「大分すっきりしたね」
「そりゃそうよ半分になっちゃったし……しかも男ばっかりじゃん。ムサー部屋変えてー」
「チビが色気づくな」
「何が?」
「異性を意識してんだろ! マセガキ!」
「してないしてないしてない! へークション」
アーチューを言う隙も無い程のマジのくしゃみ。
「ん? 風邪か?」
「何か寒いのよ……」
「あれ? 18℃に戻ってますよ?」
「道理で……暑がりのスタッフさんが18℃に戻したのかしら? ねえ! 27度位に上げて?」
「了解です」
ピッ
「よしあったかい♪夏に凍死なんてごめんよ」
「しかし……さっきは大恥をかいたよ……」
「カンザス州ね……あの後吐血してたもんね。血液足りてる?」
「大丈夫。はあー、でも、あの醜態が全国に流れると思うと……優勝する気になれなくなったよ」
「おいおい! 例え勝てないと分かっていても、本気で来てくれよ……でねえと張り合いがねえよ! ここまでのし上がったのはあんたの実力だ。それは忘れるなよ?」
「はあ、そうですかぁああぁああ?」
「もし優勝出来たら100万円返上してカンザスの部分をカットして貰えばいいと思うよ」
「そうかな? うーん……100万円も惜しいけど、僕にも芸人としての意地がある。もしあの部分をカットして貰えるなら100万円なんか惜しくない。出来る事ならそうするよ」
「鎌瀬さんよぉ? そこまでするかぁ? 少し感動しちまったぜ? まあそれ以前に俺達に勝たなくてはいけないんだぜ? 出来んのかよォォおお?」
「頑張りますよ!」
<凛> <凛>
凛とした瞳で白川を見つめ返す鎌瀬。
「そうかい……お前の目。本気みてえだな。なんかあの出来事を経て吹っ切れた感じがするぜ? 今までの鎌瀬さんじゃねえ様だな? 油断しねえぜ?」
「よろしくお願いします!!」
「……まあもし俺があの失態をしたとしたら多分お前と同じ選択をしちまうかも知れんな」
「次はどんなお題が来るのかしら? もう脳みそ疲れてきちゃった」
「俺は平気だ。全然活躍してねえからなw」
「火村さんネガティブよ。一番でかいのにそんな事言ってたら、じゃない方脱却は先になるわよ?」
「だな」
「では準決勝が始まります」
「さて、と。仲睦まじい男子会は終了だ」
「女子も居るでしょ!」
「10年早いぜ♪」
そんな憎まれ口をききながら舞台へ戻る4名。
「さあ準決勝始まりました! お題はイメージ問題です。画面に文字を表示します。それをイメージでお答え下さい。では、スクリーンどうぞ!」
日
「え?」
日であるな。これが問題か? 一体どういう……
「これをどうするのよ?」
「自由にお考え下さい」
「えー」
「はい!」
「3番の彼!」
『開いた本を、90度回転させてみました』
「成程! 本を開いたら□□となり、それを90度回転させると日になりますよね! いいですね! 他に居ますか?」
「そう言う事かー分かったわ!!」
「はい!」
「4番の彼!」
『ニソテソドーDS』
「確かにあんな感じですね。いいですよ! 次居ます?」
「はいっ!」
「6番の彼女!」
『資格情報』
「え?」
「は?」
「何言ってんだこのチビwww」
「説明するよ。あのね、日を、四角二つと考えたの。四角の上に方ってことね。方ってのは、それ一文字で四角って言う意味があるのよ。だから、四角の上に方。四角上方ね。それを変換してえ→しかくじょうほう→資格情報となった訳よ」
「凄い……何者なのこの子?」
「何でそんな事一瞬で思いつくんだよ!!」
「さあ? まあセンスかな?」
「な、生意気な!!」
「正直驚きました……他にはいますか……」
「……」
「いらっしゃらないようですね。では次行きます」
月月
「この文字を使って何か言葉を作って下さい!」
「なにい?」
「漠然としすぎでしょ? 何かヒント頂戴!!」
「ノーヒントです! 答えなんてないんですから。それに、今までヒントなんて出した事なんてありましたか? 答えがあるとするなら、それはお客様の笑いだけですよ」
「う……」
「こんなのにヒントくれなんてチビな馬鹿だぜw、おっと間違えたw馬鹿なチビだぜwまあ似た様なもんかww」
「くそー! チビと馬鹿を同じにするなー!」
「はい!」
「3番の彼!」
『二か月!』
「成程」
「反応が薄い……まあ余り印象に残る答えでもないですよね……」
「簡単だな。はい!」
「4番の彼!」
「2アウト」
「ん? どういう……あ! ゲッツ―ですか?」
「そうだ」
パチパチ
「では次居ますか」
「はい!」
「6番の彼女!」
「左の月を上下逆にするね」
「……? いいですよ」
『キツツキ!!』
「え?」
「待って下さい? もしかして? 月を逆から読んだキツと、それともう一つの月で合わせてキツツキですか! やりますね!」
「まあね」
「他にはいますか? ……居ないみたいですね。では次です」
火
火
火
スクリーンに映し出される。これは? 縦に火が3つ並んでいるな?
