magisyaのブログ

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Welcome to 五鳴館!

外に出るとフンガーが待っていた。手にはコンビニの袋をぶら下げている。彼もアリサとママが喫茶店に行っている間の暇つぶしに買い物でもしていたのだろう。

「あらフンガー。こんな暑い中待っててくれたの? 汗だくじゃない? はい、タオル!」
タオルーズの2枚組のタオルを貸してあげるアリサ。

「フガ!」
拭き拭き、ガサガサ

「あら? お買い物してたんだね」

「アリサ。ここで待ってくれたって事はフンガーさんの意志は固いみたいね。折角だし……ちょっとだけお邪魔する?」

「フガ!!」
頷くフンガー。やはり100万円も受け取って何もお礼をしない訳にはいかないのだろう。私もその気持ちは分かる。

「んー……別にいいよ。今はフガフガ言ってる人について行くよりも、フカフカの布団で寝たいなあって気分の方が上回っているのよ!」
中々上手い事を言うな! コンテストを経て、日常会話にお笑いを取り入れる事が出来ている様だな。

「まだ夕方5時よ? もう眠いの?」

「大会で結構脳を酷使したからかな? 私ってデリケートだしさ」

「うん、頑張ってたものねえ。あんな長いネタを台本なしで噛まずに言えていたもんね。どんだけ記憶力……それに度胸があるのよ……」

「あの時はお笑い芸人にクラチェンしてたからねー。今は名探偵の曾孫に戻ってるけどw」

「クラチェン?」

「もう説明めんどいよー」

「そ、そうよね……疲れてるのにごめん……じゃあ後で自分で2話を読み返してその秘密を解明するわ……」
そうだな。刑事のママでも分からないところもあるのだ。だが、それも2話にしっかりと書いてある。皆さんもママの様に分からなければ2話を読みかえし、確認して欲しい。

「そうしてくれると助かる……」

「フンガー……」

「でもフンガーさん凄く落ち込んでる様に見えるけど……やっぱり家に帰るのね?」

「うん」

「フン……ガー……」
アリサのその言葉に、彼の耳の2cm位上にある、普段水平に突き刺さっているボルトが、心なしか少し……3度位か? 下がった様に見える。もしやこれは感情によって上下するように設計されているのか? もしそうだとすれば彼の設計士はただ物ではないな! だがそのお陰で、彼が今何を考えているのかをある程度推測可能となるな。今は落ち込んでいると考えても良いな。やはりアリサに断られ悲しんでいるのだな。

「ごめんねフンガー。フンガーは携帯とか持ってるの? 一応交換しておこう?」
ポケットから携帯を取り出すアリサ。

「フーガー……」
首を横に振るフンガー。

「あー持ってないかー。じゃあ家の電話番号分かる?」

「フガフガ」
再び横に振る。

プルルルル
「あら? 何かしら?」
ママに電話が来た様だ。

「はい……什么? 知道了! 马上去!」
中国語で突然怒鳴るママ。
訳「なんですって? 分かったわ! すぐに行くわ!」

「どうした? 何事だ?」
突然の事に、女の子である事を忘れるアリサ。

「アリサ! 有点赶紧的事情」
訳「ちょっと急ぎの用が」
と言い、1万円を手渡すと駅に走って行った。
ダダダダダ……

「え? ちょwwママ?」
取り残されたアリサ……急いで追いかければ間に合うかもしれないが、突然の出来事に呆然としてしまい、その間に見えなくなってしまった……

「フンガー?」

「あーあ、行っちゃった……私、中国語分からないのに中国語らしき言葉で伝えても何も分からないわよwで、一万円くれたけどさ、これでおうちまで帰れるのかどうかも良く分からないのに……無鉄砲ねえ……その性格は私に似たのかしら? 遺伝って結構正確なのねえ……あ、金賀さんから4000円貰っていたっけ? じゃあ合わせて1万4千円か。なら帰れるのかなあ? 分からないけど……ちょっと携帯で最寄りの駅とか調べてみようかしら……」
逆であろう? ……ママにアリサが似たのだろうに……全く自分中心の娘であるな……そして携帯を取り出す。
すると……ポツポツ……ザー

真夏のにわか雨だ。日が沈み始めた頃に降って来た。
「全く次々と……よーし!」
シャキーン
アリサは携帯をポケットにしまい、スケッチブックを両手で持ち上げ傘代わりにする。まあほとんど傘としての役割は果たしていないが……

