magisyaのブログ

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私の行く先々で事件が起こる件について4 エピソード14 内藤への手紙 1

あ、これフィクションですよ。フィクションですけど前回に続き『』内の部分が手紙の本文です。※本来7月11日投稿予約していた筈が投稿されていませんでした。申し訳ございません。

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「長……でもすごい記憶力ね……それに結構いい感じじゃない……へえ、その会社名木林製作所って言うんだ」

「ああそういえばまだ社名を言ってなかったな。だが言うつもりはなかったんだが……具現でバレちまったか……うっかりしてたぜ……」

「そのまま読んじゃってたね」

「神裔様を目の前にすると緊張しちまうんだな」

「それ、関係ないと思うよ!」

「でもその前に内藤の服のロゴを見てなかったか? その時にもう知ったと思ったが? あそこにも英語で会社名あったんだぜ?」

「あ、それね、下の細かい所の英訳に集中しすぎて見てなかったのよw」

「そうだったのか。木を見て森を見ずってか……アリサちゃんらしくないミスだなあ。よし、もう隠す必要もねえから言うけど社長の名は木林日光一きばやしにっこういちと言う名前だ」

「へえ日光一? 変な名前。うーん何かキラキラネームっぽい気がするよね」

「ん?」

「親が子供にかっこいいと思って付ける名前の事よ。主に親の体験した流行りのコンテンツの主人公とかお気に入りキャラの名前を暴走族……あっ! 今は珍走団だっけ? みたいに当て字でオリジナルっぽくしてつけられた名前の事よ」

「難しいな……例えば?」

「赤彗星と言う漢字で読み方がシャアとか……光に宇宙の宙で光宙と書いてピカチュウとか……」

赤でしと読めるっけ? 滅茶苦茶だよなあ。

「成程! 子供の頃見て来た大好きなシャアやピカチュウをそのまま付けたいけれど。それだと役所に断られちまうから漢字に変えていい感じに誤魔化して付けられた名前という事か……うーむ……付けられた子供もたまったもんじゃねえなあ」

「結局親の自己満足よ。で、奴の日光一って名前もこの漢字に近い英語……例えばライトニングワンとかいう当て字じゃないかと勘繰っちゃったって訳」

「まあそれは無いだろう。奴は50代半ばだったし、奴の父親の現在会長も、もう80過ぎだ。そんな老人の頭からライトニングワンは思い付けんわ。普通ににっこういちだと思う」

「そ、そうよね……でも、あの社長の事だから」

「その通り。奴は内藤が犯人と知って尚、その事を一切ISOに報告せずに継続を果たした……と思う。その根拠は、半年に一回ボーナスを渡す時に行う三者面談みたいなの」

「2台同時にやらないとおかしいだろって言われた時のか」

「そう、それを手紙を出した途端一切行わなくなった」

「でしょうね。手紙の返事を聞かれちゃうかも知れないからやりたくなくなったんだよね……勿論想定内よ……分かり易すぎるじゃん」

「だよな? 半年に一度、ごく少量のボーナスを渡す代わりに思う存分俺を説教出来るチャンスを放棄したんだ。理由があるとしか思えない」

「うん!!」

「俺は嘘偽りのない真実を書いた。見たままをそのままな。そんな事をしている人間を隠したまま継続してしまえば、お客さんは誤魔化した人の作った品物を買う事になってしまう。出来ない自分を偽り、本来の3分の1以下の速度なのに、ボールペン一つでその無能を誤魔化して生き残り、社員待遇の高給を受け取り続ける。本当にいいのか? 恐らく社長が良いと判断し、雇った人じゃないんですか? それを監督不行き届きで誤魔化しの限りを尽くさせ、結果700時間も誤魔化しても未だに社員として使うのはどうなんですか? と、誠実にな。実際は製造業で納期が遅れた程度で済んだが、もしこれが人の命に関わる仕事の場合どうだと思う?」

