magisyaのブログ

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23話 愛と怒りと悲しみの10万3ボルト

 

「おめえのやっている事は

電気会社の従業員の仕事じゃねぇぜ? 

放っておけ。今すぐに止めねえと

ぜってえにゆるせねえぜ?」

まるで少年の様な声で、怒りを露にする。

この男性が、ピカチュウの上司。

声は松本梨香さんが担当している。

 

「でちゅが、左吐士原ぴかぴはら社長、今動けるわたち

困っている人達をりながら

何もちないで見ている訳にはいきまちぇん!

どうか・・どうかお願いちまちゅ」

 

∂ペコリピカーン∂

 

頭を下げ、食い下がる育谷。

 

「うぐっ、ガハァッ! 目が・・目があぁ

痛いよぉ・・す・全てが痛いよぉ・・ハァハァ

Z・・ぜってえにゆるせねえぜ?

お、おめえはよぉ、あ、頭を下げる事はねえぜ? 

おめぇのお辞儀はよぉ、この季節の

ゴールデンサン(太陽)の反射光ですっげぇ眩しいから

33%の命中率減少効果があるんだぜ?

社長の俺に命中低下のデバフ攻撃をするなんて

ふてえ野郎だぜ! ぜってえにゆるせねえぜ!

 

        ♪テテテテーン♪

 

? 何の音だろうか?

 

「それは失礼ちまちた。でちゅが

もう出荷ちゅっかちゅるだけでちゅ。

配達はいたちゅの方にも迷惑が掛かりまちゅ

ちょこを何とか・・」

 

「ははは、おめぇは社長の俺に逆らうのか?

ぜってえにゆるせねえぜ? 

年老いた窓際従業員風情がよお

確かに配達の方への迷惑は

掛かってしまうかもしれません。

キャンセルの電話は私めが懇切丁寧に

入れておきますのでご心配なく

だからよお命令だぜ? 止めろ! ピカチュウ

目潰しのせいか、ピカチュウがいる方向と

反対を指差しながら言う社長。

 

「嫌でちゅ。その命令だけは聞く事は出来まちぇん

たちかに貴方にはお世話ちぇわになりまちた。

が、これだけは譲れまちぇん

そして、そのこころざちに年齢は関係ありまちぇん。

今の状況を冷静れいちぇいに考えて下ちゃい

復旧のめどが立たない今

出来る事は、これ位ちかありまちぇん。

どうか考え直ちて下ちゃい!」

 

「・・しかし変だぜぇ? 

あの従順なおめぇがこんな反抗的になる筈ねえんだが

ぜってえにゆるせねえぜ?

俺は、レベル100のモケポンですら

言う事を聞くバッヂを持っているんだぜ? 

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「フッ、貴方は100のモケポンでも

いう事を聞くバッヂを持っていると

言いましちたね?」

 

「ああ、だがよお、勝手に質問するんじゃねえぜ?

ぜってえにゆるせねえんだからよお

それに、今おめぇ鼻で笑いやがったよなあ?

大した自信ですねえ。とってもかっこいいです!

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「私は既にモケポンではありまちぇん。たちかに

20年前はおかちなネズミの着ぐるみを着ちぇられて

モケポンとちて共に戦いまちた。そして、100レベルまで

貴方に育てていただきまちた」

 

「そうだぜぇ、おめぇはトキワの林で出会った

リザドンーの次に古株のパートナーモケポンだ

その恩を仇で返そうってのかい

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「はい・・その時の事は今でも覚えていまちゅ

そして精いっぱいの愛情を私にくれまちた」

 

「そうだぜぇ? よく覚えてるじゃねえかよお

ちょっと・・いいえ! すっごくうれしいです!!

ぜってえにゆるせねえぜ?

じゃあ素直に言う事を聞いてほしいもんだぜぇ?」

 

「しかし・・もうモケポンは引退し、家族もありまちゅ

あの黄色いネズミの着ぐるみ

確かピカュウチでちたっけ?

