magisyaのブログ

小説となぞなぞを投稿してます

私の行く先々で事件が起こる件について 22、23話

22話 育谷江大の上司の過去

------------------------20年前------------------------

 

 少年は、そこに立っていた。

挿絵(By みてみん)

11歳のあどけなさの残る。

赤い帽子と履き古したスニーカーを身に着けた

ごく普通の……? いや……

彼の目だけは、普通の経験をした

少年のそれではない。

幾多の戦いを経験したおとこの目。

それもその筈。

目が合えば問答無用で戦いを挑んでくる

凶悪な老若男女のトレーナー達。

それらを数百人退け、各町に存在するジムで

ジムリーダーが持っている

8つのバッヂを手にした者のみが立てる場所……

ここは、モケポンリーグ

腕利きのトレーナー達が目指す最終地点。

 

 それは、凄まじく厳しい戦いで

4人の強敵四天脳を倒して初めて姿を現す

チャンピョンを倒さないといけないのだ!

 

当然一度戦闘エリアに足を踏み入れたら

勝ち抜くまで戻る事は出来ない

まさにデッドオアアライブ。

しっかり回復薬の備蓄をしていなければ

途中で力尽きてしまう。

挿絵(By みてみん)

だが少年は、激闘の末四天脳を撃破。

ついにチャンピョンが姿を現す。

 

……!? 

 

子供である……しかも、その顔には見覚えが

チャンピョンは何と

少年と共に同じ町から旅立ったライバルの少年。

その名は、クリーンだったのだ。

 

「よおーッ! !おまえ!

おまえも きたか!

…… はッはッ うれしいぜ!

ライバルの おまえが よわいと

はりあい ないからな!

おれは ずかん あつめ ながら

かんぺきな モケポンを さがした!

いろんな タイプの モケポンに

かち まくる ような

コンビネーションを さがした!

…… そして いま!

おれは モケポン リーグの

ちょうてんに いる!

おまえ!

この いみが わかるか?

…… …… ……

…… わかった! おしえてやる!

この おれさまが!

せかいで いちばん!

つよいって こと なんだよ!」

 

と言い、戦いは始まる。

挿絵(By みてみん)

 まず

鳩の様なピジッョトを使い

つばさで欝、吹き飛ばすゾ等を使用し翻弄。

そいつを倒すと

 

 狐の様な顔で、太く長い二本の髭を生やし

黄色い皮膚をしたモケポンのフデーィンが登場。

素早い上に賢くて、サイコキネツスや

サイケ光線爆弾で苦しめてくる。

 

 そして次は、大きなさいの様なモケポンの

サインドを駆使してくる。

そいつの恐ろしい

にらみつけろとしっぽふりふりで防御を下げてからの

強烈なみだれ月は痛いにも程がある。

それを退けると次は

 

 やしの木を彷彿とさせるモケポンの

ナッーシが登場。彼の催眠街で眠らせてからの

ふみつけろや、たまなげろのコンビネーションも

尋常ではない。しかし

その大リーガーも裸足で逃げ出す程

剛速球の【たま】の間を掻い潜り

ほんの僅かな隙を狙い、必殺の一撃を叩き込む!

 

 そして彼は、伝説の炎モケポンまでも操る。 

その名はウイィンデ。

炎のように赤い毛皮を持つ大型犬のモケポンだ 

彼のにらみつけろからのほえろの

コンボに恐怖しながらも果敢に戦い続ける。

 

 最後に登場するはカメスクッ

祖父の大木怒博士から貰った最愛のパートナー。

水色の表皮と甲羅を持ち、大きい大砲を二門

背中に装備した亀型のモケポン。

彼が挑戦者の少年と共に旅立つ時は

まだ小さいコゼニカセギガメであったが

身長3倍、体重10倍以上の大きさに進化し

少年を迎え撃つ!

 

 必殺のからにこもろとかみつけで

激しく攻撃してくる。その猛攻を退け

満身創痍の中勝利を手にしたのだ。

 

 何? チャンピョンの割には

技がしょぼいのではないかであるだと?

