magisyaのブログ

小説となぞなぞを投稿してます

お漏らし休憩タイム♪

「まさかあんな事で漏らすなんて……申し訳ないわ」

驚きが隠せない梓。

 

「確かにちょっと怖いネタだったけどよ、怖いネタやる度に漏らされちゃ敵わねえぜ?」

 

「衣装交換タイムか。後でどんな顔で出て来るんだろうな? 変にオドオドされても困るよなあ」

 

「あのテンションの高かった司会が急に黙りこくっちゃったもんな」

 

「でも観客にばれていなかったのは救いね。

あっそうだ! 携帯で面白い☆☆☆三連星の事調べて見よっと、長男サイアの特殊な癖……検索っと」

 

「お前まだそんな事覚えてたのか」

 

「うん。なになに? わー新携帯の検索スピード! サラマソダーよりはやーい」

前の携帯の速さと比べ物にならない速さに驚くアリサ。

 

「ほう? 新しい携帯なのか。いいな! ピンクで可愛いし……でも、おめえには不釣り合いだwおめえは腹黒いから真っ黒黒スケの携帯が似合ってるぜw」

 

「え? あ、あ、れ?」

普段ならその白川の言葉に反応して怒るところだが、それどころではない事がアリサに起こってしまった。

そう、いつものリアクションがない。その違和感に悲しそうな顔をするアリサ。

 

「いやあ、サラマソダーよりも早いんだもん。ホントびっくりしちゃった」

 

「そうか、良く分からんが凄いんだろうな」

アリサは聞こえなかったのかな? と思い、少し大き目の声でもう一度言ってみる……が……4番の腕章の白川だけでなく、室内の誰もが大した反応をしない。

 

「サラ7んとかって7んだい? 7んとなくかっこいい響きだね! 7まえ的にドラゴンっぽい7あ。ガオーって7き声でさ、激しい炎を吐いてさ」

七瀬も初めて聞くワードに興味津々である。

 

「しっ、知らないわ」

(え、うそー? 何かおかしい……良く分からないけど、何かが……)

 

「いいなあ……私もそろそろ買って貰いたいなあ彼氏に……まあ、居ればだけどねーw」

2番の腕章の梓も、携帯の事のみに反応し、サラマソダーの事を気にしている様子はない。

 

「え? 梓さんフリーなんですか? あ、あの僕もそのぉ……急に誰彼構わずに新しい携帯買ってあげたい気分なんですよね」

急に顔を赤らめる鎌瀬

 

「あら? 無理しなくてもいいわよ」

 

「お? 梓さん? あんたは要らないのか? そうか? じゃあ未だガラケーの俺に新型のやつ買ってくれよw鎌瀬君w」

8番の腕章の火村が、たかり始める。

 

「俺も俺もw俺なんか糸電話だぜ? どや? 買ってあげたくなるやろw」

5番の金賀もまるで不死鳥クラブのネタふりの様に乗ってくる。

 

「助かるぜえええええええ。俺様も今携帯ヒビが入っててな。新しいのが欲しかったところだ! 最新のを買ってもらうぜえええええ?」

1番の周様も稼ぎつつ乗っかる。

 

「おお太っ腹だな。誰彼構わず買ってあげたいのか……フム。……お前のその振る舞いの心、美しい……考えれば考える程に。例えるならば、美の女神アフロビューナスよりも……な」

 

「なんですかぁー?」

気が抜けた様に返す鎌瀬

 

「分かった、俺もその気持ちに応えてやろう。美しい気持ちには美しい気持ちで答えなくては申し訳ない。

そうだな……よし思い付いたぜ? まずは俺の親戚には14人の甥っ子や姪っ子達がいる。その子達はものすごく携帯ゲームが好きで、サブ垢を作らないと気が済まない子達なんだ。故にそれぞれ2つずつは必要となってくる。そして肝心の俺だが、俺も携帯ゲームが大好きで、サブ垢を最低2つは作らなくては絶対にダメな男なんだ。だから、まあ保存用と観賞用とサブ機2つとメインの5つで……大体33個でいいぜ?」

4番の白川もお約束に乗っかる。

 

(う、こ、これは、7がれ的に僕も言わ7くちゃ駄目だよ7……)「じゃ、じゃあ僕も僕も! 買って買って(///照///)」

顔も真っ赤にしながらも空気を読み、みんなに合わせる七瀬。

 

