「こんにちは! 私はアリサ。この間、オーナーは本当に酷かったけれどすごく素敵なホテルに泊まる事になったの。
でもそこで変な事件に巻き込まれて……とっても怖かったわ」
巻き込まれてでは無く自ら首を突っ込んでの間違いであるが、本人は気づいていない。
「結局美味しい料理も一口も食べる事が出来ずに終わっちゃった。
でも、そこではお友達や憧れの男性や信者や下僕達が出来たわ。
そして、事件が終わって、警察署で色々その事を話した後に外に出たら、空腹でへたり込んじゃった。てへ(///照///)
その時に、今の満腹値を知る為に、ママが突然人に触るとその人の内面の情報を読み取る能力で見せてくれたの。
私も、何とかその
その時に、私の職業の所が名探偵の曾孫って表示されていたの。
でも、その時は空腹で気にも留めていなかったの。
で、牛丼屋に行ってようやく1日ぶりの食事する事が出来たわ。本当に楽しかった。
そして、余裕が出来たのでママに聞いてみたの」
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「あなたのパパのおじいちゃんはね、名探偵なんだけど、本業はそうではない人だった。って話らしいわ」
なぞなぞの様な事を言い出すママ。
「なにそれ? 分らないわ? もしかしてテレビの刑事ドラマに出て来る、事件に首を突っ込む、刑事よりも洞察力のある一般人って感じ?」
「鋭いわね。でも違うわ。一般人じゃなくて、別の職業に就いているわ。だけどその職業では有名じゃないの。探偵として有名な人らしいわ」
「詳しく教えてよー」
むずむず
アリサは知りたい事を焦らされると、気持ち悪くなる様だ。
「そうね、教えてあげてもいいけどね……でも、自分で掴み取った答えの喜びが素晴らしいって事は、あんたが一番よく知ってるんじゃない? ただ、そこら辺に居る探偵よりも鋭い観察眼の持ち主だったそうよ」
「私はその、探偵じゃないけど、推理が好きな人のひ孫って事ね? でも、今すぐ知りたいよ!
読者さん達が必死に考えて、私に教えてくれないかなあ?♡?」
「甘えるんじゃありません!……ってど、くしゃ? 突然何を言い出すの?」
「秘密よ、分かったよー……教えて欲しいけど、自分で考える!」
「そうね。でも、あなたにその血が流れていたお陰で、ホテルのあの事件を解決できたのかもしれないわよ?」
「ブー、なんか一所懸命考えたのに、結局その人の力って事になっちゃうのって嫌よねえ」
「まあそういう事らしいから、誇りに思いなさい」
「うーん……でもさ有名な人なら、本とかに出ていそう。図書館でその人の事を見つけられるかなあ?」
「そうね。アリサはいつも読書しているものね。もしかしたら見つけられるかもね。
じゃあ、もし正解の本を持ってきたら、それが正解よって教えてあげる」
「本当? じゃあ、絶対にひいお爺ちゃんの名前を突き止めて見せる! 名探偵と呼ばれたひいお爺ちゃんの名にかけて!! って名前知らないから、かけようがないか……」
「うん。頑張って突き止めなさい! じゃあ席をいつまでも占領しているとお店にも悪いし、そろそろ家へ帰ろうか」
テーブルに運よく逃げのびた米粒達を片付けながら言うママ。
「はいっ!」
その時、ケイトがパパの後を歩き、牛丼屋に入ってきた。
ケイトは、前作に出ていた迷子少女であり、ちょっと冒険してみようかな? と思っている人の冒険心を消失させる不思議な力を持っている。
私の推しキャラであり、運命の人かもしれないと言う人物でもある。
「あ、ケイトちゃんおはよう。これからお食事? 私はこれから出るのよ。入れ違いになったちゃったね」
「おはよう、また会えたー! アリサちゃーん」
ケイトが抱きついてくる。いい匂いがしそうであるな……うらやましい……
「……ちょっと苦しい」
アリサはケイトを引き離そうとした時、彼女のおでこに、手が当たってしまった。
ブゥン
すると……アリサの例の能力が発動した。アリサは、人や動物に触れる事で、その人の内部情報を視覚化できる。
アズマケイト LV10 ♀
力 3
素早さ 21
体力 18
賢さ 57
運 100
HP 37
MP 112
攻撃 3
防御 46
スキル
バレエ中級者
そろばん初心者
ピアノ初心者
☆☆冒険心破壊 消費MP40
満腹値 10/100
状態異常 無し
E,レースの帽子
レースのシャツ
レースのスカート
白いパンプス
好きなもの パパ ママ カニ
嫌いなもの バナナ 漬物 百足
可愛さと麗しさと美しさを兼ね備え、尚且つすばらしきスキルまで使いこなす、このお話の真のヒロイン。
私の推しキャラである。枠は青色に輝いている。
「へえ。ケイちゃんバナナが嫌いなんだー。意外ねー。あれ栄養満点なのよ?
