magisyaのブログ

小説となぞなぞを投稿してます

ミイラ男 × 妖精の森? 3

「じゃ、拝見させていただきますぅ♡」
すっかり傷も回復し、元気いっぱいに中を見回る。すると……木々が生い茂り、中央には泉の様な物が設置されている。そして、羽を生やしたような生物が所々に居る様だ。
空気は当然素晴らしく、晴れやかな日差しを感じる。

「あっ! また自然豊かな部屋だよ! 花の間と丸被りしているぅぅううwあら!? 鼠が入り口に居る? 何でここまで付いてくるのよ? まあいいか。付いてきても良いけど、ちょっと臭うから外で待ってろwてか出てけw」

「な? それは可哀想だよ! 置いてあげてよおwネズニ君だってあれでも必死に生きているんだよ?」

「……」

「え? その言い方もひどくない?」

「まあまあ慣れれば大丈夫だって。おいでおいで」
くいくいっ チョロチョロ
そう言いつつ手招きする市田。それを見て、ネズニはチョロチョロ入ってくる。

「こら! 市田さん? 招き入れないでよ! 絶対にやだよ! 近くに居ると変な臭いがするんだもん」
両手で×を作り否定されるネズニ男。

「で、ですが彼も真剣にこの屋敷の事を考えているんですよ。それに彼は……」

「もう!! 仕方ないな……じゃあこんなネズニは存在していない物として考え、奥に進んでみましょう……あら?」
市田が喋っている途中で遮る。何かネズニに関しての事を言おうとしていたようだが、一体何を? 少々気になる。まあ、アリリにとってはどうでもいい、聞くに値しない情報なのだと考えたのだろうな。まあ私にとってもそこまで必要な情報とは思えないので構わない。
だが……もしこれが本当に重要な事だったら今後に大きい影響があるのだが……まあ一度紹介されておまけでついて来るだけの

【既に役目を終えたキャラ】

が、後に重要な役割を担う事はそうそうないと考えられるのでスルーしても良いだろう。そして、耳を澄ますと何やら不思議な響きでか細い声が聞こえる。

「ふぉんおふぇー……ふぉんおふぇー……」
何だろう? 規則的に聞こえるこの響きは? 確かに美しい声ではあるが、本当に今まさに生命が失われそうな者が、最後の最後に振り絞る様にして出された様な声。そしてその言葉の意味も今までに聞いた事のない言葉である。不思議に思ったアリリは、その声の元へと進む。

「……あ、あら? 凄く美人な妖精さんが居るよ! ……え? でも変な臭いが……グッ……チェゲバラアァ……ハァハァ……こ、この臭いは……恐らくこの娘はあの有名な

【ホンオフェアリー】

かな? 酷い名前ねえ。でも確か古文書で見た事あるもん。一見名前にそぐわぬすごい美人妖精だけど、韓国のくっさい料理のホンオフェの様な臭いを全身から発している妖精の筈よ? スゲエ強烈な臭い……私の嗅覚大丈夫かよ……さっきの部屋では目を攻撃されたばかりなのに今度は鼻かよ……で? 次の部屋は耳か? それとも舌か? どんどん壊されて最後は廃人になるの? やだよそんなの? 助けてー」
命乞いであるか? 大袈裟である。しかしアリリの言う古文書とはどんな物なのか? 少々気になる。

「偶然ですよ」

「そうよね♡」
にっこり♡

「ブル」

「え?」

「ブル」
アリリの笑顔に恐怖を覚える市田。それもその筈。治療は終わったとは言え、目から流れた血は頬を伝い、両目の下に縦に赤い筋がくっきりと映し出されている。更に貧血から来る目の下にある隈もくっきりと浮き出ていて、健康な小5の女子の顔ではないのだ。
それはまさにお化け屋敷に登場するお化け役の特殊メイクと並ぶほどに人々に恐怖を与えるおぞましき模様。そんな恐ろしい死に化粧を施された様な女の子が、自分に向かい微笑んできたのだ。そりゃ怖いわ……市田の脳内ではアリリを見た時に死神が地獄へといざなう時に響く笑い声までもを感じ取り、ブルってしまったのだ。

「何で怯えるの? 笑っただけで二回もブルってたw正にダ【ブル】ねwさっきもやってたよね? 恥ずかしくないの?」

「ブル」

「トリブルプルwいけねw間違えた! トリプルブルwwこれには草を禁じえぬうwwwwwwww」
☆★草を禁じえぬ★☆→笑いをこらえる事が難しい。と言う意味である。

「ハアハア……で、でも今のアリリちゃんは怖いよお」

「そんなまさか……全宇宙内で争っても指折り数えて上位に位置する位に美しい私なのに? でもしょうがないよね……顔に残ってるんでしょ? 血痕が……折角お風呂に入ったばっかりなのに……はぁ……あのクソ鳥め……焼き鳥食いたい焼き鳥食いたい……あいつの焼き鳥が食いてえよお……今すぐにい……」