とっくに昔に捨てちゃいまちた」

 

「何だってぇ? 大切な着ぐるみをおめぇ・・

酷いです、とっても悲しいです(´;ω;`)ウゥゥ

ぜってえにゆるせねえぜ?

そのお詫びに

出来れば私の言う事を聞いてほしいんですけど

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「それは勘弁ちて下ちゃい。

私は、あの着ぐるみにいい思い出はありまちぇん

確かにリーグまでの冒険は楽しい日々でちた・・」

 

「そうか、そう思ってくれているのか。

色々あったな。3番目のジムのマチマチス

ライュウチに一目惚れしやがってよお

戦いたくないでちゅって駄々こねやがって

34のおっさんがだぜぇ?」

 

「そんな事もありまちたね」

 

「それに感動してよぉマチマチスのライュウチ

もlineのID教えてくれたんだよな?」

 

「はい、それが妻との馴れ初めでちた

一緒に冒険してなければ

トキワのはやち芋虫いもむち

食べ続ける生活をちていたでちょう」

挿絵(By みてみん)

「でもよお、相手のライュウチの中の人

確か当時5才だろ?」

 

「はい、彼女はアル中の父親と

男狂いの母親に愛想つかして

マチマチチュの元に逃げて来たらちいでちゅ

時が来たらまた放浪の旅に出るって」

 

「そこを引き留めて付き合ったって事か」

 

「はい、29も年が離れた子に本気で心奪われたんでちゅ

まだ若かったから大きくなるまでは

保護者とちて共に暮らちていました。

去年籍を入れたばかりでちゅ」

 

「羨ましい話だぜえ。今嫁さん25か?

ぜってえにゆるせねえぜ?

俺なんかミスカをシケタに取られちまって

まだ独身だってのによぉ

だが引っかかるぜえ? リーグまで・・か」

 

「はい、リーグに入ってからは何度も同じ敵に

何度も何度も小判を投げるだけの単調な日々。

時間の感覚が分からなくなる位

その疲労の蓄積で右手が腱鞘炎けんちょうえんになりまちた

今でもこの右手の関節かんせちゅは疼いていまちゅ。

そしてちばらくは稼いだお金で

インドメタチンとかタウリンを沢山投与ちゃれて・・

より効率こうりちゅよく稼ぐ為でちょうが

過剰摂取かじょうせっちゅで、頭がおかしくなりそうでちた。

貴方は金の魔力に取りちゅかれていたんでちゅ」

 

「あんな小判数回投げた程度で腱鞘炎になったのは

おめえの関節が弱すぎるだけだろぉ?

言いがかり付けるのはかっこ悪い大人だぜぇ?

シップなど貼ってすぐに直して下さいね

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「そして、あの着ぐるみを着続きちゅじゅけた結果

気密性きみちゅせいが高ちゅぎて頭が蒸れて蒸れて・・

私が禿げた原因の一つだと思ってまちゅ」

 

「あー言えばこう言う・・全く

すっごい引き出しですね

次から次へと言葉が出てきて素敵です。

ぜってえにゆるせねえぜ?

着ぐるみのせいにしてるがよぉ?

おめえのハゲはAGAの可能性もあるんだぜえ?

蒸れた位じゃ禿げねえんだよぉ

おめぇの男性ホルモンが悪さしてんだ

フィナステリド食べて、ミノキシジル塗りなさーい!

それで早く直さねえとぜってえにゆるせねえぜ?

おめぇも従業員なら従業員らしく大人しく従うんだ

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「・・たった今

貴方に目潰めちゅぶち攻撃ちてちゅんだ経験で

私のレベルは、101になりまちた。

レベルアップ時に響く

ファンファーレが聞こえたでちょう?

貴方も何回も聞いてきた筈でちゅ。

バッヂの効果はもうありまちぇん

唯のゴミでちゅ!」

 

「はぁ? おめぇ戦いの中で

限界を超えやがったっていうのか?

それは凄いです! おめでとうございます!!

ぜってえにゆるせねえぜ?