「フガッ!」
するとフンガーはアリサを優しく持ち上げ、両手でスケッチブック持ち上げ状態のアリサを傘の様に持つ。成程考えたな。

「ちょっとフンガー! 私を傘代わりにしてるでしょ! べ、別にあんたの為に傘になってあげた訳じゃ……ないんだからね!! それにこんなに美しい傘なんてこの世に無いわよ!!」
 
「フンガー……」

「後、商品のお米はどうするの? これじゃ運べないじゃない? ここに一旦置いていくの?」

「フガ」
頷いている。
 
「そこまで濡れたくないのね? しょうがないなあ」

「フン」
強く頷くフンガー。

「あ……ちょっと思い付いた! もしかしてフンガーって水に弱いの? 地面タイプなんだ? もしくは炎タイプ?」

「……フン」
少し考えた後、軽くうなずくフンガー。
ガサガサ ガサガサ

「そうなんだ……じゃあ仕方ない! 暫く傘として使う事を許可しましょう。でもいつまでも私に甘えていないで頑張って【ちょすいせよ】の特性を身に付けなさいよ? そうすれば逆に水タイプの技を受けると回復するから! もし仮にあんたが地面タイプで、【ちょすいせよ】なんて持ってれば水タイプが簡単に釣られてやってくるわ? 故にガンガン交換読みの草技が刺さるから気持ちいいのよw」
謎のアドバイスをする優しいアリサ。アリサはスケッチブックを放さない様に腕に力を込める。

「フンガー! フンガー!!」
アリサ傘の使用許可に、笑顔になるフンガー。

「ねえ、フンガー? 私を傘として使いながらでもいいから聞いてくれる? 今、取り敢えず考えてみたら腹ペコなのよ。

【腹が減ってはいい傘が出来ぬ】

って言うでしょ? ママも逃げちゃったし駅の場所も分からないから一旦フンガーの家で何か食べたい。案内して!」
戦だと思うが……それに彼の家でごちそうになる頃にはもう傘になる事は二度とない筈であるぞ! こんな経験はこれで最後の筈である。

「フガガガガッ!」
アリサを傘代わりに使い、突然の雨にも臨機応変に対応し、尚且つアリサの角度を一定に保ちつつ雨を凌ぎながら走る器用なフンガー。かなりの芸達者な男だ。
ダダダダダッ ガサガサ

「止まないねー……くしゅん」
少々体が冷えてきたのだろうか? くしゃみをするアリサ。
そんな中10分程走ると、景色は都心から郊外へと移り変わり、西洋の古い屋敷の様な建物が見えてくる。フンガーはその前で止まる。ここが彼の屋敷なのだろう。
そして、どういう訳かいつの間にか雨は止んでいた。到着とほぼ同時に……そして庭に足を踏み入れた刹那……雲は消え、夕焼け空に変わった。正に一瞬の出来事。

「急に止んだねー着いた途端に……で、ここがあなたの家なのね?」

「フンガー」
頷くフンガー。

「なんか古い建物ねえ。まあ、取り合えずびしょ濡れなので早く中に入りたいわ……くしゅん」
震えながら話すアリサ。
そして、看板にはこう書かれていた。

                 【Welcome to|五鳴館《ごめいかん》!】
「近くで見ると大きい建物ねえ」
スタスタと進むフンガーと対称におどおどと歩きながら入口を目指す。そして恐る恐る屋敷の中に入る。
ガチャ 
中は涼しい。そして真っ暗。夕方なのにである。

「お邪魔しまあす♡」

「ん? お客付き? ヒヒヒ……ようこそ。ここは五鳴館だよ……入場料は子供一人2999円だよ」
お客付き? 妙な表現であるな。 お客さんがついてきている? といった感じの意味であろうか?

「え? ちょっとフンガー? お金掛かるなんて聞いてないよぉ?(2999円? 今14000円持ってるから足りるけどさあ……払いたくないよー) って……ここって五鳴館っていうんですねえ。何か聞いた事あるような無いような……」

「ほう、聞いた事があるのかい? 鋭いね。そうだよ。とある建物から取った名前らしいからね」

「へえ」

「フンガー」

「おい! フフンケン! 語尾を忘れていないか? しっかりしないか!」
ん? 語尾だと? どういう事だ?

「フン……ガーフフ」
何故かフンガーの事をフフンケンと呼んだ男に従い、言葉尻にフフを追加した? 一体何の儀式だ? 意味も意図も分からないな。

「良し!」
何が良いのだろう?

