという、常識的に考えて良い事をした筈なのに、乙姫は老化する効果のある箱を渡した。しかも開けたらどうなるかを伏せてな。更に、開けてはいけないと念を押し……持たせた。
言われた直後は気を付けるだろうが、時が経つに連れ、中身が気になり開けたいという衝動がいずれ来る事は火を見るより明らか。そうなる事を想定し、その衝動をその箱が存在する間ずっと抑えさせるという試練を与えた。その試練いるか? 私は全く必要性が感じられない。あの女は恐らくドSなのだろうな。あのおかしな髪型からその性格の悪さは物語っているしな。その理不尽な内容を、8年前のアリサでは受け止め切れなかった。故に、鬱になってしまったという事だと思う。
だがそこまで浦島太郎の絵本内で語られていただろうか? 私もうろ覚えであるし詳しくは分からないが、過去の記憶を辿っても、お爺さんになった時点で話は終了していた筈だが……その先まで語っていたか? まあいい。

「てか携帯も何もないよ……大爆笑オンエアバトルも見れない……最悪……あ、修ちゃんのつぶやき全然見れてないよ……もう何日経つの? 乗り遅れちゃうじゃん……修ちゃん……欠乏症だあ……今だけはつぶやかないで……私がここから出られるまではツイート禁止で。戻ってくるまでの間だからお願い……ああ、時間の感覚がないよ……今、何時何分何曜日なのー? ママー。フンガー! アリサはここよー。今すぐに助けにきなさーい」
一応11歳。普段強気だが追い詰められればこうなってしまう。だが、だからと言ってツイッターのつぶやきを停止しろなどと言う理不尽な命令はいけないぞ? しかし私も人の子なのだろうな。普段生意気で口達者な娘が狼狽し、狂っている様は滑稽でいい気味だと思っていた。だが、ずっとこの調子。ここまで続くと流石に哀れになってきた。

「……あれ? 何あれ?」
何かを発見したのか? 勢いよく走り出す。
ダダダダダ

「なんだ……さっき私が作った盛り土じゃない! 1000って書いてあるなあ。確かに達筆よ? 指で書いたとは思えない程に……でも今この文字だけは見たくなかったわ……これって中心地から1000歩のところよね? ……元に戻っちゃった? まさかここ、ループしてるの?? どうなってるの? もうやだああ誰かあ!」
じたばた
仰向けになりじたばたしてしまう。
どうやら一度目印を付けた場所まで戻ってしまった様だ。絶望が押し寄せてくる。

ピキーン 320『日、五千歩歩行』

「え? 日? 何?」

突然じたばたしてるアリサのじたばたを遮る様に、脳内に何かが響く。そして320と言う数字が頭上に一瞬だけ輝く。五千歩歩行? これは一体? しかし、これだけ歩いても立札も何も無い。そもそも生物も居るのかすら分からない。そう、長い事歩いてきたが、

【音が】

ないのだ。ほとんどな。生物が存在するならある程度の生活音があるのは当たり前だろう。それが全くない。無音。静寂が延々続く。そうなればどうなるか? そう、自分の鼓動が聞こえてくる……筈……だが、それすら無い。ほぼ完全に近い無音状態。アリサの難癖のみが虚しく響き渡るとっても嫌ーな世界。そして、暗いからかも知れぬが虫も鳥も飛んでいる様には見えないし、トカゲも這っていない。何かの生物の足音がかさかさと小さく響くが、アリサの耳には届いていない。風も吹かない。雨も、雪も降らない。見上げても真っ暗な空。月も太陽も無いし、星1つすらも無い。

「駄目だ……もう駄目だ……何でこんな目に? 私、何かした? 美しいから? それとも美しくて賢いから? 嫉んでこんな事を? むかつくううううう。どこのどいつよ? 出てきなさい……あ……フンガーだよ……それと市田さん? まあどっちもよね……彼らの協力で私は死んだ……仲の悪かった二人なのに……力を合わせて私を……何でこんな目に……本当に私、死んじゃったんだよね? これでいいの? このままここでずっと? ……納得いかない……そんな理不尽……このまま諦めるのは……100%無いわ。絶対戻る!! 戻れるかは分からないけど……でも、こんな非正規ルートを通って死んだんだから何かチャンスはある筈。で、戻ったら無闇やたらに死の呪文を使ってそれをこっちに向かって跳ね返したらあかんで! って二人にお説教しないとね!」
ピンポイントな説教であるな。二度と起こり得ない状況ではないか? しかし、死んでしまったと理解していても、ポジティブに。どんな難局でも諦めたら終わり。泥臭くてもみっともなくても意地汚くても一縷の望みに掛け全力で頑張る。それがこの話のヒロインのアリサ。私達も見習わなくてはならない所なのかもな。
モリモリ ボコッ ボロッ 

「え? あそこ、土が盛り上がって来ていない? あんな所に盛り土はしていないし、何より歩数も書いてない筈よ!」
すると? 突然地面から何かが盛り上がってくる。モグラか? それにしては盛り上がり方が大きい。
モコモコ ガラガラ ボロボロ
人の様な物が地中から植物の様に伸びてきた。

「嘘でしょ? 何あれ!? やばい! 取り敢えず離れよう」
ダダダダダ サッ
小声で言い、そこから50m程忍び足で離れ、地面に伏せる様に異変を見守る。だが逃げ足が尋常じゃない。命が懸かると現れる、火事場の馬鹿力という事だろうか?