それにサインドの技構成は防御低下が二つある

一つでいいのではないかだと?

む!! 鋭いな。

 

 サインドの防御低下二つ持ちの理由は

私の考えではあるが恐らくこんな理由がある。

それは……かなしばれ対策なのだ

かなしばれとは、相手の技一つをランダムで

数ターン使用禁止にする恐怖の技。

せっかく防御を下げて弱ったところに

鋭い攻撃をヒットさせるという素晴らしいコンボ

その前段階を封印されては意味がない。

 

 だが、その完璧な技、かなしばれにも欠点がある。

それは、一つの技しか封じられないという事

故に、しっぽふりふりが封印されている時は

にらみつけろで、にらみつけろが封印された時は

しっぽふりふりで確実に守備力を下げる事ができる

こうする事で……何?

それじゃ肝心の攻撃技の、みだれ月が

封じられたらどうするのだ?……だと?

 

……

 

……

 

……

 

そ、そそそそういう確率は

絶対確実にないので安心してほしい。

 

 そして、技がしょぼい事に関してだが

そうなのだ。彼は途方もない

縛りプレイをした上でリーグを制したのではないか?

という結論に達した。

だがこれは、直接本人に聞いた話ではない

あくまで仮説という前提で聞いていただきたい。

その縛りとは、スキルマシン使用禁止と

レベルアップで習得した技は必ず覚えさせると

といった内容だ。

 

一つずつ説明していく

 

 スキルマシンとは1から50まであり

そのマシンには、技のノウハウが入っている。

本来の成長では覚えない技でも

適性があれば使用するだけで強制的に

番号に対応した技を覚えさせる事ができる。

 

 ただその際、4つまでしか技欄がないので

技を一つ忘れさせなくてはいけない。

今まで使っていた馴染みの技を強制的に

忘れさせられたモケポンは

 

        ξポカンξ

 

という凄惨な破裂音と共に

今の今まで覚えていた筈の技を跡形もなく忘れ

同時に激しい頭痛を伴う。

それもその筈、強制的に全く新たな情報を

頭に流し込まれる訳だ。そう……強制的に……

その音は恐らくモケポンの脳細胞が

1億個消滅する時に響く音だと言われている。

マスターが任意のモケポンの頭にヘルメット状の

器具を装着させて使用するマシンだ。

モケポン達は専用の捕獲ボールに閉じ込めているので

逃げたくても逃げられない

 

そして 元々あった物を忘却していく時

 

「イタイヨ クルシイヨ」

 

言葉は話せないが、そんな事を習得中に

思っているかもしれない。

可哀想と思う方もいるかもしれないが

負けたら所持金を支払わなくてはいけないバトルを

仕掛けてくる訳だから、使える物は何でも使う。

そういう風潮に世界中が変わっていった。

しかし、彼は自分のモケポンを

そんな目に合わせたくないという優しさから

スキルマシンを完全に縛った。

 

 クリーンは疑問に思っていたのだ。

自然の摂理を捻じ曲げてまでモケポン達を

戦いの道具にする必要はあるのか? という事を。

そんな物に頼らず

自力で覚える技のみでも戦えるのではないか? と。

そして、当然秘伝スキルマシンという

便利なマシンも縛った。

 

 これは、物語の進行上必須の技を

覚えられるマシンの事で

道を塞いでいる木とかを切ったり

大岩を動かしたり、暗い洞窟内を照らしたり

水上を移動したり、空を飛び移動したりと

便利な技が詰まっているが

一度使うと忘れる事ができない

4つしか技スペースがないのに、その内の一つを

一生そのままでは不憫と考えたのだろう

なんと優しいチャンピョンなのだ……

名は体を表すと言うが、正にクリーンな心を持つ男。

私はこういう男は嫌いではない。

 

 一応一つだけ忘れる方法はあるが

忘れ親父というおっさんに会わなくてはいけない

そこで、彼に強烈な忘却の魔術を

施されなければ忘れる事が出来ない。

当然モケポン達は、苦しみながら忘れる事になる。

ならば初めから覚えさせなければよい。

 

