magisyaのブログ

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17話 事件発生?

「くっ・・何で今になってあんな事を思い出したの?」

過去の忌まわしき事件を思い出し

動揺が隠せないアリサ。

隆之も、アリサがママと一緒に居たなら

こんな事は聞いて来なかった筈。

つまり、そのゴキブリと同じで、

 

(勝てる。一、人。で居るアリ、サなら

自分の。魅、力で落とせる。将来。の嫁に。出、来る)

 

等と烏滸おこがましい事を考えたのであろう。

 

隆之は、醜い外見に生まれ

今まではコソコソと暮らしていたのだが

ある時を境に、何故か大金を手にし

堂々とする様になったのだ。

人前にもその姿で平気で出てくる様になってしまった。

 

ずっと社会的に虐げられて来た者が

財力や強力な武器を手に入れると

今まで虐げられた反動で

それらを使って好き放題やるケースが多い。

隆之も例外ではない。

財力でアリサを自分の物にしようと

画策して来てもおかしくないのだ。

金を持っているのだから全身整形して

すらっとした人間になれば良いものを

残念ながら彼は自分が人から忌み嫌われている

存在と言う事を自覚してない為

巻き○その様な姿をキープしている。

 

明らかに隆之に目を付けられてしまったアリサ。

その証拠に記憶力が皆無の頭でもアリサの名前だけは

しっかり覚える事が出来ていて

移動したアリサの後をつけている。

そこから推測するに、考えたくはない事だが

彼女に未練があったのであろう。

そして厄介な事に、隆之は微塵もアリサに

嫌われていると思っていないのだ。

変な所ポジティブである。

立て続けに捲くし立てられた罵詈雑言も

愛故にそこまで叱ったのだと思い込んでいる。

 むしろ、内面にはマゾヒズムな所があった様で

その罵詈雑言を受け続けている内に

開花してしまったのかもしれない

 

そう、今は、アリサのそれを

望んでしまっている自分がいる。 

それにはまだ明確には気づいていないが

それ無しではいられない体になりつつあるのだった。

隆之は、アリサの言葉を跳ねのけた後

謎の感覚に陥っていたが

それは、きっとこれではないであろうか?

 しかし、アリサも気づいていないが

この問題を解決するには

たった一言。ある事を隆之に言えば

隆之は一瞬で身を引くのだが、その機会は訪れない。

 

中華のコーナーでウロウロしていると

警備員の真理がアリサを見つけ話しかけてきた。

 

「アリサちゃん、こんな所にいたのね? 

何食べた? 迷うでしょ? 多くて」

 

「あ、まりちゃん!

うーんまだ食べてないの吟味中かな? 

やはり最高の物を、アリサに与えたいからね。

まりちゃんは? 何か食べたの?」

本当は優柔不断で選べていないだけなのに

何故か見栄を張るアリサ。

 

「私は別室で、コンビニ弁当を食べたわ。

ここの食事は食べてはいけないのよ。

そうだ、お得情報だよ。あっちに伊勢海老があるわ。

早く行かないと無くなっちゃうよ?」

 

「うーん、私はどちらかというと

海の物よりも、山の物がいいというか・・

でも、まりちゃんは大変だね。

こんなに美味しそうな物を目の前にして

耐えなければいけないなんて」

 

アリサは海老の体を引きちぎって食べる

という行為が嫌いで一度も食べた事がない。 

 

「ふうん、美味しいのに勿体無いなあ。

でも一応仕事だからね

こんなに良い匂いの中で仕事出来るなんて

普通のOLではありえない事よ

もうすぐその幸せも終わっちゃうけどね」

自嘲的に言う真理。

 

「じゃあ見回り再開しなくちゃね

またねアリサちゃん」

 

「じゃあね」

真理を見送ると

 

「さて、食べ物を・・何か良い物を探さなくては

なんかふらついてきた・・」 

アリサは鼻をくんくんさせ探し回る。

しかし、このビュッフェは2時間という制限がある。 

もう悠長な事はやっていられないのだ。

 

「む、あれはフォアグラか 

世界最大珍味の一つか・・いってみよ」

三大の間違いである。洋食のコーナーに行く。

 

「くんくん、なんかレバーっぽい匂いだな。

どうも私には合わなさそう。

今回は不採用でしたけど今後の進展

成長を心よりお祈りしております」

アリサは、一部の人間に

人の耳に痛いような口調で語る。

 

