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あかンデレラ 前編

あかンデレラ 前編

むかしむかしのお話です。森の外れに小さなおうちがありました。

「こらー(#^ω^)」

その中から周りにも響く位の大声で女の人👩の怒鳴り声が聞こえます。

 

「レラ! いい加減にいう事をお聞き! このバケツで水を汲んできて、そこの雑巾で床を拭くんだよォ!」

女の子👧が怒られています。レラちゃんと呼ばれていますね。 服はボロボロですが、金色の長い髪の毛は黄金の稲穂🌾を連想させるほどに美しく、色白の肌、そして青い瞳はまるで宝石💎の様に輝いています。 怒っているのは継母ままははでしょうね。なぜなら骨格やその他体のあらゆる部分がレラと異なっています。ですのでこの女性から遺伝しているとは到底思えないのです。

 

「あかンデ」

きりっとした表情で関西弁を操りながら首を振ります。

 

「じゃあこのバケツで水を汲まないで、床を雑巾で拭くのだけは絶対にやってはいけないよ」

え? 何を言っているのでしょう?

 

「あかンデ」

ああ……そういう事でしたか……レラは不満そうな顔でバケツを受け取り、川に行ってしまいました。

 

「あはははははw馬鹿だねえ。反抗的だと思ったら、ちょっと工夫しただけで素直に言う事を聞いてくれるわwあははははw」

そうなんです。美しい子で、はっきりと意思を伝える胆力はありますが、頭はそれほど良くありません。まんまと継母の策略にはまり、結果言いなりになってしまっています。 この継母、相当狡猾です。

 

「あんな馬鹿は、工夫しただけで、聞いてくれるwはははははw」

 

「反抗的だけど、ちょっと、素直wははははww」

今笑ったのは継母の本当の娘達ですね。継母によく似ています。 しかし、セリフが変ですね。まるで母親の言った言葉を適当につなげて笑っています。どちらもレラ同様にそれほど頭は良くないようですね。 二人の娘とレラとは年はそれほど離れてはいないようですが、レラ一人だけ奴隷のように扱われているようです。父親は居ないのでしょうか? 何処にも見当たりません。恐らく継母の性格に愛想を尽かし、レラを置いて脱兎🐇の如く逃げたのでしょうか? それとももう病で帰らぬ人に……? そこまでは分かりません。

 

「あかンデ。あかンデ」

レラは不服そうな顔ながらも言ってしまった事の責任を果たす為、川からバケツで水を汲み、お家に戻ります。そして、休む暇もなく床拭きを開始します。

 

「あかンデ。あかンデ」

ふきふき ふきふき

 

「レラ! あんたは口を開けばそればかりねえ。他に何か喋れないの?」

 

「あかンデ」

 

「喋れないようね。じゃああんたはこれからあかンデレラに改名するわw中々のネーミングセンスでしょ?」

何と言う……これは酷いネーミングセンスです。吐き気がします。

 

「あかンデ」

 

「じゃああんたの名前はあかンデレラだけにはしないわ。わかったw?w」

継母さん? いくら何でもそれはレラを馬鹿にしすぎですよ……流石に何度も引っかかるほど……

 

「あかンデ」

ズコー(X_X)

 

「プッwやっぱり引っかかるwwじゃあけってーいw」

 

「あかンデ……」

虚しくその言葉は響き渡ります……

 

「あかンデレラあかンデレラw」

 

「あかンデレラあかンデレラw」

二人の娘も大喜びです。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー数日後ーーーーーーーーーーーーーーーー

「あかンデレラ? 私たちはお城の舞踏会に呼ばれたのよ。私と娘二人で行ってくるわね?」

 

「あかンデ」

 

「あなた如きに私達の行動を制限する資格はないのよ? で、お留守番してもらおうと思ったんだけどそれじゃあ退屈でしょうしお使いを頼むわ」

 

「あかンデ」

 

「生意気言うとここから追い出すわよ?」

 

「あかンデ」

 

「いい返事よ! じゃあ説明するわね? 森の奥に居るちょっと病気がちなおばあさん👵の家に行って、栄養満点のオニ👹ブドウ🍇酒🍷と、パワー漲るブルークモ🕷チーズ🧀と、ほっぺた落ち―るリンゴ🍎イチゴ🍓クモ🕷ニシン🐡ピーチ🍑玉子🍳どんぐりレモン🍋スパイダー🕷バナナ🍌クルミヨモギ味噌汁パイ🥧を届けていらっしゃい!」

