magisyaのブログ

小説となぞなぞを投稿してます

アリサの推理

「じゃあ言ってみろ! お前の考えって奴を」

「それは……妹さんの事?」

少し自信なさげに答える。これは彼女の一か八かの賭けだった。

「い、妹が何なんだ? 全く的外れな事言ってるぜ?」

と言いつつ、右手で左肘を掻く動作をしている。そして、語気が、憎悪が、目に見えて増している。

「分からない。でもあんた控室で妹さん結婚したって言ってたけど、その相手が死んだ司会なのよ。

何となく感じた。全くの勘だけどね。

でも私、勘だけは鋭いの! あなたが司会を恨むとしたらそれしか思いつかないわ」

誰もがあてずっぽうと思うその言葉に、白川だけ顔が引きつる。アリサは更に続ける。

「そして、火村さんが初めてネタを披露した時の事だけど、司会が今の嫁さんは、火村さんのネタを好きって言っていたの」

「そう言えば言っていましたね」

「今のって、言葉に違和感があった。だっておかしくない? 奥さんが好きだって言えばいい所じゃない? って事は、前の奥さんがいたって事なんだと思う」

「確かにそうですね」

「ちょっと言い間違えただけじゃねえか? 大舞台の司会をしていて気分が高揚していてさ」

「そう思ったんだけどその後、司会が落ちた後の話なんだけど、鑑識の人に頼まれて刑事の代りに私がスタッフと選手に聞き込みしてた時、司会の今の奥さんの名前が久本正美って言う事を知った。そこで前の奥さんがいるって言う事を知ったわ。名前までは分からなかったけどね」

「それだけの事で司会の元嫁が俺の妹って言うには根拠としては弱すぎるぜ」

「話は最後まで聞け! 司会は、1週間前に誰から聞いたかは知らないけど、元奥さんが自殺したって噂を聞いて怯えてたって話なの。

この二つから推測するに、司会は前の嫁さんを捨てたんだと思う。それで今の嫁に乗り換えた。

それを知って、自分が捨てたショックで彼女が自殺したと思い込んだのかもしれない。

恐らくそう思い込んでいたから、罪悪感であずにゃんの幽霊ネタを聞いた時にお漏らししたんだと思う。それだけ臆病になっていたのよ。

そしてそれを司会に教えたのは間違いなくあんたよ? 本当は生きているのよね? でも、司会の心を弱らせる為にそういう嘘を流した! どうやって落としたかは考えている途中だけど、そこまで弱っているなら、押さなくても別の何かをすれば落とせると思う」

「切っ掛けは何だ?」

「そうね……あんたが控室で妹さんの事を話した時に、少し悲しそうだった気がする。その時の顔で簡単に分かっちゃった」

ほう……この子を彼女にしたら浮気は絶対に出来ないな。一瞬でばれる。

例え万物調査を使わなくても、いとも容易くな……

「ぐううっ……す、すげえなお前……ほぼ正解だよ。まあ俺が奴を落としたってところ以外はな。只者ではないと思ってはいたが……何て奴だ……まあ隠しててもいずれバレちまうからな、白状してやる。あいつの元嫁は俺の妹で間違いないよ。そして、久本に乗り換えた。それも間違いない。で? それで司会を殺したってか? 俺はそんなに器が小さい男じゃねえよ」

アリサの華麗な推理? で、全く的外れだと言っていた筈が認めてしまった。

「器が小さい? そうかしら? ここまでの事をされれば復讐してもおかしくないと思うけど?」

「……」

無言の白川。しかし、それこそがアリサの指摘が正解と言う事を物語っていた。

「でも私も捨てただけじゃ弱いと思うの。もう一つ何かをされたから殺した。あんたって頭いいから、余程の事がない限り殺しまではしないと思うの。だから、よっぽど酷い事をされた筈よ。だけどこの際それをあれこれ当てる必要なんてないわ。

だから無理に話さなくてもいい。きっと思い返したら辛いと思うから。

でもね、私が疑う切っ掛けになっちゃったんだから仕方ないよね? 私ね、色々な刑事ドラマを見てきて、犯人が犯行に至るまでの動機を沢山見て来た。100? いいえ、1000以上ね。だから簡単に分かった、あんたは、司会を激しく恨んでいる」

最早、言いがかりとも言える程いい加減な推理。だが、白川の表情を見る限り、周りもそれが真実なのだと思い始める。

「だがこれで、はい! 僕がやりました! なんて言えねえだろ? ほとんど推測ばっかりで穴凹だらけの推理でよ。

それじゃ限りなく怪しいが、決定打に欠ける。止まりだぜ? それにお前さっきの質問に答えてないぜ? 何であんなリスクのある犯行を選んだ?」

「そんなのは答えるまでもない」

「な?」

「どうでもいい事なの。それに、時間の問題なのよ……」

勝利を確信してはいるが、俯き加減で悲しそうに言うアリサ。

「何がだ?」

「私には特殊な能力がある」

「はぁ?」

「ママから貰った調査の力。万物調査って書いてあったらしいわ。私自身は見ていないけどね。ママも同じ能力を持っててね。それで私を見て貰った時にそういう力があるって知った。これね、便利なんだ……何でも見通せちゃうのよ。なーんでも。回数は限られているけど時間経過。そして、食事を摂ったりクラスチェンジすると回復して再び使える様になるみたいなの。この辺はまだ検証中なんだけどね。でも私実感したわ。さっきチェンジした時に完全回復した感じがしたの。だから準備万端! 触れた物の全てを見通す禁断の力……そこから分析すれば、何であんなリスクを取ったかも何もかもはっきり分かる筈よ」

 これはアリサのハッタリである。皆さんは知っていると思うが、この能力は、犯人かどうかまでを見極められる程万能ではない。調査対象者の能力の数値を正確に表示するだけで、現在思っている事までは見通せない。

だが、まだそこまでこの能力に詳しくない白川には効果があるのではないか? と、一か八かの賭けに出たのだ。

そして功を奏したか? みるみる内に白川の表情が青ざめる。

「はあ? て、てめえ……まさかあの時……本当に七瀬の情報を【見ていた】って事なのか!? ……そう言えば……」

『わーきれーい。虹色だあ』

「そうだ……」

『へえ、国家公務員で、ブラックダイアが嫌いなんだ』

「あんな事も……それにハッ……予選でも……あいつ!!」

『糖質の海に……溺れろぉ!!』

「あれも……そうだ! こいつ……もの凄い饒舌に戦っていたが、それは実はあの筋肉女の内部情報を見ていて、弱点を知っていたんだ……それで……言葉だけで倒せたんだ……」

白川は、アリサが七瀬を見ていた時に言った不自然なセリフを思い出す。そして更に予選でのアリサと早乙女の戦いも連想する。

「確かに具体的に言っていた。考えてみりゃあれだけ具体的な情報を全て想像だけで言える訳はねえか……そうか……あれはイメージじゃなく、本当に見えていたんだな? ……嘘だろ? こ、こんなやべえ奴にそんなチート能力が備わってるってのか? どんだけ危険人物なんだよおめえ……そんな事知ったら誰もおめえなんかと付き合おうと思わんぞ?」

「大丈夫だよ。天使みたいに可愛いんだから」

「自分で言うか? だが、可愛いだけでいつでも内部を知られると分かったら誰も寄ってこないぞ? すでにこの場面は録画されちまってるしな。これでもうお前の事を彼女にするような男は現れねえw」

「カットすればいいのよ映像をね。さあ、おでこを出しな」

「何でそんな事……そんなの嫌だね。そうそう、俺は女に触られると蕁麻疹が出る奇病を持っている。だから止めてくれ」

「あら? 取って付けた様な嘘ねえ? まるで私に触って欲しくないような言い方ねえ? 何かやましい事でもあるのかしらぁ?」

「ぐぐぐぐ」

「身の潔白を証明したいなら、自分から触ってくれってお願いして来る筈だけど? ほらお願いしなさい! 

『アリサ様。どうぞ私の下賤な能力めをその美しい瞳でご覧下さい』

とね♪」(正直この人の能力は絶対に見てみたい!! どんなスキル持ってるんだろ? どの能力の値が高ければあんな力が出せるの? それに彼の持っているだろう未知のスキル名を見てワクワクしたい!! 思いを馳せたい!! 推理したい!! 全て暴き出す!!!!!! 逃がさん!!!!!!!!!)

湧き起こる知的欲求が自然とアリサの左手を白川の額へと伸ばす。まあ身長190の白川は、おじぎでもしなければ、届かないからな。

しかし、私も彼の力を知りたいのだ。だが、今はスカウタァ故障中だ。私自身では彼のステータスを確認する事は出来ぬ。

今はアリサに頼るしかないのだ。果たして上手くいくのか?

「待て待て! 大体俺の事を見通せたとして、お前以外の周りの人間は見えんのだろ? そんなの誰が信じる? お前がその能力を使っていた時、俺も近くにいたが何も見えなかったぞ? って事は、そのデータ、お前にしか見えないんだろ? だから言いたい様に言いがかりやでっち上げも出来ちまう。証明出来ねえだろ?」

「人間ね? 分っていても真実を耳にした時、表情の変化が起こるのよ……それで十分……さあ何度も言わせないで? ぺこりしな!」

アリサの能力は純粋にその人間の力や特技を見るだけだ。だが、そこからアリサの生まれ持った推理力で色々分かってしまいそうな気もするのも事実。さて白川はどう出るのだ?

「ふふふw逃げ場は無いよ?」

アリサは、白川に左手を向けた状態で、1歩、2歩、と近づく。心なしか白川の顔が更に青ざめている様な気がする。

「はあー、分かったよ。俺の負けでいいよ」

なんと?

「あら? 意外とあっさりね(ちょっと惜しい気もするなあ。見たいのに……)」

「そうでもないさ。はらわた煮えくりかえってるぜ? ポーカーフェイスなのさ、俺は!(くそっ……しかし何でこいつ突然こんな事を言いだした? 考えろ、こいつが突然俺を犯人扱いし始めた切っ掛けは何だ? ……ん? まさか? 成程そう言う事かwwよし、これで揺さぶってみるか)」

「じゃあ何であんな事をしたか言いなさい」

「その前にお前に一つ質問だ」

「え?」

「この世の中には死んではいけない人間ってのは本当に0なのか?」

「そ、それはそうよ」

アリサは、その瞬間、ホテルイーグルスノーでお世話になった、斉藤隆之の顔を否応なしに思い浮かべる。そして、震え声の返答で、動揺が白川に伝わる。

「お? お前……まさか動揺してるのか!? そうか、お前にもそういう人間が少なからず居るみてえだな。

こんなに若けえ内からそこまで恨みを持つ人間がいるのか? 興味あるぜ」

「あ、あれは……あのホテルのじじいは、人間じゃなくてモ、モンスターよ」

強ち間違ってはいないが、れっきとした人間である。まあ○○○ではあるがな……おっと口がすべった。今激烈やばいネタバレをしてしまう所であった……いかんな……自重せねば……

「アリサさん? ホテルの? あの方ですよね? 酷い言い方です! 訂正して下さい!! 彼は人間です! モンスターではないと思いますが」

竜牙もアリサに反論する。

「う……に、ニンスター」

新種の生物の誕生の瞬間である。

「人間です!!」

「う……」

珍しく真剣に怒る竜牙に何も反論できないアリサ。

「人間だろ? どうせお前に軽いちょっかいを出しただけの人間だ。

でもそいつに殺意を抱いたんだろ? いなくなればいい。消えちまえばいいってよ」

「うう……」

軽いちょっかいどころではないが、色々な嫌がらせをされ、怒りに身を任せ、顔が醜い事と、太っていて臭いと言う事を理由に、無抵抗のあの男を丸々一話分、216行に渡る長いお説教を施し、フィニッシュで【死ね】と言った。

その瞬間彼女は間違いなくオーナーに殺意を持っていた事は否定出来ない。

そのお説教を受け、涙目になって逃げて行った惨めな男の後ろ姿が鮮明に蘇る。

「誰にだって居るんだよ。それだけの事だ。なあ一殺多生って言葉知ってるか? お前にはちょっと難しいか……」

「知ってるわ。一人の害悪な人間を止めれば、代わりに大勢の人が助かる。って意味よ」

そうだ。彼女がその言葉の意味を間違えようもない。何故ならその四字熟語は、正に斉藤をお説教している時に、彼女自身が彼に使った言葉だったのだから。

「何だ……賢いな。伊達にその若さで俺を追い詰めようとしてるだけの事はあるな。なら分かる筈だ。

あいつは大勢の人を踏み台にし、のし上がりあの地位に辿り着いた。

異様とまで言える出世欲は、傍から見てても呆れちまう位にな。

その可哀想な踏み台の中には俺の大事も妹が入っていた。捨てられた直後、あいつ、飼い猫の毛を一本一本抜いて恋占いをするんだぜ?