「いやそのぉ……勘弁して下さい。そんなに買えませんって……特に白川さんは強欲すぎますよ……それに、誰彼構わずっていうのは、その……厳密には女の人にだけ買いたくなるって言う意味でして……その……男は駄目なんですぅ」

口ごもる鎌瀬。その惨めな様子に……

 

「ガハハハ」

 

「あははは」

 

「わはははは」

皆笑顔に変わった。先程まで敵同士だったとは思えない程に。まるで旧友に再会したかの様に笑いあう。

笑いとは、人を結び付ける強力な接着剤の様な物なのかもしれないな……この光景に私まで目尻が下がってしまう。

しかし、アリサだけは笑う事は無かった。

 

「女の人にだけ? なら、私にも買って貰えるのよね? 早く買いなさい! これから炎天下の中走って行って、3分以内に戻ってくるのよ? 一秒でも遅れたら目玉をへし折るからね?」

 

とアリサが言えば鎌瀬はタジタジであるし、更に笑いが引き起こされるかもしれないというのに……こんないい状況に乗らないとはどういう事だ? まあ彼女自身は新品を買って貰ったばかりでそう言う気にもならなかったのだろうか? しかし、周りと不釣り合いな程に呆然としているのは気のせいか?

 

「誰彼構わずなんて言ったからじゃないw後付けの言い訳は見苦しいわよw」

梓も浅はかな鎌瀬を笑う。

だが、鎌瀬のお陰か? 初対面ではぎこちなかった選手達の仲も、少し良くなってきた気がする。

しかし、その光景を信じられずに見ている者がいた。

 

「う……そでしょ?」

そう、我らがヒロインのアリサだ。一番にその和やかな空気に変わった事に喜ばなくてはいけない筈の彼女は、ただただある出来事に驚くだけだった。

そして、次第に物足りなさを感じ始めていた。その出来事……それは、誰も怒ってくれないという事だ!

 

「え? 何で怒ってもらう必要があるの?」

 

「アリサはSっぽいけど実はMなのか? 」

 

等と疑問に思う方も居るかもしれないので答えておくが、いつもならあのワードを話せば、それを聞いた大人は【必ず】「ヨヨヨヨ?」と子気味の良いリアクションを返してくれるのだ、必ずな! 間違いなく確実に! その後、

 

「サラマソダー○○いよ?」

 

と、言えば、みんな腹を立ててくれたのに……その後

 

「サラマソダーって△△でしょ?」

 

って(△部分は〇と逆の意味が入る。例えば〇が【遅い】だったら、△には【早い】と言う言葉が入る)必ず言ってくれて、その後に

 

「パルパレオスのレンダーバッヘの方が……」

 

と言うだけで、普段は恵比須顔の優しい人でも、表情が急変し激昂。普段見られない般若の様な表情を見せてくれたのに……一切それがないのだ。

それを心の奥底で期待していたのに、皆普通の表情で鎌瀬の事をいじり続けている。

肩透かしを食らってしまい悲しみに暮れるアリサ。

本来の意味は知らずに使ってはいるが、大人達の秘められた素顔を見る事が出来てとっても楽しい気分になれるので、チャンスさえあれば積極的に言う様にしているのだ。

早乙女にもそれを言って殴られる直前まで行った事もあるが、それに懲りず色々な大人に試している。

それが危険な行為だと分かっていても……

だが、奇跡的にこの控室に居る全員が、そのゲームの事を知らなかったのだ。

 

 そう、今までカラムーチョラグーンと言うゲームをプレイして来た大人達としか会っていなかったが、当然プレイしていない人もいる。

ゲームに詳しい中国人の周様が知らなかったのは意外だが。他の6人も、そのゲームを知らずお笑い芸人と公務員の道を邁進していたのだろう。

 

 しかし、これだけ聞いていると何か嫌な主人公だな。と、お思いの方も居るかもしれない。

だが誤解しないで欲しい。彼女は、好奇心旺盛なのだ。そして、仕事熱心でもある。

どういう事か? わかった。説明しよう!

