magisyaのブログ

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選手控室 昼食休憩中

「でも確かに、私の生まれる前に活躍した過去のロボットも沢山出てきて、そのパイロットの性格とかも、そのパイロットが覚えている6つのマインドコマンドの内容で大体分かるし、お得な感じはある。

他にも昨日戦士ガンバレでは、敵パイロットも魅力的で、赤い水性とか青い虚勢、面白い☆☆☆三連星とか百い悪魔とか色々な呼び名があって、それが何かかっこよくて好きだった」

 

「シェイシェイだぜええええええええ?」

 

「何でお礼言うの?」

 

「自分の事のように嬉しいんだぜええええええ?」

 

「ふうん、そんなもんなの? その歴代のパイロット達と、鍛えた武器やユニットで戦うのは熱いものを感じたわ。

特に、面白い☆☆☆三連星って言う三人のおっさん達のチームなんだけど、そいつらの連携技のサェットサストリームサタックは超かっこよかった。三人の息がぴったり合った芸術的な連携技ですごく興奮したんだ!!」

 

「そうだな。異名っていいよなあ、ところでよお、俺さ面白い☆☆☆三連星ってのだけは良く知らねえんだが。名前の通りに本当に面白いのか? あのアニメにそんなギャグ要素ってあったっけか?」

 

「いえ? そこまで面白くは無いわ。自分達でそう言ってるだけよ」

 

「だけど、それぞれ個性的な3兄弟だぜ?」

4番の腕章の男が横から入ってくる。みんな走った後で汗だくの筈なのだが一切その様子がない。

 

「ほう?」

 

「長兄サイアはしっかり者で、二人の弟を引っ張る頼れる司令塔。

次男サルテガはちょっと抜けているが怪力の持ち主で、末弟のサッシュは、頭脳明晰で戦略を練ったりするのが得意だったな」

 

「へえ詳しいわね。まあそれ位なら私も知ってるけどね!」

 

「じゃあこれは知ってるか?」

 

「え?」

 

「長兄のサイアには、特殊な癖があるっていう奴だ。確かとある事をすると話し方が変になってしまうっていう奴。

これは裏設定で、製作者に若手の頃の俺達が直接インタビューして聞き出したマルヒ情報だぜ!」

 

「え? 嘘! 富之さんと直接会ったんだ! 凄ーい」

 

「もう5年も昔の話だから、広まってるかもな。だから、ネットで調べりゃ出て来るかもしれん」

 

「へえ♪後で調べて見よっと! いい情報ありがとね。そうだわ! 私もね、持ってるのよ」

 

「何だ?」

 

「オヤジが集めていたガンバレのカード。ダブった奴だけ貰ったんだ。死んだオヤジの形見よ」

アリサの父は現役の刑事で、まだ死んではいない。その父親のくれたカードとは、それ自体を集めてゲームが出来る様なもので、1枚20円で引く事が出来る。

ただ、ガチャを回して引く物なので、出て来るカードは完全にランダム。

運が良ければキラキラのプリズムカードが出て来るのだ。当然プリズムカードは絞られていて目当てのカードを狙う場合、同じカードを何枚も引く事になる。

 

「ほお! そんな貴重な物を……ご冥福をお祈り申し上げます……でどんなカードだ? ちょっと見せてくれよ」

 

「いいよ。でも今は持ってないんだ。全部家にあるからね。でも、貰ったカードの画像は覚えているからネットで検索して見せるね」

携帯でそのカードを検索し、周に見せる。

 

挿絵(By みてみん)

「お、いいねえ! やっぱかっこいいねえ 初代はシンプルだけど良いよなあ、最近のはゴチャゴチャしすぎて良く分からん」

 

「でももう昔のカードは、こんな風に検索すればいくらでも見る事が出来ちゃうのよね。そう考えるとかさばるしカードなんか要らないかもね。撮影した後捨てちゃおうかしら?」

 

「おいおい! お父さんの形見を捨てちゃあ駄目だろう! それにその現物を欲しがっているコレクターだっているかも知れないんだしさ勿体ねえって……そうか……父さんが居なくなってこんなひねくれた性格に……」

 

「あっ、そういう設定だったか、忘れてたわ」

 

「設定? なんだそりゃ? でよ! 俺の芸名は、赤い水性のパイロットのヨッシャア・アズナブルから取っているんだぜえええええ?