馬鹿な事を言うもんじゃねえぜぇ?

おめぇよぉ、俺様の眼球に狙いを定めて

ゴールデンサンフラッシュを調整したってのかよぉ

やるじゃねえかよぉ見直したぜ?

ぜってえにゆるせねえぜ?

それによお、任天動オフィシャルルールでおめぇらは

100以上は育たねえ仕組みになってんだよ。

勝手にチート使ってんじゃねえぜ?

ぜってえにゆるせねえぜ?

それに、俺の苦労して集めたバッジを

ゴミ呼ばわりするとは・・いい度胸じゃねえか

気に入ったぜ!

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「知ってまちゅか? 

限界なんて、その気になれば

容易たやちゅく超えられるんでちゅ」

 

「クッ、偉そうに語ってんじゃねえぜ?

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「こういう時こそたちゅけ合い

の心が大事なんでちゅ」

 

「ケッ社長の俺に説教かよ?

その反骨心。とても現代でできる人は

少ないと思います。

その勇気は本当に大切にしたいですよね。

ぜってえにゆるせねえぜ?

それにしても必死じゃねえか!

おめぇ、そんなに一人で活躍して

 

『昇進getだぜ!』 

 

してえのかおめぇ? 必死だぜ、哀れな男だぜ。

ぜってえにゆるせねえぜ!」

 

「生まれたばかりのむちゅめ

パパと言ってくれたんでちゅ」

 

「はぁ?」

 

先月せんげちゅまでバブーしか言わなかったんでちゅ

でも昨日、いつも通り抱っこちたらパパって・・」

 

「おめぇ子供が生まれたのか・・

ふん、子供が居るから金が必要になるってか?

ううっよかっだでずねえ( ;∀;)・・( ゜д゜)ハッ!

お涙頂戴話は勘弁してくれだぜえ?

ぜってえに・・」

社長の言葉を遮り、続けるピカチュウ

 

「・・娘は・・秘中ひなかは・・

私をパパと認めてくれた・・

こんな禿げ散らかちた脂汗ギトギトの

おっちゃんでもいいって。

・・嬉ちかったんでちゅ。

ぬほど嬉ちかったんでちゅ

貴方はっていまちゅか?

パパは、ちゅよくなくてはいけないんでちゅ

娘にパパと認めてもらった私は

悪いやちゅの言う事なんかに

屈してはいけないんでちゅ! 絶対にね」

泣いていた。江大は、目を見開き涙を流していた。

 

「な、なんでぇ、男泣きで説得しようってか?

こすい手使ってくれるじゃねえか

ううっ止めて下さい・・又泣いてしまいます・・

ぜってえにゆるせねえぜ?

その上俺を悪人扱いかよおぉ

酷すぎます。そんな事言わないで下さい!

ぜってえにゆるせねえぜ?

赤ちゃん言葉のおっさんのくせに・・

おめぇの家族の事なんてどうでもいいんだぜ

(・・本当はどうでもよくないけど

社長の立場上こう言うしかないんです許して)

ぜってえにゆるせねえぜ?」

 

「・・な。良くわかりまちた。どうやら

言葉では通用ちゅうようちないようでちゅね」

 

ピカチュウは、怒りを飲み込み閉眼する。

すると・・突然彼の頭が金色に輝き始める。

 

       €ポワーーン€

「私の人生じんちぇいちばったこの技を

ちゅいに消す時が来まちた」

 

ピカチュウは あたらしく 

????を おぼえたい……!

 

しかし ピカチュウは わざを 4つ 

おぼえるので せいいっぱいだ!

 

????の かわりに 

ほかの わざを わすれさせますか?

 

はい←ピッ

いいえ

 

どの わざを 

わすれさせたい?

 

ねこもこばん←ピッ

ゴールデンサンフラッシュ

でんこうせつげつか 

たたたたたたたたきつける  

 

1 2の……ポカン!

ピカチュウは ねこもこばんの 

つかいかたを きれいに わすれた!