「NO!」

「わかってるわよ。冗談と本気の区別もつかないの?」

「本気に見えたよお」

「そう……でもよ、眼球から流れ出た血と今の悪臭で既に2度目のお風呂に入りたいんだけど……いい加減にしろよお? やばい! 早く離れないと更に臭いが……」
とことことことこ

「……ん? あいつは?」 
逃げた先には食事中の妖精が居る様だ。もうすぐ食べ終わりそうである……ぬ!!!!!

「はあ、食った食ったプライトォwさて、一眠りするプライトォw」
カチャリ

「あらあら……この残しっぷり……なぞとけはたすべてた……あっ! 間違えた! 軽ーく噛んじゃった♡w♡すべてなぞはとけた! だったわ! 血が足りねえ……血を返せえ……血さえ潤沢にありゃこんなミスはしねえのに……まあいい……奴はお料理を3皿出されたとしたら、3つ全てもれなく完璧にほんの少しずつ残してごちそう様をしてしまう貧乳極悪低知能妖精の、

【イツモゴハンヲスコシノコスプライト】

だよ! あいつは心底軽蔑出来る程にお行儀悪い奴なんだよね。出された食べ物に一切感謝せずいただきますも言わずにむさぼった挙句、必ず残すの。それでごちそうさまも言わずにすぐに眠っちゃう。
皿の上に乗った食い物は絶対に完食しなきゃ駄目だってのによおお! そんな事だから貧乳が治らねえんだよ! それにこんな甘えがいつまでも許される筈はないんだからね? こんなのずっと続けていたら誰かに目玉をへし折られるんだからね? 気を付けなよ? もしほんの少し残す位なら先に少なめに盛って下さいと言うか、アフリカの子供に分けてやれww じゃあ他には?」 
とことこ
ゴゴゴゴゴゴゴ……

「う?」
少々歩くと突然物凄い魔力のうねりに気付く。

「ウウ……モット、モットチカラヲ……ココニ……アツメタイ!!」

「ブル、ブル」
唐突にダ【ブル】を開始するアリリ。

「どうしましたあ? 今2回もやりましたよお? どうしてですかあ?」

「クッ……お前は……気付かぬのか? こ、この魔力の胎動……うねり……に」
普通に歩こうとするが、思うようにいかない。全身に何かがのしかかっているような状態なのだ。相手が2回動く内に1回しか動けないようなあのもどかしい状況。

「ええ、感じます。この部屋に入った時既に……ですが、この程度が何か? 私は慣れていますので平気へっちゃらですけど?」
ぬ? どういう事だ?

「ま? ……まさか……私がダ【ブル】する程の強い魔力の奔流だぞ? お前はこの力に気圧されぬと言うのか? 少しでも気を抜けば飲まれてもおかしくない程の鳴動……力に……」 

「はい」
とことこ
平気だよ? と言わんばかりの表情で敢えて普通に、魔力の源泉、中央の魔力を集めたいと言っている者の傍まで歩いてみせる市田

「な? お前、そっちに行くと飲まれるぞ!」

「いえ? アリリちゃんまさかこの程度で重いんです? ヒヒヒヒヒ……君はまだ、この部屋は早かったようだねwwww」
動きを制限される事無く歩く市田。この男、一体?
ブウウウン 
そして、市田の背後に魔力が立ち昇るように見えるが……気のせいか?

「悔しいいいい……噓でしょ? 市田さんはそっちの分野は強いの?」

「おうよ!」
心なしかあの市田から威厳すら感じる。

「そうなのか……私は1秒でも早くこの場から逃げ出したい程だと言うのに……こんな臆病なハゲオヤジでも取り柄はあるのだな……」

「な? ハゲていないよ?」

「うるせえ。言葉のあややだろ! 黙っておけよ! スルー出来るのが大人なのよ? このハゲが!」

「NO!」
 
「NOは禁止だと言っておろうに……まあ良い……でも、この魔力……間違いない……あれは……あの妖精はいつも「邪気眼」とか「俺の右手が光って疼く」とか厨二病発言を続け、力を集め続けている……

【アイタタイタニア

だ! でもあの子、魔力はそこそこあるのよねえ……いえ? そこそこどころじゃなかった! 確か妖精界の中では最強の魔力の持ち主だった筈……それは、思い込みの力でいつも強い自分を、憧れの存在をイメージしていく内に、少しずつではあるけれど魔力が蓄積され、その気持ちが膨張し、いつしか顕在化された……そうよ、

