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知恵 VS 力

「言葉で決意を表明しても、それだけで通れる程私は甘くはないわよ? あっ、(│││焦│││)優しくはないわよ?」

ぬ? 何故だ?

 

「だよね……これじゃあ修ちゃんに……会えないよ……」

(え? 今焦りながら言い直した? 何でそんな事をしたの? ……まさか!!)

 

「あら? 修様でしょう? ちゃんとさっき正しい社会人としての在り方を教えた筈でしょ? 目上の者には敬意を払えってね。

あなた、もう忘れちゃった? 学習能力は無いのかしら? それとも何かの意地? そんな物持っていても意味はないのよ? あなたは、まだ子供で、守られているだけの存在。そんな弱い存在なんだからせめてしっかりと様を付ける習慣位は身につけなさい!!!!! で、気が向いたら、修総理大臣様先輩大統領殿下でもいいわ」

子供の様な事を言う早乙女。

 

「やだよー。あんたさ、修ちゃんがそんな風に呼ばれて本当に喜んでくれると思っているの?」

 

「ええ、当たり前でしょう? ふう……またちゃん付けしたわね? いい加減にしなさいよ?」

 

「いい加減にするのはあんたでしょ? 馬鹿にしているとしか思えないわ? 本人にそれを言った時の状況をイメージしてみてよ……絶対に嫌がられるって……苦笑いされるよ? 最悪怒られちゃうと思う。そんなの冷静に考えれば分かる事だと思うよ? ねえ? 考え直そ? そうすれば見えて来るから。あなたさ、頭がカッチカチなのよ」

(そっか、この子賢さ25だったもんね。私が302で12分の1以下。で、確かケイトちゃんが57だから、その半分以下だわ……しかも私のレベルよりかなり高くて25ともなると、ここまで酷いのか……1レベルで1しか上がってないって言う計算だもんね……これが、脳みそ筋肉って事かしら?)

 

「尊敬しているお方に様付けするのは常識よ? じゃああなた自身がそこまで尊敬してもいない人なんかに会えなくても別にいいのよね? じゃあもうここには用は無い筈よ? その大男から降りて、大人しくおうちに帰りなさい!」

 

「修ちゃんはそんな枝葉末節な事には拘らない! 彼はそんな事を教えた事は一度もない! あんたは修ちゃんの何を見てきて尊敬しているの? 外見の良さ? そんな薄っぺらい理由じゃないよね? 彼の生き方、彼の教えに感銘したから好きになったんでしょう? 違うの? 今のあんたは修ちゃんの教え、何一つ理解出来ず!! ただ盲目的に敬称を使っているだけよ! その礼儀正しい自分がかっこいいって酔っている様にしか見えない!」

 

「そんな事はないわよ!(枝葉末節? どういう意味かしら?)」

 

「じゃあ何なの? 具体的に言って?」

 

「ほら、その、あれとかそれよ」

 

「ほら! だから敬語を使う対象は別に修ちゃんでなくてもいいって事よ! 悲しすぎるよ……こんなアレなファンもいるって事がさ……」

 

「そう……私達は相いれない様ね。しかし何度言えば気が済むの? 様付け出来ないの? それにアレってどういう事? まさか……馬鹿って意味じゃないでしょうね?」

 

「当然よ。良く分かったじゃない! 自分の事を理解は出来ている様ね。でもね? この世界の常識を分かっていないのは間違いなくあんた。

私は逆にあんたみたいに様付けする奴の方が許せない!」

 

「フン! じゃあ、許さないのならどうするの? この私に本気で勝てると思っているの? 私は父を超えられなかった。でも、厳しい修行の末この反撃の力を身につけた。

この力さえあれば、もう物理しか出来ない格闘家なら、私が何もしなくても倒す事が出来る。父も含めた全ての格闘家を従える事の出来る私に勝てると?」

 

「復讐は何も生まないよ?」

 

「は? 一丁前に私にお説教? どうせあなたには私の気持ちは分からないのよ!」

(この子は大事にされて育ったのね……でも、親も所詮は人間。

間違っている事もあるの。それがこの子には分からないのね……私は、決してあいつらを、許す事は出来ない)

 

「そう、じゃあ【お説教】を、しないとね。

あんたは今の一言程度でお説教って言っていたけど、私の真のお説教はそんな甘くはないわよ? 前話の7話のお話を見返せば分かると思うよ♪じゃあ、本当のお説教って物をこれからしてあげる♪あなたは少し賢さが足りないみたいだから、分かり易ーくしてあげるから安心してね?」