ドヨ~ン

 

「あかンデ!」

あっ! いつもと違い、あかンデの後にエクスクラメーションマークが付きました! これは、あかンデレラに怒りの感情が芽生えたのかもしれませんね。 確かに継母の用意したお届け物は食べ物とは思えない程に禍々しい空気を漂わせています。 特にチーズとパイにはクモとスパイダーが入っているみたいですよ? こんな物は失敗作と言えるのではないでしょうか? え? どうして失敗なの? 教えて! ですか? いいですよ? 実は意外と簡単な事なのです。 クモ=スパイダーが入っていると言う事で、スッパイ (しっぱい)ダー……なんちって…… あ、すいません……少し黙ります。

 

 

 

 

 

 

あ、の……そろそろ大丈夫ですか? 落ち着きましたか? え? 何を待っていたのかですって? こんなギャグを言ってしまったら皆さんの腹筋をよじらせてしまい、下手したら呼吸困難が原因で窒息死させてしまう可能性もありました。ですから腹筋がよじれたのがよじれる前の状態に戻るまでしばらく待機していました。大変申し訳ございません。 あっ! そういえば忘れていました。お気付きと思いますが、これは酸味の効いた食材で作られているパイと言う事で、酸っぱいパイダーと言う意味も含まれております。 故に、このギャグは失敗ダーであり、酸っパイダーと言うダブルミーニング仕様となっていると言う事をここに付け加えさせていただきます。

しかし、そんな物を病気がちのおばあさんに食べさせてはいけないのでは? 表面はパイですが、中身は様々なフルーツの果肉、果汁と味噌汁で満たされていて、あまつさえクモとスパイダーがその中で泳いでいる状態です! 完食するにはハイレベルな技術と忍耐力が要求される食べ物です。それを病気がちのおばあさんに持っていこうと言うのです。もしかしたらそれが最後の晩餐になってしまうやん……流石にこれはあかンデ! と言う気持ちの表れで付いてしまった 【怒りのエクスクラメーションマーク】 なのでしょう! 

 

「じゃあおばあさんの家に【だけ】は絶対に行かなくてもいいわよ」  

 

「あかンデ」

そう言いつつ異臭を放つ籠を受け取ります。

 

「あはははははw 毎回同じと分かっていても何回でも面白いわあなたはww」

 

「毎回、何回、面白いはははははwwww」

 

「同じ、分かって、あなたは、ははははwwww」

家族そろって大爆笑です。

 

「あかンデ……」

 

「あかンデレラ? 寄り道はするんじゃないよーw」

 

「あかンデ」

家を背に足取りも重く、嫌々おばあさんの家に向かいます。

 

「あかンデ」

しかし、とてつもない臭いです。味噌とフルーツが混ざった匂いですから……その臭いに鼻を摘みます。

 

「あかンデ」

臭いを我慢しつつ森の奥に進みます。

 

「あかンデ。あかンデ」

森の奥に入っていくと分かれ道があり、その分岐の前には立札があります。

 

「あかンデ?」

今度はクエスチョンマークを付けましたね。この調子でいつかはあかンデ以外の言葉も喋る事が出来るようになるのでしょうか? 

 

「あかンデ」

立札を見ると絵が描いてあります。1つはおばあさんの顔の描いた絵と、北向きの矢印が。 そしてもう一つはタッチは違いますが、これもおばあさんの絵です。 ごく普通のおばあさんの絵で、矢印は東に向いています。しかし、北向きのおばあさんの絵の方が若干目が鋭いように見えますが……一体これはどっちに行けばいいのでしょうかね? これがもしアドベンチャーゲームなら、まずは確実にハズレとなりそうな目の鋭いおばあさんの方向に進み、バッドエンドを回収してから本当の優しいおばあさんの方に進むでしょうが、この出来事は実際に起こっているリアルです。故に一度選択し、誤った選択をしあかンデレラに何かが起こってしまえばジ、エンドかも知れません。ですから慎重に選んで下さいね?