「え? 例えば?」

「そうだな……ライフセーバーなんかいいな。もしプールで溺れている子供がいて、助けを求めていても」

「成程、そういう事ね? じゃあ……

『私はライフセーバーの資格はあります。ですが実は親のコネで持っているだけで一切泳げないので気を付けて下さい』

って言いそう」

「そうだwwしかしその言い方むかつくぜ……彼結気を思い出しちまった……仮に誰かに

『じゃあ浮き輪でも付けて泳いで助けに行けよ! そうすれば泳げるだろ? 早くしないと溺れちゃうよ!』 

って言われても、

『私はライフセーバーの資格を持っているけど水恐怖症なので気を付けて下さい』

『何も出来ないなら辞めろ!』

『いえ? 私はこの職業だとモテモテですし、収入も捨てがたいので辞める気はありませんので気を付けて下さい』

と、言っている様なもんだ。奴がやっている事の根本は、職業が変われば人の命を見殺しにしてしまう可能性もあるって事になるんだ」

「まあ頭が悪いから自分から気付く事は出来ないわね……」

「そう、奴はISOの資格を失いたくない為に、俺の手紙をガン無視する事を決めたんだ。こんなの俺がバイトだからと言う下らん理由では絶対に無視してはいけない事だ。バレたらどうなる? それを一切考えず、黙って継続を続ける道を選んだ。まさに捏造を隠して社員を続けようとする内藤と同じ。奴は木林一族、否、製造業の人間の中でも恥晒し男だ。長男という理由で元社長、現会長から家徳……おっと家督を森森っと……おっとモリモリっと受け継いだ訳だが、会長も見る目が無いと言わざるを得ない」

「あら? 何で家徳と森を言い直したの?」

家督だしモリモリだwwただ噛んだだけだよwww」

「そう……噛んじゃ打芽よ? あら? 駄目よ? しかも神田直後……夫、あらら? おっと、噛んだ直後に連続でよ?」 

「アリサちゃんも打芽、神田、夫って所を3回噛んでるぜ?」

「私は神裔だから噛みまくってもいいの! あなたは達人風情でしょ? そんな低階級が何度も噛んだら読者さんに怒られちゃうから……」

「そういやそうだった……申し訳ねえ」

そんな事で納得しちゃ打芽だよ! あらら駄目だよ!

「でも、そんな奴……ころしたい……逃げ回る所を包丁を片手に追い回して何度も何度も……」

これ、具体的に殺害方法を口外しちゃ駄目だよ? だが……うむ……本来なら私はここでアリサを止めなくてはいけないのだが、どうも不本意ながら私も同じ気持ちなのだ。木林製作所の社長を……という気持ちがな……

「でな、上に幾ら言っても駄目だと諦め、勇気を振り絞り、内藤に直接手紙を渡す事にした」

「え? 突然で驚かれなかった? アルバイトが社員にでしょ?」

「んー、ちょっとあってな。そういう物を出しても違和感はない筈だ」

「へえ?」

「こんな内容だ。お、そうだ! これも口頭のみの説明では無理かもしれん。よし、記憶の片隅に残っていた手紙に添付した画像も気合入れて出すぜ!」

「そんな事も出来るんだ」

「ああ、さっきも写真出したろ?」

「そうね」

「ここは地獄。肉体や物質の世界ではなく、

【精神の世界】

だ。思い描けば幾らかそれを実体化出来る。

記憶具現きおくぐげん

って言うんだ。例えば……はっ」

胸の前で頭一つ分くらい手の平を離し、気合を込める。すると……

ごとっ

挿絵(By みてみん)

再び手の間から一枚の写真がついたブロックが現れる。大きさは手の間に収まる程度。落下時に音がしたが、ものすごく硬い物質だ。

「え? ごちゃごちゃしてるよ? その中に人影? これ誰?」

「これは機械を起動しようとする直前の社長の後ろ姿だ。フードを被っているが、リュックを背負っているのが見えるよな? これは俺の脳内から引きずり出した物なので、

【嘘偽りは無い】

まごう事なき真実だ」

「へえ、凄い! あ、そういえばさっきそんな話あったね。本当にリュック背負ってる。おかしいって言ってたのに。こいつ、支離滅裂じゃん。あ、そういえばコマの話の時にも具現した方が説明が楽じゃない?」