そいつの操る赤いザワは、通常の緑ザワの3倍の性能なんだ! いいよな? こういうやつさ!」

 

「でもさザワって能力0でしょ? 0の三倍は幾つになると思う?」

と言いつつ、ザワのカードを検索する。

 

「何? いくら何でも0はねえだろ? ちょっと見せてくれ……」

挿絵(By みてみん)

 

「なんてこった……赤くても0って事かよ……何かの間違いだ」

 

「所詮ザワはザワって事ね」

 

「しかしおめえ、何が気にくわねえんだ?」

 

「あんたもプレイしたなら感じたとは思うけど、昔懐かしのロボットが沢山出てくるって感じで出演キャラをパッケージに大大的に出しているけれど、改造とか強化パーツを付けて推しを育てても、結局後から出てくるゲーム会社オリジナルのロボットが、敵も味方も一番強くてデザインもかっこいいのよ。

それにそのオリジナルロボが、物語の中枢に位置していて、ラスボスとしても登場してくるシリーズもあるのよ。

私、初めて遊んだ時、マジンガー乙が最強と思って育てたのよ」

 

「強いぜ? 育てて問題ねえと思うが」

 

「そしたらね、勝手に原作に出ていないカジンマイザーってマジンガーの能力と比べ物にならないマジンガーの特長を残しつつもかっこいいデザインの超強力ユニットが後半で出てきたの。

あれ? こいつだけ出撃させてけばよくね? って程の強さよ。

その上戦闘に入るとユニット毎に戦闘音楽が流れるのは知っているわよね?」

 

「そうそう、あれがいいんだよね。それを聞きたいが為に戦闘アニメは常にオンにしているぜ。

アニメーションオフ機能なんて使った事ないぜ!

俺は、アニメはゲームをやった後、気になったやつだけを見る様にしてるけど、音楽もよく再現されていて、当時見ていた子供が成長してこれをプレイしたなら懐かしさで涙を流すと思うな。

中国では放送されてなかったから、その気持ちまでは味わえなかったけどさ」

 

「そうよ。私は若いしそういう感情は無かったけどね。カジンマイザーの音楽は、今の私の心にスッと届いたの。震えたわ。そのかっこよさにね……それに引き換えマジンガー乙の音楽は、昭和初期を思い浮かばせる様なレトロな音楽よ? 和太鼓とラッパとカスタネットとタンバリンとリコーダーで演奏した様なね……その音楽を聴いて目を閉じれば、夕暮れ時に、子供達がビー玉やメンコで遊んでいる風景。

駄菓子屋の木の壁にオロナミンDのポスターや、リキスト教の聖書の言葉が貼ってあるブリキの板とか昭和の日常が思い浮かぶ……そんな感じの音楽ね。

そこから一気に現代風のかっこいい音楽流されてみ? そりゃずっと使っちゃうわ……そして、気になって、ゲーム内のロボット図鑑で見てみたら、その制作会社のオリジナルキャラで、原作に登場していない事が分かったのよ。

結局それからは、カジンマイザーしか使わなかったな。

先に優先的に改造して、一番高級な強化パーツを付けていたマジンガー乙の強化パーツを外して、カジンマイザーに付け直したのよ……無表情でね……私は推しを平気で切り捨てたって事になるわね。ゲームとは言え、完全なる裏切りよ……そんな自分の汚い部分も分かってしまって、何か嫌になっちゃったんだ。

 

『結局、色々ロボットは居ますけど、そいつらは私達の考えたかっこいいオリジナルキャラを引き立てる為の道具です』

 

と言われた気がしたわ。だからあんまり好きじゃないの」

 

「成程な。言われてみればそういう所あったな。当たり前の様に受け入れてたけど、全くの新参なのにむっちゃ強いし……パイロットも完全にイケメンとイケジョだしよ」

 

「イケメンは聞いた事あるけど、イケジョは初耳ねー多分だけど美人って事でしょ?」

 

「そうだぜぇ! 確かに原作に忠実にキャラクターの声優は使っていて嬉しい筈なのに、オリジナルのメンバーが強すぎて最後辺りでは歴代のロボはベンチで、オリジナルのメンバーオンリーで固めていた事もあったな。

これじゃスウパアオリジナルロボット大戦だな。

でも、俺はそういう所もひっくるめて好きだぜ。しかし、おめえ小さいけれど鋭いな」

 