 

「あかンデ!」

あかンデレラは北へ向かう事に決めたようです。そうです! 一度バッドを回収してから正規ルートに進むようです。果たして本当にこれでいいのでしょうか? 分かりません……

 

「あかンデ。あかンデ」

一生懸命歩きます。すると…… 館🏠が見えてきます。近づくと誰かがいますね。 大きな甕🏺から紫色の煙を出した液体を棒でかき混ぜているおばあさんがいます。 紫蘇しそドリンクでも作っているんでしょうね。

 

「あかンデ」

 

「お? なんじゃガキ? ここは魔女の館じゃぞ? 呪い殺してほしい奴でもおるんかぁ?」 

え? ここはおばあさんとは言えどやはりおばあさん違いでした。目は鋭くワシ鼻で、黒のローブ👚を装備している腰の曲がったおばあさんです。これは典型的な魔女でしょう。継母の母であるおばあさんの家ではなく、魔女の館だったようです。紛らわしいですね。ここには用はありませんね。では、正解のルートへ進みましょう。

 

「あかンデ!」

 

「待て待て折角来たのじゃ……そうれ!」

ボウン 魔女は先程まで液体をかき混ぜていた棒を杖代わりに振りかざし、あかンデレラに魔法を掛けます。すると大きなカボチャ🍊の馬車が出てきました。それだけではありません! あかンデレラの衣装も変わっています!

 

「あかンデ」

 

「これでワシの役目も終わった。この魔法は今晩12時には切れてしまうから気を付けるのじゃぞ? ん? ……ほう、お前はいい目をしておる……もしや特別な生物ですら仲間に出来てしまう力があるかもな。ヒッヒッヒッじゃあ達者でな」

と言いつつ館に戻ってしまいました。魔女は勘違いしてしまったようです。本来別の不幸そうな 【シで始まりラで終わるカタカナ5文字くらいの女の子】 に掛ける筈の魔法を、同じ不幸ではあるけれど、全くその魔法が必要ないあかンデレラに掛けてしまったのです。うっかり屋の魔女ですね。 そして、あかンデレラにも魔法で色々変化があったようですよ? それは、ボロボロの服から白いドレス👗、素手から白い手袋🧤に、何も無かった髪には黄金のティアラ👑が、そして、使い古されたスニーカーからガラスの靴👟に変化しています。

 

「あかンデ!!」

ウイーン そして、現れたかぼちゃの馬車には20本ほどの縦しわが刻まれていますが、その8本目から12本目までの部分が突然扉の様に開き、階段が自動的にあかンデレラの足元に降りてきます。そのハイテクなシステムに驚きながら、慣れないハイヒールのガラスの靴でふらつきながら登っていきます。 カツンコツン。

 

「あかンデw」

あれ? 心なしかあかンデレラは笑顔になっています。初めて見た笑顔ですが、それはとても眩しい美しさです。慣れないけれどもとてもすべすべで綺麗な刺繍が施してあるドレス。とても良い香りがします。そんなドレスを着ていると言う嬉しさに、思わず笑顔が出てしまったのでしょう。まだ幼い娘ですが、可愛いではないのです。と言うよりは美しいと表現出来る程に完成された美しさなのです。ボロボロの衣装の時もその片鱗はありましたが、美しいドレスにより真の姿になったと言えるでしょう。 あかンデレラはいつもいじめられていて、ずうっとうつむいて悲しそうな顔が多かっただけに、その反動で美しさが一際引き立っている気がします。 そして、マニュアルなど一切ないのに、長い間使い込んだような手つきで二頭の馬🏇🐎に鞭を振るい馬車を走らせます。まるでアニメ昨日戦死ガンバレで、ガンバレに初めて乗った筈なのに、あっさり操縦出来てしまったアムくち・レイの様な順応性です。 そして今度目指すは正規ルートの、看板で東の矢印方向に居るおばあさんのおうちです。

ぴしぃ

 

「ヒヒーン」

パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ

しかし、道中で思います。このパイ本当に安心出来る物なのだろうか? と言う事を……そんな時……何者かが声を掛けてきました。

 

「お嬢ちゃん? 一体こんな大きな乗り物でどこに行くんだガル?」

とっても大きなオオカミ🐺があかンデレラに声を掛けます。それにしてもこのオオカミ、短パンを履いて二足歩行で歩いています。

 