いつもは普通にすましている人達が、たった一言のあのワードを言うだけで、普通に接している間は決して見せてくれない裏の表情を見る事が出来るのだ。

 

 前回の話になるが、ホテルの展示室で、筋肉達の暴走行為を見た直後、トランス状態になり、手元にあったスケッチブックにその光景をまるで実写の様に黒のマジック一本で再現した事件があった。

その時のアリサは、小さな芸術家だった。だが、その状態はアリサの意識がない時に自動描画状態で行われ、意識が戻った時には既に完成していた物だ。

アリサ自身も、完成された絵を見て、驚いていたな。

要するに暴走行為+αがアリサの目の前で起こった瞬間にトランスしたのだ。明確なトリガーは分からないが、筋肉隆々の大勢の人間が大暴れした光景を間近で見た時に引き起こされる一般人の感情とは何だろう? それは普通、【恐怖】ではないだろうか? 故に肝の座ったアリサも少なからず恐怖を感じた筈。その瞬間に彼女の中で何かが起こったと仮定する。

 

 そして、500人もの筋肉が大暴れするシチュエーションは日常生活には殆ど無いだろう。

それに代わる恐怖こそが、優しかった大人の人が極限まで怒った時に現れる【大人の心の鬼】の部分なのだ。

それを頭に焼き付け、自分の頭の中の引き出しにいつでも出せる様にしまって置く様にしようと本能的に行っているのだ。理由は分からない。だが、無意識でそれは行われ続けている。

 

 アリサの場合、ネタを考える時や絵の構想を練る時に、その引き出しを開け、その表情を思い出した後に作品を創る。そうする事で作品やネタに広がりが与えられる。【大人の心の鬼】を思い浮かべた後に書くネタや絵は、何も思い浮かべないまま書くのとでは明らかに作品に違いが出るのだろう。

彼女は、自分に向けられた本気の怒りの表情で、一種の吊り橋効果を疑似体験し、その興奮からトランス状態に陥るのだ。

そして、あの作品

 

【Θ聖戦Θ】

 

を偶然完成させた。だが彼女はいつしか、時々あの快感を恐怖をひっくるめて味わいたいなあと考えたのだ。

そう、アリサは普通の小5ではないのだ。超絶意識の高い小5なのだ。いつも緩ーい暮らしをしていたら頭から駄目になる。時々刺激が欲しい! と、本能的に感じているのだ。

だが、あの筋肉達の大暴れで引き起こされた興奮状態は、偶然起った物で、いつでも呼び起せるものではないのだ。だが、一度自分にそういう力がある事を漠然とながら感じたアリサは、どうすればそれに近い状態に出来るのだろうと考えていた。

そして、明確ではないが、身近に居る大人を本気で怒らせる事で、あの興奮状態を再現出来るのではないか? と仮説を立てたのだ。

そして、サラマソダーの話をすると、大人が誰でも怒る事を知っていたアリサはこの部屋でも使ってみたのだ。

意図的に鎌瀬達を怒らせる事を目的としてな。

当然筋肉達の暴走行為に匹敵するかは分からない。それでも、いつもクールな人が理性を失い怒り狂った姿は、見ていても楽しいし、趣味と実益を兼ね積極的にあのワードを使っていたのだ。

そして、彼女は見るだけでは留まらずその現象を脳に深く刻み込み、沢山の大人の怒りの表情を、

 

【頭の中の絶対に壊れない引き出し】

 

にしまい続けている。その引き出しはいくつもいくつも量産出来、溜まってきたらそれを一斉に開放すれば、大勢の大人達に自分が睨まれているという状況を好きなタイミングで作り出す事が出来るのだ。

その恐怖は、正に筋肉が暴走した状況を目の当たりにした時と同じ? いや、数が増えればそれ以上の興奮状態を受け取る事が出来るのだ。これは他人がどう思おうと関係ない。アリサがそう感じるのならそれでよいのだ。

増えれば増える程恐怖は増し、トランス状態に近づけるかもしれない。

それさえ完成すれば、無意識下でしか引き起こせなかったトランス状態を、自分の意志で、しかも明晰状態で起こせる可能性が生まれてくるのだ。

無意識下で自分の感性を一切表現出来ずに完成したΘ聖戦Θは、厳しい事を言う様だが未完成品である。

自動で描かれた物だから意思はない……だが、そこにアリサの理性をミックスした状態で作品を創ればどうなるか? それは火を見るよりも明らかであろう、当然最後の一番大切なピースが嵌り、最良の状態になれる筈だ。

 

その状態でマジックを執れば、感動を与える作品を明晰状態で作る事が出来る。そして、その状態でΘ聖戦Θをリメイクすれば、真のΘ聖戦Θも完成する筈なのだ。

だが、この控室に居る7人は、誰一人として怒り顔を提供してくれなかった。

その機会が遅れた事で落ち込んでいただけなのだ。

アリサは現在芸人だ。だが、この会場に入る前、ママにお絵かきの道具を一式買って貰い芸人になる前は自称芸術家だった。その気持ちは芸人になった今でも残っていて、いずれ芸術家に戻った時の事を考え培ってきた