「はい!」
「3番の彼!」
『火山』
「火が3→火3→かざん→火山ですね。他に居ますか?
「はい!」
「6番どうぞ!」
『秘密』
「いやいやちゃんと答えて下さい」
「ええとねこれは、火が3つって考えてえ、ひみっつ→ひみつって感じにしたの」
「ああ、答えを秘密にしていたのではなくて、それ自体が答えだったんですね。他に居ますか?」
「はい!」
「4番の彼!」
『悲惨な火事』
「火が3つで火3→ひさんって事ですね。次は居ますか? ……居ないようですね。では次のお題です!」
水 水 水
水 水 水
水
水 水
水 水
水 水
水 水
ぬ? これは? 沢山の漢字で火の形を表現している? よく見るとそのパーツは水である。これは一体?
「これは何と読むのかイメージして下さい」
「はい!」
「3番の彼!」
『西瓜!』
「水と火を音読みにしてすいかですか? 成程! 他には?」
「はい!」
「8番の彼!」
『消火活動!』
「火に向かって水をかけているイメージですね? 何となく分かります。他に居ますか?」
「はい!」
「4番の彼」
『ガソリン』
「成程! 燃える液体と言うイメージですか? いいですね! 他には?」
「はいっ!」
「6番の彼女!」
「その前にちょっといい?」
「え?」
「地球は海が7割で水の惑星って言われているわよね?」
「はい」
「私達人間も7割は水ね?」
「そうですね」
「だから、もう人は水の様な物なのよ。でも水との違いは何?」
「喋る事が出来るとか?」
「まあギリ及第点ね」
「なんかイラつきますね。では正解を教えて下さい」
「正解は、どんな人間にだって熱い炎の様な心が宿っているって事なの!」
「熱い心ですか……私にもあるのでしょうか?」
先程の突っ込みを見た限り、私個人的には冷徹な女だとは思う。
「ある!」
「今度探してみます。それで答えは?」
『つまり、体内に炎を宿した水なのよ! だから、この答えは人間!』
「うーん、深いんだか深くないんだか良くわかりませんが、まあいいでしょう。他に居ますか? ……居ないようですね。では次のお題です!」
名刺
木木木木木
「さあ、イメージして下さい名刺と書かれている所も合わせて考えて下さいね」
木が五つ並んでいるな。しかも名刺と書いてある為、人名に絞られてしまっているな。
「う……難しい」
「はい!」
「3番さん」
『五木さん?』
「そうです。そんな感じで答えて下さい」
「いつも思うけど鎌瀬さんって毎回一番に答えるねー。早過ぎよ」
「誰かに思いついたのを先に言われるのが一番嫌だからね。兎に角早くを意識しているんだよ」
「へえ」
「他にいますか?」
「はい!」
「6番の彼女!」
「ちょっと鎌瀬さんと似ているけど少しひねって見たわ」
「どうぞ」
『五木ヨーコ』
「横に並んでいる5つの木ですね? いいですね! 他に居ますか?」
「はい!」
「8番の彼!」
『
「おお、三つの木と、その隣の2つの木を林と考えて、それの音読みで女優の名前を作り出した! 凄いです! 他に居ますか?」
「はい!」
「また6番ですねどうぞ!」
『林みつき』
「ええと? 林に、三つの木でみつきですか? 成程。では、他にはいますか?」
「はい!」
「4番の彼!」
『
「え? どういう事ですか?」
「林の間に木で、林間木→はやしまきで、女性の名前っぽくないか?」
「ああ! 確かに!! これは凄いです!!」
パチパチ
「他にはいますか? ……居ないようですね。では、次のお題です! どうぞ!!」
金金金金金
金
金
金金金金金
金
金 金
金金金金金金金
ぬ? こ、これは? 金と言う漢字で大きい【玉】と言う漢字を形作っているな……そして、それを見るや否やアリサの表情がウキウキになる。一体何を考えているのだ? 想像も出来ぬ。ウム……これは、容易にアレを思い浮かべる事が出来てしまう。だが、それを回避しつつ面白い答えを出せと言う運営の狙いなのだろう。こんな子供だましに引っかかる馬鹿はおらぬな。皆アレ以外の答えを模索し始める……すると?