「そうだが敢えて口頭で説明したぜ!」

「何か理由でもあるの?」

「ああ。まあ大した理由でもねえからな! 気にするな! 一言言って置くが、これは奴のみに宛てた手紙なので、名誉棄損や罵詈雑言が多々含まれているからな。それに結構長い」

長い……か……これでは10万文字超えちゃうね……もう敗北宣言をしておくことにしよう……断言なんてするもんじゃないね……10万文字達成おめでとう……

「いいよ。慣れてる」

「え? そうなのか? ま、まあいいや。じゃあ内藤への手紙! 始まりだぜ! はああああ」

ごとっごとごと

『2009年4月頃、あなたを観察していたらそれに気づいて

「|奈弐火胃居田威虎都出喪阿留野なにかいいたいことでもあるの?」

と聞いてきましたよね? その問いに対し、私は大きく2回頷いたのを覚えていますか? その意味は、言いたい事は山程あるけど、仕事中に話す内容としては少し時間が掛かり過ぎると思い、そういう行動を取りました。分かりにくかったらすいません』

「ああ、そういう事が過去にあったって事ね?」  

「おう、2回も大きく頷いたのに、そのまま放置ではおかしいと思うだろ? だから自然な流れと言える」

「そうね。あれ? そういえば内藤のセリフが漢字だけど……これ何?」

「そうそう、俺は日本人がそんな事するとは思えなかったから、手紙内では内藤を日本人以外の言語を扱う生物として描いた」

「成程」

「因みにその質問をして来たタイミングは、奴が捏造しているという事を会社中に匿名ではあるが俺にばらされ、1年4か月楽しくやっていた捏造を辞めさせられた直後、そう、2009年の4月上旬。奴にとっては人生で最悪の時だ。

だから、

『ねえ、内藤? 今どんな気持ち?』

という意味を奴に向けつつ観察してたって事だ。犯罪者は全て見透かされている時、普段の行動、休憩時、仕事時等にどんな行動をするのかを観察してたって訳だな」

「好奇心旺盛ねえ」

「そうか? こんな経験そうは出来ん。物凄い楽しいんだ。新しい事実を知れるんじゃねえかってな。だがそのタイミングで内藤は、捏造の秘密を握っている俺と目を合わせる勇気はあり、更にはタメ口で対応しただけでなく、まるで俺がおかしい事をやっている人間の様に呆れた感じで話し掛けて来たんだ」

ほう。

「へえ、かなりのメンタルね。普通目を合わせる事も出来ないわよ。自分のやっている罪の大きさに」

「ああ、およそ700時間も捏造している人間とは思えなかったぜ。いや。捏造をそこまで達成したからこそ、そこまでのメンタルに育ったんだと思う。俺はそんな事して居ないので、捏造に関する経験値は0だ。だからそこまで極めたらそうなるのかもしれん。あくまで予想だが……」

「そうか、私達では知りえない境地に達したって事か……」

「仮にそれが奴の人生の中で一番頑張った部分だとしても、決して自慢出来る事ではねえんだがな……まあそれ以外で……例えばこれから新しく何かを覚えて達人の域まで錬磨する事など絶対に出来ねえし、その情けねえ部分を伸ばしてくしかねえって事か? 悲しいなあ」

「そうね。それでしか達成感はないって事ね。後は定年で消滅するだけの窓際族だもんね」

「ああ、それに俺の機嫌を損ねれば会社中に本名で明かされる危険性もあるというのに」

「すごい見くびられてるわね」

「ああ、まあ当たっちまってるんだけどな。その当時言いふらせなかったからな」

「成程、ばれているけど匿名だから特定はされていないし、鈴木さんの性格なら言わないだろうと高を括って開き直ってその会社でまだやっていこうと思い続けている感じか」

「そうだ。そんな事で自信満々なのは呆れちまうけどなw年齢的にも再就職は確実に無理なのに、ここを切られたらもう後が無いのに……それでも俺なら絶対に言わないと決めつけていたんだからな。大した推理力と度胸だぜ……で、

