magisyaのブログ

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777

「?」

 

「ゴホゴホッ……ぺっぺっ何よこれ!」

 

「何を吐いたんです?」

 

「分からない……多分埃ね」

 

「何が起こったんです?」

 

「夢を見た……変な眼鏡を掛けた禿げ親父が、二週に渡って持論を喋り続けているシーンよ……」

ぬ? まさか私か? いや、私は禿げてないし違うな。

 

「え? 梓さんも? 僕もです……何か凄く悔しい気持ちでした……全てを、否定された気がして……」

 

「確かに君が言っていた事を全て否定してたねwそれにしても……二週間ずっと止まってたみたい。

私、口を開けたまま停止していたから、口の中に埃が溜まったのね……うえー気持ち悪!!」

 

「良くうがいして下さい。で、僕達は何を話していたんでしたっけ?」

 

「忘れたわ」

 

「私は覚えてるよ」

アリサが得意げに左手を挙げる。

 

「そうなのか? 教えてくれ」

 

「いいよ! 君は先々週芸人なら面白返しを覚えておけって言ったのよ。でも残念ね。いつ勘違いしたかは知らないけど、私は芸人じゃない! 確かにさっきのノリ突っ込みも素人と思えない精密な出来で、玄人と思っても仕方ないわ。でもそれは生まれ持った才能。私はお笑い番組を人より多く見ているだけよ。

で、修ちゃんと一緒にテレビに出たかったから参加しただけ。そう、修ちゃんと会えるよ! って友達に教えて貰って何気なく参加してみただけのね?

本職の芸人が全力で戦う様な所とは思っていなかった。もっとほのぼのとした大会かなあって思ったんだけど違ったみたいね。参加したのは失敗だったかも……

でも、私自身を【光】に変えてまで勝ちに行くって気持ちになったって事は、もう、そういう事なのよ……覚悟しときなさい?」

 

「そう言えば光になっていたね。あれは本当になっていたの?」

 

「うん」

 

「ど、どういう仕組みだよ……あんな事までして勝ち進んで恥ずかしくないのか?」

 

「それは私も思った」

梓も鎌瀬に同意する。

 

「別に? 勝つ必要があったから、私の全ての力を使っただけでしょ? 何か問題でもある?」

 

「あんな得体のしれない事されたら一般人の僕達にとっては堪ったもんじゃないよ……負けそうだからって光になるなんてなあ……常軌を逸している」

 

「だけど聖なる光よ?」

 

「だから何だよ! この際属性なんか関係ないだろ! 君個人の発言だろ? じゃあハハー聖属性でしたか! 許します! ってなるとでも思ったの?」

 

「ちょっとボケただけよ」

 

「ボケとしては最低だ。0点だね!」

 

「厳しいわねえ」

 

「そりゃ感情的にもなるよ! さっき僕の事を影が薄いと言う訳の分からない理由でここから出てけって言ってたけどさ、あんな汚いやり方で勝ち抜いた君こそ、この楽屋にいる資格は無いんじゃないかい?」

 

「でもさ、あれ子供に不利な競技よ? どう考えても私だけ不利でしょ? 君達みたいに手長足長族じゃ無いんだしさ。

人の体ではまともに戦えなかったんだから仕方ないわよ」 

 

「いやいや君が極端に小さいだけだろ?」

 

「でも、もうやらないし、あの光化は一回だけのハンデって事で許してにゃん♡」

 

「な、何がにゃん♡だよ! 忌々しい」

 

「私は許したわ。もうやらないって言ってたし、可愛かったから」

そうか? 私も鎌瀬と同様に忌々しいと思ったが、梓は優しい娘なのだなあ。

 

「でも、お笑いのセンスで戦う決勝では、光になれようが関係ないわね。当然正々堂々行くわよ」

 

「当然だよ。もう二度とあんな力を使わないで欲しいもんだ」

 

「わかったわ」

 

「意外と素直じゃないか。始めからそうしていればいいんだ。大人の言う事を忠実に守っていればいい!」

実はアリサは快諾している様に見えるが、それは嘘である。やりたくてももう出来ないのだ。

実は控室に向かう前に、もう一度試したのだ。しかし、変わる事は出来なかった。

あの時と同じ気持ちで念じても何も起こらなかった。そう、あの光化はそう簡単には使えない。本当に追い詰められ、幾つかの条件が重なった絶体絶命の時だけに使用出来た技だったのだ。