「もんたさんは私の事がすきーきらいー」

ってな……全部抜けるまでよ……そして最後の一本は何だったと思う?」

「……きらい?」

「正解だぜ! おめでとう……ってめでたい訳あるか!!!! それ以来完全にふさぎこんでよ。

あいつは俺の妹は、素人ではあったが俺と同じ? いやそれ以上の笑いのセンスを持っていた! そんな才能の塊が、心が折れて塞ぎ込んじまった。

その上、ペットの猫のハイちゃんの方も丁度冬になったばかりでよ、毛が無くなったせいで風邪引いちまってよ」

「そんな事が……ハイちゃん……」

涙目になる猫派の竜牙。

「あいつにも女の独特の感性で、男の俺では絶対に思い付けない様な事を言う事もあった。沢山な。

そして、俺ですらあいつの才能に嫉妬する場面もあった。見ていて思ったのはもう一押しの何かがあれば、独自のネタを開花する寸前だった。恋愛、結婚? そういう物を経験した切っ掛けかもしれない。とんでもないお笑いネタが生まれるかもしれなかったんだ。

分かんねえよ? 分かんねえけどそう感じたんだ。芸人の俺の直感だ。

だが、唐突に奴は言い放ったそうだ……『別れよう』ってな……妹は顔をクシャクシャにして鼻水たらして俺に泣きついて来た。その時俺は何も言ってやれなかった……で、知っちまった……俺はいざと言う時全く頼りにならない兄なんだなって事をさ……」

「白川さん……」

「俺は別れた事をいつまでも引きずっていないで、何か別の事をしようぜ? って説得し続けた。そして、やはり芸人になるのが一番合っているんじゃないか? と思う様になってきた。

説得にも少しずつ耳を傾けてくれて、もう一押しの所まで来ていると思う。

そして、いつかは妹を芸人として育て、兄妹揃ってネタ番組やコンテストに出て、色々な賞をかっさらっていく夢を持った。あいつと別れてくれたお陰で、妹とはまた一緒に暮らせているし、チャンスはあると思う」

「私にくれたあの帽子、本当は妹さんに買ってあげたんでしょ?」

「ああそうだ。でも、我慢出来ずに一旦お前に渡した」

「何で?」

「素人ではなく芸人になったお前と戦いたくなっちまったんだ。どういう訳かな……強い奴と戦いたかったって事かもな……」

「ふーん。でも、もういらないよ。妹さんに使ってあげて」

「そうか。じゃあありがたく返してもらう。だが、受け取ってくれるかな?」

「大丈夫じゃない?」

「そうあって欲しいが……]

「ねえ、妹さんってどんな人だったの? ちょっと教えてよ」

「何でだよ?」

「好奇心よ。あっ! ついでに旦那の司会の過去も教えて!」

「おいおい……欲しがり屋さんなんだなあ。まあ、しょうがねえ。昔話をしてやるか……俺達が奴にされた事を包み隠さず話してやろう。多分奴の見る目が変わる筈さ。おっと、一応念を押しておくが、俺はそれでも殺ってはいないからな? 分かったな?」

「信じてあげる信じてあげる」

「何だよその言い方!

「大事な事だから2回言ったのよ」

「疑わしいな……まあいい。この話、長くなるぜ? 大体丸々一話分位にな! 覚悟して聞けよ!!」

「え? 丸々一話分ってどう言う事? 詳しく教えてほしいわ!!」

「知るか!!!!!」

 

 

私の書いている小説です

リンク先はブログより4話ほど進んでいます。先が気になる方はご覧下さい。

https://estar.jp/novels/25771966

 

https://novelup.plus/story/457243997

https://ncode.syosetu.com/n1522gt/

 

優勝者決定……?

「優勝は4番の白川さんです」

ダダダダダッ。バッ! ぬ? 何の音だ?

「あっ!」

「くそっ、たったの9京点差じゃない超悔しい!! (どうしよう……このままじゃ優勝を取られちゃう……フンガーとの約束も果たせないし、修ちゃんとも会えなくなる……そうだ!)分かったわ。もう許さない絶対に!!!」

マイクを司会から奪い取り怒鳴るアリサ。因みに白川の得点の9京4点は、漢字で表さないとこうなる→90000000000000004対4である。

たったと言える差に見えないのは私だけだろうか?

「…………(>_<)」

司会が何かを言っている。だがとても小さい声で、理解できない。そう、マイクがあったから何とか届いていた声だ。

最早誰も彼女の声は誰にも届かない……

「うるせえよマイクで怒鳴り散らすな!! だが運営のお遊びとは言え、9京点差なら大差だろwwふん、どう許さねえんだ? 言ってみろw」

「目にもの見せてくれるぅぅぅ」

野獣の様にうなるアリサ。司会の几帳面な性格のせいで9問目が引き分けになったり、蘇我子が出したお題で失敗したりと色々な怒りが今更になり込み上げて来たのだろう。子供故に制御が効かないのだろうな。確かに怒虎と玄武のネタは僅差ではあるがアリサに軍配が上がっていたかも知れない。10問目まで引き延ばされなければもしかしたら優勝は彼女だっただろう。だがルールはルール。引き際をわきまえるべきであるぞ? アリサ!!

「悔しいか? でもこれが結果だ。小学生にしては良くやったよ。もっとあっさり勝ち抜けると思っていたからな。5連続先取でな。だが現実は問題が足りなくなって観客から募集するなんてイレギュラーな事まで起こった。こんなのよお前代未聞だぜ? 10年やってるプロの俺がこんなにてこずるなんて思ってなかったぜ? 褒めてやるよ! お前ならちょっと頑張ればプロの芸人になれるんじゃねえか?」

白川の言葉に偽りはないであろう。実際アリサも健闘したのだからな。

-------------------------End of battle------------------------

Alisa los……? !???

Has Alisa started a runaway? Alisa out of control! did she change the course of fate? impossible Can't happen! Error occurred! Error occurred!!

「犯人は、白川修! あなたよ!!」

ビュッ!!!!

な? アリサがおかしな事を言いつつ何かを白川に投げつける……? そして、本来

【アリサ、敗北】

とリザルト画面に表示されるその寸前、謎のエラーが発生した……のか? こ、これは? 一体何が起こっているのだ? アリサが暴走したと記されている。そして、確か白川が犯人だと聞こえた気がするが……これはどういう事だ? そして、アリサは白川を睨む。おぞましい憎悪に満ちた瞳で。この瞬間彼女はこのお話のヒロインであるという事を一切自覚していない。

よく見ると、彼に投げつけていた物は、今まで装備していた芸人の三角帽子だった。そして、鞄から取り出した撥水ベレー帽をかぶり直す! これは芸人の役職を破棄すると言う気持ちの表れだろうか?

Alisa transformed into the most suitable figure to pursue the truth 

class change! comedian→detective and HP MP recovery!

-------------------------battle restart------------------------

アリサは、真実を追い求める為に最も相応しい姿に姿を変えた? と記されている。

成程。彼を追い詰めるその為に最も相応しい職業に戻った? と言う事なのかもしれない。

そう、今までは白川に渡された帽子で、芸人に一時的に変わってはいたが、それを捨て、探偵にクラスチェンジしHPMPが全回復し、白川の勝利で終了する筈の闘いが何故か再開されてしまった様だ。

そう、芸人VS芸人から探偵VS容疑者という変化が起こりな。全く……滅茶苦茶なんだよなあ……彼女は、白川に負けてしまったと言う悔しさと、賞品を渡したくないという強い気持ちから、頭の中ではうっすらとは感じていたが、言えなかったこの言葉を、本来は小さき疑いを、全て解決してから言わなくてはいけない筈の言葉を、何一つ解決せず、本能に従い叫んでしまった。まあ試合に勝ち進み、次第に疲弊しほとんど推理する時間も無かった訳だから仕方のない事だが。

そう言う所も子供過ぎる故に引き起こされた事だよなぁ……これは要するに我慢は出来るけど今は誰も居ないから屁をしてしまえ! と、大きい音を立てて放屁するあの時の気分と同じなのか? 良く分からないが……当然アリサのそんな意図を理解出来ない観客もスタッフも全員【ポカーン】である。そして読者の皆さんもポカーンとしていると思う。

言い訳になるかもしれないが聞いて欲しい……私は、反射神経なら同世代の男性の中でも一際優れていると自負している。だが、この突然の解答編突入は反応、対応が出来なかった……申し訳ない。

まあ彼女もフンガーと交した約束が果たせない事知った事で、このままにしては居られなかったのかもしれない。

これは空前絶後の事態である。しかも、舞台上は録画もされている。これ以上に無い証拠が残る。そしてマイクで会場全体に伝わってしまった。アリサがマイクを奪ったのはこれが狙いだったのだろう。そう、突然の解答編に突入してしまった。

しかし、早乙女の時から常々表示されていて今はもう慣れてきてしまったが、何故クラスチェンジする度に完全回復するのだ? うーむ……ハッ! 分かったぞ! まさかそんな事が……だがこれ以外考えられぬ……皆さんも驚くとは思うだろうが心して聞いてほしい……これはRPGのラスボスがよく使う、第二形態に移行したという事なのかもしれない。

そう、ヒロインのアリサがだ! 例えばトラクエでも始めは魔導士の様な風貌のボスが倒れた後に、巨大な竜に変身する場合もある。その時起こった現象は、紛れもなくクラスチェンジであろう。

魔法で攻撃してきた第一形態は恐らく魔導士。そして、クラスチェンジして竜になり完全回復。

その瞬間先程使えていた呪文は全て忘れている。全く同じだな。アリサはヒロインなのにラスボスの特性を持っていたという事か?  恐るべき執念……彼女は白川に負けHPが無くなった瞬間に、探偵にクラスチェンジし白川を追い詰める! それは、身勝手なクラスチェンジ。だが、思いの力が強ければ成立するクラスチェンジだ。そして、第2ラウンドが始まったのだ。

「え?」

「なんだ? なんだ?」

「ママー犯人って何? ママー?」

「一体7にを言っているのアリサちゃん?」

「こんな時におかしいよ」

七瀬や鎌瀬も舞台袖からアリサ駆け寄り抗議する。そして。

「ちょ……アリサさん? 何言ってるんですか!!」

ダダダダダッドタドタドタ

一旦、署に戻ろうとしていた竜牙が、アリサの言葉に反応し、舞台まで上がってくる。

「私の逆歯刀の竜牙刑事さんも来たのね? 丁度いいわ! 根拠があるの」

そんなものは無い。真っ赤な嘘、ハッタリである。

「何て子なの? 全く……予備のマイク一本だけ残っていました。良かった良かったって……ああー!」

 司会が予備のマイクを持ってくるが、それも白川に奪われる。

「…………(#^ω^)」

マイクを奪われた司会が何かを言っている様だ。しかし、全く聞こえない。

「はあ?? 何言ってんだこいつ? 気でも狂っちまったか? この場面で言う事じゃねえぞ!! それにこの帽子……お前の物だろ? もういらねえよ!」 

白川もマイクで反論する。もうお笑いの戦いの舞台から、一気に容疑者VSアリサに変わってしまった。もう後へは引けない。

「本当にかぶって欲しい人は、私じゃ……ないんでしょ?」

「クッ……知らねえよ! 何の事だ? これはおめえにやったんだ。他にそんな奴いねえよ……」

「そうかしら? 私は見当付いているけどね」

「う、うるせえ……黙れ!!! それによ、今言うべきは

【白川さんおめでとう! 私なんかゴミムシ過ぎて全く歯が立ちませんでした♡】

だろ? 何なんだよ一体。それにお前自身が持ち物検査して俺の身の潔白は証明されただろ?」

「残念だけど、その持ち物の中に、犯行に使える物を持っていたじゃない? 思い出しちゃったんだ」

「ん? 何の事だ?」

「あんたの持っていたリモコンよ!」

「はぁ?」

「もしかしたらあれは、マルチリモコンなんじゃないかって思ってね。

今ではスマートフォンでも設定すれば出来るみたいだけどね。

で、何でリモコン持ってるんだろう? って思ったけど、それがマルチリモコンなら納得が行くわ」

「ただのリモコンだぜ? 俺の部屋のテレビのな。さっきも言ったけど、うっかりポケットに入れてここに来ちまっただけだ」

「どうかしらね? 調べればすぐに分かる事よ」

「それでどうすればあいつをリモコンで落とす事が出来るんだ? まさか実は人間じゃなくてロボットだから、リモコン操作で落とせたってかw」

「停電よ」

「停電?」

「そう、今日何回か起こっていたわね? それはそのリモコンでこっそり色々な機械を起動させたり……後は、エアコンの設定温度とかも下げられるだけ下げ、風速も最強にして、このビッグエッグのブレーカーを落ちる寸前までにしていた訳よ」

「それがどうした? 全く見えて来ねえぜ?」

「それプラスあの音量を計って点数にする機械が作動すれば、停電する様に調整したんだわ。多分ね、舞台上で司会を落とす為にね。あの機械、高得点になればなる程にランプが多く点灯する。その分消費電力は大きい筈よ」

「停電で落とす? まだ分からんな。適当な事言っていちゃもん付けるな!」

「それに、あの人興奮すると舞台の最前線にまで走って行ったわよね? そういう癖なのかって思ったの。現に白川さんのネタで会場内が盛り上がってた時、前まで走っていたわ」