 

【意識無き心の鬼集め】

 

が、7人も大人がいる部屋の中で一人分の心の鬼すらも集める事が出来ず、その仕事の進捗が遅れてしまったと思い落胆した。

だから、仕事熱心と語った訳だな。だが、その悲しみの理由はアリサ自身も明確では無い。

そう、幾つもの鬼を脳の引き出しに入れ続ける事で、生まれる筈の作品の完成が遅れたから悲しいと言う事までは今は分かっていない。

それでも一知半解ながらも彼女は続けるだろう。やっていて辛い事では続かないだろうが、大人達の本気のリアクションはとってもとっても楽しいからな。

そして、恐らく1000,10000と【鬼貯金】が貯まった時、変わった世界が見えて来る筈である。

その時は必ず訪れる筈だ! 頑張るのだアリサよ!

 

「どうしたんだよ? 急に落ち込んで……携帯の読み込み速度がサラナンダカより速ーい! って喜んでたろ? と思ったら急にだぜ? 泣きそうな顔しやがって……喜怒哀楽の激しい奴だなあ」

白川が元気のないアリサに気付く。

 

「サ、ラ、マ、ソ、ダ、ー!! だよ! 全く! ……あっそうだったそうだった……へえーそんな癖があったんだあw結構面白いじゃないww」

念の為、大きめの声で皆に伝えてみるも、やはりあの【ヨヨヨヨ?】と言う楽しい反応は無い。諦めの悪いアリサ。

 

 そして、諦めて検索してとっくの昔に読み込まれていたニュースを見るアリサ。

そして、その内容が面白かったのか? 突然にやける。切り替えが早いな!

彼女の見ている記事は、昨日戦死ガンバレに登場する、アムくちレイと対峙する敵のチームの一つ、面白い☆☆☆三連星の長兄サイアの特殊な癖の記事だ。何が書いてあるのだろうか?

 

「まあこれさ、本作では没になったんだけどなw」

 

「確かにこれは声優も嫌がるわねwガンバレは再放送で見た事はあるけど、サイアはこんな事絶対言ってなかったし。まあよく考えれば没になるわねこれはww」

 

「まあ根が真面目な監督が、あんな事を急に思い付くってのは驚きだけどよ。何だよプリプリィってww」

 

「だよねww」

 

「何の話だい? まあいいや、それにしてもあの司会幽霊苦手なのかな?」

 

「そうよね。驚き方が異様な程だったわ。申し訳なく思っちゃった……でも、あの写真の青年ね、色白過ぎてさー血が通ってない様に見えちゃって……だったら幽霊にしてしまえって思い付いたのよ」

 

「確かにそう言われればそうですよね。生気が感じられなかったです」

 

「でもあの驚き様。ガチで苦手って感じだったな」

 

「そうね。でも、誰にでも何かしらの恐怖症はあると思うよ。

私はどこからどう見ても完璧人間に見えるけど、高所恐怖症だし」

 

「そうか確かに完璧だ。高所恐怖症と言う恐怖症を、自らの体を小さく進化させて補っているなw凄い完璧だなあw良かったじゃねえか。

これだけ芸術的に低けりゃ自分の身長の高さで怯える必要ねえからなww」

上手い事を言うな。座布団一枚だな!

 

「うるさいわよ!! この紫キャベツ!!!」

 

「色しか合ってねえだろ? でもその例えどうなんだよ? お笑いの大会に出てる人間のセンスとは思えねえ程酷いな。

よく見ろよ? 紫の髪の毛をした人間だぜ?」

 

「紫で思いつく物ってそれかタマネギ位でしょ? 仕方がないわ! この紫タマネギ野郎!!」

 

「ひでえ語彙力……突っ込む気力も失せるわw」

 

「ちょ! お二人とも口悪いですよ。あんな物を見せられて苛立っているとは思いますが仲良くして下さいよ」

あんな物=お漏らしであるな。

 

「へいへい」

 

「突っ込みで思い出したけどあの司会、意外と突っ込み上手いわよね? どのボケにもちゃんと返していた様な……」

 

「ああ、あいつは元芸人で突っ込み担当だ」

 

「元って……確かに舞台に立つ事は減りましたけど、現役ですよ」

 

「そうか? もう一切舞台に出る気なさそうだが?」

 

「へえ道理で……ってみんな知ってるの?」

 

「ええ」

 

「一応知っています」

 

私の書いている小説です

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