 

「でもね、さっきも言ったけど、私はただの刑事の娘なの。六法全書を絵本代わりに読んでいただけのね。

法律も小さい頃から学習しているの! 小さい発言は、お笑い界ではおいしい事象かも知れないけど、法曹界観点からでは侮辱罪で訴えられるのよ! まあ私は小さい事をそこまで気にしてないわ。心は大海よりも広い乙女なのだからさァ!」

 

「え? 気にしていない割には、周さんに小さい事を言われて突っかかっていた気もするけど……でも、人間の脳って重さはそんな差はないと思うんだけど……気のせいかなあ? 初めて聞いたよそんな事。

君は松谷修造が好きなんだね? それでこの世界に首を突っ込んだんだ。

そんなミーハーな人間が、どこまで行ける事やら……まあいいや。せいぜい頑張る事だね。僕は一応忠告はしたからね? 後で何でもっと強く言って止めてくれなかったの? って怒るのは無しだよ?」

訴えられるのが嫌になったか? 逃げ腰になりながら言う鎌瀬

 

「言われなくても頑張るに決まってるでしょ。フンガーとの約束もあるし」

 

「え……? フンガー? ああ、あのデカイ奴ね。アリサちゃんそいつに乗ってたよね? ルールにはふれてないとしても誰もやっていなかった中でよく一人継続出来たよね。肝が据わってるのは認めるよ。それにしてもあいつ、今時誰にも通用する訳ないのにあんな恰好しちゃって……時代錯誤もいい所だ」

アリサを馬鹿にした後は相方まで馬鹿にする鎌瀬

 

「おい! フンガーを馬鹿にするのは止めろ! テメエブチコロガすぞゴルァ!」

ぬ? 危ない危ない。まあ転がすなら大丈夫だな。

 

「う……怖い……転がされて殺されるかと思った……でも、今のトレンドを読めずにお笑いやろうなんてやるだけ無駄さ。

引退した両親も言っていた」

 

「でも今思ってみればフンガーってお笑いを出来る様な奴では無かったよなあ……殆どフンガーしか喋れなかったし。

もしかして会場に紛れ込んだ迷子だったのかも?」

 

「そうであってほしいよ。あんな知性の欠片も無い奴にお笑いをやって欲しくは無いね。お笑いとはセンスと発想力と知性が必要なんだからな」

 

「え? センスと発想力って同じじゃないっけ? 良く分からないけど」

 

「おいおい! そうやって人を馬鹿にする姿は全く面白くないぜ? サラブレット芸人ならどんな時も笑いに変えなよ。ほれ、周りを見て見ろよ。今の一言で、確実に空気が悪くなってると思うぜ? 誰かを馬鹿にして笑いにする様なネタは、今時好かれないと思うぜ? トレンドを読んだ方がいいのは君の方じゃないのか?」

8番の腕章を付けた男が鎌瀬を睨みながら言う。この男は、私と似た考えを持っている様で好感が持てる。

 

「う……確かにそれは君の言う通りだね。サラブレットの僕とした事が失態だった」

怯む鎌瀬

 

「おう、分かればいい。ついでに自己紹介するが、俺はレッドドラゴン火村。

バナナナナナナナマンってコンビでファンタジー漫才をやっている。そこではボケ担当だ。

相方は、ブルードラゴン鳥山彰ってんだ。イラストレーターの傍ら、突っ込みも出来るマルチ人間だぜ」

 

「え? 鳥山彰って漫画家の?」

 

「おう。ドラゴンキューブって漫画を描いてた。今は漫画家を引退し、人気ゲームのトラクエのキャラデザをやってる。だがそれだけでも食えてるってのに、現役の芸人もやってんだ」

 

「凄いね」

 

「子供の頃からRPG好きで、俺は、そいつの漫画のアシスタントをやってたんだが、最終回を迎えた後、ゲーム、特にRPGのキャラデザ兼芸人に、で、俺はアシスタントを辞め、芸人に転職したんだ」

全身赤の服装に鉢巻も赤で、30代前半の男性。

挿絵(By みてみん)

恐らくブルードラゴン鳥山彰は全身青で青鉢巻なのだろうと容易に予想がつく。

そして、自分が場違いだと感じた鎌瀬は、自分の席に帰って行った。

 

「ありがとう火村さん。かっこよかったわ……ん?」

 