【自分は強い】

とずっと思い続けたり自分に言い聞かせている内に、本当に強力な魔力を手に入れたとされる妖精界の覇王よね。確かそう呼ばれている妖精は、彼女一人の筈。
確か……あのお方の口癖は、古文書によると……

「アイタタタw俺の左目が疼くぜえ♡」

の筈よ。彼女、俺っ娘なのよね。で、一見その姿を見て痛いと感じるからその名前になったと思うでしょ? でも違うの。彼女の口癖からも来ていて、見た目のアイタタと、口癖のアイタタとのダブルミーニングから来るものだったのよ。どう? 勉強になったでしょ? で、ステータスは……恐ろしい事に……

体力804亥

力72憶

魔力99兆

早さ97兆

防御80兆

と最強で、スキルは

2兆℃の炎を出し、相手のこめかみに流し込む【メガギガファイア】

10兆ボルトを相手のこめかみに流し込む【オメガシンリュウサンダー】

マイナス273.15℃の氷を相手のこめかみに流し込む【キルキザンブリザード

広範囲に宇宙規模の綺麗な大爆発を起こす【テラギルバードフレア】

一つの惑星に住む全ての生物の息の根を止める【メガギガテラギザカワユスデス】

一つの惑星に住む全ての生物の命を最大まで回復させる【ミラクスキムミルクケアル】

どこに行くかは気分次第の【あっちこっちテレポート】

に【地震耐性】
と攻守だけでなくサポートまで出来る最高峰の妖精族の筈よ。
このステータスは、さっき出て来た【イツモゴハンスコシノコスプライト】と比較するとこうなるわ。    
体力218
力1,7
魔力31    
早さ32    
防御22w
と、クソ雑魚ナメクジレベルのステータスで、スキルも、
相手にあくびを強制的に一回させる事の出来る【最弱スリプル】

小指の先をびりっとしびれさせる【最低サンダー】

対象のHPを10~18、全体化で使うとパーティー内のメンバー全員に5固定で回復させる【極小ケアル】に

地震耐性】

と、必要最小限の物しかなく、とても最終決戦まで連れていける程頼れるとは言えないわね? このイツモゴハンヲスコシノコスプライトは、妖精族では最弱。この様にご飯をいつも少し残しては横柄な態度を取っていると、同じ種族でもここまでの大差が生まれてしまう訳。おまけにアイタタイタニアはFカップで、イツモゴハンヲスコシノコスプライトはAAAカップだから、この部分でも差が付いちゃう訳ね? しっかりご飯は残さず食べなさい? そして、中二病こそが世界最強って事も分かるわね? そうよ? 痛ければ痛い程、そして、香ばしければ香ばしい程に強くなれるのよ。誰でも奥底に眠るその感情、恥ずかしい事なんてないの! だから恥を捨てて生きなさい。それは妖精だろうが人間だろうが種族に関係は無い。肝に銘じておきなさい? で? あっちにはぁ春は花粉症、夏は幽霊に常に憑りつかれ、秋は武者震い、そして冬はその寒さでいっつも市田さんみたいにプルップル震えている

【フルエルエルフ】

ね?」 

「な? 私はそんなに臆病じゃないよ!」

「ブルブル言ってるでしょ? もう100回は見たよ」
まだ10回であるぞ! 10倍に膨れさせてはダメである!

「な……なる……」

「で、あっちには色々な知人から借金ばっかりして知り合いの

【アイタタイタニア

に、「連帯保証人になってくれない? 何でもしますから」 っていっつもお願いしている悪質妖精の

【レンタイホショウニンフ】

でしょ? それに木の上にも登ったはいいけど降りられずにピクピクしている

【ピクピクピクシー】

も居るね。あの娘、そうなると分かっていてよじ登ったと思うけど、後の事はあまり考えない向こう見ずな性格なのかしらwwそれにどこに行ってもその中学の頃使っていたジャージ姿で|融通無碍《ゆうずうむげ》に移動する事が出来る

【ミスヴォラシルフ】

もいるじゃん♪妖精族が勢ぞろいだねwここってそういう部屋なんだwwそれで妖精の間ね? やっと分かったわwえ? あれは? 髭のお爺さんが何人もいる!! あ、あれは髭に猛毒を含んでいて、食事する時いつもその髭に含まれた毒が少しずつ体内に入ってしまい苦しそうにしている

【ドクーフ】

じゃない? 馬鹿よねえw髭さえ剃るか洗うか毟り取るかすればいいだけなのに、毒が含まれた状態を甘んじて受け入れてるなんてwんであれは耳が長くて……いつも気に入った小説を見ていてビビッとしたらこの内容にビビッと来たよ! とコメントで教えてくれる