 

「なんですって!? 生意気な事を言うんじゃない! そして、甘くは無いですって? 貴様!! 二度とその言葉を使うな! ぶちのめすわよ!!!!!!」

やはりそうだ……彼女は……

 

「あなたは肉弾戦で私に勝負を挑んできているみたいだけど、私は物理では戦わない! 100%負けるもん! 相手のフィールドで戦う事程馬鹿な事は無い。私の得意分野で潰す」

 

「そんなものはあなたに決定権は無い! 逆に叩き潰す!」

 

「しかし、父親に復讐ね……私もふと、オヤジとの会話を思い出したわ」

 

「ん? 何かしら?」

 

「常識を鵜呑みにするな。そして、全てを疑え」

 

「どういう事?」

 

「今まで仲良くしてた人でも突然牙を剥いてくる事もある。人間万事塞翁が馬だから、常に心構えしておけって事ね。刑事の心構えよ。

あいつチビで禿げてる癖に刑事やってて、しかも生意気にこの私よりも頭は良いのよね。

かけ算は出来ないくせに。

それでも私でも思い付けない鋭い事を言う時もある。確か名探偵が祖父らしいからさ。

ママもそれを見ていて、難事件をいくつも推理で解決してきたって私に言っていたなあ。

それにチビで禿げの癖にママのハートも掴む策士でもあったからなあ。ま、逮捕状と言う凶器に頼っていたけどね。

そいつが私にこんな事を言っていたなって……でも、咄嗟に早乙女さんがそうなるなんて思い描くことが出来なかった。私もまだまだね」

 

「私達は元々敵同士よ? たまたま知っていたから少し会話を交わしただけのね。

さあ、再会を懐かしむ時間はもう終わりよ? そろそろ仕事に戻るわ。

ここのガーディアン。そう、守護者よ。いいえ? 修様を守るから修護者ね。あなたの様な薄汚い鼠と神に選ばれし修様とは絶対に会わせる訳にはいかない」

 

「こんな神々しい鼠が居る訳ないでしょ? 私はあなたのデータを全て掌握済み。この賢者の曾孫の頭脳を持ってすれば、力の差などどうとでもなる……! 力では私どころかフンガーこのこでも通用しないわ。

でも、あったのよ。たった一つだけ抜け道が! それを、今からお前に教えてあげるわ! 早乙女ぇぇぇぇぇ!!」

(実は今の所は見いだせていないわ……彼は鉄壁の防御……反射も持っていて、殴ったら逆にこっちが傷つく……でも、メンタルはどうなの? 攻めるとすれば、恐らく……そこしかない。

と、なればさっき見たデータの中に突破口はある……のか? いや、あってくれる筈……! 必ずある!! 考えろ……この瞬間に、全神経を集中させて!!)

彼は女の子であるぞ!

 

「うそをこけ! 父さんを倒す前にまずは生意気なあなたから潰すわ。あなたはここで、終わりよ!!! 物理反射【硬】!!!!」

そう言いつつ壁へと戻って行く早乙女。

 

☆キラーン☆サアアアアアアア……

 

早乙女を中心に、青白い光が少しずつ広がり、万里の長城全体、端から端まで全てに物理反射【硬】の力が付与される。

早乙女はアリサを殺すつもりなのか? 防御無視の反射を喰らえば間違いなく即死だ。そこまでする必要はあるのか? この女は……悪魔なのか?

 

「フフフ……私が今何をしたか分かる? この不思議な力は、人を伝い、広がる。

宣言するわ! あなたは! 絶対に!! ここを通れない!!!」

たかが○×クイズでけが人が出ては話にならない。運営は何故この様な生粋の戦士をこんなお笑いの会場に呼んだのだ? 

 

「やはり来たか……直情径行もいいところね……私に感謝しなさいよ? 知っているから触れないだけで、もしも知らずに触れたらあんた人殺しになっていたんだからね?」

 

「どういう事?」

 

「まさか知らないで使っているの? その技はあんたの防御と同じ値のダメージを防御無視で与える反射技なのよ! 私の体力では即死よ」

 

「そ、そうだったの?……そこまでは知らなかった」

 

「そっか早乙女さんでも詳しく知らないんだ。

最近覚えたって書いてあったしね。

じゃあ漠然と反射するだけって言う認識なんだ。でも私は詳細まで分かっている。あれを無理によじ登ろうとすれば、私の手は、指先から吹き飛ぶ……早乙女さんでなくても一番端っこのモブ筋肉の壁を登ったとしてもだ! 直接は絶対触れられない……あの反撃の力は、フンガーの力でも破れないし……無理に壊そうとすればフンガーの命も危ない。そうよ! 私は全て分かっているんだ! だから!!!!!!」