「いいよいいよ……ん? どうしたんだ?」

 

「よく見たら火村さんって周さんと顔がそっくりね」

先程滑って大人しく弁当を食べている一番の腕章の周と言う男に目をやる。

 

「そう言えば同じだ……周さん? あなたは……双子のお兄さんですか?」

 

「そんな訳ないぜええええええええ? 俺は生まれも育ちも中国だからなあああああああ?」

先程ネタが余りうけなくて、しょげていたのだが、芸人の意地を見せ、気を張り、文字数稼ぎまでして下さりつつ答える周。

 

「そうだよな……でも似すぎている……まるで顔だけは同じ画像を使っているみてえだ……」

 

「だよね……って、画像ってなあに?」

 

「ん? 分からん」

 

「へえ。ところでファンタジー漫才って?」

 

「ああ、俺達はゲームとかアニメのあるあるのネタをやるんだ。

例えばRPGで、村人が何度話しても同じ事しか喋らないとか、目的もなくあちこちうろうろしていて、運が悪けりゃ進行方向を塞いでしまうディフェンダーになるとかさ、同じ形の雑魚でも、色がちょっと違うだけで滅茶苦茶強くなるとか、どんなRPGでも経験値を沢山持っている敵は、体力が低くて防御力が高いとかさ、折角お金を貯めて買った装備が、次のダンジョンで落ちている。とかさwゲームのシステム上しょうが無い事とかをネタにしているんだ。結構ファンも居るんだぜ?」

 

「へえー少しだけどあずにゃんと似てるね」

 

「そうか? 梓さんも同じようなネタなんだ? よろしく! でも、ここでこうして集まったのも何かの縁だしさ、自己紹介していこうよ。

確かに決勝の舞台に一度立ってしまった瞬間からは敵同士だけど、ここではまだ敵同士じゃないしな。

じゃあ周さんと鎌瀬君と梓さんとアリサちゃんと俺はもうやったから……そうだな……7番の君からにしよう」

 

火村の提案で控室内の残りのみんなの自己紹介が始まった。

 

「え? 分かりました! こんにちは。僕は七瀬文七ななせぶんしちこれ名刺ね」

といいつつ名刺を全員に配る。

 

挿絵(By みてみん)

 

7番の腕章の男だ。20代後半で、眼鏡を掛けていて、白いTシャツにジーパンと言った服装。

背は高いが、色白でひょろっとっとしていて、頼りにならなそうな草食系男子の様に見える。

 

「偶然で驚いているんだけど、好き7芸人さんはバ7777777マンさん7んだ。会えて嬉しいです。

コンビ名に7が7個も入っていて本当に最高のコンビだよ。

ち7みに好き7食べ物はバ77で、好き7神様は七福神で、好き7自然現象は虹で、好き7星座は北斗七星7んだ。

僕の7まえが偶然にも77で、七の別の言い方がつ7がって出来ているんだ。

だから777の名刺にしたんだ。星が7つあるけど、これは北斗七星7んだ。名刺の左上には七福神で、右上には愛読書のスティーブン・R. コヴィー氏著書の7つの習慣

その下には春の七草で、左下にも好き7虹を入れている。

虹の7かには、77歳のお祝いの喜寿が書かれていて、その上には大好物のバ77、その右には苦手7虫の77フシ、上には好き7虫の77星てんとう虫が書かれているんだ♪

7という数字にち7んでこん7デザインにしたんだよ。

それでね、これを貰った人の殆どが、七日い7いに良い事が起こったって言われるんだよ。

幸運の名刺らしいね。でも生憎僕には効果が7いみたいだけどね。とほほ……ここで会えたのも7にかの縁だしあげるよ」

 台詞の【な】と発音する部分を、数字の7で表現する程7が好きな男性。

色んな人がいる。世界は広いな。

 

「おお! こんな所にファンが居た! 嬉しいな! よろしく! おおー! この名刺、中々いいじゃん! オシャレだぜ!」

と言いつつ右手を差し出す火村。

 

「ありがとうございます! よろしくお願いします! 嬉しい7! 憧れの芸人さんと握手しちゃったよ! これじゃ手を洗え7いよ」

がっしりと握手を交わす。

 

「いやいやアイドルでもあるまいし大げさだぜw そこは頼むから洗ってくれなwでも俺ってさ、バナナナナナナナマンの【じゃない方】なんで申し訳ないぜ」

 