「はいっ!」
アリサが満面の笑みで手を挙げる。ぬ、皆さんお気づきであろうか? 今までどんな難問でも鎌瀬が一番乗りで回答していた。だのにそれを超えての速さでの解答か。余程の自信があるのかもしれない。アリサの解答に期待しよう。
「はい! 6番の彼女! どうぞ!」
『☆きんた☆……まずい! みんな気を付けて! これは……罠だよ!!』
罠だよ!! じゃないだろう! 容易に言ってしまった……テレビ放送用に録画をされている事も知っている筈のアリサが……本当か? 本当なのか? それを【きんた】まで言ってしまったら駄目なんだ……せめて【きん】で止めていれば……アリサほど頭が良いならそこまで言ってから気付く様な阿呆ではない筈だぞ? そうか。確かにあの問題は子供だましと語った。だが考えてみれば、アリサは小5の子供であった。……うっかりしていた……子供だましに子供が引っ掛かるのはごく普通の事……仕方ないよね……だがそれでも問題を見た瞬間気付き、それ以外の答えを考えるべきであったのだぞ!?
「むぁあ! ぬぁんておぐぅぇふぃんぬぁ! あんぬぁこぬぃわつぁすぃのくぉとをヴぁくぁぬぃすぁるぇたっつぇくぉとぬぁぬぉ? ゆるすぇぬぁいうぁぬえ!」
何だ? 観客席から怒り狂った声が……この喋り方は? ああ……また蘇我子か……仕方ない……訳を入れるか……これも文字数稼ぎの為だ……
訳「まあ! なんてお下品な! あんな子に私の事を馬鹿にされたって事なの? 許せないわね!」
だそうだ。控室での事を覚えている様だな。
「あーあ言っちゃってるよ」
「言ってないよ? きんたと、まの間に……が入っていたから大丈夫だよ? き、ん、た、まを、続けては言ってはいないから! セーフセーフ! 大丈夫だよ!」
あのさあ……
「でも……今確実に言ったぜ?」
「このき〇たまは、例え話のき〇たまで、空想のき〇たまだから、あのき〇たまとは全く違うのよ?」
ああ……今までずっとお上品なお小説を貫き通していましたのに、全てが
《★☆ドンガラガッシャ―ン☆★》
と言う大きい音を立てて崩壊して行きますわ……アリサお姉さま? これはお上品なお小説ですのよ? お前回もお斉藤お隆之の事をお巻き○そと御連呼あそばせになって、品位を落とした事をお忘れですの? その教訓を全く生かせていないのですわ……こう言う所がお子様なのですわ。
私が以前語ったお笑い論に反するお下ネタをあんなに沢山言ってしまって……私悲しいですわ……ハッ 今、私の語り口が普段と違ってなかったか? そうか……大丈夫であったか……良かった……確かに私を含め全世界の約半数の人類は持っている【物】だ。
だがな? 所持している我々でもそこまでその名前を連呼する機会などないのだよ? それをお主はあの数秒間の間に何回言うのだ……男性が一生を終えるまでにその言葉を使う回数は大体3回ないし4回位だ。それを彼女はこの数秒で超えてしまったのだ。全く……お転婆な幼女である。
彼女は、小さい事がコンプレックスで、身長が駄目なら賢くなってやる! と、様々な分野を勉強している。図書館にも入り浸りその膨大な書物を読み漁りコンプリートして、現在別の図書館を探している程だ。だが、いくら大人ぶって色々知っていようが、根本的に実年齢は幼いから、こういうお題を見た瞬間、あっち方面に向かって行ってしまう。
アリサよ、まだまだ修行が足りぬな……我慢をする事を覚えよ……!