「フガ! フガフフ」
ガチャ ダダダダダ
そういうと何かを思い出したのか? 閃いたような顔をして突然外に飛び出して行ってしまった。

「ちょっと? どこいくのよー?」
突然のフンガーの疾走による失踪に、館の主人らしき男と二人きりになって一層不安になるアリサ。

「急にどうしたんだフフンケンは? まあいいか。で、君は?」

「ア、アリ」
一人になってしまい、取り合えず何か言わなくてはと、オドオドと自己紹介をしようとするアリサ。

「そんなに怯える事は無いよ? リラックスリラックス。ああそうだ、その前に私は、|市田《いちた》 |理内《りない》と言う者だ。好きな四字熟語は画竜点睛だよ! 君は?」

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年齢は50代前半か? 黒いスーツを着たやや背が低めで眼鏡を掛けた優しそうな男性だ。歯並びが異様に良く、サルバドール・ダリを彷彿とさせる口ひげを生やしている。
アリサがオドオドしながら自己紹介をしようとした様子を見て、先に名乗るあたり礼儀正しい男の様だ。
しかし、自己紹介の後に何故好きな四字熟語を言ったのだ? 本当に必要なのだろうか? そして、フンガーの事をフフンケンと呼んでいたな。恐らくそれが彼の本名なのだろうか? その名はアリサが名付けた仮の名前だしな。しかしフランケンではないのか。フフンケン……由来がわからぬ……フランケンの親戚? それともその亜種なのか? 西洋妖怪の事には詳しくない私にはそこまでは分からない。

「初めまして! 私、アリサです♡よろしくですうぅ♡いいですよね画竜点睛って♡私も好きです♡字面が特に♡」
市田と言われる男の気遣いで少々緊張が解け、明るく挨拶を始めるアリサ。初対面では兎に角愛想を振りまく。これがアリサの処世術。

「アリサちゃんか? ようこそ! ん? 画竜点睛の字面? 違うんだ、私は字面ではなく、その言葉の意味自体を気に入っているんだ」

「え? 意味? 確か……もう少しで完成? 最後の仕上げみたいな意味ですよね?♡?」

「そうそう! 君は小さいけれど賢いんだね!」

「ありがとうございますぅ♡ですが、小さいは余計ですううう♡」

「な? ああ、すまない……私とした事が気分を害してしまった様だね……申し訳ないよ……でね? 画竜点睛のその感じ? いや、その状態で留まっている所が堪らなく好きでね……ところで君はフフンケンの連れて来たお客さんなのかい? 久しぶりだよ。で、美味しい料理も用意しているから楽しんでいってね? でも最後まで行けたらの話だけどねえ……ヒヒヒ……」

「え? おいしい料理? ここってレストランなの?(気になるわねえ……まあいいか)あの……私、お客と言えばお客ですけど……雨を凌ぐ為の道具として持って来られたと言うか……なんというかあ♡でも、私もお邪魔したいとは言ったかもしれないですけどぉ……」

「そうなのか? 良く分からないが……で、ここはレストランではないんだよ?」

「でも料理って……」

「まあこの屋敷を探索している内にどういう所なのかは分かると思うよ。で? お代は2999円だよ。持ってるかい?」

「そ、それが無一文で……私ママとはぐれちゃって……」
平気で嘘を突くアリサ。

「そうなのか。まあ後でお母さんに連絡すると良いよ。お代はその時に……ね」

「はいっ!」(そうよね……じゃあ今電話してみようかしら)
携帯を取り出す。しかし

「で、君は確かアリサちゃんと言ったか?……そうか……それだと……うん。ならアリリちゃんだね。よろしくね」
む? 何の事だ?

「いえ♡アリサです♡」
なんと、このやり取りですっかりママに連絡する事を忘れてしまう。

「うーんとね、ここではアリリなんだ。これは、

【意味も意図も無い厳然たるルール】

なんだ。分かってくれるね?」
ほほう成程。ここの館ではそうらしいな。ここ五鳴館の主市田は、中々ポリスィーのある男の様だな。私はこういう筋の一本通った男は嫌いではない。郷に入りては郷に従えとも言う。これからはアリリとして頑張って行くと良いぞ! では改めて皆さんに御紹介しよう。この娘は今からはアリリだ! 不束者で口は悪く非常に小柄な幼女だが許してほしい。まあここにお世話になっている間だけの辛抱である。潔く諦めるのだアリリよ。