「偶然だ」

「でも白川さんは司会と知り合いってのは知っているから、その癖を知っていた可能性もある」

「言いがかりだわ。そんな癖があるなんて全く知らん」 

「そう? まあいいわ。で、その時、疲れて息を切らしていたし、そのタイミングで急に暗くなれば、後はもう一つ位何かが起こればバランスを崩して落ちていく筈」

「何かって何だ? 曖昧過ぎるぜ」

「それは……音とか? そうよ! 会場の歓声や拍手」

「……何にせよそんな推理じゃ納得できねえぜ? それに仮に上手い事落ちても、予備電源で30秒位で復旧してただろ?」

「その短い間に犯行に及んだのよ」

「はあ? お前の推理は穴だらけだぜ? 急に暗闇になりゃ普通だれもが動揺するだろ? そんな中で、冷静に真っ直ぐ司会の元に行くなんて誰も出来ねえぜ?」

「でもあんた、ネタ披露始まってから急に目を閉じ始めたじゃない? まるで予め暗闇が来ると分かっていたみたいにね! 暗闇になってもすぐに動けるために!!」

「うっ、よく見てやがるな……だがそういう癖だ。あれはメディテーションだ。ああするといいアイディアが出る。笑いの為だよ、仕方ねえだろ? それに会場の電力はどれ位あるかなんて分からんだろ? 狙って停電させるなんざ、雲を掴む様な話だぜ?」

「うるさい! 黙って聞け! で、あんたは停電になったら目を開き、闇に乗じ近づき、何か動揺させる様な事をやって落とした。これが私の考えね」

「何かじゃなあw適当な事言ってんじゃねえぜ? 俺はあいつを突き落とす理由もないし証拠もねえ。

それに停電がそんな都合よく起こる訳ねえんだ」

「いいえ?」

「ん?」

「悔しいし信じられないけど、あんたのあのネタの直後の笑いで停電が起こった」

「あっ! そう言えば確かにそうです! 停電になったのは白川さんのネタの後に機械が点数を表示しようとした瞬間だった筈ですよ! ランプが徐々に点き始めて暫くしてから停電が起きたんです! 確かイッタックラちゃんってネタですよ」

鎌瀬はその時の事を覚えていた様だ。

「ま、まさか……あんた……予めエアコンの温度を最低温度にして、停電する寸前まで調整しておいて、試合中に自分のタイミングで笑いを起こし、その時作動した機械のランプを点灯させて停電をさせたって事か?」

火村が驚きの顔で白川を見る。

「そうなのよ……この人天才なのよ。私の20000点でも起こらなかった停電を、彼のあのネタは引き起こした……表示される前に停電しちゃったけど、恐らくそのポインツは私の上を行っていた筈……悔しいけど……停電が起こった事で、ポインツ差が正確に測られちゃったって事ね……私がナンバーワンじゃなかったと思う……思い出して? 今日何回か起こっていた停電あったでしょ?」

「そういえばさっきので3回目でしたね。で、何が天才なんですか?」

「そう、あれは実験だったの」

「実……験?」

「うん。その本番前の2回。1回目は予選の受付の時。2回目は私達が控室で休んでいた時ね。

それと昨日も2回あったらしいの。

その4回で、大体何台のエアコンの設定温度を最大にしておけば、会場のブレーカーが落ちるかを把握し、それよりも少ないエアコン台数をフル稼働状態にして調節して、最後の最後は自分のネタで停電する様にした」

「おいおい、昨日来た前提で話してるけどそんな根拠はどこにあるんだよ?」

「これは推論よ! もし4回じゃないとしても今日実際起きた2回だけでも、把握は可能だと思うし」

「確かに2回よりは4回やれば確実ですけど、最低2回でも何とかなりそうですよね……でもそれでも確実に停電を起こす寸前に持って行けるかまではわかりませんよね……」

「まあそうだけど。控室に備えてあるエアコンをいじるのは簡単だと思う。それだけでもかなりの電力を稼げる筈だし」

「まあ実際落ちましたからね」

「それに、お昼ご飯食べていた時は普通だったのに司会が落ちた後戻ってきたら、室温が18℃まで下がっていた。おかしいと思わない? でも思い出して? これは、2回戦前に部屋を出ていく時、白川さんがエアコンを止めようって言っていたのを覚えてる?」

「言ってましたね。それで僕が「余裕ですねえ」って感心していた記憶があります」

「そうそう。鎌瀬さん記憶力いいわね!」

「僕なんてそれ位しか出来ませんから……」

ネガティブ芸人鎌瀬

「そうね……そして、リモコン操作して消す様な感じだったけど、実際は温度を下げる操作をしていたんだと思う」

「あれも推論、これも推論。いい加減にしろよな?」

「でもそれが本当だとしても自分のタイミングでそんな事……」

「そう。勿論お客さんに彼のネタが受けなければ、この計画はここで終わりよ。

自分の笑いに絶対の自信がなければ出来ない計画。

当然ここに来たのは初めてって言っていたから、事前に計画していたとしてもこんな大舞台でやる事には抵抗があった筈よ? なのに……信じられないわよ……この行動力、そして自信。

あの厳しい予選も初見で勝ち抜けるか分からない。逃げ回る体力もあり、笑いのセンスまでも……で、全てを乗り越えて彼は司会を落とし切ったのよ。こんな奴……見た事ないわよ……」

畏怖の目で白川を見ながら言うアリサ。

「ちょっと待って下さいよ!! 僕達はあの時、笑いの事だけを考えて、本気で全身全霊で戦っていたんです。本当に! 本当に!! そんな中白川さんだけは司会を落とす事を第一に考え、会場の使用電力の事とか色々考えつつも、僕達よりも多くの笑いを取ったって事ですか? こんな……こんな事って……」

鎌瀬は涙を流しつつ、悔しそうに話す。

「ちょっと待ってくれwなんか悔し涙を流している所悪いが、勝手にお前が考えたストーリーを納得して、勝手に尊敬の目で見られても困るってwしかし、聞けば聞く程穴だらけで行き当たりばったり過ぎる計画だろ。そんな事を信じる奴なんていないわwもっと確実な方法を選ぶ筈だがなあ? そこまで計画立てられる天才ならさあ? こんなリスクの高い方法なんか選ばずに、もっと堅実な別の方法も考えられる筈。

そんなリスクがある計画をわざわざ実行した理由って何だよ?」

「教えてあげるわ」

何故かアリサの目に輝きが増している。そう、彼女は白川を適当に犯人扱いしたが、その瞬間に思い出しつつ出していったピースを話しながら繋げていく内に、犯人が本当に白川であると言う疑念が、確信へと変わりつつあったのだ! もちろんはっきりとまでは言い切れてはいないが、確実に真実に近づいて行っているのだ。

 

私の書いている小説です

リンク先はブログより4話ほど進んでいます。先が気になる方はご覧下さい。

https://estar.jp/novels/25771966

 

https://novelup.plus/story/457243997

https://ncode.syosetu.com/n1522gt/

 

謀略の十問目……?

挿絵(By みてみん)

ほほう。これが蘇我子が提供した画像か。これは中々に激しい画像だな。だが、素人目に見ても、その迫力も勢いも凄いと感じる。これは司会も蘇我子と言う権威に負け、嫌々選んだ物ではないだろう。彼女も納得の上でのチョイスだと感じる。これは最後のお題にとして選ばれても間違い無いのではないだろうか? 正にラストを飾るに相応しいお題だ。

さあ、2人はどんな答えを見せてくれるのだ?

「さあ! 今度こそ本当に最後のサイコロタイムです。はい! 4ですね。では、アリサさんから先攻です」

「うーんうーん……ハッ! そうか……そうだったのね? 思い付いてしまった。それも簡単に……ハハハ……始めの頃はあれ程生み出すのに苦悶していた筈なのに……笑いって……こんなにも簡単に作れるのね? 皆の笑い転げる顔がありありと思い描けるわw私も芸人としての熟練度が上ったのかしら? いいえ? これはただの予定調和……私は、芸人になっていなかったとしても、これを、この最適解に辿り着いていたでしょうね。私はこのネタに巡り合う為だけに生まれて来たんだもん……紆余曲折あったけど、巡り合えた……この事実に感謝よ……! おい!! 橋田蘇我子!!!」

突然蘇我子を呼びかける。

「ふぁい?」

訳「はい?」

「お前は太っていて、年老いているしわくちゃ女だけど、センス【だけ】はある様ね? 人生の最期にいい仕事をしたわ」

おいおい……

「ぬぁぬぃいい?」

訳「なにい?」

これでもアリサは蘇我子を本心から褒めているつもりだ。だが、悪口交じりで高圧的。こんな褒め方では誰だって腹を立てる。だがこれだけではなく更に続ける。

「お前の出したお題は、歴史の教科書に今から私が紡ぎ出すネタと共に刻まれるだろう! お前が託したこのお題、最高峰まで高めて見せるわ! いける!! これしかない!! ボケ人間コンテストに新たな伝説が生まれる……! そしてぇ? 白川さん! 俺がこのお題を手にした瞬間の事をRPGあるあるで上手に例えてやろう」

「どういう事だ? 言ってみろ」

「そうだな? そう、攻撃アップ防御アップ全てを掛け、準備万端でいざ攻撃しようとした瞬間に、凍てつく波動砲が来て、全てのバフが解除されてめっちゃ悔しーと言う状況だ! フフフ……どうだ? 恐ろしいだろう? 恐れおののけぇ!!!! それにしてもよぉ? お前は、素人ながらここまでよく頑張ったものだぜ。初心者とは思えない程に強かった……な」

「あのう……ぼく一応プロです……それにその例えじゃちょっと駄目じゃないっすかねえ?」

アリサのあり得ない勢いに小声の敬語で反論する白川。

「お前はな? この私が唯一認めた男だ。誇りに思え。お前は本当に強かったよ? だが、それは、間違った、強さ、だった。

間違いは……正さねば……ならぬなッッ? そうだ! 正す以外ありえないぃぃぃぃぃwwwwこれで、このネタで、白川ァ? お前は、終わりよぉぉぉぉおお!!!!!! さあ……伝説を、その目で、刮! 目! せよ!! 喰らえええええええ!」

アリサの目の輝きが今までと全く違う。しかも、息継ぎもせずに言い切りおったぞ……どんだけ肺が強いのだ……これは、期待大だ。

「クッ、なにぃいい? この俺を……呼び捨てだとおおおおお? 今までずっとさん付けしてくれてただけにぃ!? なんかすっごく寂しいいいいいいいいいい!!!!」

白川よ……突っ込む所はそこで良いのか?

「おお凄い自信です! どうぞ!」

アリサは静かに閉眼する。そして……!

『少年時代のおおおおおぉぉぉ……』

クワッ <◎><◎> 

『司会ッッ!!!』

パチパチ

な、何とした事か……やや受けている様だが……アリサ……

「ちょ? 私はそんなに勢いよくないですよ? 小さい頃も! それに少年って……私、どこから見ても女の子ですよ? 小さい頃もガリガリ少女でこんなに太った事人生で一度もありませんし……」

「クッソwwそう来たかww……( ゜д゜)ハッ!笑ってない笑ってない」

ブンブンブン

慌てて我に返って首を振るが、白川にはかなり受けている。だが…………肝心の……客達は、今一の反応。

「フッwゆぉすぅおぅどぅるぃぬぇwガクぃぐぅぁw」

ぬ? これは蘇我子? その喋り方は間違いないか……蘇我子がほくそ笑んでいるというのか?

訳「フッw予想通りねwガキがw」

まさかこれは!? いや、そんなまさか……

「あるぅええ?? (もう少し盛り上がっても良くない?)違うの、前の司会の話!」

アリサよ、やってしまったな……確かにそれは舞台上であの大惨事を見た関係者一同は全員面白いと感じると思う。

だが、肝心の客には全く通じていないのだ。アリサなら少し考えれば分かる筈だぞ? それは、お漏らしをした司会を直接見た者でなければ笑いにならないのだ。

このネタは、アリサ以外の7人の選手と、舞台上に居たスタッフ達の集まる飲み会の席で披露すればまさしく大爆笑であろう。

確かに今それを言ったら死人の悪口になってしまうがな。それを知っている人なら最悪ブーイングの嵐になる可能性も。

だがそれでもその事を一切忘れ、堪えられる人は少ない筈。

そう、これはいわゆる【身内ネタ】だ。私は、お笑い論を語った時、悪口や自虐ネタ、下ネタはやるべきではないという事を話した。

これは、鎌瀬がこういうお笑いもある。と、アリサに熱弁していた事に対して反論した訳だが、もう一つやってはいけないネタがあったのだ。

それが、前述した【身内ネタ】だ……自分と、数人の人にしか伝わらない笑い。

同じ経験を共有した者には効果が絶大だ。だが、今は大舞台で、その事情を知らない観客達の前で、そのネタだけは披露してはいけなかったのだ。

悪口や下ネタを許容している鎌瀬ですら、身内ネタの事は一切言っていなかった。

そう、悪口や下ネタを言う芸人を例を挙げて数人紹介していたのに、そんな彼でも身内ネタを言っている芸人を一例すらも挙げなかった。まあ身内ネタでブレイクする芸人は少ないと思うから、鎌瀬が例に上げようにも彼の頭の中に一人も存在しなかっただけかもしれぬが……要するに、お笑いを少しでも知っている人間なら、身内ネタは言うべきでないという事は、駆け出し芸人の鎌瀬ですら知っていたという事。