「じゃあ山の物、トリュフはどうだろうか? うっ」

しかし、見た目が大きいはな○そなので止める事に。

どうやら丸ごと食べる物と勘違いしている様だ。

普通はスライスしてステーキに乗せる物なのだが

それを実践する為に料理前の物を用意していたのだ。

それには気づかないアリサ。

 

「うーん、時間はどんどん過ぎていく

カロリーを、カロリーを摂らなくては」

迫るタイムリミットに焦りを感じ始めるアリサ。

 

「もう何でも良い。何か食べなくちゃ勿体無い」

空腹でふらふらと俯きながら移動していると

部屋の隅っこの方に隠れユッキーがあった。

それは当然の様に満面の笑顔だった。

その様が、ビュッフェに来ているのに

何も食べていない事をあざ笑われている様に思え

アリサの怒りに火を注ぐ。

 

「・・チッ、ったくこんな時に・・」

 

撮影した後に、しっかりマジックで塗り潰す。

天井で卑怯にも見下していた先程の物とは違い

手を伸ばせば届く所にいるユッキー。

 

「生まれた事を後悔するがよい・・死ね」

パシャ キュキュキュキュキュ。

 

死ねと言っているが、本当は心優しい少女なのだ

今は空腹で気が立っていて口が悪いだけなのである。

 

しかし、もう2回目となる作業なので

動きに全く無駄が無い。

巧みの域に到達してしまった。

発見してから、携帯を取り出し撮影して

マジックのキャップを取り

素早く塗り潰す選手権があれば

彼女の右に出る者はいないだろう。

 

「あーん。こんな事やっている場合じゃないのにー。

私の正義の心がほとばしる・・」

根っからの正義の味方であるアリサ。

自らの食事時間を削り、発見した一般人が

ショック死してしまわぬ為に頑張る。

 

周りは、アリサの影の活躍などには気づかず暢気に

ビュッフェを楽しむ客が嬉しそうに歩いている。

 

「ふむ、これはビュッフェだねえ。あははは」

 

「そうねビュッフェね。オホホホ」

 

「ビュッフェだビュッフェだ、わーいわーいww」

 

ザッ

「違うよ! ブッヘだよ!」

 

楽しそうに語り合う二人の夫婦とその息子に

アリサとビュッフェに向かう

エレベーターで同乗した

アリサ教信者の一人が突っかかる。

彼は・・見覚えがある・・彼は確か・・

大声で間違った歌詞を言い続け

幹部信者に訂正されていたあの若き信者だった。

そして、私の心をかき乱し

語りを暴走させてしまった罪深き人物でもある。

 

「え? 何を言っているの?

 ホテルのパンフレットにも

ビュッフェって書いてあるでしょ?」

 

「そんな事は無い! ブッヘなのだ! 

あの小さくも荘厳なお方が嘘を突く筈が無い!

さあ、唯一神アリサを崇め踊りなさい」

 

・・彼は・・可哀相なのだ。エレベーター内で

正しい言葉のビュッフェを

教団内でのみの専門用語である一般では通用しない

ぶっへであると指摘され、それを受け入れた。

そして、半信半疑であったが、踊っている内に

ブッヘが彼の中で正解になった。

そんな矢先に、この家族連れが折角覚えたての

ブッヘとは違った事を言っているのだ。

その不思議な出来事に混乱し突っ掛かったのだ。

 

この若者の気持ちも分からないでもない。

だがそんな悲しいすれ違いがビュッフェ内を

乱している事に違いない。

それを見たアリサは

自分が引き起こした事を自覚していた為、止めに入る。

 

「お止めなさい! ぶっへにも色々あるのです。

それに貴方はブッヘと言っていますね? 

間違っていますよ?」

 

「え? ぼくぅ?」

目をぱちぱち瞬きながら裏返った声で

アリサの方を向く。

 

「そうですよ、貴方の事ですよボクちゃん

ぶっへ。そう、平仮名の方なのです。

正しく覚えなくてはいけませんよ?

それに貴方! 私の事を荘厳といいました。

それはまあよいのです。問題はその後です!!

更に付け加えて、小さいといいましたね?

小さいは余計ですよ?

崇拝する神の外見を貴方如きの物差しで

判断して良い物ではないのです。

目玉をへし折りますよ?

更にあろう事かアリサと呼び捨てしていましたね?

確かに聞きましたよ? 聞き捨てなりませんね

絶対に許せません・・神罰を与えますよ?