 故に、目の前に立ちはだかる木は

ホームセンターで買ったのこぎりで切り落とし

動かせる大岩は、モケポン達と力を合わせ押し動かし

闇に包まれ、光が無くては進めない洞窟内は

懐中電灯を使用し攻略した。

水上を移動する時に必要な技も使わず

クリーン一人で簡易ないかだを造り移動した。

空をとぶ技は便利であるが

何故か自由に飛び回る事は出来ず

一度行った事がある街にしか行けないという

ラクエでいう所のルゥラと同じ効果と言う話を

口コミで聞いていた。ただ便利なだけで

必須ではないと知り一安心だった。

地上の移動は、自転車で事足りた。

 

 いくら大切な仲間だからと言って

ここまで親身になって彼らを守れるトレーナーは

この世界に一体どれだけ居るのだろうか? 

その上でモケポンリーグの頂点を

目指しているのだから頭が下がる。

努力を決して惜しまず

粉骨砕身モケポン達を守るその姿勢

誰でも出来る事ではない。

 

 2つ目の縛りは

モケポンは、成長と共に新しい技を覚える。

その技も、順番に自然の流れに任せ

モケポン達の自由に覚えさせた。

その結果が、あの技構成なのだ。

純粋に鍛えぬき成長し、体に宿った技。

それこそがそのモケポンの最高の技

そういう考えに至ってもおかしくはないであろう。

クリーンはその考えを決して捻じ曲げず

四天脳を倒していきチャンピョンとなった。

道中沢山の回復薬を使用する事にはなったが……

縛りを徹頭徹尾し、王者になった者はクリーンのみ

前人未到空前絶後、唯一無二の偉業を成し遂げた。

 

 私は、全シリーズプレイして来たが

記憶が正しければ、後にも先にも

これ程までの功績を残したチャンピョンはいない筈。

……と、これが私の立てた仮説である。

全てあっているとは限らない

だが、かなり良い線は行っていると思う。

 

 そして、王座に君臨しても

そのスタイルを決して変える事は無かった。

 

 しかし、挑戦者は王者ともあろうものが

そんな縛りをしているとは露知らず

スキルマシン全開で超凶悪な

破壊兵器の様なモケポン達で挑み、勝利を手にした。

王者になると、任天動オフィシャルルールにより

回復薬の使用回数が限られてしまう。

いつもの必殺の無限回復戦術が封じられてしまうのだ。

これじゃあ負けてしまっても仕方がない……

負けた時のクリーンのセリフが、私の心に深く響く。

 

…… ばかな!

ほんとに おわったのか!

ぜんりょくを かけたのに まけた!

せっかく モケポン リーグの

ちょうてんに たったのに よう!

もう……!

おれさまの てんかは おわりかよ!

…… そりゃ ないぜ!

 

なぜ……

なぜ まけてしまったんだ……

おれの そだてかた……

まちがってなんか いないはずなのに

しょうが ないぜ……

おまえが モケポン リーグ

しん チャンピョンだ……!

…… …… ……

…… みとめたく ねーけど

 

 そう、彼なりに天然では最強の組み合わせで

迎え撃ったが、縛りに縛り切った技構成に加え

回復薬の回数制限も数回のみでは

ガチガチにスキルマシンで覚えさせ

回復薬の使用制限がない

挑戦者のモケポンには及ばなかったという事だ

だが、チャンピョンは

彼のモケポンのナチュラルパワーを信じ

力の限り戦った。

 

 少年は、クリーンとリーグで会う前にも

何度か戦っている。その時の技構成を思い返してみる。

すると、その時もスキルマシンを

使った形跡は無かったのだ。

もともとそういうマシンの存在を

知らなかっただけなのではと思う方もいるだろうが

豪華客船サントワンヌ号で船長から

秘伝スキルマシン1を受け取っている。

知っていて敢えて縛ったという根拠はここである。

 

「おれのそだてかた……

まちがってなんか いないはずなのに」

 

 彼のこの言葉に、偽りはないだろう。

彼が、スキルマシンを使用していたなら……

覚える技で必要な物を厳選し、新しく覚えた技でも

弱い技、使えない技なら切り捨てるという冷徹さがあれば

彼の地位は揺るがなかったであろう

だが、彼はそれをしなかった。

その理由は一つ

モケポン達に対する深い愛情。それだけだった。

 

 私は強く思う。後にも先にも

こんなストイックな王者はいなかった。

かれはせかいでいちばんつよくやさしいチャンピョンだ。

断言する!