「じゃあ次の区画への見回り行ってきます」

「お疲れ様です」
遠くに居て良く見えないが、肌が茶色い人型の生物、頭には2本角が生えている様な? そんな謎の生物が、地面から生えて来たと思ったら、今出てきたその穴に向かって挨拶の様な物をしている? その言葉に反応する声も……そして穴の中の声の主? に一礼すると、再び移動を開始する。幸いアリサには気付いていない様だが……

「あの人一体……でも……え? 行ってきますって言ってなかった? 後、中から? も、お疲れ様です! って聞こえた! 日本語? 間違いない! 日本語だ! ここって日本なの? でも皮膚が茶色いから黒人? ……でも日本語喋ってたし……じゃあここってアフリカ? 砂漠っぽいし……じゃあアフリカ在住の日本人が地面から生えてきて挨拶してるって事? 何で? そんな訳ない! と言うか、砂漠と言うかは荒れ地よね……じゃあどこなのよ……どうしよう……言葉が通じる事は分かったけど……とりあえずあいつの後をつけてみるか? ……でも見つかったら……最悪……いや! 現在唯一の手掛かりだ! ここを逃したら……怖いけど……ここで死ぬかも知れないけど……行くしかない……」
同じところをうろうろしている中、初めて起きた大きな変化。ここでスルーする訳にはいかないと判断したのだろうな。その人型の生物は、アリサに背を向けてゆっくりと移動している。次の目的地を目指して……いる? 分からないが。
それにアリサもなめくじの様に地面を|蠕動《ぜんどう》運動で追走する。不即不離の距離感を維持し。幸いその速度でも引き離される事は無さそうだ。それ程にその生物の歩みはゆるやか。
しかし、一度でも振り返って来たら、容易に見つかってしまう筈。言ってしまえば普通に立って手を大降りで行進しても変わりはない。それ程に平坦で、見通しの良い地形だ。
ピキーン 400『日、千歩蠕動移動』

「うっ!」(また? 何よこれ!! くそ! 土が目に……綺麗な顔が台無しよ……でも見つかったら何されるか分からないし……それに泥パックで更に美しくなっちゃうって考えれば……何事もポジティブに……って今はそんな事思える訳無いよ……)
そして、生物はまた足を止める。目的地に着いたのだろうか? しかしそこも何もないただの荒れ地だ。すると……
ズズズ……

「あっ! 消えた!」
再び茶色い人影は、地面に手を触れる様な行動の後、吸い込まれていった。

「え? ちょっと待って!」
立ち上がりそろそろと近づいてみる。そして、生物が潜って行った辺りの地面を調べてみる。

「ここに入って行ったよね?」
コンコン

反応はない。

ドンドン

又も反応無し。

ジャンピングドーン ジャンピングドーン
ピキーン 120『日、強力跳躍』
ぬ? 本日3度目のピキーンだ。アリサも慣れてきたのか一切反応せず続ける。まあ今は解明しようもないので放っておこう。恐らくいずれ分かる事だろう。アリサは何度も飛び跳ね全力で地面を蹴る。だが、軽い体なのであまり大きな音にはならぬが、振動を与えてみる。それでも反応はない。

「反応なしかあ。でも、見回りに行くって言って、何で潜って行っちゃったんだろう?」
暫し考える。

……

「まさか? この下に見回るべき物……恐らく町か村があるの? そこを見回って次の区画に行くと言う流れなんだ。でも、私ではそこには入れない……でも、あいつは何故か入れる。この下に本当に町があるならあいつ以外にも人……いや、生物がいるって事? さっき穴の中から声がしたし間違いない! この一帯には何もないのは、この世界ではこの地下に町を作っているからなの? で、複数の入り口が存在すると……次の区画って言ってたから、幾つかの地下シェルターに分かれてるって事? ここは核で滅ぼされた世界? 地上では暮らせず地下に町を? そう考えれば合点がいく。じゃあ今立っているここは屋根みたいな物? この世界は地面の中に町があるって事なんだ! よし……さっきのあいつが出てきたら質問する! 言葉も分かる筈、

「見回り行ってきます」

って言う言葉から、この世界の周回する警備員かも知れないわ。だから防犯対策で仕事をしている様な奴よ。恐らく雇われの立場の生物が……まあ確かにある程度の護身術位は修めているとしても、積極的に私に危害を加えて来る筈は……無いと思う! 喋り方も優しい感じだったし……この直感を信じるしかない!」
大丈夫なのか? だが、彼女はもう止まる気配はなさそうだ。再び目的の無い放浪の旅に戻るのは苦痛だと言う事だろうな。
モコモコ 
ぬ! 来たぞ!!

「あっ、来た、生えて来た……逃げたい……否! ダメ!」
ドキドキ ドキドキ

「大丈夫……絶対大丈夫!! 私に出来る事は、今はこれしかない!」
無鉄砲だな……どうなっても知らぬぞ?

「ちょっと汚れが目立っていましたよ? しっかり掃除して下さいね? では失礼します」
先程と同じ様に穴に向かって一礼する生物。

「あっ、あのっ」
ピキーン 120『日、〇〇と会話』

ピキーン 1200『限、〇〇と初会話』
そこを狙い、アリサは勇気を振り絞り声を掛ける!