唯一絶対神アリサ様と言うのが正式名称です。

謝りなさい。そうですね・・」

ピカーン アリサの頭に電球が現れる。 

 

「あら。閃きましたわ。そうですね 

ごめんなさいませ究極アリサ大先生様

許して下さいますか? 許してくれませんでしたら

ぶってもいいです。と言って謝罪しなさい」

これは・・全くアリサは女王様気質なのだな・・

 

「ハハー、ごめんなさいませ究極アリサ大先生様

許して下さいますか? 許してくれませんでしたら

ぶってもいいですぶひい」

 

「ぶひいは言わなくてもよろしいですわ。

いいでしょう。今回は特例として許します。

これからは目上の者に対して呼び捨ては止めなさい

目上の者だからこそ、底辺の者に呼び捨てされる事は

とても傷つくのです。絶対に止めなさい」

 

「ハハー」

かなりきつい事を言われている筈で

逆上してもおかしくない筈なのだが

アリサの発する謎のカリスマ性が

彼の闘争心や反骨心を削ぎ落している。

 

「じゃあ貴方程度では一回では覚えられないので

ここでしっかり練習してみましょうね?

リピートアフターミー、唯一絶対神アリサ様」

 

「ハハー。リピートアフターミー唯一絶対神アリサ様」

 

「リピートアフターミーは言わなくてもいいのですよ。

まあいいでしょう。そして、そちらの派閥では

ビュッフェと言うらしいのです。

ですが、ぶっへと言い方こそ違えど

本質的にはあまり変わらない物らしいのです。

心を広くお持ちなさい? 

良いですね? 神は全てを見ていますよ?」

 

「ハハー申し訳ございません!」

 

「フッ、分かれば良いのです」

若者は何度も頭を下げつつ去っていった。

 

「何だったんだあの人は??」

 

「私の教えに強く感銘した者です。

少し若さが暴走してしまいご迷惑おかけ致しました。

代わりにお詫び致します」

 

何とか宗教戦争を未然に防ぐ事に成功。

しかし、人間とは何処まで愚かな生き物なのであろう? 

基本的に同じ物をほんの少し言い方が違うだけで対立し

最悪命の奪い合いにまで発展する。

広い心を養い、考え方は違うけども敵ではないんだ

同じ人類なんだと思い直し

下らない争いを無くして行かなくてはならない。

 

「はあ・・一体なんだったんだ?」

 

「ハッ、あなた方は・・」

唯一絶対神アリサ様は、この家族がプラネタリウム

行っていたにも関らず発病せず無事だった事を思い出す。

 

「あなた達

プラネタリウムに行った時の事覚えていますか?」

 

「え? ああ、とても綺麗だったよ」

 

「そうね、奇麗だったわ」

 

「クライwキレイw20階20階ww」

 

「それだけですか?」

 

「うんwwww」

 

「周りの人の中で、気分を悪くした人はいましたか?」

 

「え? 何で? そんな人一人もいなかったよ?」

 

「そうですか・・おかしいですね・・」

 

「でも・・このホテルに入った時に入り口で

僕達三人同時に軽く

心臓と肝臓と腎臓の痛みを感じたんだよねー」

 

「そうそう胸が張り裂けるような痛みだったわ」

 

「ないぞうないぞう・・ いたいいたい・・」

 

「そうなのですか? 私は平気でしたが・・」

三人の話から、入り口付近にももしかしたら

殺り損なったユッキーが居るのかもしれない。

 

「もういいかい? あっいけね。料理落としちゃったよ」

料理を拾い、皿の隅に置き足早に家族は去って行く。

 

「全員が無時だったと言う事は恐らくその時間には

ユッキーは現れていないという事よね?

偶然私が見た時に現れた。そういう事なのかしら?

確かあの家族が遊戯室前に来た時間は7時40分位。

それで私が見始めたのは50分で

ユッキーが出てきたのはそれから約10分後位だから

8時ジャストだわ! その時間にあそこに行かないと

見られないユッキーという事かしら?

すごい偶然ね。でもあれは絶対消さなきゃ

絶対にね。でも・・どうすれば・・」

 

家族はユッキー出現タイムに

居合わせなかった為無事だったと言う事だ。

しかし一方で一階の入り口に

何かがあると言う情報も得る事が出来た。

思わぬ収穫である。

 すると、先程5階で大声で怒鳴っていた女性が

鼻歌を歌いながら皿を持ってうろついていた。

そして、料理を携帯で撮影している。

自分のブログにでも投稿する写真を

撮影しているのだろうか?

後一品位入りそうである。それを見つけたら

食事席に座るのであろう。それを見てアリサは気づく。

 

「あら? そう言えばお皿どこいったっけ? 