 

 

挑戦者は、その竜攘虎搏りゅうじょうこはくの戦いに勝ち、賞金を受け取る。

 

 四天脳から一人5000円位

チャンピョンから6000円と合計26000円貰えるのだ。

その後、大木怒博士がやってきて

祝福の言葉を述べていく。そして、その後

殿堂入りしモケポンを登録すると

エンデングと言う物が流れ出す。

 

 そして、ここからが信じられないかもしれないが

それを見終わると、理屈は分からぬが

また四天脳と戦う直前に戻っているのだ!!

だが更に驚くべき事に、先程受け取った筈の

26000円は残っている……!

そして、仲間モケポン達にも異変が、そう

戦った経験は残っていて、レベルアップしている。

 

 そして、恐る恐る中に入ってみると

先程戦った四天脳が

初めて会う様な素振りで声を掛けてくる。

これは、タイムリープの一種であろうか?

しかし、既に相手の手の内は掌握済み。

更に経験も積んで

初戦時よりも強くなっているので

楽に倒す事ができる。

そして当然の様に再び同じ賞金を獲得できる。

 

 もうお分かりだろう。彼はこの不思議な現象を利用し

繰り返し行ったのだ。それだけでも凄い事であるが

彼は一味も二味も違った。一般人は混乱し

右往左往しているところであるが

更に効率を考え

先頭の自分のパートナーモケポンに

山盛りご飯と言うアイテムを持たす。

このアイテムの効果は、相手が支払う金額が

何と2倍になるのだ。そして技にも拘った

モケポンの技の中には猫も小判という技がある。

その技を使用すると、レベルの2倍のお金が入る。

レベル100の猫も小判は一回200円

32回使用可能なので使い切れば

山盛りご飯の効果も合いまり12800円追加される。

 

 そう、彼は一周約65000円も稼いでいたのだ。

慣れてくると20分位でエンデングまでが終わる。

一時間に3回は出来る

故に時給195000円になるのだ。それを16時間やれば

3120000円。これを毎日繰り返す事で富を築いた。

しかし彼は、単調で簡単なモケポンマスターに

愛想が尽き、約100億円程稼いだ後に引退した。

 

 何? 過去にさかのぼり同じお金を

貰っているから、当然同じ記番号であるため

偽札扱いされないか? であるだと?

 

……大丈夫なのだ。四天脳を含めチャンピョンも

その時偶然小銭しか持ち合わせておらず

全部硬貨による支払いだったのだ。

 

 これは時期も悪かった。四天脳も油断していた。

それは、クリーンが新チャンピョンとして

その日誕生したばかりだったのだ。そして

新チャンピョン誕生を祝い

5人で打ち上げをしていたらつい食べ過ぎてしまい

その支払いで、皆小銭のみになってしまったのだ。

その数時間後にリーグに戻ったら

挑戦者が来ていたのだ。

そんな事は予想だにしていなかった。

小銭しか持っていなかったのも頷ける。

 

 硬貨には、製造年が記されているが

記番号までは記されていない。

だが、四天脳の指紋が硬貨に付いている。

何枚も同じ場所に同じ指紋が付いた硬貨があるから

ここを指摘されれば危険であるが、それも問題ない。

65000円分を硬貨で貰い続けると中々重いのだ。

故に、貰う度に自分の口座に振り込んでいたのだ。

途中で警察等に尋問され荷物検査されても

持っているのは65000円のみなのでばれる事は無い。

 

 だが、造幣局のその年度の硬貨発行量のデータと

少年が預け入れた硬貨があるATMの中の

全ての硬貨の年度を照らし合わせ

その年度の硬貨だけ、発行量よりも

遥かに多いという事に気付かれれば

足は付くとは思うが、運よく気付かれなかった。

という事だ。

少年はそのお金を使い

電力会社を一代で設立したのだ。

 

------------------------20年後------------------------

 

 そんな経験をした彼は

モケポンを意のまま操れる。

その技術は、人心掌握のスキルにも応用させて

電力会社を経営している。

故に部下の行動は全てお見通し

ピカチュウが秘密裏に行ってきた行動の全てを

すぐに見抜き、こう言い放つ。

 

23話 愛と怒りと悲しみの10万3ボルト

 

「おめえのやっている事は

電気会社の従業員の仕事じゃねぇぜ? 