 

そして……!

 

♪テテテテーン♪

 

????

ゴールデンサンフラッシュ

でんこうせつげつか

たたたたたたたたきつける

 

ピカチュウは 新しく 

????を おぼえた!

 

「101になった瞬間ちゅんかん私は、新たな技を習得ちゅうとくちまちた。

代わりに忌まわちきあの技を消ちてね・・」

 

「なんだとぉ? 一体何をする気だぁ?

それに忘れた技とは? まさか・・!!」

 

「そうでちゅ。猫も小判でちゅ」

 

「やはりな・・あれは、おめぇには

いい思い出ではねえもんな

なにせ腱鞘炎になった技だしな。

あの技のお陰で俺の富を築いたようなもんだしな・・

ちょっと名残惜しいが仕方ねえ。

だがよぉ、俺はどんな技を使われても

ぜってえに止まらねえぜ?」

 

「これは、貴方を止める為だけに思いちゅいた技。

挿絵(By みてみん)

左吐士原ちゃん

 

挿絵(By みてみん)

 

・・いいえ・・マチュター!!

かちゅて貴方が私におちえて下ちゃったやちゃちちゃを

取り戻ちて下ちゃい! 

挿絵(By みてみん)

行きまちゅ!・・うおおおおおっ」

 

            ¶カー¶ 

 

湧き出た電光が点滅し、そして次第に禿げ・・

おっと失礼・・激しくなる。

 

「な、何だ? この光は? 雷?? ま、まさか・・

ロートの一族が操ると言われる伝説の雷なのか?

こんなおっさんが? ぜってえにゆるせねえぜ?

でもピカチュウさん。私をマスターって言ってくれた?

こんなダメダメな私を

再びマスターと言ってくれるなんて・・

20年前に戻った気持ちです!!

ちょっと、いいえ・・すっごく嬉しいです!

だが、俺もモケポンリーグの元王者だぜ!

こんな物ぜってえに弾き返してくれるぜぇ? うおお」

バッヂを前にかざし、究極反撃の構えをとる社長。

 

「いつまでも、過去の栄光を、引きずるのは

止めにちまちょう・・」

 

「なんだとこのハゲ! 何一つ功績を残せず

定時に帰る平社員の分際でえええええ!

ぜってえにゆるせねえぜ!!」

 

「フッwハゲは、誉め言葉でちゅ!!」

 

「てめえが馬鹿にしたこのバッヂの真の力

見せてやるぜええええ!」

 

深呼吸し、合掌するピカチュウ

そして謎の言葉を唱え始める・・

社長も同時に詠唱。

 

男達は、己が信念を貫く為の戦いを開始する。

一方は、郵便屋さんに託した救援物資を

苦しむ人々へ届ける為。

 

一方は、部下を好き勝手にさせて

自分のメンツが潰れる事を恐れての妨害。

 

それぞれの思いが、ぶつかり合う。

 

皆さんがどう判断するかは分からぬが

私は、正しいのは前者であると考える。

 

 

わたちの頭が光って光るぅ・・」

『俺のバッジがぜってえ光るぅ』

 

「お前を殺ちぇと・・輝きちゃけぶ!」

『ゆるさねえぜとぜってえ叫ぶぅ』

 

「いくぞ! 確殺かくさちゅ!」

『行くぜぇ! ぜってえ!!』

 

「ピィィィィィィィガチュウウウウウッピッガァァー!」

ピカピカピカッ バチバチバチッ!

『エイィィィトジムバッジィルィフレクショォォォン!』

パアアアアア

       §ゴキィ§

双方の放つ光が弾け、周辺を覆い尽くす。

空間は、白い暗闇に覆われた。真っ白な世界。

余りの眩さに、方向感覚を失う2人。

最後まで、その空間で立っている者は

一体どちらなのだろうか?

 

ここまでお読みいただきありがとうございます

次週の木曜に次を投稿しますが

こちらに行けばすぐに続きが読めます

https://novelup.plus/story/200614035

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