「あかンデ!」

そう言いつつおばあさんの住んでいる小屋の方向を指差します。

「そうかそうかおばあさんの家にその……うっ? 何だこれは? え?」 

モゾモゾ🕷モゾゾンゾン🕷

あれ? 籠が動いていますよ? シートをかぶせてあり、中身はよく見えませんが確実に動きました! まだ食材が生きていて動いているのでしょうかね? それほどに新鮮なパイなのでしょうか? 生きの良いパイは食べるだけで幸せになります! しかし、よく考えたらその動きの正体……クモかスパイダーが怪しいですね。恐らくそいつらがまだパイの中で生きているのかもしれません!! そしてそのパイの中のフルーツなどを食べて成長しているのかも……うう、恐ろしい……全く……料理があまり得意ではないようですね。あの継母は。

 

「ひいいガル……」

 

「あかンデ」

迷っているような表情です。しかし、オオカミはそれどころではありません。籠が動いている事に気付いてしまったようですね。

 

「うっ? なんだこの臭い……」

そして、オオカミにとって恐怖が更に続きます。オオカミはかなりの嗅覚の持ち主です。視覚に続き、嗅覚でもダメージを受けてしまったようですね。あかンデレラの持つ籠から放たれし異臭に生命の危機を感じながら後ずさりします。 ズササ……


「こ、これは毒だ……この臭いは完全に毒だ……き、君はこんな、こんなゴミをおばあさんに食べさせるつもりなのガル?」

 

「あかンデ」

自分でも悩んでいるんだよ! と、言う表情を見せます。

 

「そうガルか(これはこの子が作った物ではなく、別の誰かが作って渡したのかもしれないガル。それを届けようと言う事かガル。腹が減ったのでおばあさんを食ってやろうと思ったけど、もしあんなものを食った後のおばあさんを食べたら間違いなくオイラが毒で死ぬガル……そうだ!)」

 

「あかンデ?」

どうしたの? と言う感じの表情でオオカミに語り掛けるあかンデレラ。

 

「お嬢ちゃん? おばあさんはこの先にあるお花畑のお花🌼がすごく好きなんだガル」

おばあさんの家と反対方向を指差しながら言います。

 

「あかンデ?」

それは初めて知ったわ! と言う顔で興味津々でオオカミを見つめます。

 

「おばあさんにそのお花を届けると絶対必ず喜んでくれるガル。じゃあこれからオイラはネットフォックス🦊で映画【オオカミ🐺男👨】でも鑑賞するのでこれで失礼ガル」

そう言いつつおばあさんの家の方に歩いていきます。うーん……これは恐らく偶然ではないでしょう。オオカミは毒☠の入ったパイをおばあさんに食べられる前に先に自分が食べてしまおうと考え、あかンデレラを足止めしたのでしょう。賢い哺乳類です。

 

「あっかンデー♡」

フリフリ フリフリ そう言いつつ手を振りオオカミを見送るあかンデレラ。当然オオカミを一切疑っている様子はありません。それどころか無料でこんなにも良い情報を提供してくれ、圧倒的感謝ッッ!! と言った顔をしています。 そして馬車の方向を180度切り替えます。そうです。あかンデレラはお花畑に行くようです。 大丈夫なんでしょうか? 継母は寄り道は駄目と言っていませんでしたか?

 

「ひひーん🐴」

お花畑にはすぐに着きました。二頭の馬は少し獣臭いけれど、とても速いです。 あかンデレラは、花をガラスの靴で踏まないように慎重かつ大胆に馬車から降ります。

 

「あかンデ」

おりおり  オオカミが教えてくれたその花畑🌹🌼🌸👃🌻🌷には沢山の花が咲いています。綺麗な光景です。もしもこのお話がアニメ化する事さえ出来ればこの美しい光景も皆様に簡単にお届けるする事が出来たでしょうに……ああ、悔しいです……

 

「あかンデ!」

くんくん くんくん 花畑に入り、思わず匂いを嗅ぎ始めるあかンデレラ。そして、満足いくまで香りを堪能すると、おばあさんの気に入りそうな花を摘もうとします。

 