フンガーの上で、左の人差し指を眉間に当てる。

(今奴の残りMPは25ね。そして、データ通りなら、確か移動は制限される筈)

 

「でもその力を知ってしまった以上、ここを通る気にもなれないでしょう! 大人しくそこで笛の音を待ちなさい! そうすれば命までは取らないから」

 

「やだ!!!」

 

「言うと思った……あなたは私を怒らせたわ。それがいけなかったのよ。子供なら子供らしく私の言う事に従っていればいいのに……何度も何度も修様をちゃん付けするわ、私の事をお前呼ばわりするわ、呼び捨てするわで。

だから、絶対に! 通さない!」

ゴオッ

 

「うっ」

(多分あれは針闘気か。薄いけど沢山の針が彼の頭上に……じゃあ残りMP20ね? と言う事は……もうカウンターは張り直せない!)

早乙女はそんな些細な理由で、それに釣り合わない程の強烈で莫大な闘気を放つ。

それは、一つ一つが針の様に尖っており、壁の上の1メートル程の空中に扇状に広がる。

 

「今のあんたは呼び捨てしても構わない程に愚かなのよ! しかし、あんたの戦い方、男らしくない戦い方ね。

カウンター張った上に針で妨害とか……守り守りの戦い方wやはりあんたは男じゃない! 女だわ! 父親を倒すのに、その受け身の技で勝つ事しか考えられないなんてさ! それで勝って本当に嬉しいの? 男ならよ、負けると分かっていても真っ向勝負で殴り合えよ! たしかに今は勝てないだろうけどそれでもいつか勝てる日は来るから! 本当の意味で勝ちたいなら殴り合いで勝ってみせろ! この女野郎!」

女野郎とは一体?

 

早「男よ!」

 

ア「いいえ女よ!」

 

早「男だ」

 

ア「女!」

 

早「男!」

 

ア「男!」

 

早「女! ハッ」

 

ア「引っ掛かったw」

 

早「クソ!」

 

「待ちガイノレじゃあるまいし、相手が攻撃して隙が出来るまで待つ様なセコイ戦い方じゃなくてガチの真剣勝負しなさい!」

 

「それが出来れば苦労しないわ。あいつの動き予測不可能なのよ」

 

「それでもだよ!!」

 

「うるさい! あなたに何が分かる! 小さい頃からいじめられていた相手に殴り掛かる勇気はないのよ……目を合わせる事すら苦痛なの。あの男は恐ろしいの……蛇に睨まれたカエルなのよ……だから……これしか……これしか思い付けないの……」

 

「そう? でも、それで勝って後悔しなければ良いけどね」

 

「……今は私とあなたの問題でしょ? 父の事は置いといて? もう思い出したくもないわ」

 

「確かに、じゃあ話を戻そう! 私が彼に会うのは予定調和なの。会わないなんて選択肢は確定的に有り得無いの。それを邪魔するならば可哀想だけどそれ相応のお仕置きをしなくてはいけなくなる。精神的にね?」

(思い付け思い付け思い付け……何かある筈必ず……)

先程早乙女の信じられないステータスを見たばかりで、怯んでもおかしくない筈のアリサ。それでも冷静に勝ち筋を模索する。

 

「お仕置きだと? 私の……聞き間違いか? 今、この私にお仕置きをすると言ったのか? さっきはお説教するだとか言っていたし……このチビが!! 身の程を知りなさい! お仕置きやお説教って言うのは、上の者が下の者にする行為でしょ? 使い方を完全に間違えているわ。お説教されてお仕置きされるのは……あんたよ! さあ、その減らず口もここまでよ!」

 

「フッwチビが……か……それはお互い様じゃない?」

 

「な、何?」

 

「確かに私もちょっとだけ皆に比べて小さいわ? だけど、それは物理的な小ささ。それに引き換えあんたは今まで丁寧口調だったのに、一度も言わなかったのに、本性が出たわね? さっきまでのあんたは結局偽りだった。

ものすごく小さく見えるわ? あんたの【器】」

 

「ちっ違う」

 

「いい加減に気付きなよ。あなた自身の愚かさに……あなたの弱点に……? ハッ!」

(弱点か……あんな化け物にもあるのかしら? もしかしたら……よし、思い出してみるか)