あ、ママ! この子、この前話していたケイトちゃんよ。東京都って書くんだよ!」
「アリサのお友達? よろしくね!」
「はい! この名前のせいで、住所を書く時いつも違和感あるんですよ……アリサちゃんにはお世話になりっぱなしです……って……え? 何で知ってるの? 確かに私、冷凍バナナを食べた時に、歯が欠けて嫌いになった事あるけど、その話アリサちゃんにしたっけ?」
不思議そうにアリサを見るケイト。
「歯、脆いなあ。ケイトちゃん! カルシウム食べなさい!!!」
「あ、その話はちょっと違うんだ。冷凍バナナで丁度乳歯が取れちゃったんだよ。だから欠けたんじゃないよ」
ケイトのパパがフォローする。
「そうなんですか? 確かに歯が欠けるのはおかしいわね……」
「そう、それでバナナを見ると逃げちゃうんだよね」
「うん、美味しいとは思うけど、食べたくないんだよね……そう言えばアリサちゃん! さっきのセリフ! 何か松谷修造さんの名台詞「お米食べなさい!!!」を意識していない?」
「おおよくわかったね! そうだよ! 彼は私のエネルギーの源だよ。ケイトちゃんも、絶対必ずファンになりなさい!!!」
「とっくにファンだよ!!」
「ならいいのよ!!!!!!!」
松谷修造とは、自分のサイトで視聴者に向けて彼らを応援する動画を何本も撮影していて、それは毎週の様に更新している。
そんなちょっとお節介な男である。
動画には、「挫けそうになったあなたへ」とか「人生で道に迷ったあなたへ」とかシンプルなタイトルが付いている。
時には馬鹿をやって笑わせたり、時には本気で怒って、視聴者に気合を入れたりと応援のエキスパートなのである。
私もこの道を諦めそうになった時にそのサイトを訪れ衝撃を受けた。だから、今の私がいる。
アリサもその動画を見て、元気を貰ったり疲れを取り除いたりラジダンバリと、日々の小学校生活のやる気を回復させているのだ。
いずれ出て来るであろうが、彼女の所属しているクラブの推理クラブは、とにかく個性派ぞろいの為、日々の疲れが溜ってしまうのだ。
最近では、その名言の部分だけを切り取って繋げ、作者の好きな曲に合わせて編集したMAD 等の二次創作物も作られて盛り上がりを見せている。中でも最も有名な名言は
「もっと熱くなれよ。熱い血燃やして行けよ。人間熱くなったら本当の自分に出会えるんだ。だからこそ、もっと、熱くなりなさーい!!!」
であり、その炎の様な熱を帯びた言葉は、主にその曲で一番盛り上がるであろうサビの所で、エコーをかけて編集される事が多い。
彼の誕生日である11月6日には、動画投稿サイト、ニヤニヤ動画で沢山の作り手達による修造MADが一斉に投稿されるイベントの、松谷修造誕生際という催しが行われる程だ。
そのクオリティは年々増していって、もはや芸術とまで言われる作品も多いのも特長だ。
これは製作者の松谷修造への愛やリスペクトが、そういう名作を生み出す原動力となっているに違いない。
元々テニスプレイヤーの彼は、ウインブルドーン8位と言う成績を残し、引退後は、あのにしこり敬を育てた男としても有名である。
蜆や岩魚、そしてお米をこよなく愛する、身長約2メートルのナイスガイである。
おっと熱くなりすぎて、彼の事について少し話しすぎた様だ。申し訳ない。
では話を戻すとしよう!