芸人の中では言うまでもない常識なのだ。

ごく一部の人間にしか通じない狭い範囲だが、知っている人からすれば堪える事は出来ない程の強烈なネタだ。アリサはそれを一番大事なこの決勝の最後の問題のネタとして放ってしまったのだ。当然アリサは芸人に転職した事はしたが、まだ数時間程度。その浅い経験でそこまでの知識は得られない。あのお漏らしをみんなが知っていると思ってしまっていたのだ。

そして、身内ネタはこういう場面では最悪である。

「は? 誰の事言うとるんや?」

と客を不快にしてしまいかねない。ここは、万人に受けるネタを放たなければならなかった。

だが、アリサはどうしてもそれを抑える事が出来なかった。

 それもその筈。司会のお漏らしという強烈な面白事件は、アリサの中では今日のトップニュースである。

あの、面白い☆☆☆三連星ネタで20000ポインツを獲得し、拍手喝采を浴びた記憶よりも鮮明に、お漏らし男の悲しげな表情が浮かんでくるのだ。

そんなアリサの中での大事件は、いつかどこかでどんな形であれ、誰かに言いたくて言いたくてウズウズしていたのだ。

そのタイミングで、こんなお漏らしを容易に想起出来る様な直接的なお題が出てしまったのだ……それこそ彼女の運の尽きだ。

前話の最終話に出ていた、アリサのステータスを思い出してほしい。

そう、運の値が1だったのだ。こういう一番大切な所で運に見放されてしまう……哀れなアリサ……そう言えば七瀬が、ブラックダイアには幸運を下げる効果があると言う話をしていたな。

もしかして現在それを所持している為に運が1なのかも知れない。だが、それを知っていても彼女は手放さないだろうな……女の子は宝石が大好きだからな……そして、これは私の想像であるが、恐らくこのネタの提供者の蘇我子は、お礼としてあのネタを提供したのではないと思うのだ。

どういう事なの? と仰る方も居ると思うので、その根拠を語ろう。

 彼女はVIP席で、司会がお漏らしをした様子を、何かしらの道具を使用して、はっきりと見ていたのかもしれない。

そして、そこから司会のお漏らしを目の当たりにしたアリサなら、あのお題を見れば、観客には通用しないお漏らしネタを言うのではないか? と、準決勝の時のアリサの下ネタ発言を受け、彼女のネタの傾向を推測した。

なんと蘇我子は、幾つかのアリサの答えを見ただけで、ネタの傾向を完全に把握し、彼女を陥れる為にあのお題を提供したのかもしれない。

そう、蘇我子は、休み時間に控室にTシャツをプレゼントしに来た時、アリサが自分の事をしわくちゃと馬鹿にして来た事をずっと根に持っていたのだ。

更に、偶然引き分けになり、司会の提案で観客の中からネタ提供を求めた瞬間に閃いてしまったのだ……超一流の脚本家の頭脳が……! 本来沢山の人を楽しませる為に、ドラマの脚本を手掛けている彼女が、礼節の知らないたった一人の幼女を陥れる為【だけ】にその才能をフルに使い、生み出された邪悪なシナリオ、謀略が、な……! そのシナリオとは、あの画像を見つけ出し、そこからアリサにお漏らし関係のネタを言わせ陥れるという事だ。一見喋り方はおっとりとしている蘇我子だが、頭の中は別。アリサよりも高速で物語を描き出す才能がある。そんな才能をアリサを陥れるその為だけに使用し、彼女が思考停止する様なお題を探し出す!! そう、提出までに少し間があったのは、携帯でアリサを陥れるに相応しい画像をリアルタイムで検索していたのだ。どういう画像ならお漏らしネタを言うだろうな? と、考えながらな。まあ他のお客さんが手を挙げなかったと言う偶然もあるが、それもアリサの運が低い事が原因かもしれない。それも合いまり、その短い間にアリサが見た瞬間、司会のお漏らしに関係するネタを言いそうな画像を見事検索し、撮影。

そして、司会に渡したのだ。恐らく孫の写真と言うのも大嘘だ。いかにも大喜利のネタに使われそうな面白画像であるのは誰の目からも明白であるしな。

そして、その画像を見た瞬間、アリサも理屈では分かっていようが、蘇我子に導かれるかの如くお漏らし系のネタを放つ。最早、その画像の中の少年は司会の少年時代の姿にしか見えなくなっていたのだ。そうなってしまえば、誰も止める事は出来ないだろう。

ついさっき白川に

「良く考えてからネタを言え!」

と言うアドバイスも聞いた瞬間は納得していたのに、忘れてしまい……だ!

面白いと思ったお題を見ると、それだけに意識が向いてしまい、集中力に反比例し、記憶力は著しく低下する。

思い出してほしい。アリサは竜牙の顎が外れ逆回転してくっ付き直した状況を

【逆歯刀】

と言う名前を考え出し、それを肩書にしては? と言っていた時があったが、竜牙の心の傷などお構いなしで、ただその響きがかっこいいと言う事実のみを考え、

「これこそがあなたのアイデンティティだよ!」 

と、おだて、名乗る時に使うべきだと提案。運よく竜牙も乗り気ではあったが、普通の人だったらその事を名乗る度に突然下顎の骨が勝手に顔から飛び出すと言う忌々しい想い出を甦らしてしまう事も考えると名乗りたくないのでは? と、考え自重する筈だ。だがアリサが子供過ぎる故、その人の気持ち等は全く考えられずに、自分の考えがいいのだから実行すべきと押し通してしまった。そう言った子供っぽさは、いくら勉強をしたところで子供である以上、抜ける事は無い。

確かにアリサのお笑いのレベルは、エントリーしたあの時から比べれば飛躍的に成長した。

だが、所詮彼女も小5の子供という事だ。それが敗因だった。気が早い気もするが、見なくても分かる。

最早白川がどんなネタで来ようが、確実にアリサは負ける筈。

結局子供はう〇こやおしっこが大大大大大好きだからな。仕方のない敗北。

先程も運営の思惑通りき〇たま等と言うエゲツネエ下ネタを何回も言ってしまったしな……まあ、もしも小5の若さでこの話を読んで下さっている将来有望な方が居て

「そんな事ないよ」

と仰るのであれば誠心誠意謝るが、恐らくそんな事は無い筈だ。

私もそういう時期があったから分かるのだ。この真面目が服を着て歩いている様な聖人ですらだ! 時代は変われど、いくら科学技術が進歩しようが、人間の本質的な部分は変わらない。

子供のう〇こ大好き現象は、原始時代から変わらないのだ。いや、人間がこの世に誕生した直後から変わらない。そう、自分のおしりから出た、茶色くて悪臭の放つ面白い物体。いじらずにはいられない筈なのだ。例え時と共に……頭脳や身体能力など進歩する部分もあるが、不変的な部分もあってこそ

【人間らしさ】

なのだ。

それにしても司会が画像提供を求めてからたった5分の間に、ここまで練られた計画を編み出し、成功か……恐ろしい老婆だ! 

「全く……変な言いがかりは困りますね。まあネタですから仕方ないですけど……出来れば私のイメージを下げるようなネタは止めて下さいね?」 

この女は、3回戦目の6問目のあの問題中に、口論しているアリサ達に対しマイクを使用しつつ、【き○たま談義はその辺にして下さい】と言っていた事をすっかり忘れているな。その時点で、イメージが下がり切っている事を未だに気付いていない。

「悪いな。お前のミス、有効に使わせてもらう。不本意だがな……勝ちは……頂いた!」

「うう……」

「……だが、ここでお前がこんな凡ミスするとは驚いた。こんなミスをせず、ガチのネタのぶつかり合いで勝ちたかったってのもあるがな……まあ、これが未知のお題でやり合う勝負の面白さって奴だ。筋書きの無いドラマ、肌で実感しただろォォォォ?」

白川も気付いているな。アリサの放ったネタが、身内ネタだという事をな。そしてそれは、白川には通用したが、現在笑わせなくてはいけない人は、白川ではなく客だという事もな。

「そうよね……最後の最後に……ミスっちゃった……ね。20行以上にも及ぶ長さの啖呵を切った挙句に思いっきり滑っちゃった……恥ずかしい(///照///)……でも、冷静になればあんなネタ言わなかったと思うんだけど……なんでだろうなぁ? あーあ。私らしくなかったなあ( ;∀;)」

諦めの表情のアリサ。もう彼女自身も察している様だ。そして、この敗北は蘇我子の謀略も一枚噛んでいる事には一切気付いていない様子だ。全てが自分のミスだと認めている。

それとも? 気付いてはいるが、この期に及んで人のせいにする気力も、そしてその後、それに気づかなかったお前が悪いと言われる事も見越して言わないだけなのだろうか? そこまでは分からない。

「フッ……全てが終わる前にそこに気付く事が出来りゃあまだ未来はあるぜw」

白川は、今までに見た事無い様な優しき微笑みをアリサに向ける。これは、勝者の余裕なのだろうか? それとも? 

「白川さん!! どうぞ!!!」

『うわああ( ;∀;)破動拳の練習をさぼっていて2カ月ぶり放ってみたら、手から出る筈なのに、股間から出ちゃったああああ!♡!』

ドドッ

「めっちゃ説明口調です!! とっても分かり易くて素晴らしい!! しかし、嫌な破動拳ですね。これじゃ汚いからガード出来ないですね。ジャンプで回避するか、自分のヨガファイガーで相殺するしかないですね。

あっ、名前も拳では変ですね。さしずめ【破動☆珍☆】と言ったところでしょう」

臆面もなくさらっと下ネタを挟む淫乱司会。

「白川さん? 最後の最後にこんなネタで来るの? 最低! あんた最低だよぉ! 舐めプ乙(#^ω^)この程度のクズネタでもこの私に勝てると? 舐められたもんね……ふざけるなあああ。くそ、くそ、くそおおおおお……私が本気を出せば……」

「お前が本気で来てたら俺も本気で考えていたさ。こんなネタじゃ勝てねえからな。まあ、あのネタの後じゃこうもなるわwこんなのちょちょいと考えた低レベルなネタだからなwでもそうは言うけどよお、こっちも悔しいんだぜ? そこんところ分かってるのか?」

「何がよ!」

「最後の最後に拍子抜けしちまった……最後だってお前とガチリたかったんだからよぉ!? 最高のネタと最強のネタがぶつかり合い、拮抗したその末に俺がギリギリで勝つ。それが俺の中での最高の終わり方だ。お前だってそうは思わないか? それがオジャンになっちまったんだ。あーあ……死ぬほど残念だぜ……確かお前と戦う前、本気でやるって言った気もするが、気が抜けちまったんよ。でも、嘘つき呼ばわりはしないでくれよな? 当然お前も分かってるだろ? これでも、こんな程度のカスネタでも、お前の負けは確定的に揺るがんのよ。もう、全てが遅いんよw」

「知ってるよ。私でもそうしてたと思うし。残りHP1の敵に対し、最強技を使う必要なんてないもんね……でも、こんな事言っても無駄だと分かっていても悔しくて、心が抑えられなかったの」

「だなw」

「うーん、アリサさんには私をいじって頂いて少し嬉しかったんですけど、これはどう考えても白川さんでしょう。

4番の白川さんの勝利です! 今回の問題はボーナスが付きます! そのボーナスは9京ポインツでしたね! なので白川さん。合計で9京4ポインツを獲得しました!」

「やった!」

「ぴ、ぴぎゃー!!」

 

私の書いている小説です

リンク先はブログより4話ほど進んでいます。先が気になる方はご覧下さい。

https://estar.jp/novels/25771966

 

https://novelup.plus/story/457243997

https://ncode.syosetu.com/n1522gt/

決着?

「アリサさん巻き返しました! 4対4のイーブンですね。では第9問で、ラスト問題となります! もう他の画像は用意しておりません。

すなわち、これが泣いても笑っても最後の問題、ファイナルラストフィニッシュバトルとなります。では行きます! その画像とはこちらです!」

挿絵(By みてみん)

これはまたしても怒虎か? そしてその下には怒虎よりも大きな巨大亀……成程。これは中国で北を司る四神の【玄武】であるな? 因みに玄天上帝とも言う。

怒虎はこの様な霊獣とも交友関係があるらしいな。かなりのコミャニャケーション能力だ。否、友好ではない。この画像内には間違いない主従関係が映し出されているな。そう、怒虎が玄武の上に乗っているという事実がそれを物語っている。玄武よりも身分が上だという事だ。あの巨大な霊獣までも配下にしてしまったのだろうな。スゲエ……それも強制した訳ではなく、そのカリスマ性の高さを知った玄武の方から

「さあ、わたくしめの無骨な背ですが、もしよろしければお乗り下さい」

と、目が合った瞬間に彼の意思に反し自然と口から出てしまったのだろうな。怒虎にはそう言う不思議な魅力がある。

しかし、この問題を最後に持ってくるとは運営もなかなかやるな……そう言えば……思いだしてほしい。決勝戦の1回戦目の一問目のネタも怒虎であったな。

挿絵(By みてみん)

朦朧とした意識の中再会した彼らがぶつかり合い雌雄を決そうとする悲しすぎるシーンだ。そう、この大会は、怒虎で始まり、怒虎で終わっている。奇遇な巡り会わせだ。この運営は、怒虎を崇拝する信者の集まりなのだろうか? それとも他に何か理由が? む、そんな事はどうでもよかったな。

そうだ、最後、そうなのだ、これが最後の問題なのだ……行け、アリサよ……勝利は後、

【たった一つ】

なのだ……! 