『あの時何か言いたいことがあるの? と本気で言っていたんですね? 冗談とかギャグには見えませんでしたよ? 何で見ていたのかを一つたりとも予想が出来なかったという事でいいですよね? という事はあなたは60年以上生きてきて自分には何一つ落ち度がない。公明正大な正社員だと思っていると言う事ですね? それなのに私が怪訝な顔で見て来た事がどうしても分からなかったという認識でよろしいのですね? そんな感じの喋り方でしたよ? 本当に何一つ思いつけなかったのですか? 自分には一切非はなく、私が全面的におかしいとお考えだったのでしょうか? だとしたらあなたは相当能力が低いと自白しているという事ですが大丈夫でしょうか? 残念ですが相当の事をやったのを私が確認した上で、あなたを観察していた訳です。私の中では相当な悪人と言う認識でした。それでもあえて私に何か言いたいことがあるの? と仰るのですね? 一つも身に覚えがないと……分かりました。いい度胸ですね。そこまで自分のやった罪を知りたいと言うのであれば事細かに教えてあげますよ。ですが、あの時から半年以上経っています。何しろ膨大な量なので思い出しつつ、忘れた部分は日記を読み返しながらでの作成だった為、やっとここまで辿り着いた感じです。お待たせしました! その時の質問のお返事を伝えさせていただきます。あ、読み終えた後、こんな事聞くんじゃなかったと後悔しないで下さいね?』

「わくわくw」

『あなたはあの仕事を朝から、そう、8時30分から開始していましたね? で、夕方の16時30分に終えて、指示書に時間を書いていました。という事は、昼休みと3時の休みを合わせると1時間。それを引けば、7時間経過した事になります。ですが、翌日の朝、指示書を見てみたら2時間と書いてあったんです!! ここから推測するに、あなたは時間の感覚がかなり狂っていると思います。いい感じで脳機能が低下しているんでしょうね! こんな状況で、社会人やっていて本当に大丈夫なんですか? さっさと引退して別の余り頭を使わないでも済む職業に就いた方が良いのでは? 断言しますが、こんな低い性能の人は製造業には向いていません!! 1個何分で、一日にいくつ作れるかが勝負の製造業ですよ!! こんな事を平気でする人は確実に要りません!!』

「酷い言いようw」

「罪の意識はないぜ? 奴が知りたいと言ったんだからなw」

「知ってるw」

『一つ質問ですが、あなたの出来る事って何ですか? 私が分かるのは一つも無いので。面接の時一体何をアピールしてこの会社に入れたんですか? 全く想像できません。5年前の9月頃でしたか? 60過ぎの小太りで茶色の老人が

【≪☆新入★社員☆≫】

として入って来たのは本当に驚きました。いつも20代の人が入ってきましたからね。

『え? お顔しわくちゃじゃんこの新人!!』

これが第一印象でした』

「そんなしわくちゃなの?」

「ああ肛門みたいにしわくちゃだ。さっき見ただろ?」

「ああ、そういやそうねwwwでも、直視したくないお顔だったんで細部までは見ていなかったわ」

「直視すると……」

「即死するよね」

「wwww」

『必要以上に皮膚が黒いのは何故でしょう? ガングロギャルでも目指していたんでしょうか? そんな恐ろしい考えは捨てて下さい。いきなり外見の事かよ……と仰るかとも思いますが、これから一緒に働いていく仲間がこんな太っていて茶色くてしわくちゃなら文句も出てきてしまいますよ。だって、茶色いのはおしろいで誤魔化す事が出来るし、太っているのはダイエットすればいい。そしてしわくちゃなのはアンチエイジングを学習して実行したり、最悪、整形でフェイスリフトでもして皮膚を伸ばせば解決する話です。解決策は全て揃っているのに一切やらず、