 

「そ、そんな物知らないわ! この闘気見える? ここを通ろうものならズタズタになる。

運よく壁をよじ登って向こう側に行けると思っても、その上で闘気に切り刻まれ惨めに壊れる。だから、あなたは通れない。決してね」

 

「フンガーフンガー(汗)」

フンガーもただ何も出来ずに立ち尽くしている。

 

「あの闘気厄介ね……あれを何とかしないとどうしようもない……でも、もしかしたら……確実とは言えないけどそれしかない!」(でも、確かあれは1メートルが限界の筈。そして、2分経てば消えると書いてあったけど、彼のメンタルの状態で、その時間は前後するかもしれない……それに……賭けるしかないわ)

アリサは、早乙女のデータの弱点部分を克明に思い出す。

 

「私は動く必要は無い。ここで、じっとしていればそれだけで勝てる」

 

「まずは3位から……」

 

「3位?」

 

「あなたは両親に虐待されていたみたいね?」

 

「何故それを……? ああ、見たんだっけ? 私の能力……そこまで見られちゃった訳か」

 

「それも仕方ないわねw両親は間違っていないわwあんたみたいにごついのに有り得ない位に可愛らしい声じゃ、両親だけでなく私も虐めたくなるもの!」

 

「うっ、やめろ!」

 

「それに修ちゃんに様だの大臣だの付けろ! って押し付けてくるところも駄目ね。

賢さ25じゃ仕方ないかwあんたならちょっと賢い事言う人全員を尊敬して様付けするんじゃない? カシオペア座にまで敬称使っていたあんたならさww人の言う事を鵜呑みにし、その言葉だけを聞いて凄い人なんだって思ったら最後、勘違いして、自分で考える事を放棄し、盲目的に崇拝する。

あなたは疑う事が一切出来ない」

 

「ぬう!」

 

「あなたは賢くは無かったから、体を鍛える以外に自身を守る方法が思い付け無かった。

でも、その方向にどんなに努力しても無駄なの! 賢さも兼ね備えてこそその力は武器になる。

それを理解出来ず我武者羅に鍛えてきた結果、人間離れした強さは手に入れたでしょう。

その強さで男にも恐れられ、異性としても相手にされずに恋を捨てて男になると宣言。

そして、復讐の為に反射の技を身に付け、あろう事か生んでくれた親に牙を剥く。

そんな事をしている内に確実にあんたは年老いて時間は無くなっていく……正に時間の浪費よ……悲しすぎるね……両親に虐められた上に恋人も一生作る事の出来ない哀れな女。それが、あんただ。

恐らく目を治してくれた医者にプロポーズしても断られる。

悲鳴をあげられて、許して下さい( ;∀;)二度と私に関わらないで下さい!( ;∀;) と懇願されてな!!!!」

 

「グ……挑発しても無駄よ。そんな事では決して動かない」

しかし、唇から一筋の血が流れている。悔しさの余り歯を食いしばり過ぎて唇を切ってしまったのか? それとも歯槽膿漏なのだろうか?

 

「3位じゃ駄目かー。やっぱり強いなあ。でも……少しは効いてるね? じゃあ、2位、行ってみますか」

アリサの瞳の冷徹さは更に増す。

 

「2位……ですって?」

彼女の中では相当なダメージだった様で、両親の虐待の事が一位だとばかり思っていた様だ。それなのにまだ二つも上があるのかと驚く。

そうなのだ。自分の弱点を明確に把握出来ている人間はそう多くはない。万物調査で表示された順番通り自分の弱点を把握している者は一体どれだけ居るのであろうか? そう多くは無いと思う。皆さんは自分の弱点を瞬時に3位まで挙げる事が出来るだろうか?

そんな事をしている内に、普段は長いと感じていた筈の3分のタイムリミットは刻一刻と近づき、残り10秒となってしまう。

 

「もうすぐ時間です。カウントダウン開始10、9、8」

 

「あら? このままそこに居たら負けよ? どうするのかしら?」

全身から針の様に尖った闘気が、早乙女を中心にアリサにも届かんばかりの勢いで放出されている。一切隙は無い。どうする?