「最後のサイコロタイムです。やあ! 6ですね。アリサさん先攻です」

「……よしあれで行ってみるか」

「どうぞ」

『えーと、ここから東ニャンアジアのニャンボジアのニャンコ―ルキャットまでお願いします』

『はい! 本日は水陸両用タートルタクシー亀江恵絵柄得ゑ餌カメエエエエエエエ! クスデス協会をご利用いただき誠にありがとうございます。私共は安全第一で、無事故無違反無頓着で頑張っております!

この度運転手を勤めさせていただく亀梨一哉かめなしかずやと申します。因みに私の座右の銘は、3歩進んで2歩下がるです! その思いを胸に抱き、目的地にゆっくりと、じっくりと、まったりと、のんびりと、のったりと、のらりくらりと、ノロノロと、自分のペースで出来る限り遠回りし、時折朝寝、昼寝、3時のおやつ寝、夕方寝、夜寝、深夜寝、明け方寝を挟みつつ、確実にお届けさせていただきます! ここからニャンボジアですか……現在地が、かにゃ川県のネコハマですから、陸路12年と4ケ月。海路23年と3ケ月の合計35年と7ケ月後には到着しますねー』

『そうですか……じゃあお願いします……って……これじゃ着く頃には寿命で死んじゃうニャン♡』

『そんなに早く死んでしまうなんて。あなた方猫って生き物は短命なんですねw』

『普通ニャン♡♡』

ドドッ

「ニャンコ―ルキャットですかあ……とてもかわいい響きですね。名前から推測するに猫が沢山いる世界遺産なんでしょうね? 私も行ってみたいです♡では白川さんです」

「くそー分かんねえ」

「時間はありますので」

「大丈夫だ。今降りて来たぜ!」

「そうですか? ではどうぞ!」

『地面が動いている? やはり私の仮説は正しかったんにゃ。ん? 私か? 私の名前は、ニャリレオ

 △△

(=^ω^=)ニャリレイだ』

ドドッ

「亀が地球と見立て、それが動いていると思ってしまったんですね? 狭い世界ですね。うーん……歓声もどちらとも言えない様な。また正直分かりませんね」

「クッこれは俺でいいだろ?」

「私だって負けたくないわ!」

「うーむ少し考えさせて下さい……」

「またかよ……」

「優柔不断ねえ」

「決めました! またも皆さんの力を借りようと思います」

「またかよぉ……もういいよ……」

「申し訳ございません。ですが、最後の最後なんです。しっかりと白黒付けたいのです。アリサさんも良かったですが、白川さんの猫の顔文字も可愛かったですし……」

「え? 顔文字ってなあに?」

「知りませんけど?」

「えっそうなの? 今あなたが言った言葉だよ? ちょっと良く考えてみてよ?」

「忘れました」

「ならしょうがないかぁ。でもでもネタでなくて顔文字が可愛いからってそこを評価するのは違うと思うよ? 最後だからこそネタのみで勝負すべきでしょ? 後さ、それってどこにあった物なの? 私には見えなかったよ? 台詞の間にあったの? それとも最後?」

「だから知りませんってww」

「そっかwwwww」

「では、アリサさんが面白かったと思う方々拍手お願いいたします」

パチパチパチ

「ありがとうございます。では、白川さんが面白かったと言う方々拍手お願いいたします」

パチパチパチ

「全く同じですね……」

「そうか? 俺死ぬほど耳がいいけどさ明らかに俺の方が1デシベル位上だったぜ?」

「嘘突くなー!!」

「決めました! この問題では決着が着かなかったという事にします!」

「うそーん」

「結局こうなるのか……」

下唇を噛み、悔しそうにする白川。

「では、特別にもう一問挑戦して頂きます」

「くっ まあいい。やってやるぜ!」

「次こそは圧倒的な差をつけて勝つ!!!」

「しかし問題が一枚もありません……どうしましょうか? こんな時、先輩ならどうするんでしょう? うーん」

「うーん、あんたに任せるぜ」

「わかんないよ! そっちで考えて?」

 二人も考える事を放棄した。両者共に脳が疲弊している筈だ。少しでも休みたいと考えたのだろうな。

「ですよね……じゃあこうしましょう! 過去に出たお題をシャッフルして、選ばれた一枚でもう一度戦うってのはいかがでしょうか?」

「ああ、これがいいんじゃない?」

「いや、それだけは絶対に駄目だ。既に見た事がある物は絶対NGだ。やはり初見のリアクションを楽しみたい」

こんな時でも白川は完全に初見で出て来るお題を心から楽しみにしている。お笑い芸人とはこうでなくてはいけない。

「別にそれいいのに……どんだけ自分に厳しいのよ……疲れてる筈なのに……」

「多分死ぬまでこんな感じかもな……おめえだって内心そうなんじゃねえか?」

「う、言われてみればつまんないわね……あ、あれ? 白川さんがちょっとかっこよく見えて来るじゃない? (私には竜牙さんが居ると言うのに……敵なのに……何かドキドキしてくる……正気に戻れアリサ!!)」

「ん? 何だよその目は? 気持ちわりいな」

「知らない!!」

「あっ、閃きました!」 

「なんだ?」

「お客様の中で、面白画像を持っている方いらっしゃいましたら、提供お願いします! それが見つかればその問題で争っていただこうと思いますが、いかがでしょうか? これは私のアドリブです。もし他の案がありましたら、そっちに変更する準備も出来ています」

「それでいいと思う」

「俺もだ」

「そうですか? じゃあ皆様の中でお題に出来そうな画像をお持ちの方! 挙手お願いいたします!」

シーン

「誰も居ない?」

「もう少し待ちましょう!」

「むぃんぬぁだすぁぬぁいのぬぇ? ……ふぁっ! あつぁるぁすぃスィヌァルィオがうくぁんだうぁwヒロウィンうぁぬぉくぅお。……すぁあ……えぐぁいたとぅうるぃぬぃうぐぉいつぇくるぇるくぁすぃら?」

む! この喋り方は蘇我子であるな? また仕事か……

訳「みんな出さないのね? ……ハッ! 新しいシナリオが浮かんだわwヒロインはあの子。……さあ……描いた通りに動いてくれるかしら?」

そう言いつつ蘇我子は、スマホで画像検索を始める。

「どなたかー?」

「シーンとしてるね。こんなに沢山お客さん居るのに……」

「ゆっくり待とうぜ。みんな真剣に選んでくれているんだ。客の立場になって考えても見ろ! 自分の出したお題がラスト問題になるんだぞ? お題のせいで盛り上がらなくなる危険性もある。そして、俺達の未来もそのお題に掛かっているんだ」

「そうかもしれないけどさ……誰かが出してくれるんじゃね? って、みんな思っていて誰も出さないパターンじゃなきゃいいけど」

「うるせえ! 信じろ!!」

「はいっ!」

だが、客は静まり返ったまま。誰一人手を挙げようとしない……そして、5分程の静寂が続く……それも仕方のない事。客も楽しむ為に来ていたのだ。そして、まさかこのラストバトルのタイミングで画像の協力を求めて来るとは思いもしなかったのだろう。

「ゆぉすぃ、くぅをるぇぐぁいいうぁ」

訳「よし、これがいいわ」

ぬ? ……何かを見つけたのか? もしや蘇我子はお題の写真を考えてくれていたという事なのか? 何故だ?

「ふぁい」

訳「はい」

すると? VIP席から手が挙がる。

「はい? ……あ、あなたは!!」

「わつぁすぃぬぉむぁぐぉぬぉしゃすぃんぬぁんどぅえすけるぁど、むぉすぃよくぇるぇヴぁくぉるぇをつくぁとぅえ?」

訳「私の孫の写真なんですけど、もしよければこれを使って?」

「あっ? まさか? 橋田蘇我子さん!?」

「はくるぃょくぬぉあるつぁつぁくぁいよぬぇ。こつぉすぃうぁはつぉくぬぃ……くぉんぬぁむぉぬぉどぅえおゆぁくぬぃにつぁつぇるくぁうぁくぁるぁぬぁいくぇどぅ……」

訳「迫力のある戦いよね。今年は特に……こんな物でお役に立てるか分からないけど……」

ニィッ

口では笑っているが、目が一切笑っていない。

「助かるわ!」

アリサが親指を立てて蘇我子に向ける。しかし、それには反応していない様だ。

「あれ? ノーリアクション? 耳が遠かったのかしら? 老人だし」

「何と何と何と! 橋田蘇我子さんからお題を提供頂きました! 感謝です! これは盛り上がりそうです!!」

「いぅえいぅえ。すつぅえくぃぬぁすぃあぅいをむぃすぇつぅうえくるぅえつぅあおるぅぇいゆぉお」」

訳「いえいえ。素敵な試合を見せてくれたお礼よ」

「他に提供してくれる準備をして下さったお客様には大変申し訳ありませんが、いつまでも待っていては終了時刻が遅れてしまいますので、私の独断ですがこのお題に勝るものは無いと判断いたしました! では、これこそが正真正銘の最後の最後。ファイナル最終フィニッシュジ、エンド問題です! この記念すべき素敵なお題を頂いたので、特別ルールとして、最終問題は勝者にはなななななんんと9京ポイントを贈呈します!!」

「うおおおおおお」

「やったあああああ」

「すごーおおおおおい!」

「超エキサイティィィィィンンンンングゥ」

蘇我子さんナイスうううううう」

「9京! 9京!!」

「フンガーフンガー!!」

会場内の観客達は大盛り上がりだ!

「……おいおい、1でも9京でも変わらんだろ! 下らねえ事で盛り上がりやがって! バラエティ番組に染まってんじゃねえ!」

冷めた目で見る白川。

「私は9京ポイントよりも、休憩ポイントで一休みしたいわ」

こんなところでも上手い事を言うアリサ。脳が疲弊していないのか? 本番で力が出せなくならぬよう気を付けるのだ!

「ノリが悪いですよ白川さん。では、皆さま! スクリーンにご注目下さい! どうぞ!」

 

私の書いている小説です

リンク先はブログより4話ほど進んでいます。先が気になる方はご覧下さい。

https://estar.jp/novels/25771966

 

https://novelup.plus/story/457243997

 

https://ncode.syosetu.com/n1522gt/

 

気恥ずかしざ

少し遅いですがあけましておめでとうございます。年末はいかがお過ごしでしたか? 

12/24はどうでしたか? チキンとケーキで楽しい時間を過ごしたのでしょうね? 

ちなみに私はチキンラーメンにライスケーキ(餅)を入れた贅沢なご馳走を食べ炭水化物の過剰摂取を達成し、ブクブクになった体で12/31日はフジテレビの格闘を見て年を越しました。

その時シバターと言う乳製品の様な名前のYouTuberがプロに勝っていて、

 

「おお! 凄いなあ」

 

と一人テレビに向かって語り掛けていました。悲しいですね……こんな大人にはならないで下さいね? そして昨日1月4日昨日ですね。その試合が八百長だったという事を知りがっかりした物です。実際テレビで見ていた時、物凄く興奮して見ていて、試合後マイクで、

 

俺が負けると思ってたやつ、ざまぁみろ! YouTuberは強いんだ!」

 

と叫んだ時、何故か涙腺が緩んでしまい感動してしまったんですよね。その時感動を返してほしいと思っていますが、その瞬間は間違いなく心が動き、本当に感動していたんです。騙されているとも知らずに……一見体格差はあれどプロの格闘家に飛びつき腕ひしぎですからね。あんなに身軽に動けるのも驚きでしたし、彼の事はよく知らなかったんですけどその試合を見ただけでファンになってしまったんですよ。勝ち目はないと思っていただけにそのギャップがある分驚きは大きかったです。去年一番感動した事と言ったら大袈裟かもしれませんが、五位以内に入った出来事でした。去年の内だけですけど……

 

そしてこの

 

「騙された―」

 

と言う感覚は久しぶりに味わいました。と言うのも2020年の初頭に比べ自分から積極的に沢山の情報を仕入れ、メモしていて昔に比べて騙されにくくなっているとは思っていただけにその反動で異様に恥ずかしくなりました。

その時何故かシバターに対する怒りは全く無く、ただただ騙された自分の浅はかさに対してのみに恥ずかしいと感じたんです。でもこういう悔しさも時々味わわなくてはいけないのかなと思う時もあるんです。

 

そしてこう言う事を思う様になりました。

それは、現在ワ〇チンを打って安心している人達もそれがもしある日突然全て嘘でしたと言われた時、信じていた物に裏切られたらシバターに騙された私と同じ気分になってしまう。それが嫌だからおかしいと思っていても自分は今でも間違っていないと言う意地を張り続けているのではないかと思ったんです。

ameblo.jp

上に貼ったリンクから飛べるブログでは色々な情報が見る事が出来ます。取り敢えずここに私が書きたい事はほとんど書かれているので是非目を通して下さい。

そしてもし何か感じたらツイッター内検索で、

 

【打つんじゃなかった】

 

と検索すれば、同じような内容のツイートがいくつも見られるでしょう。

私は格闘技の対戦の結果が騙されただけで済みましたが、実際に既に打ってしまった人もこのブログを見た方の中でもいると思います。それでも上のブログの情報を信じ、取り敢えず3回目は様子見してはいかがでしょうか? 2回まで打ってしまってもまだ間に合うと思います。ですがこれから3,4回と打てば打つ程、体に色々な変化が起きてしまう可能性は否定できません。

ワ〇チンは人々を救うために作られた物なんだと仰る方も居ます。

f:id:magisya:20220104184451p:plain

この方は歴史の中で何度もやって来た事だと仰っていますね。

それは半分事実で半分嘘だと思っています。どういう事かと言うと、それを作っている方は全くの同一人物なのでしょうか?