「それにあの時、私のくさや入りのアイスを食べようとした時に起きた、私の冒険心を砕いた能力は、冒険心破壊って言うのね? まあシンプルねー」
ぬうう! 痛い所を言われてしまった……まあいい、分かり易さを伝えるにはシンプルな言葉が一番なのだ。
そんな単純な事が彼女には分かっていない様だ。
彼女の理解力が少し足りずに不愉快な気分にしてしまった事を謝罪しよう……
「ふむふむ成程成程」
「……アリサちゃん? さっきから空中をずっと見ているけどどうしたの?」
ケイトが心配してきた。
「実はね、ケイトちゃんの能力が今そこに記されているの」
空中を指差し言うアリサ。
「え? 何を……言っているの?」
「今、それを見ながら話しているのよ。ケイトちゃんが今、バレエ、そろばん、ピアノを習っているってのも分っちゃうんだ」
「え? すごーい、みんな当たっているわ。じゃあ、パパのも見れる?」
ズバリ言い当てられ驚くケイト。
「出来るよ?」
「見てみて? お願い!」
好奇心旺盛のケイト。
「いいよ。あのーおじさん! ちょっとおでこを触ってもいいですか?」
「え? べ、別にいいけどなんか怖いなあ」
アリサの奇妙なお願いに戸惑いながらも了解してくれる。
「あ、すいません。ちょっと、ほんのちょっとなんですけど届かないです( ;∀;)」
ちょっとと言うのは嘘で、完全に届かない。身長は120ジャストのアリサ。
背伸びした程度ではケイトのパパのおでこには絶対に届かない。
「ああ、ごめんね」
額をアリサの近くに持っていく優しいパパ。
「ありがとう」
パパの額辺りを見る。
「あれ? 光らないなー? 一応タッチっと」
おでこを触れてみるが、何も起こらない。今まで出来ていたのだが……
「変だなー……ママにも同じ能力があるけど、途中で使えなくなったという事は聞いていないのよね」
「もしかしてアリサが未熟で、疲れちゃったら暫くの間出来ないのかな? さっき覚えたばっかりだもんね」
「あーそうかも、今はそんな訳で、見る事が出来ないわ。すいません」
「そうなの? わかったよ。なんか残念な様なほっとした様な複雑な気分だよ」
「へえ、でもすごいね。私の力は壊すだけだというのに……アリサちゃんは、人を深く知る事が出来るのね? 羨ましいわ。
でもケイト、一度悪いおじさんにさらわれそうになった時があって、その時にこの力を使ったら良いおじさんに変身してくれて助かったんだよ」
「なんですって? 確かにケイトちゃん可愛いから狙われる事多そうよね。
じゃあ、そのスキルケイトちゃんにとってはすごく役に立つじゃない? 星2のクラスじゃないわね」
「そうなんだけど、アリサちゃんさっき冒険心破壊って言っていたよね? だからさらってみようかな? って今から冒険しようとする人には効くけれど、何度もさらった事がある人には効かないの。
私を狙ったおじさんも、初めて人さらいをしようとした人で、その心をうまい事この力で砕いたってだけの話で、一度経験がある時点で、その心は破壊できないという事なの」
「何でそんな事分かったの?」
「ああそれはね、そういう力があるって分かったから色々試していて、スーパーで万引きしようとしている人にこっそり使ってみたけど、効く人もいれば効かない人もいたの」
「すごーい! 万引きするって事は、相当周りを気にしている人でしょ? その人を監視していて気付かれないって凄い事よ?」
「そうなの? 多分何回もやっている常習犯だから、もうそれに慣れていて、不自然な行動をしないようにキョロキョロしないようにしてたから私に気付かなかったんだと思うよ? で、その人には私の力が効かなかったのよ……普通に仕事して逃げて行っちゃった……
でも、自分の力の名前は、アリサちゃんが教えてくれるまで知らなかったから、すっきりしたわ」
「成程ね、なら星2だね。これがどんな人にでも使えれば星5間違いなしなんだけどなあ……でもかなり良いスキルよ? 磨いてレベル上げて誰にでも使えるようになるといいよね?」
「そうだね」
「アリサのスキルは疲れると出せないという欠点があり、ケイトちゃんのスキルは初めてやろうと思う事に対してのみ効果が発動するという事か……色々なスキルがあって面白いなあ。
修行すればロウ・ガイの足の筋肉がモリモリに出来るやつも使えるのかなあ? あれ便利よねー。
遠足とかで使いたいわ♪」
しかし、足の筋肉だけモリモリの幼女が、普通の子達に紛れ込んで遠足に行く姿は傍から見ると少し異様だ。
「私今疲れてるから、一休みすれば多分また見る事が出来ると思うんだよね。
今度は何を見ようかなあ? ちょっと条件厳しいし、回数が決まっているから人を選ばないといけないけど、他人の内面をのぞき込むのって楽しいわ」
ひょんなことから手にした能力であるが、考えてみればこれ以上に厄介な幼女は居ないであろう。決してリアルでは関わり合いたくない物である。
「ねえ、アリサちゃんちょっと食べ終わるまで待っててくれない? これからボケ人間コンテストって所に行こうと思うのよ。
アリサちゃんと一緒に行きたいの。OK?」
バイリンガルなケイト。
「え? OK? 何で急に英語?」
「ねえ、アリサ? わらわと共に行きたくないの?」
おかしな一人称を使うケイト様。
「ケイト? わ、わらわって何だい急に? びっくりしたよ!」
パパも初めて聞く様で、驚いているな。
「え? 私そんな事言った?」
ぬ? 覚えていない? 今言ったばかりの事の筈だが……一体これは?