「いやです♡」
ほほう……そういう反応もあるか……これからお世話になるだけの人間風情にしては肝が据わっているな。

「そんな事言われても困るんだけどねえ……じゃあ【めりさ】は?」

「いいえアリサですう」

「じゃあ【アリい】なんてどうだい? あっ、これはちょっと違うかあ。混ざっちゃってるし駄目だね……」

「……一体お前は一体さっきから一体何を一体言って一体いるんだ? 一体?」
その程度の事で急変し、一体と言う言葉を、通常よりも5回も多く使ってしまう、身長と、気と、足と、腕の短いアリリ。

「ブル」(頑固な子だなあ……本当に困った子だ……)

「え? 今のなあに?」 

「ああ、怖い時、時々出ちゃうんだよね……癖だよ……」

「それを普通言葉にする? 変な癖!! まあ分かり易いけどさあ」

「でもここではめりさかアリリのどれかで頼むよ?」
早くどれかに決めるのだ! ここで足踏みしていては話が進まないではないか! めりさかアリリよ!!

「あんたねえ……あんまりしつこいと目玉をへし折るわよ?」
あっという間に化けの皮を剥ぐ。恐らく、初めて市田と出会った頃のあの初々しいアリリはもう永久に姿を現す事は無いだろう……

「目玉をへし折る? アリリちゃん? 目玉って折れる物なの? だってあれ球体だよ? しかも頭蓋骨の中に収まっちゃっているしさ……難しくない? どうやるの?」

「そこつっこむううううう? 聞き流してよ。後私はアリリじゃなくってアリサだって! うーん、私も物心付いた頃かしら? いつの間にか言葉にしていたんだけど、字面と語感が最高だしさ。
でも……よく考えてみたら実現するのは難しそうよね。でも、工夫すれば実現可能よ?」

「ほう、どうやるんだい?」

「ええとねえ……まず、相手の目を盗んで、目を取り外すでしょ?」

「な? 目を盗んで目を取り外すぅ?」(始めの、

【目を盗んで】

ってのは、相手が気付いていないって状態の事だよね? そのタイミングでどんな方法かは知らないけど今度の

【目を取り外す】

って言ってた……こっちの意味は恐らく本当に対象の目を顔から取り外す? のか……簡単に言うなあ……この時点もう私には出来そうにないよ? でも、取り外して更にへし折る必要ってあるのかなあ? 恐らく相手は顔を押さえて苦しんでいるし、物凄い悲鳴を上げていると思うんだ……それを聞きつつ取り外した目玉をへし折るなんて……気の毒になって来てこれ以上の攻撃はしにくいと思うけれどなあ? そんな事出来るのは心の無いロボットだけだよ……待てよ? でも彼女は、

【まず】

と言ったね。と、言う事はまだ何かを続きを言おうとしている。一体これから何をするというんだ? でも、これを聞かずして突っ込むのは早過ぎる気がする。
私は純粋にこの先を聞いてみたい。ちょっと怖い気もするけれど恐怖よりも好奇心の方が強い……一体次はどうするんだろう? 何か閃きそうなんだよね。アリリちゃんのこの話の続きを聞けば。例えば、小説の新たなアイディアが浮かんで来るかも知れない。よし、少し待ってみる事にしよう)

「うん。で、塩をふりかけて柔らかくしてから麺棒で薄くするのね」

「ん? 味付き? ほほう。まるでお料理みたいだね。でもへし折る事が最終目的なんでしょ? その過程で味を付ける必要性ってあるのかぁ?」(塩か……確か一定の割合の自然塩を水に溶かして点眼すると、最高峰の目薬【塩目薬】になるって言う話を聞いた事があるけれど、取り外してしまった後にも目に何かいい効果があるっていう事なのか?)

「だって、取り出した瞬間に目玉は食材になるじゃん! マグロの目玉を思い出して? 食べれば記憶力、学習能力の向上、頭の回転が良くなる、視力低下の予防、 心疾患や脳疾患の予防、血管や臓器を修復する働き、うつ病予防、目の疲れの軽減、神経系の機能の維持、脚気の予防、骨の健康維持、傷の回復と炎症の緩和、美肌促進と様々な良い効果があるのよ? 人間のも似たような効果があるに違いないわ」

「な? そうかなあ?(食べられるかなあ? 例え体に良いとしても、最悪お腹が減ってどうしようもなくったとしても食べたくないが……にしても目を取り外して塩をふるか……そしたら麺棒で伸ばす……か……しかし、目って塩かけたら柔らかくなるのか? そんな簡単な事で薄くなってくれる物なのだろうか? ……だが若い子の発想力だな。凄い! 何か良いインスピレーションが浮かびそうだ……)で、次は?」