「小さいは余計。ところでガンバレギャグってどんなギャグ? 初めて聞くわ。ちょっと興味ある」

 

「いいぜ! ここで発声練習しておいた方が本番でもお客様にもより届くってもんだぜ。

よし! いくぜぇ!!」

ポンポン

 ? 周は、屈んで頬を出し、アリサに叩いてほしいのか? 右手で、頬を叩く様な合図をしてみせる。

 

「え? いいの?」

 一瞬戸惑うアリサだが、願ってもないチャンスと、数歩下がり、助走をつけて走り始める。

そして、大きく振りかぶって全力でグーで殴る。

 

「はーーーーーーーーてやー!」

 

 ダダダダッ コン♪

 

 助走をつけての全力パンチ。だがアリサは所詮力1の雑魚。

ダメージは無く、ちょうどいい感じで周はのけぞる。

 

「今ぶったね? 二度もぶった!! 父さんにもぶたれた事無いのに!!」

 

 ガンバレのパイロットのアムロあむくちレイの名台詞のモノマネを披露する。そこには声優の古谷徹が皆の脳裏に蘇る。

流石にガンバレ好きな事も言っているだけあり、声も仕草もアニメをよく見ているなと感心させられる。

 

「……」

 

 しかし、当然誰も笑っていない。それもその筈。彼がやった事は、精巧なモノマネであり、それ以上でもそれ以下でもない。

だが彼は、このネタさえやれば誰でも笑ってくれると確信していた様だ。

 

「……で?」

 

「終わりだよ。ああ、成程ね。みんな決勝前で緊張しているんだな。こんな空気では誰も笑わんよ。

さて、軽ーくウォーミングアップも終わった事だし食べるべ食べるべ」

空気が悪くなってしまったのを感じたか、イソイソと自分の席に戻り食事を再開する周。

 

「ネタをするって言って、モノマネされたから戸惑ったな」

 

「モノマネするなら始めからそう言ってほしかったですよね?」

 

「そうね、どんなネタかと思ったけどちょっと期待外れだったかな」

 

そして、皆彼のネタの内容を多くは語ろうとしない。

それは、今のモノマネをやってなお、緊張のせいにして、自分のネタのチョイスが悪い事に気付いていない彼に、それはつまらないと敢えて教えず、そのままの君で決勝に出てほしい。と、言う思いから黙っていたのだ。

おいおい、しっかり助言しないと可哀想だろ! と思う方もいるかもしれないが、これがお笑いの世界なのだ。

沢山の芸人が切磋琢磨していく中で、その席が次第に飽和状態になってしまった事実は否めない。それでも席の譲り合いの心が残っている程優しくはないのだ。ましてやこれから戦う相手に塩を送るなど愚の骨頂。自身で気付かなければいけない事だ。

這い上がれなければそこで終わり。そんな世界なのだ。最重要な物はその芸人のセンスだとされる世界だからな。

指摘してつまらないという事を周が気づいてしまえば、これはまずいと感じ、別の芸風で挑み、それがお客に受けたら目も当てられない。

なので、全員貝の様に口を閉す。そうする事でモノマネ路線の変更は無くなり、会場もこの控室と同じ空気になる筈だ。そして、(こいつには勝ったな)と周以外の全員が同じ事を思った。

実質七人での決勝戦となったと確信している様だ。

 

「まだ食べてる途中なのに全く下らん事で……大分時間使っちゃったもぐもぐ」

食事の続きをするアリサ。

 

「今は……12時20分か……」

誰かが時計を気にする。

 

「後40分で本番かあ。ドキドキもぐもぐ、ごくごく」

緊張しつつ弁当を食べつつお茶を飲んでいる器用なアリサ。

 

「私、なんかちょっと寒くなったわね」

一体誰のせいだろうか? 急に寒くなった梓が、鞄からショールを取り出し肩に巻く。

 

「あっあずにゃん可愛い!!」

 

「そう? 夏でも冷房が酷い時とか、誰かさんが空気を冷たくした時は、これが欠かせないのよね。私、冷え性なのよ」

周のお陰で、室内の気温が下がってしまった様だ。

「年取ると大変ね」

 

「こらっ! まだ22の乙女よ! おばさんみたいに言わないでよ!」

 

「私は11の乙女よ! 私の倍も生きてるんだ」

そして身長も梓の半分位だ。

 