【ホビビッと】

じゃん! いつも大変お世話になっております♡ それによく見たら隣の人の前に置かれたお茶でも巧みなトーク術で気を逸らし、少しずつ自分の位置にずらして、いつの間にかそれを私物化してしまうという最悪の

【ヒトニダサレタオチャマデノーム】

がいる! 幻想的ィ!! そんなみみっちい事してないで働けwでもあのじいさん達、姿が同じで、色が違うだけなんだよね。だから見分けがつきにくいのよw」
何やらハイテンションであるな。ずっと一人で喋り続けているぞ。まるでフラフラな芝居をして

「今日は頭が痛いから休むぅ」

と言って、お母さんに学校に連絡してもらって1時間位経った後の小学生時代の私の様に元気一杯じゃないか……

「べっ、勉強になります……」
しかしこの娘、傷が塞がったとは言え、貧血気味の筈なのにこんなに元気いっぱいになったのだ? 分からぬ……もう少し弱れ! あの頃の可愛いアリリを返して!

「あっっ! お部屋なのに池がある! で、池の中央から不自然に飛び出た岩に何か腰かけて居るよ? あ……! うわあ! あの子

【セイレ―ソ】

じゃない? 古文書で見た事ある! 私みたいに歌が好きなのよね? でもその歌声で船を沈めている悪い奴なんだよね? あんた歌い手としては最低よーw他には? あ! 隣の池のほとりに斧がポトリと落ちてる? って事は? これは、これは池ではなくて泉? 精霊の泉だったんだ♡ファンタジィー!! わあああ!♡! うっかりと鉄の斧を落としちゃったああ♡」
ドポン……ポワーン 
お? お約束通り泉に住む精霊が姿を現したようだぞ?

「あんたが落としはったのはこの金の斧でっか? それとも銀の斧でっか?」

「あっ精霊さん! 私が落としたのは金の斧ですw本当ですww絶対に金ですwwwwww鉄の斧なんて触った事すらありませんし、存在を空想した事すらございませんwww」
ウム、中々本性を現さぬが、実はアリリはこういう幼女なのだ。醜い……醜すぎるな……

「せやろか? まああんさんがそう言いはるんなら信じたるでえ。よっしゃあ! これを返すさかいに……ほれ」

【アリリは《純金の斧》を手に入れた!】
デロデロデロデロデロデロデロデロデロデロデロデロデロデロデロデロデン、デン! 
おやあ?

「ああ、やっと返って来たわ……本当に助かったわwwwwこれで本職の木こりに戻れるよ! ありがとう精霊さんwwwwww」
アリリ……お主は木こりではないぞ? お主は名探偵の曾孫であろう! そこからいつの間に詐欺師にでもクラスチェンジでもしたのか? これではただの泥棒である! こんな事をしてタダで済むと思っているのか? 近い将来この娘に物凄い罰が下るかも知れぬ。 

「なんやねんあいつ……おかしいやん? あの身長の低さもありえんでぇ。何もかもがおかしいわ……ありえへん……うち、疲れてるんかもしれんわ。ほなちょっとお風呂でも入ってリフレッシュしたろか……おとついごっつええ感じの入浴剤が手に入ってん。それ試したろ。それにしてもありえへん……ありべブクブク」
ほれ、精霊さんも泉の奥底に帰る途中、沈みながらもおかしいと気付きそうであるぞ? いつもと違う反応を初めて受け、驚き戸惑っている感じである。ゆっくり湯船につかり、疲れを癒してほしい。そして、今まで訪れた全ての客は、鉄の斧を落としたら正直に話していたと言う事が容易に想像出来るな。

「他にもあっ! あそこの木に木の精がいる様に思ったけど気のせいねw あれ? よく見ると全部お人形だったんだ? 本物みたいねーw流石に本物は用意出来ないもんねw……? でも何匹か喋ってた奴もいたよね? あの子達、一体どうやって動いたり喋ったりしてるんだろう? まあ気にしない気にしないwwうーんこの部屋は大体終わったかな?」

「ま? もうですか? 早いですね。で? どうでしょう?」

「ここは31」

「な? さっきからその数字なんです?」

「フンガーフフ?」
フンガーも首を傾げている。

「……」
しかしアリリは口を閉ざしたままだ。今の今までハイテンションだったのに、この質問に関してはテンションを完全に落とし切り、満面の笑みも能面の如く無表情に変わり、ノーコメントを貫いている。死に化粧もあいまってかなり不気味だ。この変わり様を見ると、小学生の時、先生の前ではとてもいい子なのに、居なくなった途端ふんぞり返る丹野悦子ちゃんを思い出すな……懐かしい……今は何をやっているのだろうか? 非常に気になる。