 

「7,6,5」

 

「もう少し引き付けて……よし……でも、本当にこれでいいの? いいえ? これしかないの。

フンガー? あなたは本当に良くしてくれた。そう、いい乗り物だったよ? 乗り心地もスピードも申し分なかったよ……その道で食べて行ける位のね。天性の素質を感じたわ。だからね? 私がいなくてもやっていける。大丈夫! ……ごめん!」

 

「フンガー?」

突然別れの言葉を告げるアリサに、不思議そうな顔をして見上げるフンガー。

 

「フフフ何を言っているのかしら? 辞世の句?」

 

「ヨヨヨ」

ピクッ

 

「何を……貴様は……言っている? ……!!!!!!」

 

               <心>  <壊>

 

早乙女は、その言葉とは裏腹に、強烈な嫌悪感を孕んだ目でアリサを睨む。【ヨヨヨ】と言う意味不明の言葉の意味を、しっかりと理解している様だ。

そして、その時彼女は気付く。アリサも同様に? いや、それ以上の殺意をむき出しにした瞳で早乙女を睨んでいたからだ!

この冷徹な少女は、本当にヒロインなのか?

「ヨヨヨ、ヨヨヨ」

(やはりあのデータは真実しか書かれていない。オヤジは常識を疑えと言っていたが、これだけは盲信しても良いのか!)

冷徹に決められたワードを機械的に呟く。そう、それだけでいい。

 

「や、やめてええええええ……何で、何で私を裏切った!! 一緒になれると信じていたのに!!!! 愛してッいたのに!!!!!」

ブンブンブン

 

動揺し、首を振りながら何かを思い出し、叫ぶ早乙女。因みに【ヨヨヨ】とは、早乙女もプレイした事のある、とあるゲームのヒロインだ。

恐らく彼女は、男としてそのゲームをプレイして、本心からゲームの中のヨヨヨを愛したのだろう。そして……裏切られた……

詳しくは前話で語ってあるので、是非見て欲しい。

 

「早乙女さん!?」

 

「一体何があったんです?」

 

「よし2位だもんね。流石! さて、1位を……これがとどめの言葉。お前を元に戻してやれる最高の。な……!」

今アリサは一人の女性の心をえぐり傷つけている。しかし、その事に一切罪悪感は感じていない。

恐らく2位の段階でも、彼女の心に永遠に深い傷が残るのは必至だ。普通の人間ならもうここで止めなくてはいけない。ブレーキを掛けなくてはいけない。と考える所なのだ。だが、そこで、アリサは躊躇う事も無くアクセルを目一杯踏む。

「や、止めろガキがあああああああ!」

ゴオオオオオ!!

闘気が最大まで達する。

 

「フッ、ガキが……か……いいねえ♪でもよ? それは、お互い様。だぜ?」

かっこいいアリサ。

 

「な、何? 止めろ」

そう言いながらアリサに飛びかかろうと太腿に力を入れる……しかし

「え? う、動けない? ど、どうして?」

(そういえばこの技まだ2回しか使った事ないのよね。

その時は2回共すぐ相手をカウンターて倒したから戦闘が終わって自動的に解除されたのよね……だから戦闘継続中はずっと動けないなんて思わなかったわ……どれだけ続くの? 確かに今カウンターを解除しようと思えば出来るけどもう張り直す余力は無いわ……

解除してからこの子を止める? それとも様子を見る? どっちなの? 分からない……)

「自分の事だろう? 自分で考えてみろ」

 

「それが分かれば苦労しないわ。動いて! 頼む。まさかこれまずい状況?」

 

「気付いたみたいだな。まあこの時点でもう詰みだから特別に私が教えてやろう。この反射の継続時間は1時間だ。その間移動は不可能」

 

「何で? あんたどこまで知っているのよ?」

 

「さあ?」

 

「何で……何で私よりも私の事を知っているのよ!」

 

「秘密だ」

 

「まさか? あの力? そこまで詳しく書かれているっていうの?」(あ、でも腕は動く!)

 

「さあ……どうする?」

 

「アーアーアーアー」

早乙女は最後の手段で、耳を塞ぎ、声を出す事でアリサの声を防ごうとしている。

これでアリサの言葉を聞こえない様にしているのだろう。

 

「痛い痛い腕が折れる! 早乙女さん!! 腕を組んだまま耳を塞がないで……お願い」

 

「ごめん。でも、今だけは我慢して? あなた達も誇り高き桜花ジャパンの一員の筈よ? 腕の一本位折れても平気でしょ? アーアーアーアー」

かなり厳しい組織の様だな、桜花ジャパンとは……

しかし、アリサは全く表情を変える事も無く1位の言葉を放とうとする!

 

 

 

私の書いている小説です

https://estar.jp/novels/25771966

 

https://novelup.plus/story/457243997

 

https://ncode.syosetu.com/n1522gt/

 

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