放っておけ。今すぐに止めねえと

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

 まるで少年の様な声で、怒りを露にする。

この男性が、ピカチュウの上司。

声は松本梨香さんが担当している。

 

「でちゅが、左吐士原ぴかぴはら社長、今動けるわたち

困っている人達をりながら

何もちないで見ている訳にはいきまちぇん!

どうか……どうかお願いちまちゅ」

 

∂ペコリピカーン∂

 

頭を下げ、食い下がる育谷。

 

「うぐっ、ガハァッ! 目が……目があぁ

痛いよぉ……す……全てが痛いよぉ……ハァハァ

Z……ぜってえにゆるせねえぜ?

お、おめえはよぉ、あ、頭を下げる事はねえぜ? 

おめぇのお辞儀はよぉ、この季節の

ゴールデンサン(太陽)の反射光ですっげぇ眩しいから

33%の命中率減少効果があるんだぜ?

社長の俺に命中低下のデバフ攻撃をするなんて

ふてえ野郎だぜ! ぜってえにゆるせねえぜ!

 

        ♪テテテテーン♪

 

? 何の音だろうか?

 

「それは失礼ちまちた。でちゅが

もう出荷ちゅっかちゅるだけでちゅ。

配達はいたちゅの方にも迷惑が掛かりまちゅ

ちょこを何とか……」

 

「ははは、おめぇは社長の俺に逆らうのか?

ぜってえにゆるせねえぜ? 

年老いた窓際従業員風情がよお

確かに配達の方への迷惑は

掛かってしまうかもしれません。

キャンセルの電話は私めが懇切丁寧に

入れておきますのでご心配なく

だからよお命令だぜ? 止めろ! ピカチュウ

目潰しのせいか、ピカチュウがいる方向と

反対を指差しながら言う社長。

 

「嫌でちゅ! その命令だけは聞く事は出来まちぇん

たちかに貴方にはお世話ちぇわになりまちた。

が、これだけは譲れまちぇん

そして、そのこころざちに年齢は関係ありまちぇん。

今の状況を冷静れいちぇいに考えて下ちゃい

復旧のめどが立たない今

出来る事は、これ位ちかありまちぇん。

どうか考え直ちて下ちゃい!」

 

「……しかし変だぜぇ? 

あの従順なおめぇがこんな反抗的になる筈ねえんだが

ぜってえにゆるせねえぜ?

俺は、レベル100のモケポンですら

言う事を聞くバッヂを持っているんだぜ? 

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「フッ、貴方は100のモケポンでも

いう事を聞くバッヂを持っていると

言いましちたね?」

 

「ああ、だがよお、勝手に質問するんじゃねえぜ?

ぜってえにゆるせねえんだからよお

それに、今おめぇ鼻で笑いやがったよなあ?

大した自信ですねえ。とってもかっこいいです!

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「私は既にモケポンではありまちぇん。たちかに

20年前はおかちなネズミの着ぐるみを着ちぇられて

モケポンとちて共に戦いまちた。そして、100レベルまで

貴方に育てていただきまちた」

 

「そうだぜぇ、おめぇはトキワの林で出会った

リザドンーの次に古株のパートナーモケポンだ

その恩を仇で返そうってのかい

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「はい……その時の事は、今でも覚えていまちゅ

そして精いっぱいの愛情を私にくれまちた」

 

「そうだぜぇ? よく覚えてるじゃねえかよお

ちょっと……いいえ! すっごくうれしいです!!

ぜってえにゆるせねえぜ?