【これでいい】

と、不完全な……そうですね、不摂生が祟ったゾンビの様な姿で毎日靴下を履き車を運転しこの会社に侵入してくるんですよ? 朝は薄暗いから命探偵ユメソに出て来る黒子の様な犯人に見えるんですよ。でっぷりとしたね。せめてもう少し痩せる努力はしないのでしょうか? 車なんかに頼っているからぶくぶく太ってしまうのですよ? あなたの様な居ても居なくても良い人間を一体運ぶ為だけに地球を温暖化を促進させる必要はないと思います。徒歩でこの会社に来てはどうでしょう? ガソリン代も節約出来、環境にも優しい。一石二鳥ですよ? 豚は歩け』

「唐突の豚ww」

「我慢出来なくてな……」

『そんな、ただでさえ第一印象の悪いあなたが第二印象、そう、内面までも悪さを見せつける結果となってしまいました。指示書の捏造です。

この会社を壊滅させたいんですか? 指示書はISOの監査官にもいずれ見せる内容です。それを捏造してそれが監査官に見抜かれれば、ISO剥奪される危険性があります。そんな危険書類をずっとずっと作り出してきているあなた。

年老いているけど頑張って仕事してくれると信じて採用した社長の気持ちを踏みにじり、その期待を裏切ったんですよね? もしもバレた時どういう処分を受ける事になるのかを考えて、覚悟の上で捏造したんですよね? 皆が一生懸命食堂で勉強して、その結果取得できたISO9001の資格をあなた一人の我儘で剥奪される可能性があるんですよ? この事についてどう思われますか? そんな事我関せずでまったりと仕事されていますが、これから定年までこんな安定した生活が続くと本気で思っているんですか? そんな筈ある訳ないじゃないですか。本来ね? 仕事が遅ければ怒られて少しずつ早くなって慣れていく物なのです。ですが捏造といった形で怒られる事を回避し、それを経験せずダラダラと成長せず突き進んでいました。そう、悪い事をしつつ機会損失を続けていただけ。全く成長していないのです。どうせ時間が掛かっても、捏造すりゃいいんだという考えが根底に根付いているから楽な道を選び続けてしまった。

人と言う物は痛みを感じ成長します。逆に無痛であるなら成長はないのです。失敗し、怒られ、同じミスをしない様にしよう。と、以前の自分に強く言い聞かせる事が成長に繋がるのです。前の工程だと遅かった。この部分を少し早く出来ないか? そういう痛みから生じた疑問を解決し続け一流になるのです。あなたはその痛みを出来るだけ回避し続けている。それも平然と……怪我をしても痛みを感じなければ止血が遅れ大惨事になる。ところがあなたは大きな傷を負っているにも関わらず、治療すらしようともせず普通に暮らしている訳です。あなたの表情を見た限り、裏で捏造をしているとは思えない程反省や後悔と言った物が欠落している様に思えます。それも危険だと感じます。技術面だけでなく精神面でも成長していないという事。悪い事をやったのならそれに負い目を感じ、大人しく控えめに生きていく様変化して行く筈。それすらせず横柄に捏造を1年4ヶ月も続け、私にばれたら仕方なしにストップしただけで自分を許す。その話を聞いた人全員が腹を立てる内容を続けている訳です。それなのにまだこの会社に居座るのですか? 60過ぎの老人なのに……往生際が悪いですよ? 社員のお給料が良いから居座り続けたいのでしょうか? でもこの生活を続けるには仕事が遅いのがバレてはまずいのでは? と、勝手に解釈し、捏造に至ったと? でもね、捏造がバレたら仕事が遅いという事実を指摘されるよりももっと厳しい罰が待っている事くらい分かって下さいよ……あなたは無意識でやっているでしょうが、木林製作所の信頼と言う血を吸い上げている蚊の様な物です。そのままにしておけば吸い尽くされてしまう。その前に確実に潰す予定です。故にこれからじわじわとバレていくでしょう。覚悟しておく事ですね。