本当に命を救いたいと考えられて作られた物だと言えるのでしょうか? 当然天然痘とか結核コレラ、ペスト等が流行った時に作られたワクチンはそう言う気持ちが込められ作られたのかもしれません。

 

 ですが今はどうでしょう? 今のワ〇チンは過去に命を救って来たと言うパッケージで覆われた猛毒なんではないかと私は今でも思っています。その根拠は、全て無料で、しかも20代の方の中で打った人に車をプレゼントとか、打たなかったら接種証明パスポート発行出来ないから色々行動制限出るよ? とか、打たないと仕事辞めてもらうよ? とか脅しをかけられ仕方なしに打ったと言う方も居ます。

そして北海道の医師達が反ワクを唱えたらその上司が、

 

「仕事を辞めてもらうよ?」

 

と圧力をかけたそうですね。この話ご存じですよね?

この様に今まで見た事の無い様な打たせようとする行為を平気でやっているからおかしいと思ったんです。こんな事今までありましたか? インフルのワ〇チンを打たなかったら行動制限されるとか。そんなおかしなこと今まで一度でもありましたか? 私の生きている範囲では無かったです。2021年が初だと思います。

2010年に酸化グラフェンが知られるようになり、5Gになっている今の時代とは内容が全く同じとは確定できませんよね? だから今でも打つつもりもないですし、そんな架空の病気に罹るつもりも無いです。

そろそろ

 

「騙された! でもこれからはもう絶対に騙されない! くそー騙しやがって! 許さんぞ!!!!!」

 

と多少の気恥ずかしざを味わってでも、知らず知らずの内に植え付けられた考え方を変える時が来たのではないでしょうか?

そして何でこんな事を国は平気で行って来たんだろうと自ら進んで考え、調べるようになってほしいと思っています。

私は信じています。いつまでも善良な市民がと一握りの人の手のひらの上で操られ続けているほど馬鹿ではないという事を。

 

 

慈愛と進撃の巨人女神ショコターンケイル

「ではこのお題で戦っていただきます」

「負けねえぜ?」

「私だって!」

「では画像班お願いします!」

「はいっ!!!!!!!!!!」

お? 気合が入っている画像班。何故なのだ?

挿絵(By みてみん)

ぬ? ぬわーーーーーーーーーっ!!! な、何だこれは? 怒虎よりも大きい人? の顔が、怒虎を今正に食しようとしているのか? そ、そうか……たった今、あれ程までに画像班が気合が入っていた理由が分かったぞ。このインパクトのある画像を見た客なら、絶対度肝を抜かれる! と、いう事を事前に予想出来ていたからあんな得意気だったのか……してやられたわ……しかし、何と言う事なのだ……こんな巨大な顔の生き物が存在するというのか……世界は広いな……だが……大きいとは言えど、気品が漂っている気がする……何と言うか……そうだ……ギザウツクシスナァ……ハッ! ブンブン! 私は何と言う……しかし、ギザとは……? 私の中で一体何が……それに私にはケイトと言う女神がいるというのに……なんとふしだらな男だ……頼む! こんなふしだらな私を見ないでくれ……今だけは……しかし、この女性? 私すらを魅了してしまうとはどういう……む! 分かったぞ! この方は人ではない! ぬ? 気でも触れたかだと? 大丈夫だ。今は正常だ。先程頭が乱されおかしな事を言っていたがな……既に

【おれはしょうきにもどった】

それと同時に、気付いてしまった。そう、このお方は……

【女神】

だ。しかも、先程のお題にも出ていたヘカトーンケイル。それに属するギガー久、野球がとっても得意な源辰徳や、☆飛雄馬。サイクロプ久にティターソに韓国の巨人格闘家チュホソマソや工レソ・イェーガー等ほとんど全ての巨人族を統べる超女神。

【慈愛と進撃の巨人女神ショコターンケイル】

という事をな……いや、正確には、少々短めの肩書が付く。それは、

【遥か上空にそびえし天空優美金剛宮を居城をとし、慈愛と寵愛と友愛の力で全巨人を支配せし、現役愛弗げんえきアイドルにして、舞台、龍支配四ラクエ4、御転婆姫役も務め、究極絶対の明眸皓歯めいぼうこうしな唯一無二妖艶超越慈愛と進撃の巨人女神ショコターンケイル】

であった。私程の聖人ですら魅了出来る力があるのも、彼女の人知を超えた神魅力にかかればしょうがないわなぁ……しかし、何故運営はこんな写真を持っているのだ? ……いや、これは仮説であるが、この写真は彼女本人が撮影したのかもしれぬ。

どういう事か? と言うと、この画像は、インスタキログラムにスイーツを食べる瞬間を自撮りし投稿しているOLのノリで撮影された物なのだ。そう、女神スマホを女神スタンドで固定してな。

彼女も女神とは言え女の子だ。自分がスイーツを食する瞬間を皆にシェアしたかったのかもしれぬ。みんなに《いいね!》や、《お気に入り登録》をされたいと言う願望があったのだろう。そう、彼女が意図的に広めた物なのだからこの様にお笑いの大会のお題としても使われても仕方がないだろう。

そして、この画像から私は気付いてしまった。それは、怒虎を頭からかぶり付いている様から、彼女はたい焼きも頭から食う派なのだろうという事だ。かなり乱暴な食べ方だな。

ぬ? それが普通じゃん。それか尻尾から食べるしかないじゃん。お前は尻尾から食べる派なのか? だと? それは違うな。それでは結局女神のやっている事と何も変わらないだろう。私の場合オーソドックスな型で面白味もないが、お皿の上に置き、スプーンで片方の皮を食した後に、中の餡をストローで吸い、残ったもう片方の皮はお湯で戻し、少し水を飛ばしたら生卵を混ぜてしっかりとこねて、180度のオーブンで15分焼きクッキーにして食べちゃう派なので、素手で掴み食べる様な乱暴な方法は到底出来ぬ。

ただ、こしあんのたい焼きの場合は大丈夫だが、つぶあんであると、大粒の小豆がストローですすり切れず残ってしまう為、通常のクッキーから残った小豆の入った小豆クッキーになる。これもこれで美味しい。是非試して下さいね♡しかし、怒虎の表情を見て欲しい……私達が憧れ、目標としていたあの強くて逞しい怒虎が……まるで借りて来た猫の様に大人しくなってしまっている……絶対的な力の差に絶望し、凛とした表情の怒虎ですらそんな表情にならざるを得ないという事か……

       △ △

【助けて……(= ;ω;=)】

と、訴えかける様な瞳で私を見て来るのだ……人の身でありながら烏滸おこがましいとは思うが、神獣の彼に同情を禁じ得ない……終焉を悟り、諦めに満ちた表情。私はこんな彼の表情を見るのは初めてかもしれぬ。ご存じの方も多いと思うが、怒虎は神獣、いや、全生物の中でも最高峰にポジティブな獣なのだ。どんな時でも前向きに捉え、前進していく。

その教えは、人間でありながら、怒虎達にその精神を植え付けたと言われている

【松谷修造】

から授かった金科玉条。創造主の神よりも尊敬している唯一の人物。彼の教えの特長は、悪いとされている物の中でも良い部分がある。それを見つける事で何事もポジティブに生きようぜ! と教えている。例えば太ってしまえば、みっともないと嘆くのではなく、貫禄が出た! と喜び、髪の毛が薄くなってしまえば、頭寒足熱が捗ると歓喜し、大好きな限定スイーツの行列に並んだ時も、自分の前の人で売り切れ、待たされた5時間が無駄になったとしても、その間、前の人と楽しくおしゃべりが出来、初対面ではあるが、

「甘党と言う共通の趣味を持つ者同士と触れ合う事が出来たから別にいいにゃん」

と、心の底から喜べる様な、そんな前向きな神獣なのだ。弱音も決して吐かない。そして、もしも生命の危機にさらされる様な出来事に対面したとて、最後の最後まで決して諦める事なく、その苛烈な運命に抗い、それどころかそれを楽しみながら戦い、そしてその全てを乗り越えて来た。それに全力であれば光と全く同じ速さで走る事が出来る怒虎。相手が女神であったとしてもこんなあっさり捕らえられる事などあってはならぬ事だ。まあ女神が光よりも速ければどうしようも無いもんなあ……しかし、彼の表情からは抵抗をする気概が一切感じられぬ。まな板の上の鯉状態……最早逃げようとする気力すらないという事か……

「何度ギザ逃げてもギザ無駄ですよ。ぬふふぅww」

と一回捕まった時に釘を刺されてしまったという事か……ギザオリハルコン製の釘をな……そしてそれがハッタリでは無いという事を実際に味わってしまったと言う顔だ……これ程までに前向きで諦めが悪く、極限までに鍛錬された肉体の持ち主ですらこの慈愛と進撃の巨人女神に掛かれば、あっさり捕らえられ、彼女のスイーツに早変わりしてしまう。この神聖な生物を食べようと言う考えに至るとは……彼女の発想力は尋常じゃないな……流石慈愛と進撃の巨人女神だ。しかし、やけに豪華なスイーツであるな……魔力の塊であるぞ? だが逆に考えると、彼女の慈愛と進撃の巨人女神力は、これ程の存在を食さなければあっと言う間に枯渇してしまうのかも……だとすればこれはやむを得ない犠牲なのかもしれない……そう、神の世界でもあるのだ。

【弱肉強食】

が、な……否、厳密には

【神獣肉慈愛と進撃の巨人女神食】

であったな……

「サイコロタイムです。たあ! 1ですね。白川さんからです!」

「うーむ……よし!」

相変わらず早いな……

「どうぞ!」

『去年に比べて、5ミリ程すり減っています』

ドッ

「成程。岩が風によって少しずつ削られていく浸食の様に、この子も舐め続けられた事でそっち側だけすり減ってしまったんですね……自然の厳しさを感じるお答えですね……」

「ではアリサさんの番です!」

「えー? 難しいなあ……」

「時間は幾らでもありますので、安心して下さい」

「あっ! これならいいかも!」

「おお、早い! ではどうぞ」

『血圧130の78、HDLコレステロール53、LDLコレステロール122、HbA1cが4,6、視力は右目0,003で、左が2,0、体重6キロの体脂肪率30です。はい! どれもギザ正常ですね』

『あにょー、他に検査方法ってにゃいんですか?』

ドドッ

「ああ、これは捕食の瞬間では無く、町の診療所でののどかな検査風景だったんですね? 口で触れる事で、内部の情報を読み取れる、ただのスーパードクターだった? 人は見かけによりませんね。しかし検査されている側の右目の視力が極端に低いのはどういう事なのでしょう? まさかこの検査の影響で下がってしまったのでしょうか? そうだとしたらギザハイリスクですね。そしてこれだけ視力が低いのにギザ正常だって言ってますよ? どう考えてもおかしいですよ? ギザって何なんですか? 教えて下さい!! 謎が多いですね。うーん……これは……アリサさんでしょうかね?」

「よっしゃああ」

「まあいい、これは難しかったぜ」

「では次のお題です」

挿絵(By みてみん)

ん? これは? 恐らくそういう種類のお茶であろう。これにどう言葉を加えればお笑いになると言うのだ? 選手のセンスが試される難問と言えないだろうか?

「ではサイコロですっやあっ! 4ですね。偶数なので、アリサさん先攻です」

「うーんどうしよう……」

「ゆっくり考えて下さい」

「うーんうーん……あっこれで行って見よ」

「どうぞ!!」

『時々キツネの髭も混ざっている』

ドッ 

コーン茶なだけに? 成程」

ぬ? ちょっと待てよ? おかしいな……確かキツネの鳴き声は……すまぬ、度忘れしてしまった。ちょっと調べておくか……確かアリサが言うには

【不思議に思った事は1分以内に自分自身で調べる!】

だったよな……ならば急がなくては!! ゴソゴソ えーと、

【語り専用PC 】

内に住んでいる

【語り専用GOOGLE先生

で検索してっと……まずはkでしょ? ポチ。で、次が……Iで、ポチ。その次は確かtで……次は……yか? あっUじゃない? どっちだったっけ? ううむ良く分からぬ……そしてN、Eで何とか全体の40%達成した。ぬふうぬふう……お茶を飲まなくては……この作業は水分の消費が著しい…… グビグビ。では続きだ。憂鬱だなあ……でも頑張らなきゃ!! ええっと……N、O、で、次が……N、A、K、I、G、O、Eッと。ああ、終わったぞ。やっとだ……ヌハァヌハァヌヒィヌヒィヌフゥヌフゥヌへェヌヘェヌホゥヌホゥ……辛いなあ……また命……使っちゃったね……そして! エンターキーを力強くターン!! 