ぬ? お下品な表現はそれ以前にも司会のお漏らしの件があったじゃないか? だとおお? お、おおお漏らしは下ネタではない。生理現象を描いただけで下ネタと言うにはまだ若い。多分な。まあその辺の線引きは十人十色だろうが、私はこれ位は大丈夫と思っている。だから、勘弁して欲しいw
「せめてさあ、きんた……まずいじゃなくて、きんた……やばいと言ってほしかったよ……そうすればまだましだったと思う」
「で、でも、こんなのどう考えてもお題が悪いわ! でも何で金○まなのかしら? 金じゃなくても良くない? 例えばプラチナ玉とかチタン玉とかダイヤモンド玉の方がいいと思うの」
「まあ確かに……でも金って金属の中では比較的柔らかいから、人体の一部として例え易いのかも知れない。知らんけど。それにさ、俺のプラチナ玉は今日絶好調なんだぜ? とか日常会話ではそんなに多用しないと思うし……金のままでもいいと思うよ」
「そうかなあ?」
「それにプラチナ玉は言いにくいし、ダイヤモンド玉は言いにく過ぎるよ」
「でも日常会話でそんなに多用しないと思うって言っていたよね? 言いにくくても良くない?」
「言ったけどいやだろ? 辞書でダイヤモンド玉とか調べたらしっかり意味が載っていたらさ」
「確かに」
「あのー? 金〇ま談義で盛り上がっているところ恐縮ですが、そろそろ……20秒程の間…… はいっ!【初めて】の回答者はまだでしょうか? 確かに難しいお題の様な気はします。ですけど、ここまで勝ち進められた皆様なら出来る筈ですよ! 頑張って下さい!!」
ほほう、この司会……先程のやり取りを全て無かった事にするつもりであるな? 【はいっ!】と言った部分で編集点を作った様だ。テレビの常套手段であるな! 金〇まを堂々と言ったのもどうせカットされる筈だからだな。まあ流石にあの部分はカットされても仕方がないな……だがこの司会少し抜けているな。理由は平気で、放送禁止用語を言う破廉恥系女子だという事を会場の全員に伝わってしまった事に気付いていないという事だ。カットされるから言ってもいいという根底があるから平気でそんな事を言えてしまうのだ。現実が全く見えていないな。それに、この会場は撮影禁止の決まりはない。故に編集しても、観客の内の誰かが、全て撮影していた物が動画投稿サイトに流れれば意味は無くなってしまうが……
「はい!」
「おお初の回答者が出ました! 3番の彼!」
わざとらしいな……
「将棋で、金と
「え? 金も玉も移動範囲似ていますよ? 玉は8方向を一マス移動可能で、金はそこから斜め後ろに行けないやつでしたよね? まあさっきの6番の選手のネタよりはまだいいです。次居ますか?」
おいおい……折角編集点を作っておきながら【さっきの6番の選手のネタ】と言ってしまっては不自然ではないか? お茶の間の皆さんが「さっきって何だ?」 とならないか? 放送した際には今のが一回目の解答なのだぞ?