「あかンデ?」

あっ、沢山の花に目移りしてどれを摘んでいいのか迷っていますね。それもその筈です。ここにはヒナギク、クロッカス、スベリヒユユズリハ、ハーブ、ブーゲンビリア、アカシア、朝顔女郎花おみなえしシロツメクサ、笹、桜、蘭などなど数えきれない種類の花が咲いているのです。  それに、あらあら? 動いているおはなもいますよ? これは大きなカエルの様な見た目ですが、背中から大きなハイビスカスが咲いているおはなです。不思議なおはなですねえ。さしずめ【ふしぎばな】とでも言うおはなでしょうか? とても人懐っこいおはなのようで、あかンデレラを見るなり顔を擦り寄せてきます。 

スリスリ スリスリ

「あかンデ……ヴォエ゛ッギョヴォッ」

あらあら? あかンデレラが苦しみ始めました! そして彼女の顔の右上に紫色の泡のようなアイコンが! ポコポコポコ

分かりました! これは毒状態でしょうね。どうやらこのおはなは草だけでなく毒タイプを持っていたようです。擦り寄られただけでも人体には悪影響を及ぼすのでしょう。 どうしましょう? これからあかンデレラは死に至るまで4歩歩く度に画面が点滅してHPが1ずつ減っていってしまいますよ? あかンデレラ史上最大のピンチです! そして、その点滅はそれを見ているプレイヤーの視力低下までもを招く最悪な悪魔の光です。

ロッテリア!」

おや? ロッテリア? 鳴き声でしょうか? 鳴き声にしては何か飲食店の名前に似ていますね。そして、南国の女性が付ける様なこしみのを纏い、赤いお花を頭に2つ付けた全体的に緑色が多めのそれはまあきれいなおはなが歩いてきましたよ? さしずめこのおはなは【きれいはな】と言う名前でしょう。

 

え? まあ百歩譲ってふしぎばなは花として扱ってもいい。 でも、きれいはなはどう見ても二足歩行だし、花と言うよりは妖精とかそう言う類の生き物じゃないかですって? いいえ。あなたの話も一理あります。ですがこの子はお花畑に住んでいるのですよ? ですからどこからどう見ても絶対確実にまごうことなくおはなです! 完全に間違いなく花です。そう、きれいな、はななんです! 信じて下さい! で、そのきれいはなは、特技アくちマセラピーを繰り出しました! 

 

ロッテリア!!」

キラキラキラキラ するとあら不思議! あかンデレラの毒がきれいさっぱりなくなりました! どうやらこの特技は、香りの力で周囲の状態異常を正常に戻す効果があるようです。

 

「ハァハァ……ホンマにあかンとこやったデ……おおきに……」

キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!! え? あ、あかンデしか喋れないあかンデレラが? どういう事でしょう? もしやこれは命の危機に瀕した事で語彙力の最大値が上がったようですね。少しずつですが彼女は言葉をモノにしつつあります!

 

ロッテリア!」

きれいはなはその言葉に嬉しくなってクルクル回ってダンスを始めます。それに合わせてあかンデレラも踊ります。

クネクネ クネクネ

 

「あかンデw」

クネクネ クネクネ 笑っています。踊りながら笑っています。

 

ロッテリアロッテリアw」

クルクル クルクル

 

「疲れたデ。ゼエ……ゼエ」

フラフラ すわりすわり

花畑の中ガラスの靴で踊ったせいでへとへとで座り込んでしまうあかンデレラ。

 

ロッテリア!」

するとあかンデレラにお団子🍡を渡します。鮮やかな桃色の団子です。

 

「あかンデ!」

パクパク

 

「これは、あかンデ!」

あかンデレラのHPが回復した! 恐らく今のあかンデは、やばいとか旨いとかまいうーとかそういう意味のあかンデなのでしょう。何故ならあかンデレラはとても嬉しそうにしているからです。余程美味しかったのでしょうね! 

 

バナバナー……」

それと対照的に申し訳なさそうに頭を下げるふしぎばな。ですが、どこかに行くでもなく、猫の香箱座りの様な座り方で

留まっています。そして、何かを待っているようにあかンデレラを見ています。これは一体?