★☆ターン☆★

おっと出て来たぞ……ほほう……やはりそうだ……アリサよ、まさかお主ほどの女がこの重大な勘違いに気付いていないというのか……

「では、続いて白川さんです」

「うーむ……」

「さあ、悩んでいる!」

「これか? いや……これしかない」

「どうぞ!」

コーン茶お1つですと600円のところ、姉妹品のローン茶 (600円)と、ユーン茶 (600円)をセットで買うと、1980円でお買い求めになれます』

ドドッ

「おっと1980円と言う2000円に少し届かない数字を見せる事で、お得感を出しているのでしょうが、簿記2級の資格を有し、家計簿を毎日付けているこの私は騙せませんよ? これらはそれぞれ単品で買った方がお得です! しかし、ローン茶ユーン茶はどんな味がするんでしょうね? ユーン茶は想像が付きませんが、ローン茶はローン地獄の苦しさになぞらえ、とても苦いお茶なのでしょうか? えーと、これは白川さんでしょうね」

「よし」

「流石プロね……まあ諦めないけどさ!」

「では第8問目です」

挿絵(By みてみん)

これはキツネであるな。可愛いな。うむ、安らかな寝顔で癒される。

ようやく普通のお題登場である。こういう事もこの運営は出来るのだな。少し安心したぞ。

今まではキワモノばかりで、考る余裕なかったからな。こう言う考えやすいお題なら、素人の私でも思い付くかもしれぬな。

「サイコロタイムはい! 5ですね? 白川さんの先攻です」

「よし……きたぜ!!」

「どうぞ!!」

『コン美さん! ケッコーンして下さい! 新コーン旅行は、コーンゴ共和国で、お笑い芸人のキングコーンゴのコーントを鑑賞しながらコーンデンスミルクをたっぷりかけたコーンフレークを食べましょう!!』 

『オーマイガッ……ガッデムガッデム! コーンチクショウのコンコンチキがぁ』

コンコン

『コン美さん? どうしたのです!? 頭をコンコン叩いたりなんかして??』

『悔しいの。嬉しくて……そして……悔しい』

『え? そ、それは一体……? 悔しいという事は、もしかしてケッコーンしたいけれど何か理由があって……ハッ……まさか僕がただのアルバイトだから、ご両親が許してくれないのですか?』

『コン吉さん。あなたには何一つ落ち度はないの。全ては私……私のこの体』

『あなたの体がおかしい? 何がでしょう? 私は何一つおかしいとは思いません。あなたの美しいオレンジ色のボディと、その美ボディが包み込む幻想的な青の球体とのコーントラスト。究極の美です。ずっと見ていたい位に!』

『……OHそんな風に思っていただなんて……嬉しい……嬉しいけど……アイムソーリーヒゲソーリーワキゲソーリーケツゲソーリー。実は私、姿やツイッターのアイコーンは狐に似ているけど、実はウェブブラウザのファイガフォックスなの』

『そ、そんな……コーンなにも可愛いのに? コーンなにも美しいのに? でも通りで最近パソコーンの速度がサクサクだし、プライバシーを一切侵害せず、スピードとツールを揃えてくれるし、ファイガフォックスブラウザーはユーザーに関するデータをほとんど収集しないため、ダウンロードの際にメールアドレスもいただきませんし、他社ブラウザーとは異なり、金銭的利益を求めてウェブ上でユーザーを追跡する必要がない訳だよ……コーンなの、コーンなのって……酷いよ……ズコーン』

ドドドッ

 かなり長めのネタだ。白川も中々やるな。しかし、ネタの随所に紛れ込んでいる【コーン】と言うワードは何なのだ? まさかそれをキツネの鳴き声として認識していて、それと掛けているのか? フッ成程な。だとしたら白川は本来のキツネの声を知らないただの阿呆だと言う事だ。

こやつはそんな事も知らずに紫色の髪の毛をして、Gと書いてあるTシャツを着ているという事か。そんな事をする前にやるべき事があるであろう! 芸人にとって、動物の鳴き声の把握は必須科目と言っても良い程重要な物。

芸人は、ネタ中で色々な役になり切らなくてはならないのだからな。保険の勧誘員や学校の先生。何にでもなる。そして、時には犬になる場合もある。その時、にゃー等と言ってしまっては、恥以外の何物でも無い。

全く、話にならないな。まあこれも仕方のない事であろう。あのアリサも同じミスをしていたしな。

私も先程気になったので1分以内に調べたばかりなのだ。その事をしっかりと語らねばならぬ。キツネはコーンとは泣かない筈である。

本来のキツネの鳴き声とは、犬の様に「ワン」と吠えたり、「キューン」とか「キャー」と鳴くのだ。これは私が先程調べたページだ。見て欲しい。

挿絵(By みてみん)

この様に……ん? 下の方にもまだ何かあるぞ? ほほう……

挿絵(By みてみん)

何だと? コンコンと鳴く場合もあるのか。その場合とは、求愛時の……ハッ……何て事だ……何故私はコーンな事に気付けなかったのだ……何も知らない阿呆なのは……他ならぬ、私だ……白川の演じた、振られてずっこけたコン吉さんは、今正にコン美さんに求婚をしていた最中であった……だから、異性と対峙している時は、コンコンもしくはコーンで正しいのだ。

奴は……そこまで考えていたと言うのか? くそぅ……白川は全く間違っていなかった……キツネのTPOに応じた鳴き声の使い分けを調べずともしっかり出来ていたのだ。

わ、私は、検索してしたり顔になり、最重要部分を把握出来ていないままに語ってしまっていた……そうだ。知識をひけらかそうとして、逆に恥をかいてしまったのか……哀れであるな……次からはしっかりと最後まで調べてから語らなきゃ……皆さんにお願いがある。

数行上に語られていた内容は脳みそから全て消去してくれ……頼む<(_ _)> アリサよ、奴は、手強いぞ! 気を引き締めて戦うのだ……ぬ? 見なかった事にしてやるからお前もこのお題をやれだと? 確かにそんな様な事を語った様な……はたまたそうでもない様な……そんな気もしないでもないが……何故今なのだ? 私は今恥を掻いちゃってしおれている状態の語り部だぞ? 物語の進行だけで精いっぱいだ。そんな暇はないのだ! 絶対に嫌である! 今はこんな素人のキツネネタなんぞより、この戦いの行く末の方が楽しみであろう。また後で気が向いたらな!

「なんと! まさかコン吉さん女の子キツネとウェブブラウザを見間違えてプロポーズしていたと言うのですか? 確かファイガフォックスのアイコンってこんな形ですよね?

挿絵(By みてみん)

そして、そのアイコンが、コン吉さんに生身のキツネではない事をバレずにお付き合いしていたという事なのですか? うーん……一瞬で気付くと思いますが……恋は盲目と言う言葉もあります。本当に気付かなかったのでしょうね。そしてお題のあの画像は、最後に振られてしまい、ずっこけているシーンを表しているという事なんですね? 成程! 斬新でいいですね。では後攻のアリサさんどうぞ!」

「うーんうーん」

「ゆっくりでいいですよ?」

「ハッ! 閃いた!」

「どうぞ!」

『ねつきいいきつね』

ドドドッ

「ほほう、俺のネタには劣るがなかなかいいな」

「おお確かに寝つき良いですね……? ハッ! こ、これまさか回文になっていませんか? 分かるんですよ私。先輩に教えて貰いましたから」

「え? 何の事?」

「コネこそ子猫。これも回文です」

「あっもしかして司会の言ってたやつ? あなた司会の後輩なんだ」

(そういえば控室で誰かが言っていたような気がする)

「そうです。私はずっとそれを胸に抱き生きています。お陰で私は今、この大舞台の司会進行と言う華やかな仕事が出来ています。味噌先輩の言う事は間違っていなかったんです」

確かに彼の後輩でなければ代理でも司会に抜擢される事は無かっただろう。コネを作っておく事は大事なのかもしれぬ。

 因みに回文とは、

【たけやぶやけた】

とか

【イタリアでも〇モでありたい】

などの逆から読んでも全く同じ響きになる言葉を指す。

例に挙げた2つの回文には無かったが、一般に濁音、半濁音、促音、拗音は、清音と同一として考える事が多い。

すなわち、「は行」と「ば行」と「ぱ行」、「つ」と「っ」、「や」と「ゃ」などは逆にした際に入れ替わっても問題ないものとするルール。

だが、アリサは逆から読んでも同じ響きになる様な綺麗な回文を瞬時に作っただけでなく、寝ている狐の写真とも見事マッチさせたのだ!!

「パッと閃いたんだよね。ここまで冴えてるのは初めてかもね」

「凄い! ですが白川さんもかなり長いネタで良かったんですよね。甲乙付け難いです。

うーん……分かりました! ここは、会場の皆さんの判断に任せましょう!」

「なにい?」

某タイヤ人のエリート王子をほうふつとさせるなにい? を放ってしまう白川。

「え? やった! まだチャンスはある! みんなお願い! アリサに力を貸して!」

「では白川さんだと思う方々は拍手お願いいたします!」

パチパチパチパチ

「ではアリサさんだと思う方々は拍手お願いいたします!

パチパチパチパチパチ

「グッ……あんな短いネタに……」

とは言っても白川は、それ以上強く出られない。それは、その短い中に色々な技術が集約されている事実を認めざるを得ないからだ。

「これはもしかして……私?」

「うーん、これは微妙ですが、アリサさんでしょう! おめでとうございます!」

「よかったーみんなありがとう♡私、まだ、舞えるんだ!」

 

私の書いている小説です

リンク先はブログより4話ほど進んでいます。先が気になる方はご覧下さい。

https://estar.jp/novels/25771966

 

https://novelup.plus/story/457243997

 

https://ncode.syosetu.com/n1522gt/

 

神裔VS神裔

「では第1問」

挿絵(By みてみん)

 これは? 怒虎ではないか? もう珍しくもなくなってきてしまったな……こんなに沢山の怒虎の写真が残されていればそれもしょうがない事……時代は変わったな……ほう、この怒虎は仕留めたばかりの大蛇を今正に食べようとしてい……ぬう!!? ひぃ……ひ、左の【あれ】はなんなのだ? 怒虎よりも遥かに巨大な【存在】がある様に見えるのだ……!

ゴシゴシ

いや、私の見間違いではない。確実に居る……!! 画面端に全貌は露ではないが遥かに大きな存在が……! 一体あれは……確か怒虎の大きさが高さ2kmで幅1kmで体重が300トンである筈だ……そこから比較し、目算していけばあの巨大な存在のおおよその大きさが算出出来る筈。ううむ……画像では怒虎の大きさは私の人差し第二関節位だ。もし怒虎背を正し、直立したとて1本分程度か……そしてその巨人は……恐らく左足のスネの真ん中あたりまで確認出来るが、その確認出来る部分だけで比較しても怒虎より大きいのだ。

ここからイメージで、この存在は写真に写っている4倍以上は高さがある筈……故に高さ8~9kmで幅も4km、体重は2300トン以上はある巨人という事が推測出来るな……これだけ大きい巨人となると絞られてくるぞ……よし、調べてみよう。えーと、ゴソゴソ……ジャジャジャジャーン

【語り専用PC 】

だ! 私は語り中にこっそりこの中に住んでいる

【語り専用GOOGLE先生

に、分からない事を尋ねつつ語っていたのだ。別に悪い事ではないが言うまでもないと思い今まで秘密にしていた。ではその彼に聞いてみよう。いつもお世話になっております♡まずはここで語り専用マウスと言う外部入力装置を使用する。これをPCに差し込み使用する。で、そのマウスの裏には玉っころが搭載されていて、それを上手い事床の上を事滑らせる事で語り専用カーソルを移動させる事が出来る。それを巧みに操り、語り専用検索バーと言う検索する際に入力出来るスペースがあるのだが、その中にカーソルを移動させる。次にマウスの左側のボタンクリックを一回する。クリックとは押すと言う意味だ。右手人差し指でしっかりと押す。これがこのバーに文字を打ち込みますよ! と言う命令指示操作となる。これをうっかり忘れると、キーボードを幾ら叩き文字を入力したと思っても全く反映されないのだ。そう、打ち込んだ労力が完全に無効化され、時間と命を大幅に損してしまう。故にしっかりとやらなくてはな。これは語り専用PCだけでなく通常のPCの基本でもある。忘れるでないぞ? で……高さだから……T、で、次がAでしょ? 次がK、で……A、S、A、で高さ完成っと。ぬふう……疲れるなあ……だが、まだ戦いは始まったばかりなのだ……この様に一つの事を調べるにも相当な命を使う。これが私の仕事なのだ……全く……割に合わぬ仕事である……で、9に、K、mと! よし半分終ったぞ。ぬふうぬふう……で、次は重さを入力するんだよね? えっと……その前に一旦語り専用スペースキーを押して間を開けてから……2,3,0,0、t、で完成! なんとか重さの数値も打ち終えたぞ。もう一息! 頑張れ私! そしてN,O、で【の】を作り出し、最後の仕上げにK、Y、O、J、I、N、Nと打ち込み、完成だ! そして! 語り専用エンターキーを力強くターン!!