「ちょっと……怖いよ( ;∀;)」

「ご、ごめん朗読に力入れ過ぎた( ;∀;)で、まずはこんな感じで始めたなあ。うおおおおお」

再びブロックを呼び起こす。

挿絵(By みてみん)

「捏造王? 何これ」

「これは会社内を汚れている所があったら写真を撮影し、昼礼で報告する時に見せるんだ。それを挟む時に使うファイルなんだが、一番上にネームプレートがある。これは、水性マジックで次の当番の名前を自由に書いていいんだ。で、俺の次が偶然内藤だったんで、内藤の名前の枕詞を指示書捏造王と付けて見える所に置いたって事」

「内藤もこれを見たの?」

「ああ、そしたら顔が赤黒くなって……おっと肛門が赤黒くなって固まってたw」

「やはり効いちゃったんだねwでも様付けはおかしいと思う」

「一応王様だからなあ」

「不名誉な王w」

「で、それを見ている姿を見た俺は肛門を……おっといけねえ、顔を真っ赤にして大爆笑w」

鈴木よ、お主は普段から顔を肛門と言い続けておるからそんなミスを引き起こすのだ!

「wwww」

挿絵(By みてみん)

『次はこの張り紙です。これ、内藤さんが書いたんですよね? 何故しわくちゃの紙を選んだのでしょう? もしや自分の顔と同じしわくちゃの紙に愛着が出たという事でしょうか? 長方形の綺麗な紙を選択するという脳は無かったのでしょうね? 初めてこの会社に来て、トイレを使った時これを見たお客さんは怖くなってしまいませんかね? こんな恐ろしい文面を目の当たりにしたら用を足す前に水道の前で失禁してしまう可能性もあるのでは!? そんな可哀想な事をしてはいけませんよ? あなたは人を思いやる気持ちが全く無いですね。まるでヤクザですね……顔は完全にヤクザの親分ですが、奇跡的に本物じゃないんですから、不特定多数の人を威圧してはいけません。現在のあなたは、

【指示書を捏造し、それを隠している事で、何とか首を繋いでいる卑怯者の従業員。そして、ISO継続危機の立役者】

なんです。その程度の存在が、不特定多数の方が目にする張り紙をこんな乱暴な命令口調で書いてはいけないんじゃないですかね?

ここは、ヤクザ語から日本語に訳すと、

【トイレを使って下さる皆様にお願いです! 水道管が詰まってしまう危険性があるので、ピンクの粉末の洗剤をこの水道で使うのは禁止します。何卒ご協力のほどよろしくお願いいたします】

と、理由も付け加えて書く事が重要じゃないですか? 文字もボールペンで薄く見えずらく、目を凝らしてみたらこの品性の欠片もない程汚い字。せめてマジックで書いて分かり易くしてほしい物です。ですがこのトイレの景観を損ねるので、こんなゴミクズは破り捨てたいんですけど何とかなりませんかねえ?

ところで内藤さんは何が出来るのかちょっと頑張って考えてみました。

出来る事。

☆図面通りに加工する事は出来る。

☆材質にあった工具を選定する事も当然出来る。

☆公差も十分把握し、加工した部分を計測、チェックも出来る。

☆移動の際は主にダッシュを使用し、死ぬほどすばしっこく目的地に到達できる。

出来ない事

☆丁寧な言葉遣い。

☆思いやりの心で接する。

☆一度も許可を下していないのに「猪津吐仮茶居升ちょっとかちゃいます」と言って電動ドリルを何度も何度も借りていく事。

☆実際にかかった時間を指示書に書く事が出来ない事……

☆自分のミスを素直に認め謝る事

前述した4つに比べ、出来ない事の方が簡単な筈だが、出来ない……1年4ヵ月ずっと出来ない……一体何物だ? この社会人は……と思ってしまいます』

「ちょっと疲れちまった。ここで休憩だ」

「え?」

「ブロックが結構重くてな」

「しょうがないなあ」

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はいフィクションフィクション