「どないしたンデ?」

あ! またです! あかンデレラがどんどん言葉を覚えていきます!! 主人公が次々と成長する姿を見るのは嬉しいですね。無限の可能性。

 

「バナー」

あっ分かりましたよ? これはあかンデレラの 【仲間になりたそうにこっちを見ている】 状態なんでしょう。

 

「あかンデ?」

ですが彼女自身は良く分からないよ? と言う表情です。あかンデレラも初めての事なので戸惑っているのでしょう。

 

「バナー」

ですがそんなことを意に介さずにずっとふしぎばなは見ています。そうすれば彼の思いは通じると思っているに違いありません。そう言えば思い出して下さい! 魔女の言葉を! そうです! あかンデレラには不思議な力があると言っていました。恐らくそれなのでしょう。純粋なあかンデレラのその姿が、おはなの心に届いたのでしょう。

 

「あかンデ!」

仲間にしないのですか?

 

「バ、バナー😢……」

とても悲しそうにしています。本当に追い返すのですか?

 

「あ、あかンデ」

そうですか、やはり可哀想に思ったのですね? ふしぎばなが仲間になったみたいです。ふしぎばなは嬉しそうに馬車に乗り込んだ!!  

どすどすどす

 

ロッテリア? ロッテリアロッテリア!」

あれ? それを見ていたきれいはなも仲間になりたそうですよ?

 

「流石に多いデ。あかンデ」

もう普通に喋れそうですけど、まだそのあかンデキャラを貫くのですか? 既に一度正体を明かしたのですからもう本性を現しても大丈夫ですよ? それともまだカマトトぶるんですか?

 

ロッテリア……orzチッ チッ😢」

ああ……きれいはなはふしぎばなよりも悲しそうに落ち込んでしまっています。しかも舌打ちも連発して……うう……私の双眸からも涙が……これは連れて行かないと舌打ちのしすぎできれいはなの舌の筋肉がつってしまいますよ? 本当に仲間にしないんですか?

 

「あかンデ」

きれいはなが仲間になりました! きれいはなは嬉しそうに馬車に乗り込んだ!! しかし馬車はいっぱいだ! モンスター長老に送りますか?

 

「あかンデ」

そうなるとせっかく仲間になったのに逃がしてしまう事になりますよ? 良いのですか?

 

「あかンデ」

しかし馬車がいっぱいだ! どうするのでしょうか? ……あれ? 

 

ロッテリア💡」

きれいはなが何か閃いたみたいです。

ドタドタドタ 

 

ロッテリアロッテリア

 

「バナー? バナー!」

ドスドスドス 

 

ロッテリア!」

パクパク パクパク

 

はあー何という賢さ! きれいはなは一旦ふしぎばなに馬車から出てもらい、かぼちゃの馬車の内壁を食べ始めましたよ!? そうです! かぼちゃの馬車なので食べられるのです! しっかりと貫通しない程度でとどめ、均等に馬車内部を広げていきます! 生のかぼちゃは固いのでとっても大変そうです。ですがきれいはなは決して止まりません! あかンデレラの仲間になる為に命を懸けているのです!! そして、努力の結果、最大積載量が増加しました! これにはびっくりしました! きれいはなのお陰で、後一人位仲間に入ったとて、余裕で入り切れるでしょう!

 

「ロッテ……リア……ボリボリ……スゥスゥ」

執念ですね。お腹が破裂する位に膨らむまで貪ると、力尽きて眠ってしまいました。 寝顔がかわいいですね。とてもただのきれいなはなとは思えません。 そういえばかぼちゃにはベータカロテンが多く含まれていると言います。それを短期間で大量摂取できてよかったですね! ここまでして仲間になってくれたのです! 大事にしてあげて下さいね? かなり大所帯になりましたが、戦力は増強しました! 思わぬ収穫ですね! ですがこの間にもオオカミはおばあさんの家に着いているかもしれないのです。彼女の元に慎重かつ大胆に向かいましょう!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ふうー。だいぶ読んだら疲れちゃったわ。休憩していい?」

 

「あかンデ」

 

「こら! じゃあ休憩しないでいい?」

 

「エエデ」

あかンデレラの様に丸め込む事は出来ません。流石アリサちゃんは賢いですね。

 

「流石にあかンデレラほど馬鹿じゃないか」

 

「フッ……この私を誰だと思っている? でも続き気になるよお」

 

「私も少し休んだら読むから許してねw」

 

「はいっ!」