「じゃ7い方?」

「じゃない方?」

七瀬とアリサが同時に聞く。

 

「知ってるか? コンビだと、人気のある方とそうじゃない方に分かれちまうんだ。

そんで、俺はそうじゃない方。な……」

突然俯き、自信なさげに話す火村。

 

「そん7! どっちも比べた事7んか7いですよ。相方さんが人気だとしても火村さん7しでは漫才は出来ません」

 

「だが数字としてしっかりと出てしまっているからな。投票結果が酷くてよ……相方98で、俺が2だwwwちょっと落ち込んじまうよな……こんな風にアンケート取っている週刊誌とかもあるんだよ……まあ実際突っ込み役なのにネタを考えてるのもあいつだしな。俺はただあいつの脚本を忠実に再現した芝居をしているだけだ……ああ……言ってても虚しくなるだけだ。

そんな事もあって、この大会に参加し、優勝して【じゃない方】脱却を目論んでいる! よろしく! まずはネガティブな発言は禁止しなきゃな……」

 

「そうですよ。この舞台で活躍して、相方さんにも新しい可能性を見つけて貰いましょう! 火村さんにもネタを作って貰いたい! と思わせるよう7可能性を、ね!」

 

「こ、これが……本当のファンなのか……あったけえ……決めた! こちらこそ手を洗わねえ! 棺桶に入るまでぜってえにな!」

涙ぐむ火村。

 

「あ、そ、そん7……洗って下さい……僕みたいなどこにでもいる一般人ですから……」

こん7喋り方をする一般人は彼しかい7い気もするが……

 

「いーや! 洗わない!!」

 

「洗ってくれて結構です!」

 

「いーや洗わん!」

埒が明かないな。相当頑固な男である。すると?

 

「洗えばいいじゃない。そして、また握手すればいい」

 

「そっかこれで一生の別れでもないしな。じゃあ洗うわ」

 

「そうですよ! アリサちゃんだっけ? 7イスフォローだよ! そうだ! もう一枚名刺あげちゃう」

一枚でいいと思うが……

 

「うん。七瀬さんありがとう。何かオシャレでかっこいいデザインだから2枚あっても嬉しいな♪観賞用と保存用にするね♪しかし、いいデザインねー。なんか運が777ポイント上がりそうw

でも七瀬さん! 自分には名刺の効果がないって言ってるけども今日腕章7番じゃない! ラッキーセブンじゃん!

それに好きな芸人さんにも会えたんだし! 超ラッキーだとアリサは思うよ☆」

 

「ああー7るほど☆それがあったねーそういう考えもありだね。7か7か鋭いね! じゃあ今日初めて名刺の恩恵が自分にもあったって事だね!☆」

 

「そうよ! 何事もポジティブにね! しかし、七瀬って名字。つい最近聞いた事があるのよねえ。

何だったっけ? うーん駄目だ、思い出せないわ。まあいいか」

 

「よくある名字だし、そこまで気にする事は7いよ。そうそう、僕はお笑い芸人じゃ7いんだ。

7んと7くエントリーしたら運よくここにいるって感じだね。今は、運が上っているみたいだし、試しに運試しでもしてみようか7? 

どなたかサイコロを持っていませんか? 出来れば2つ」

 

「いくら何でも持っている人はいないわよwしかも2つとかww」

 

「そうだね……でも今一番調子がいいと思うんだよね。残念だ7あ」

しかし……

 

「これでいいか? おっと、ちょっと待って7? あっ伝染っちまったw」

4番の腕章の男が、2つのサイコロを持っていた。そしてサイコロからシールの様な物を剥がす動作をしている。何が貼ってあったのだろう?

 

「あら? 何であんたサイコロなんて持ってるのよ?」

 

「運よく持ってたんだよwよし出来た。ほらサイコロ」

 

「ありがとうございます!」

 

「で、それをどうするの?」

 

「今は僕、運がいい時だと思うんだ。ゾーンに入っている。そん7気がするんだ」

 

「ゾーンって7に?」

おいおい、アリサよ! は7し方が伝染っているぞ? 