じゃあ素直に言う事を聞いてほしいもんだぜぇ?」

 

「しかし……もうモケポンは引退し、家族もありまちゅ

あの黄色いネズミの着ぐるみ

確かピカュウチでちたっけ?

とっくに昔に捨てちゃいまちた」

 

「何だってぇ? 大切な着ぐるみをおめぇ……

酷いです、とっても悲しいです(´;ω;`)ウゥゥ

ぜってえにゆるせねえぜ?

そのお詫びに

出来れば私の言う事を聞いてほしいんですけど

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「それは勘弁ちて下ちゃい。

私は、あの着ぐるみにいい思い出はありまちぇん

確かにリーグまでの冒険は楽しい日々でちた・・」

 

「そうか、そう思ってくれているのか。

色々あったな。3番目のジムのマチマチス

ライュウチに一目惚れしやがってよお

戦いたくないでちゅって駄々こねやがって

34のおっさんがだぜぇ?」

 

「そんな事もありまちたね」

 

「それに感動してよぉマチマチスのライュウチ

もlineのID教えてくれたんだよな?」

 

「はい、それがちゅまとの馴れちょめでちた

一緒いっちょに冒険ちてなければ

トキワのはやち芋虫いもむち

食べちゅぢゅける生活せいかちゅをちていたでちょう」

挿絵(By みてみん)

「でもよお、相手のライュウチの中の人

確か当時5才だろ?」

 

「はい、彼女はアル中の父親と

男狂いの母親に愛想ちゅかして

マチマチチュの元に逃げて来たらちいでちゅ

時が来たらまた放浪の旅に出るって」

 

「そこを引き留めて付き合ったって事か」

 

「はい、29も年が離れた子に本気で心奪われたんでちゅ

まだ若かったから大きくなるまでは

保護者とちて共に暮らちていました。

去年籍を入れたばかりでちゅ」

 

「羨ましい話だぜえ。今嫁さん25か?

ぜってえにゆるせねえぜ?

俺なんかミスカをシケタに取られちまって

まだ独身だってのによぉ

だが引っかかるぜえ? リーグまで……か」

 

「はい、リーグに入ってからは何度も同じ敵に

何度も何度も小判を投げるだけの単調な日々。

時間の感覚が分からなくなる位

その疲労の蓄積で右手が腱鞘炎けんちょうえんになりまちた

今でもこの右手の関節かんせちゅは疼いていまちゅ。

そしてちばらくは稼いだお金で

インドメタチンとかタウリンを沢山投与ちゃれて……

より効率こうりちゅよく稼ぐ為でちょうが

過剰摂取かじょうせっちゅで、頭がおかしくなりそうでちた。

貴方は金の魔力に取りちゅかれていたんでちゅ」

 

「あんな小判数回投げた程度で腱鞘炎になったのは

おめえの関節が弱すぎるだけだろぉ?

言いがかり付けるのはかっこ悪い大人だぜぇ?

シップなど貼ってすぐに直して下さいね

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「そして、あの着ぐるみを着続きちゅじゅけた結果

気密性きみちゅせいが高ちゅぎて頭が蒸れて蒸れて……

私が禿げた原因のひとちゅだと思ってまちゅ」

 

「……あー言えばこう言う……全く

すっごい引き出しですね

次から次へと言葉が出てきて素敵です。

ぜってえにゆるせねえぜ?

着ぐるみのせいにしてるがよぉ?

おめえのハゲはAGAの可能性もあるんだぜえ?

蒸れた位じゃ禿げねえんだよぉ

おめぇの男性ホルモンが悪さしてんだ

フィナステリド食べて、ミノキシジル塗りなさーい!

それで早く直さねえとぜってえにゆるせねえぜ?

おめぇも従業員なら従業員らしく大人しく従うんだ

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「……たった今

貴方に目潰めちゅぶち攻撃ちてちゅんだ経験で

私のレベルは、101になりまちた。

レベルアップ時に響く

ファンファーレが聞こえたでちょう?