今アリサ徒手空拳としゅくうけんだよ・・お皿持ってこないと・・

そういえば巻き○そ男が犬が居ないとか言ってたな

ついでに探してみるか」

 

アリサは、皿を持って移動していなかったのだ。

今その事に気づいた。会場に到着した直後に

ママが皿の事について言っていたのだが

その時アリサはなるべく高価で

少なくて美味しい物を探す事しか頭に無かった。

そして向かった松茸ご飯の所には

偶然備え付けてあった丼があったので

それを使ってたが、途中でロウ・ガイに奪われ

今は器になる物を何も持ってないのだ。

ビュッフェでは皿を持って移動するのが常識なのだ。

あんな悪臭塗れのオーナーでもその常識は知っていた。

アリサは自分の無知に苛立ちを覚える。

ママの話を半分も聞いていなかった事を後悔する。

手掴みで食べる訳にもいかないので入り口に

お皿置き場があった覚えがあるので、向かう事に。

優柔不断な者がビュッフェに訪れると、何も選べぬまま

広い会場を右往左往する事になり。

逆にダイエットになるのではないだろうか? 

そんな仮説が立ってしまう程である。

 

「皿を取りに戻るついでに橋本を探すか」

 

そして、そのついでに犬を探す優しいアリサ。

 

「橋本ー橋本やーい」

入り口に戻る道中犬を探すアリサ・・すると

 

「はい? 急に名前を呼ばれて吃驚びっくりして

料理落っことしちゃったよ。

お嬢さん? 私に何の用ですか?」

どうやら人間の橋本と言う人がアリサに

呼ばれたと勘違いし声を掛けてくる。

 

「え? あ、ち、違うの。犬の名前なのよ。

橋本って言うねトイプードルなんだけど知らない?」

 

「そうなんですか? 変わった名前のペットですね

急に呼び捨てで小さい子から呼ばれて戸惑ったけど

犬の名前だったんですね。分かりました。

でもビュッフェ会場に

犬を連れ込んじゃいけませんよ? いいですね?」

アリサの飼っているペットだと思われてしまった。

 

「くそ。あのじじい

ややこしい名前付けるから・・・

何で私が注意されなきゃいけないのよ!

こっちは食べる物も探しながら

隠れユッキーを捜しつつ

橋本まで探さなきゃいけないんだぞ」

ダンダン、ダダンダン! 地団太を踏むアリサ。

 

そうこう言っている内に

皿の置いてある入り口に到着。

皿が幾つも置いてある。

 

「あったー、よし」

皿を一つ取り、ビュッフェ再開。

 

「もう時間もないし橋本はいいや。

真ん中のテーブルが中華料理があるみたいね

洋食も捨てがたいけどそっちに行ってみよ」

 

中華料理のテーブルに着くと違和感があった。

そう、フランス料理を作るようなシェフが

麻婆豆腐や餃子を扱っている。

和食でもそのシェフは居たが

そう気にならなかったのに何故だろう?

まあそんな事は後回し。早く飯を食わねば・・

 

「春巻き美味しそう。これにしよう。

後は餃子と・・」

もはやママの言っていた美味しくて出来るだけ

高価な物への拘泥こうでいは止め

目に入った物をトングで皿に乗せる。

 

「スープも欲しくなるなあ。あれ? 

ふかひれスープがあるわ

海の物は嫌だと言ったけど

何事も経験よね。サメない内に飲んでみよう

なんちゃって。でへへ」

 

一人になると時々グレードの低い

ダジャレを言いたくなる時がある。

今正にそんな時だったのであろう

スープ用の入れ物にふかひれスープを入れそれを

皿の上にを乗せる。バランスが悪いと零れてしまうので

スープ類は出来るだけ最後に入れた方が良いのだが

アリサはそんな常識は知らない。

 

「あっチャーハンだ山盛りにしてっと。

お米は食べなくちゃね。あらら♪杏仁豆腐もいいなあ。

よーしこの位で一旦食べに行こうっと」

 

準備万端。中央の席に行き食べるだけだ。

 

その時。

 

「ハシハシッ! ハシハシッ!!」

 

斉藤隆之の飼い犬橋本が吠え始める。

そしてその吠えた先に・・・

 

「キャアァァァ!」

 

女性の金切り声が、中央の食事席から響き渡った!!

 

https://ncode.syosetu.com/n3869fw/

私が書いている小説です。

ブログより10話分位先まで投稿してあります。

 

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