「はいはい! 食材が薄くなりましたら、均等になる様にマスタードを表面に塗ってから丹精込めて巻きます」

「ほほう、(マスタードを塗ってから巻く? ……か……想像の斜め上だ……目を巻くって表現を耳にしたのは人生初だな……でもアリリちゃんの言い方……本当に目玉を材料としたお料理番組みたいに進行するなあ。それに聞き間違いでなければ目玉を【食材】とか言っていた気もするし……まさかとは思うけど本当のお料理番組みたいに「既に巻いた物がこちらです♡」って伸ばしてマスタードを塗られて巻かれた物が出て来そうで怖いよ……)ブル」

「なんで怯えてるのw?wそして、お皿に乗せてラッピングします。それを冷凍庫に2時間ほど入れて冷やしましょう!」

「成程……やっと、真相に辿り着いたぞ! ここまで言われれば……! 謎はずべでどげだ! そう! 次なる行動は、凍った

【巻き目】

を、ハンマーでへし折るんだ。そうだね? 実に簡単なトリックだったよ……だが、私の推理にかかればこうなってしまう……残念だったねアリリちゃん!」

「くそーバレちゃったかwwwwwだが私は捕まえる事は出来ない。さらばだアケツィ君wwww」

「フフフ……考えたものだねえ。だが、そうすれば球体だった目玉も、容易くへし折る事が可能になるね。てか良く考えてみたら塩やマスタードを塗る意味って?」

「何も味がしないと悲しいじゃない? じゃあ覚悟はいいわね?」

「本当に食べるの? ってか狙われているのは私の目玉じゃないか……NO!」

「そうそう♪ 頭いいじゃない♪ 正解! では約束通り9京ポインツ差し上げますwwww」

「ま? そんな約束いつの間にしたんだ?」(9京ポインツって何だ?)

「え? ま? って?」
 
「マジ? の略語だよぉ」

「そこ約すかあ。まあいいや。でも、私もこの言葉結構無責任に放っていたけど、こうして改めて考えてみると、こんな適当な言葉でもちゃんと実現可能なんだって……そうよ! 諦めなければ絶対必ず願いは叶うんだ! って思ったわ。まあ一手間も二手間も増えちゃってちょっと大変だけどね♪こうやって突き詰めていく事で人は一流になれるんだねー。ちょっと嬉しいわ。市田さんありがとうね」(確かロウ・ガイの前でもこの言葉を使った時反応して「一体なんじゃ?」って言われたけど、それ以上は聞いてこなかった、そこ止まりだったのよね。でも市田さんは深いところまで聞いてきた初めての人ね。うーん、目玉を、へし折る……とっても奥の深い言葉だわ……まだ、解明出来る部分が残されているかもしれない……大切にしていかなきゃ……)

「私が役に立てたのかい? 悪い気はしないね」

「分かったとは思うけど、へし折られたくなけばアリサよ!」

「いや、ここでは君は絶対に確実に間違いなくアリリなんだ。これは意味も意図も無い厳然たるルール……」

「うるせえ」

「じょ、じゃあ語尾だ」

「え?ww」(テンパって言い間違えてるw)

「これから喋る度に○○だアリ! とか○○だリサ! とか付けなさい。これこそ意味も意図もない厳然たるルールなんだ!」

「なんでよ」

「ここでの掟……いや、ルールだ!」

「やだよ! そんな下らない事する位なら一言も喋らないもんね!!」

「あれもヤダ、これもヤダでは困るんだよね。後悔するよきっとさ」

「納得出来ない事をそのままにして盲目的に従うのだけは絶対嫌なの。明確で、私だけでなく誰もが納得出来る様な理由を20文字以内で教えなさい! カウントダウン開始! 後五秒ね? 5,4,3,2……」

「ま? え、ええと……そうそう! 【私の生きる目標で、証だから】……さ。分かったかい?」

「薄っぺらw しかも1文字足りないwwww ちゃんとぴったり20文字に合わせるのがプロってモンでしょw まだまだまだまだだねえwしかも内容も2枚重ねのトイレットペーパーを剝がした物よりも薄いwこんな事で従ってくれるとは思わないよね? と、言う事で従わなーい!」

「な、なんて頑固な娘なんだ……」(でも1文字足りないって言うのは……最高に♡嬉しい♡)