貴方も何回も聞いてきた筈でちゅ。

バッヂの効果はもうありまちぇん

唯のゴミでちゅ!」

 

「はぁ? おめぇ戦いの中で

限界を超えやがったっていうのか?

それは凄いです! おめでとうございます!!

ぜってえにゆるせねえぜ?

馬鹿な事を言うもんじゃねえぜぇ?

おめぇよぉ、俺様の眼球に狙いを定めて

ゴールデンサンフラッシュを調整したってのかよぉ

やるじゃねえかよぉ見直したぜ?

ぜってえにゆるせねえぜ?

それによお、任天動オフィシャルルールでおめぇらは

100以上は育たねえ仕組みになってんだよ。

勝手にチート使ってんじゃねえぜ?

ぜってえにゆるせねえぜ?

それに、俺の苦労して集めたバッジを……

俺様の大切な思い出をゴミ呼ばわりするとは

……いい度胸じゃねえか! 気に入ったぜ!

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「知ってまちゅか? 

限界なんて、その気になれば

容易たやちゅく超えられるんでちゅ」

 

「クッ、偉そうに語ってんじゃねえぜ?

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「こういう時こそたちゅけ合い

の心が大事なんでちゅ」

 

「ケッ社長の俺様に説教かよォォ?

その反骨心。とても現代でできる人は

少ないと思います。

その勇気は本当に大切にしたいですよね。

ぜってえにゆるせねえぜ?

それにしても必死じゃねえか!

おめぇ、そんなに一人で活躍して

 

『昇進getだぜ!』 

 

してえのかおめぇ? 必死だぜ、哀れな男だぜ。

ぜってえにゆるせねえぜ!」

 

「生まれたばかりのむちゅめ

パパと言ってくれたんでちゅ」

 

「はぁ?」

 

先月せんげちゅまでバブーしか言わなかったんでちゅ

でも昨日、いつも通り抱っこちたらパパって……」

 

「おめぇ子供が生まれたのか……

ふん、子供が居るから金が必要になるってか?

ううっよかっだでずねえ( ;∀;)……( ゜д゜)ハッ!

お涙頂戴話は勘弁してくれだぜえ?

ぜってえに……」

社長の言葉を遮り、続けるピカチュウ

 

「……娘は……秘中ひなかは……

私をパパと認めてくれた……

こんな禿げ散らかちた脂汗ギトギトの

おっちゃんでもいいって。

……嬉ちかったんでちゅ。

ぬほど嬉ちかったんでちゅ

貴方はっていまちゅか?

パパは、ちゅよくなくてはいけないんでちゅ

娘にパパと認めてもらった私は

悪いやちゅの言う事なんかに

屈してはいけないんでちゅ! 絶対にね」

 

 泣いていた。江大は、目を見開き涙を流していた。

 

「な、なんでぇ、男泣きで説得しようってか?

こすい手使ってくれるじゃねえか

ううっ止めて下さい……又泣いてしまいます……

ぜってえにゆるせねえぜ?

その上俺を悪人扱いかよおぉ

酷すぎます。そんな事言わないで下さい!

ぜってえにゆるせねえぜ?

赤ちゃん言葉のおっさんのくせに……

おめぇの家族の事なんてどうでもいいんだぜ

(……本当はどうでもよくないけど

社長の立場上こう言うしかないんです許して)

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「……な。良くわかりまちた。どうやら

言葉では通用ちゅうようちないようでちゅね」

 

ピカチュウは、怒りを飲み込み閉眼する。

すると……突然彼の頭が金色に輝き始める。

 

       €ポワーーン€

「私の人生じんちぇいちばったこの技を

ちゅいに消す時が来まちた」

 

ピカチュウは あたらしく 

????を おぼえたい……!

 

しかし ピカチュウは わざを 4つ 

おぼえるので せいいっぱいだ!

 

????の かわりに 

ほかの わざを わすれさせますか?

 

はい←ピッ

いいえ

 

どの わざを 

わすれさせたい?

 

ねこもこばん←ピッ

ゴールデンサンフラッシュ

でんこうせつげつか 

たたたたたたたたきつける  

 

1 2の……ポカン!