「はいっ!」
「6番の彼女! 今度はちゃんとした解答お願いしますよ?」
もう編集が難しくなってしまうぞ? 始めは賢いと思ったが、かなり抜けている司会だな……
『金魚のタマゴの販売店の看板!』
「ホッ、いいですね。他に居ますか?」
「はい!」
「4番の彼!」
『ジャックの豆の木のガチョウの産んだ卵』
「ああ金のタマゴですね? いいですね! 他には? 居ないようですね。次のお題です」
「次は土でしょうね」
ボソッと呟くアリサ。そう、今まで6問出てきたが、日月火水木金と言う順に問題が出されている。
故に一週間の曜日をお題にしている事はここまでくれば誰もが予想が付く。
「ではこれが最終問題です! ここまでの合計解答ポイントの多い方2名が最終決戦に進む事が出来ます。では、どうぞ!」
土土土土土
土 土
土
土
土
ぬ? アリサの予想通り土で来たな。だが、数字の7の様に並んでいるな……一体どういう答えを考えれば良いのだ?
「さあ! どなたかいらっしゃいますか?」
「はい!」
「3番の彼!」
『7月10日土曜日』
「え? どういう事ですか?」
「7を10個の土で表現しているから、その数字と土は土曜日にして表したんですよ。ていうか難しいですよ! これ位しか思いつきませんよ!」
冷房も効いている筈だが、赤面し、額から汗を流しつつ言う鎌瀬。
「成程! これは確かに難問ですね。他いますか?」
「はい!」
「4番の彼!」
『よ、良い土で育った大豆で出来た納豆……』
解答は出来たもののやはり元気はない。まあかなりの難問だからな。
「これも聞かなくては分かりませんね」
「う……そのな? 7が、10個の土で出来てるからよ? 710で納豆と考えて、それが良い土で育ったんだよーって言う感じでさ……分かるか? 分かるだろ? こ、こんなの一般常識だぜ?」
白川もこの難問にタジタジだ。かなり焦っている様に見える……だが一切汗はかいていないな。そういう体質なのか?
「そんな位しか思いつきませんよね。まあいいでしょう。他いますか?」
「はいっ!!」
「おお6番の彼女!」
『±(プラスマイナス)7!!!!!!!』
「ん? ま、まさかこれ、土を±と考えて?」
「はいっ!!」
「これは中々凄いです!」
「どう考えてもプラスマイナスには見えねえだろ! 笑いにもなってねえぞ!」
「確かにそうですね。ですが、今、私はあのネタを聞いてWコロリンのねずっちさんを思い出しました。
お題をお客様から頂戴して、物の数秒でなぞかけと答えを閃いてしまう天才芸人です。ああいう芸風だって、お笑いと言えばお笑いですよね?」
「くっ」
「他いますか? ……居ないようですね。では、集計行きます」
「頭真っ白よドキドキ……」
「6番 8ポイント! 4番 7ポイント! 3番 6ポイント! 8番 2ポイントですね……と、言う事は
6番と4番が勝ち抜けです!!!」
「うおおおおお」
「アリサーやったわねええええ」
「フンガーーーー!!」
「白川ーーーー決勝はあんなチビには負けねえよなああああ?」
「どっちも頑張れええええええ!!」
凄い歓声だな。
「勝ち残りやがったか……言っておく。決勝は全身全霊でいくぜ? お前には1厘の勝ち筋もねえ!」
白川の目つきが鋭くなる。
「……う」
その凄味に気圧されそうなアリサ。
「そう、ここに来てようやく笑いのイロハを覚えたてのド素人のお前にだ! だがな! どう考えてもお前は普通じゃねえ。
小5だったよな? そんな若い人間で考えられる物の限界を超えてやがるぜ? おめえはヤバ過ぎる。
芸人でもこんなヤバい奴は少ねえよ。でもな? お前とやりあってる時、何か知らねえが楽しいんだよな」
「よく分かってるじゃない! 新人に足掬われない様に気を付けなさいよ」
「言っただろ? 今の俺に油断は無い!!!」
「勝ち抜けおめでとう。信じられないよ全く凄い度胸だった……伊達に蘇我子さんをしわくちゃ呼ばわりするだけの事はあるね」
「ありがとう。鎌瀬さんの分まで頑張るから応援してね」
「はいアリサ兄さん」
「では10分の休憩です。決勝前の控室は、別々になります。
これから戦う相手と二人きりでは何かと気を使いますし」
私の書いている小説です
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