☆ターン☆

ぬはぁ終わった……これはかなりの命が削られたわ……どれどれ? ぬ? 出て来たぞ!

な、成程。あれはギリシャ神話に記された、巨人ヘカトーンケイルと言う巨人族なのか? 言われてみれば禍々しき邪闘気がこちらにも届く様である……! これはそのヘカトーンケイルが怒虎と会話しているシーンなのだろうか? 一体何を? 恐らく人類の身勝手な行動に不満を吐露しているのだろう。しかし、こんな画像を如何にしてここの運営は入手出来たのだ? ま、まあよい。まずはこの写真で対決する様である。さて、どんな戦いに?

「ではサイコロです。はい! 3です。白川さん先攻!」

「くっ……よし行くぜ」

流石に早い。ものの10秒で閃く。

『これでおさかにゃ捕まえてくるんですか!?』

ドッ

「おお中々の反応です。では後攻アリサさんです」

「考える時間も無いの?」

「あ、説明し忘れましたが制限時間は無いです。申し訳ございません。ですからじっくり考えて頂いて結構ですよ」

「そうなんだ! でもっ! はいっ!」

アリサも負けじと10秒で閃く!

「どうぞ!」

『大縄跳びの回す係の人が非力すぎる』

ドドッ

「むぅああ……」

VIP席からも感嘆の声が、恐らく蘇我子だなこの戦いをしっかりと観戦している様だ。そして、アリサのネタに「まあ……」と感動しているのだろうな。

「おお! こちらも中々の反応です。小学生の観点からの見事なネタですね! ですがこの学校は猫も生徒として学んでいるのでしょうか?

男女猫共学の珍しい学校ですね。これは拍手の大きさが違いますね。言うまでも無くアリサさんです!」

「やったー」

「おい! おさかにゃネタ面白いだろ!! ったく……客のセンスなってねえなあ」

客のせいにする白川。

「まあまあ、こう言う事もあるってww」

余裕のアリサ。

「アリサさん1ポイント先取! では第2問です」

挿絵(By みてみん)

これは? 虎であるな。怒虎よりは大人しい生物ではあるが、猛獣である。そんな獣がアリサよりも幼い幼女を追いかけているぞ? 撮影者は何をしているのだ? 暢気に撮影などする余裕などない筈であろう?

そのキャメラを手放し、急いであの幼女を助けるのが優先の筈だが、全く焦る様子もなく淡々と撮影しているな。

写真の仕上がりが見事で、手ビレ等で一切画像が歪む事なく撮影されている。そこからも良く分かる。この画像の撮影者は人間ではない。恐らく悪魔なのだろう。

もし撮影者が人間であれば、同じフィールドにいる以上当然危険が危ない筈だ。だが全く物怖じする事無く撮影出来ている事実から、自分には絶対虎は来ないと言う確信があっての行動。故に

【人間以外の存在=悪魔】

と言う単純な等式が成り立つ訳だな、その悪魔は、幼女が獣から逃げ惑う様を至近距離で楽しんでいるに違いない。そして、それを一回見るだけでは飽き足らず、撮影し写真に残す事で脳内で反芻させるだけでなく、その写真を見る事で何度も何度も楽しもうと言う事か……これは完全に撮影者のエゴイズム以外の何物でも無い……それにしてもこんな写真が出回ったと言う事実が恐ろしい。このような犯罪スレスレの画像を流しても平気な顔をしている輩が確実に最低でも一人はいると言う事実が明るみに出てしまったからだ。

そう、こんな事をしても大丈夫。安全な所に居るからね! とその悪魔は我々一般人や警察に挑戦状を叩き付けているという事なのかもしれない。だが私達はそれを手をこまねいて見ている事しか出来ない事実……(´・ω・`)そして私はこの画像を見て気付いてしまった。それは、本当に罰せねばならぬ存在と言うのは、実際は安全な所に隠れつつ悪事を行う為、決して表に出ることなく生き続ける物なのだなあ……という事をだ!! これが世に言う

【憎まれっ子世に憚る】

と言う言葉の真の意味なのだ。そして、その悪事を時々こうやって人々に見せつける事で、快感を味わい更に、

【お前たちは無力だ】

と言う事を伝えて来ているのかもしれない。こうして我々の無力さを痛感させているという訳だ。まあ折角悪い事をしても、誰にも気付かれなければやった意味は無いと言うひねくれた考えを持つだろうからこうしたアピールをしたいのだろう。寂しがり屋の悪魔なのだ。こんな目的で犠牲になった幼女も、それを追う虎も、これを見せられている我々も、全てが犠牲者なのかもしれない。そう考えるとこれは悲しい画像だな……作った本人以外誰も得をしない。

この数秒先を想像するのが非常に怖い写真であるが、こんな悪魔の生み出した写真を果たして面白くする事は出来るのか? 選手の腕の見せ所だな。

「サイコロは? はい! また奇数の1ですね。先攻白川さんです」

「うーんうーん。よっし」

「早いですね! どうぞ!」

『お前も反神タイガーズに入れー』

ドドッ

「ああ、これは獲物を狩る虎と、逃げる幼女の写真ではなく、女子野球選手の勧誘なんですね? 強引な勧誘ですねえ……しかし、スカウトマンのスカウト方法もその姿もちょっと野性的過ぎますよ。

では次は、後攻のアリサさんです! お願いします!」

「これで行けるかなあ」

「すごい! もう思い付いてらっしゃる? ではどうぞ!」

『親父があたちに与えたちれん(試練)』

ドッ

「酷い父親ですね。目的は何なんですかね? 女の子が虎に食べられる危険性がある中、あえてこの試練にしたと言う理由は? この試練の果ては、女の子が虎のエサになるか、何とか逃げ切っても下半身だけムキムキのゴリラの様な幼女になるかの2つに1つですよ? どっちにしても嫌ですよね? うーん、これは白川さんですね」

「よしっ! 今度の客はセンスがあるな!」

同一人物であるが……

「くうーくやしい! 差を付けて余裕を持ちたかったなあ」

「白川さんも1ポイントです。並びました! 第3問です」

挿絵(By みてみん)

何だこのお題は? 男達が9人いるな。しかし、8人は表情こそ違うが同一人物だな。

中央にいる人物は、良く見るとカリフォルニア州の元州知事のツュワルシェネガーではないか? この2人の男達、一体どういう関係性があるのだ? この運営の傾向が全く掴めぬな……このお題一体何が正解だというのだ?

「サイコロタイムです。はい! 4ですね。という事は、偶数が初めて出ました。アリサさん先攻です」

「一瞬で出たわ」

ほほう、このお題でか……

「おおっ! どうぞ!」

『10連ガチャで全部被りかなと思ったら、最後の最後でウルトラレアの大当たりが来た!!』

ドドッ

「うぇ? ぬぅあぬぅいくぁすぅいるぁ? ゆぅぉくうぁかるぁぬぁういぅぁ? どぅえむぅぉおいむぃをすぃってるぁっしゃるうくぅたぁぐぁつぁぬぁるぅぁあおむぉすぃるぉうぃんどぅえしゅぉうぬぅええ? うぁつぅぁすぅぃいむぅおむぅおすくぉすぅいあんつぅえぬぅあをふぃるぅぉぐぅえぬぁくぅえるぅぇヴぁいくぅえむぁすぅえんぬぅえ……」

訳「え? 何かしら? 良く分からないわ? でも意味を知ってらっしゃる方々なら面白いんでしょうね? 私ももう少しアンテナを広げなくてはいけませんね……」

「これはソシャゲの10連ガチャですね? そのガチャ結果の画面だと考えたんですね? 流石小学生ですね。今風ですねえ! 真ん中が大当たりなんですね? 何となく分かります。

当りが最後という事は、左上から時計回りに一つずつ排出されて、最後に真ん中が開くと言った感じで終わるガチャなんですね。開き方も珍しいですね。

ですが、回した人も途中まで被りのゴミクズばかり出てイライラしてたでしょうねぇ? でも最後の最後で報われましたねえ……でも10連ガチャって仰っていませんでしたか? どう見ても9個しか排出されていない様な? 故障していますねこのガチャ。これ、運営に通報できませんか? ま、まあいいですね細かい事は。しかも、大当たりも来たんですからね。

もし文句を言って、じゃあ再度引き直しましょう。なんて言われて、折角引いた大当りまで回収されて、引き直しで爆死だったら目も当てられませんし。では、後攻の白川さんです!」

「うーん……」

「あっ、白川さんが珍しく長考されています」

「よし、いける!!」

「閃いたみたいですね! どうぞ!!」

『海外のおそ松様』

ドドドッ

「アリサさんとは対照的に、昭和のアニメで攻めたあ! あれ? 実写だからドラマですね? ちょっと待って下さい? おそ松様って確か原作では赤塚藤子不二夫先生の、6つ子が登場するギャグ漫画ですよね? どうして9人なんでしょうか? あっ成程! 分かりました! 海外って言ってましたもんね! 海外だと9人になっちゃうんです! 日本のドラマをそのまま使うのではなくて少しアレンジをするんです。そして今回は人数を少し水増ししたんですね。何でもスケールを大きくしたがりますからね海外のドラマって! 監督さんが、

「ジャパニーズと同じ数じゃつまらないデース! 1,5倍に増量シマース!!」

って感じですね? 分かります。しかし、追加された3人の名前は何なんでしょうね? 赤松、黒松、後始末でしょうかね? 後気になったのですが、真ん中の子だけ同じ遺伝子配列とは思えない程異様に発育が良くないですか? どう考えても別のグループですよね? まあ似てない双子も居る筈ですから、9つ子にもなれば、一人や二人変わった子がいてもおかしくないですね。納得しました。しかしこの豪華メンバー達で一体どんな物語が繰り広げられるのか……個人的に気になります。うーん……これは歓声の盛り上がり方が違います。これは白川さんでしょう!」

「よし! どうだ!! 逆転だぜ?」

「うーん、ソシャゲネタは駄目だったかー、悔しいよー! リセットボタン欲しいよー」

「馬鹿め、人生もソシャゲにもリセットボタンなんぞねえよwお前はな、思い付いた物を勢い任せで言うからダメなんだw客にうけるかどうかを言う前にしっかり判断して、駄目なら却下しろ! 時間はあるんだからよ!」

「くー、でも確かに……言われてみればそうだったわ……」

「白川さん2ポイント目です! 一歩リードです! そのまま突っ走るのでしょうか? そして連取され、ピンチですアリサさん。

一体どうなってしまうのでしょうか? 続きまして第4問です」

挿絵(By みてみん)

これは? 男性の髪型が生き生きと爆発しているな。

「では……サイコロです。行きます! 6です。と、言う事は? アリサさん先攻ですね。どうぞ!」

「うーんとうーんとあーでもないこーでもない」

「時間はありますから、落ち着いて下さい……!」

「よし! これで行ってみるか」

「どうぞ!」

『防御力+31 攻撃力+385』

ドドドッ

「頭に装備する防具なのに、攻撃力も上がるタイプのお得な装備ですね? 確かにあれに切られたら痛そうですね。と言うかコレ装備なんですね? 髪の毛の形してますし……と、いう事は? この人カツラって事になっちゃいますけど……ばらしてはいけない気がしますが……では後攻の白川さんどうぞ!」

「……どうするか」

「時間は幾らでもあります」

「うーん……よし、これ行ってみるか……」

「はい! お願いします!」

『骨山臑男すねお35歳』

ドドッ

「こ、これは……アニメの銅鑼衛門でお金持ちキャラの臑男君が、25年後にはこんなにもダンディで素敵な漢になって……ポッ♡……て、あれ? 臑男さんって確か小柄で、鳥類のくちばしの様に尖っている口元をした少年でしたよね? お顔も少々変わった気がします。それに全体的に大きい様に感じるのですが……髪型の迫力でそう見えるだけでしょうか? まあ、体までは見えませんもんね……顔はあれでも体は小さいという事でいいですね? そう考えると萎えちゃいますね……それにしても確か日本人だったような気がしますが……髪の色が……人種も変わっている様な気がしますよ? これも気のせいですか? うーん……これはアリサさんでしょうか?」

「よかったー」

「では次の問題です」

挿絵(By みてみん)

これはコートジボワールのサッカー選手か? その上に口癖を聞いてくるテキストが。これはどういう答えが最適なのだろう?

「サイコロタイムです。はい! 2ですね。立て続けにアリサさんです」

『今年ももう終わーる』

ドッ

「まだ七月の終わりですよ? まだ少しありますね。変な口癖ですね。口癖って言うからには新年から毎日言っているのでしょうか? では、白川さんお願いします」

「これは簡単だぜ」

「おお! どうぞ!」

『ξ§ΘΔν£ЖΦ(=^ω^=)(*´▽`*)bЩ』

ドドドッ

「え? なんて? 何を言っているか全く分かりません。ですが、盛り上がりが凄いですね。これは白川さんでしょう」

「やったぜ」

「結局差が縮まらないなあ」

 

私の書いている小説です

リンク先はブログより4話ほど進んでいます。先が気になる方はご覧下さい。

https://estar.jp/novels/25771966

 

https://novelup.plus/story/457243997

 

https://ncode.syosetu.com/n1522gt/