「えーと……ママ、いいでしょ?」
(わらわ? 王族? それに呼び捨て? まあいいけど……)
「うーん……まだ休みは有るから、行って見てもいいかな? 本当は携帯買って家に帰りたかったけど。
それで一体どんな所なのかな?」
「それは、行ってからのお楽しみですよ。ふふふ。じゃあちょっと待っててくれる?」
そう言うと2人はテーブルの方に向かう。
「うん、行ってらっしゃい」
「あら? アリサ、スケッチブック忘れてるわよ?」
ママが、ホテルに出てからずっと持っている筈のスケッチブックが無い事に気付く。
「あ、ごめーん忘れてたー」
ダダダダダダッ
先程食事していた席に取りに行く。
「何となく渡されたからずっと持っているけど、これちょっとかさばるんだよねー。何か良い入れ物欲しい!!」
「そうね、後で考えとくわ」
「はいっ!」
☆___ 10分後 ___☆
「待っててくれてありがとう。じゃあ行こうか」
ケイトもお腹一杯と言った面持ちだ。
「私達、確か超エリート戦士だから、牛丼特盛りを30秒で平らげたよね? なのに並を食べ終わるまでに10分も掛けるとは……下級戦士共めが……!」
「……アリサ、その話は言わない方がいいわ。あの時、私達はビーストモードに突入していたから」
「お待たせしました。ビーストって何の事ですか?」
ケイトのパパが不思議そうに聞いてくる。
「あわわわ、なんでもないですぅ」
アリサも動揺し、普段使わないし、彼女自身もそれを聞くと嫌悪感を感じる様な○○ですぅ等と言う語尾で返してしまう。
「じゃあ行きましょう。会場まで案内します」
ケイトのパパが先導してくれる様だ。外へ出ると、真夏の日差しが次第に強くなっている。
「熱いー……まだ間に合うよ? 牛丼屋に戻ろ?」
「馬鹿な事言っちゃ駄目よ!」
「ちょっといい? 何かないかなあ」
ガサゴソ
アリサは、ママの買い物袋の中から、帽子を取り出し装備する。
「いいのあった! これで良し」
アリサの防御が3上がった!