 

「うーん上手くは説明でき7いけどね……僕の7かで7がれが来てると思う。だからこれを2つ振った合計で、7が出るかもしれ7いと思って……しかも、2連続で出そう7気がするんだよ。ちょっとお借りしますね?」

 

「ほほう興味深いなそれは。よし、わかったぜ! ここにいる全員が証人だ。その奇跡の瞬間を見届けてやろう!」

 

「ありがとうございます!」

(ん? 7んかネバッとしてるサイコロだ7? まあいいか……)

 

「まさかーw狙って出せる訳……」

 

「まあ見ててって! それじゃやってみるね。えい!」

コロコロコロコロ……ピタッ!

3と4で合計7の組み合わせが出た。まあ偶然ともいえるレベルだ。

 

「あっ!」

 

「3+4だから……うーんと……7だぜえええええええ?」

 

「おお! でもこれだけではまだまぐれとも言えなくもないよな?」

 

「そうですよね。でも思った通りいい感じです! この調子で! はい!!」

コロコロコロコロ……ピタッ!

1と6で7が出る

 

「……え?」

 

「おお!!」

 

「す、すげえ」

 

「嘘でしょ?」

 

「やった! 狙い通りだ!」

 

「あんたすげえなあ! ちょいと俺もやってみるか。俺ってさ、黙ってれば好青年に見えるが、結構負けず嫌いでよwまあ、腕章も4だし最悪の運勢だがなwそんな運なし野郎な俺が、この神様に挑戦するぜw」

 

「か、神様とか止めて下さい! 一般人です!!」

 

「ちょっとサイコロ返してくれるか?」

 

「あ、はい」

 

「よし、いくぜ! でい!」

4番の男がサイコロを返してもらい、床に投げてみる。

 

コロコロコロコロ……ピタッ

ふむ。4と4が出た様だ。

 

「おお、おしい。後1だったのに」

 

「4ww」

 

「ふむ、やはり駄目だな。この時点でチャレンジ失敗だが、一応もう一度だけいいか?」

 

「は、はい!」

 

「うりゃ!」

コロコロコロコロ……ピタッ

まるで同じ動画をリピート再生したかの如く、同じ組み合わせの4と4が出た。

 

「プッww」

 

「酷いww」

 

「腕章道理ねw呪われてない? あんたww」

 

「あちゃー……やはり運がねえなw4が4連続とかwwww俺多分明日死んでるなwお母様……先立つ不幸をお許し下さい……今の内に最後の言葉を言っておきましたwしっかし、七瀬さんは流石だなあ。俺程度の下級民族では全く歯が立たなかったわw無謀な挑戦乙ww間違いねえあんたこそ本物だw」

 

「……え?」

何故か浮かない表情の七瀬。

 

「ん? どうした? もういいか? それとももう一度振ってみるか? 今のあんたなら、奇跡の3連続7で、パチスロおっさん大好きのスリーセブンすら達成出来るかも知れねえぜ?」

 

「7……7んでも7いです……もういいです。サイコロありがとうございました!」

少し顔色の悪い様に見える七瀬。気のせいだろうか?

 

「そうか? 何か変だな? どうしたんだよ? おかしな奴だなあ。有言実行出来たんだし、ここはもっと喜ぶ所だろ?」

 

「そ、そうですよね……ははは……おかしい7あ?」

 

「でもあなた、何でサイコロなんて持ってるの?」

 

「ん? そんなの秘密だ」

 

「ふーん。まあいっか! でも、七瀬さん流石ね」

 

「そ、そうだね。今は運の面で絶好調だと思うよ! でも、お笑いの技術は素人だからね……運でどうにか7るとは思ってい7いよ。でも運も実力の内って言葉もあるし、もしかしたら……7んてね……まあ神頼みは駄目だよね……実力で頑張るよ。

折角参加出来た訳だから、力の限り頑張るけど、センスも7い僕では多分足元にも及ば7いと思う。み7さん! お手柔らかに頼むよ。

ち7みに僕の本職は、とある公務員とだけしかいえ7いんだ。詳しくは秘密7んです。

しかし、直にお笑いのプロのネタを見る事が出来ると思うとワクワクしています。よろしくお願いします!」

七瀬の名刺には、普通書かれている筈の職業は書いていない。裏には電話番号とツイッターのIDだけが書いてある。

 

「よろしく。でも素人は七瀬さんだけじゃなくて、私もだから大丈夫大丈夫♪」

 

「うん! よろしくね!」

 

 

私の書いている小説です。リンク先はブログより少し先の話も読めます。

https://estar.jp/novels/25771966

 

https://novelup.plus/story/457243997

 

https://ncode.syosetu.com/n1522gt/

 

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