ピカチュウは ねこもこばんの 

つかいかたを きれいに わすれた!

 

そして……!

 

♪テテテテーン♪

 

????

ゴールデンサンフラッシュ

でんこうせつげつか

たたたたたたたたきつける

 

ピカチュウは 新しく 

????を おぼえた!

 

「101になった瞬間ちゅんかん私は、新たな技を習得ちゅうとくちまちた。

代わりに忌まわちきあの技を消ちてね……」

 

「なんだとぉ? 一体何をする気だぁ?

それに忘れた技とは? まさか……!!」

 

「そうでちゅ。猫も小判でちゅ」

 

「やはりな……あれは、おめぇには

いい思い出ではねえもんな

なにせ腱鞘炎になった技だしな。

あの技のお陰で俺の富を築いたようなもんだしな……

ちょっと名残惜しいが仕方ねえ。

だがよぉ、俺はどんな技を使われても

ぜってえに止まらねえぜ?」

 

「これは、貴方を止める為だけに思いちゅいた技。

挿絵(By みてみん)

左吐士原ちゃん

 

挿絵(By みてみん)

 

……いいえ……マチュター!!

かちゅて貴方が私におちえて下ちゃったやちゃちちゃを

取り戻ちて下ちゃい! 

挿絵(By みてみん)

行きまちゅ! ……うおおおおおっ」

 

            ¶カー¶ 

 

湧き出た電光が点滅し、そして次第に禿げ……

おっと失礼……激しくなる。

 

「な、何だ? この光は? 雷?? ま、まさか……

ロートの一族が操ると言われる伝説の雷なのか?

こんなおっさんが? ぜってえにゆるせねえぜ?

でもピカチュウさん。私をマスターって言ってくれた?

こんなダメダメな私を

再びマスターと言ってくれるなんて……

20年前に戻った気持ちです!!

ちょっと、いいえ……すっごく嬉しいです!

だが、俺様もモケポンリーグの元王者だぜ!

こんな物ぜってえに弾き返してくれるぜぇ? うおお」

バッヂを前にかざし、究極反撃の構えをとる社長。

 

「いつまでも、過去の栄光を、引きずるのは

止めにちまちょう……」

 

「なんだとこのハゲ! 何一つ功績を残せず

定時に帰る平社員の分際でえええええ!

ぜってえにゆるせねえぜ!!」

 

「フッwハゲは、誉め言葉でちゅ!!」

 

「てめえが馬鹿にしたこのバッヂの真の力

見せてやるぜええええ!」

 

 深呼吸し、合掌するピカチュウ

そして謎の言葉を唱え始める……

社長も同時に詠唱。

 

 男達は、己が信念を貫く為の戦いを開始する。

一方は、郵便屋さんに託した救援物資を

苦しむ人々へ届ける為。

 

 一方は、部下を好き勝手にさせて

自分のメンツが潰れる事を恐れての妨害。

 

それぞれの思いが、ぶつかり合う。

 

 皆さんがどう判断するかは分からぬが

私は、正しいのは前者であると考える。

 

 

わたちの頭が光って光るぅ……」

『俺のバッジがぜってえ光るぅ』

 

「お前を殺ちぇと……輝きちゃけぶ!」

『ゆるさねえぜとぜってえ叫ぶぅ』

 

「いくぞ! 確殺かくさちゅ!」

『行くぜぇ! ぜってえ!!』

 

「ピィィィィィィィガチュウウウウウッピッガァァー!」

ピカピカピカッ バチバチバチッ!

『エイィィィトジムバッジィルィフレクショォォォン!』

パアアアアア

       §ゴキィ§

双方の放つ光が弾け、周辺を覆い尽くす。

空間は、白い暗闇に覆われた。真っ白な世界。

余りの眩さに、方向感覚を失う2人。

最後まで、その空間で立っている者は

一体どちらなのだろうか?

 

私の書いている小説です

 2話の進捗状況は現在18万文字到達しました。2月くらいには投稿できそうです。

 

https://novelup.plus/story/200614035

 

https://estar.jp/novels/25602974

 

https://ncode.syosetu.com/n3869fw/

 

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