都会の町並みをじっくり見るのは初めてのアリサ。
歩道のすぐ隣にはガードレールで隔たれてはあるが、道路があり、大量の車が行き来している。
そして車道の反対側はビルやコンビニ、ガソリンスタンド、英会話の教室、八百屋、ファミレス、ヘアサロン、携帯ショップ。色々な施設が、一部分にギュウギュウに密集している。
10m毎に点々と家がある様な田舎に住んでいるアリサにとっては、息苦しくは無いのだろうか? と思ってしまうのだった。
「ねえ、東さん? その前に携帯ショップに寄りたいんだけど、いいかしら?」
「あ、そういえば新しいの買ってくれるんだっけ? やったー!」
「了解です。私達も一緒に行きます。そういえば娘に買う約束してたので」
「あ、忘れてたの? 酷いよー」
「ケイト? 君が突然いなくなって心配していて、つい忘れちゃったんだ。許しておくれ」
「あ……そうか、ごめんなさい……」
東京都親子も一緒に来る様だ。しかし、素直に謝るケイトは、日本人女性の見本となるべき大和撫子であるな。
アリサも見習ってほしい物だ。うむ、美しい……
「わーいw事件解決してよかった!」
「ひいおじいちゃんにも感謝しなさいよ」
「えー、あれは私の実力だもん。絶対ぜーったい感謝しない!」
強情なアリサ。
「あら! この子ったら、あ、着いたわね」
そんな話をしていると、携帯ショップに到着。入り口のパネルで画面に表示された用件と言う所をタッチすると、3と書かれた紙が出てくる。
「涼しいなあ。ママここで暮らそうよ」
「ハイハイ、じゃあどんなのがいいのか選びなさい」
「えーとねえ……ピンクか赤が良いな」
「分かったわ。じゃあ引継ぎする為に今の携帯持っていくわね? ちょっと待ってなさい」
店員が天井に備え付けられたモニターに、3と言う数字を出す、それを見たママは店員の方へ行く。
その間アリサは、自販機で飲み物を選んでいた。
「うーんどれを買おうかな? 私喉カラカラだよ」
「私も買う!」
「ん? 超越神聖水? 何か凄い効果ありそうな水ね」
「そうだねー、漢字五文字って何か迫力あるよね?」
ケイトも相槌を打つ。
「そうね。美しい字面だわ。宇宙飛行士とか阿弥陀如来とか赤青黄緑桃とか」
最後は戦隊モノのカラーであるな。
「字面って何?」
「これから買って貰える携帯で自分で調べなさい! 何でも聞いてばかりじゃ一生成長出来ないわよ?
ケイトちゃんは、私の事を信頼しきってるみたいだけど、もし私が天下の大ウソつきだったらどうするの?
私に依存し続けて、下手したら私にいいように騙し続けられて、一生食い物にされるかもしれないのよ? それでもいいの?
不思議に思った事は1分以内に自分自身で調べるのよ! 分かった? 1分! そうすると頭に刷り込まれやすいからとにかく疑問が出たらすぐ調べる!
辞書で調べると結構もたついて、1分では調べられないかもしれない。
でも携帯なら1分かからないわ! いい時代に生まれたんだから絶対にやりなさい! そして! 兎に角1分を意識しなさい!!
始めは買って貰ったばかりで出来ないかもしれないわ。でも……絶対……必ず……出来るから!! 諦めんなよぉ!! 熱くなれよぉおおおおお!!」
良い事を言う松谷アリサ。自分で何でも調べる癖を付けなくては将来騙されやすい人間になる。これは私も参考になった。取り入れる事にしよう。
1分だったな……メモランダムメモランダム。
「わ、わかったわ……松谷アリサさん」
アリサは正しい事を言っている。だが、ケイトはその余りの剣幕に委縮してしまい、しおらしくなってしまった。
もう少し優しく言えないのか! この娘は!!
おおケイトよ……すこし悲しげな瞳で俯く姿も美しい。
「アリサ買ってきたわよ」
「早かったねありがとう! あっジュースまだ……まあいいか」
「ケイト、はい」
「わーい♪」
初めての携帯を手にし、喜ぶケイト。その笑顔は、天使4000人分の美しさだ。
だが、これから彼女は、それの放つ電磁波との戦いの始まりとも言えるのだ。
電磁波により眼精疲労、肩こり、小児白血病、発がんのリスク等と戦うという事だ……
節度を守り、余り使い過ぎずに、充電する際は、自分から1メートル以上離れた所でやって欲しい物である。
「うん、じゃあいこう!」
「あ、ケイトちゃん! 電話番号交換しようよ」
「うん! そういえばまだだったね」
早速二人は新品の携帯の番号を交換し合う。
「じゃあ行こうか? その、ボケ人間コンテスト? と……やらにさぁ……!」
「うん! いこう!!」
ケイトも、アリサが乗り気の表情で嬉しそうだ。
ξビュオーンξ
? その時、季節外れの冷たい一陣の追い風が、アリサの背に吹き付ける。まるで
『ボサっとしてないで、早く行こうぜ!!』
と、急がせる様に、な……!
私の書いている小説です
https://novelup.plus/story/200614035
https://estar.jp/novels/25602974
https://ncode.syosetu.com/n3869fw/
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