「う、そう言われると凄い歳に思えちゃうわねw」

 

「そうだよ11年。約4000日も差があるもん」

 

「私も一応お笑い芸人を2年やっているけど、大爆笑は一度も取った事ないのよね。メルヘンネタを頑張ってたった一人で切り開いたんだよ?」

 

「どういうネタなの?」

 

「童話のネタとか都市伝説のネタとか、自分の知らない世界のあれこれをイメージしたネタよ。

小さい頃から妄想少女だったからね。授業中とか仕事中にも色々思い付いてそれをメモしてたんだけど、結構貯まってきて、そんなネタがノート2冊分位あるのよ。新ネタも少し増えてきてね、少し試してみたけどあんまりうけないって言うね……」

 

「へえ……面白そうなのに……もしかしたら、嫉妬かもねえ……」

 

「え?」

 

あずにゃんってかわいいと言うか綺麗な、いや違うなあ。そうね、綺麗すぎるのよ。異様に、で、芸人と言うよりはモデルとか女優とかそういった感じなのよ」

 

「良く分かったね。私、元モデルなのよね。12歳から19歳までやってたんだよ!」 

 

「そうなんだ! そんな気はしていたけどねー。でもどうしてその道に変更したの? 7年もモデルやってたのに」

 

「うーん、昔テレビで見た女芸人が凄く輝いていたの。ピン芸人で! もう、名前もどんなネタかも忘れたけど、確か……だいたいひかる? だっけ? それともおおよそひかるだっけ? 忘れちゃったなあ。ネタも凄くどうでもいいですよって感じのネタを言っていた気がする。

でもそれを見て思っちゃったの、このままハムスターみたいに同じ事をしていていいの? って。自分から何かを生み出せるような……あの女ピン芸人みたいになりたいって」

 

「モデルがハムスターなの?」

 

「うん、同じ所を優雅に歩いているだけでお金がもらえる。その繰り返し。やりがいはあまり感じられなかった。性格かなあ……」

 

「勿体ない気もするけど……」

 

「それで、さっき言ったノートを胸に抱いて、勇気を出して芸人に転職したんだ! これでもしかしたらみんなを爆笑の渦に叩き込めるかしら? ってね。まあ、後悔してないって言ったら嘘になるわね。もっともっとうけると思ってたからね」

 

「へえ。それはいい話ね。でも、そういう人が幾ら面白いネタを言ったとしても効果が半減する様な気がするのよね。

私はテレビとかで綺麗な上に面白い人がネタをやっていたとしてもチャンネル変えちゃうかなー」

 

「そうなの? どうして? そういう人がいるって事自体初めて知ったわ。て言うかそんな事考えた事も無かった……」

 

「うん、私の場合だけどね。そうでなくても男の人だったら、姿に見とれて、ネタの部分が頭に入らなかったり、女の人なら妬んで意地になって笑わないって言うのがあるかもしれないよ? それに美人な上に面白いってさ、天は二物を与えるって感じに思えちゃって嫌になるのかもね」

 

「まさかこの顔がお笑いには邪魔って事なの? 女としての最高の誉め言葉だけど、私はプロの芸人なんだから、心からは喜べないわ……困ったわ……笑いを取る為には不細工に整形しないと駄目なの?」

 

「そこまでしなくてもいいよ……お面で素顔を隠してネタを言うってスタイルに転向するのは?」

 

「そうね……でもアリサちゃんの言う通りで、多分このままじゃダメな気がして来たわ。何か考えとかないとね……」

 

「大丈夫だよ! このスタイルを貫き続ければ、美人で今までモデルとかやっていたけど、実はお笑いをやりたいっていう人達の起爆剤になると思う。

今はあずにゃんしかいないからそういう目で見られるかもだけど、増えてくればそういうジャンルも当たり前になるよ!」

 

「だといいけどねー」

 

「パイオニアずにゃんだよ?」

 

「え? どうして?」

 

「いやその……勢いで言っちゃったんだ……」

 

「先駆者あずにゃんか……付いて来てくれるかしらねえ? ずっと一人で走るのは嫌よ?」

 

「大丈夫だよ」

 

私の書いている小説です

https://estar.jp/novels/25771966

 

https://novelup.plus/story/457243997

 

https://ncode.syosetu.com/n1522gt/

 

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